COVID-19 QR 2/25  ロシアウクライナ戦争と新型コロナワクチン

とうとうロシアウクライナ戦争が始まった。下の地図は2月26日のロシアのウクライナ侵攻に対する各国の反応をまとめたもので、Wikipedia より拝借した。

https://en.wikipedia.org/wiki/International_reactions_to_the_2022_Russian_invasion_of_Ukraine

青が侵攻に反対、黄色が中立、橙色が侵攻に賛成、赤がロシア、黒がウクライナ、灰色が態度不明を示している。侵攻に賛成なのはベラルーシ、イラン、シリア、ミャンマー、キューバ、ニカラグア、ベネズエラ、北朝鮮の8国である。アジアでは中国とインドをはじめ中立が多く。アフリカでは態度を表明していない国がほとんどである。また、イスラム国家は中立が多い。ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアでは反対が多い。

A. 賛成中立の多くはロシア製ワクチン接種国

アメリカが中心となって提起したロシア非難決議は、ロシアの拒否権行使で否決された。ロシアを除く14の理事国のうち、11国が賛成で、中国、インド、アラブ首長国連邦は棄権した。

中国は、1週間ほど前まではロシアがウクライナ侵攻をしたときは、ロシアを経済的支援すると見られていた(https://article.auone.jp/detail/1/4/8/111_8_r_20220221_1645430711636241 など)が、いざ蓋を開けてみると、中立の立場をとっている。おそらく、中国が思っていたよりロシアへの批判が強いので、ロシア支持をためらったと考えられる。中立でロシアのウクライナ侵攻には反対と直接言っていないので、風がロシアへ吹くようなことがあれば賛成に回る可能性もある。

インドがなぜロシアのウクライナ侵攻には反対に回らないのか謎であるという向きが多い(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25890 など)。インドはロシアと軍事面での強化を図っているので、もしロシアのウクライナ侵攻に反対すると、そのサポートが受けられなくなる可能性があるからではないかと推察されている。

実は、インドはロシア製ワクチンのスプートニクを21年6月末から接種している。インドは21年1月末からアストラゼネカとコバクシンの接種を開始した。6月25日の時点では累計で約3億回の接種を行ない、中国、アメリカに次いで世界で3番目に多かった。しかし、人口が多いため、ワクチンの数が足らず、その当時の接種率は18%、完了率は4%に過ぎず、G20加盟国では南アフリカに続くワースト2位であった。人口100万人あたりの1日平均の接種回数も世界平均の半分以下であった。6月末にスプートニク追加後は追加前に比べ、1週間の平均ワクチン接種回数は下のグラフのように3倍強になった。

インドの人口100万人あたりの1日平均のワクチン接種回数

インドは今では中国と一、二を争う接種大国となっている。完了率も56%と世界平均並みになった。もし、スプートニクの提供ががなければ、インドのワクチン接種回数は現状の半分以下に過ぎなかったであろうから、非常に恩義を感じているかもしれない。もし、ロシア非難決議に賛成してしまったら、ロシアは今後インドへのワクチン提供を中止する、あるいは、できなくなる可能性も考えられる。したがって、賛成も反対もできなくて棄権したと思われる。

もう一つの国連でのロシア非難決議を棄権したアラブ首長国連邦はイスラム国家である。イスラム協力機構加盟58国(資格停止中のシリアを含む)のうち15国(26%)が中立としている。そうでない175国のうち13国(7%)が中立なので、かなり多いと言える。ロシアはイスラム協力機構のオブザーバーなので、仲が良い国が多い。イスラム協力機の半分弱に当たる27国でロシアからのワクチンの提供受けている。

一方、ロシア非難決議で賛成に回った11国の中にも、アルバニア、メキシコ、ガボン、ガーナ、ケニアがロシア製ワクチンの接種国である。アルバニアでは今週の接種量が先週比で69%減少した、メキシコは17%、ケニアが72%減、ガーナは100%減、ガボンはここ3週間ほど接種がない。今週は世界全体でもワクチン接種回数が先週から18%減少したが、メキシコを除いて減少率が大きい。

したがって、ロシアからワクチンの提供を受けている国は、ロシアのウクライナ侵攻に反対しない傾向があり、また、反対した場合は、ワクチンの供給を停止するなどの報復を行なっている可能性がある。

A1. ロシア製中国製ワクチン接種国は賛成または中立が多い

世界ではロシアを含め58の国地域がロシア製ワクチンを、中国を含め109の国地域で中国製ワクチンを接種したことがある。下の地図は、ロシア製ワクチンか中国製ワクチンを一度でも接種したことのある国の一覧である。

茶色はロシア製ワクチンのみを接種しているところで、ロシアとアフリカ西のギニアの2国だけである。赤はロシア製と欧米製のワクチンを接種しているが中国製は接種していない国地域で、ニカラグアなど10国ある。橙はロシア製と中国製の両方(と欧米系)を接種しているところで、ベラルーシやイランなど49国ある。薄黄色は中国製ワクチンと欧米製ワクチンを接種しているがロシア製は接種していないところで、ミャンマーなど59国ある。黄色は中国製ワクチンのみを接種しているところで、中国の他、アフリカの赤道ギニア、ブルンジ、チャドの3国である。青はロシア製中国製ワクチンを接種していないところ(アメリカなど102国地域)、黒はロシア製も中国製も欧米系も接種していないところ(キューバのみ)、白は接種を全く行なっていないところ(北朝鮮など13国地域)

スロバキア、ハンガリー、ネパールはかつてロシア製ワクチンを接種していたが、3国とも22年はロシア製ワクチンの接種は0である。スロバキアは現在欧米系しか接種していないが、ハンガリーとネパールは引き続き中国製ワクチンを接種している。

A2. 中立は侵攻賛成と同じ

ロシアのウクライナ侵攻に賛成した8国では北朝鮮とキューバを除いて、全てロシア製ワクチン、中国製ワクチン、あるいはその両方を接種している。キューバは自国で開発したワクチンを接種し、イラン、ニカラグア、ベネズエラに提供しているが、提供先はいずれものロシアのウクライナ侵攻に賛成した国である。

また中立の立場をとっているところはインドや中国など28国あるが、その86%に当たる24国でロシア製ワクチン、中国製ワクチン、あるいは、その両方を接種している。


一方、反対した104国地域ではその41%に当たる43国で、態度不明の90国地域ではその48%に当たる44国地域でロシア製ワクチン、中国製ワクチン、あるいはその両方を接種している。

中立の分布は反対と賛成の中間ではなく、賛成に近い。態度不明が反対と賛成の中間となっている。したがって、中立は、世論が怖いから賛成しないけど、心の中では賛成している、あるいは、本当は反対したいけれど、ロシアと中国からの報復が怖いので反対できない、かといって、賛成できるはずもない国であると考えられる。その結果、ロシアのウクライナ侵攻に賛成あるいは中立の国の多くはロシア製あるいは中国製ワクチンを接種している。逆にロシアのウクライナ侵攻に反対している国の多くはロシア製も中国製も接種していない。態度不明だとちょうど半々くらいになる

ロシア製ワクチンを接種しているところは58国地域あるが、その中で侵攻賛成と中立は合わせて22国(39%)になる。中国製ワクチンを接種しているところでは、108国地域のうち28国(26%)が賛成または中立である、しかし、ロシア製も中国製も接種していない国の中では、114国のうち6国(6%)が賛成または中立である。賛成のキューバと北朝鮮、中立のサウジアラビア、カタール、ナイジェリアはロシアと仲が良い。同じく中立であるとバチカンも本当はロシアと仲が良いのであろうか


A3. ロシアのウクライナ侵攻に反対すると、ワクチン接種回数が減る

ロシア非難決議で賛成に立ったロシア製ワクチンを接種している理事の5国では、今週にワクチンの接種回数が大きく減った。ということは、早速、ロシアがウクライナ侵攻を認めない国に対して、ワクチン供給をやめるという形で報復をしたとも考えられる。

ロシア製ワクチンを接種している国地域は58国あるが、その中で賛成をしたのはニカラグア、イラン、ベラルーシ、ロシア、シリア、ベネズエラの6国である。ニカラグア、イラン、ベラルーシで接種回数が増えた。ロシアとシリアでは減少し、ベネズエラは国庫2週間接種が停止されている。中立の態度を示したところは17国地域があるが、チュニジア、セルビア、アラブ首長国連邦、スルランカ、エジプト、ベトナムの6国で増加した。19国地域で反対しているが、そのうち、コートジボワール、モンテネグロ、リビア、サンマリノ、ホンジュラス、グアテマラで増加となった。ボスニアヘルツェゴビナとガボンは接種停止中である。大まかに、賛成または中立だと接種回数の増えた国が多くなり、反対または不明だと接種回数の増えた国が少なくなるといえる。

ロシア製ワクチン接種国の今週の接種回数増減

中国製ワクチンの接種国では、ミャンマーがロシアのウクライナ侵攻に賛成した。ミャンマーの接種回数は増加している。アフガニスタンやマレーシアなど7国が中立である。このうち5国で接種回数が減った。トルコなど24国地域が反対している。このうち16国で接種回数が減少した。反対しても、チリ、エクアドル、ペルーでは接種回数は増えた。これは欧米系ワクチンの接種回数が増えたためである。中国製ワクチンの接種回数は減っているか、減っていてもそのシェアが小さくなっている。他の接種回数が増えた国も欧米系が増えて中国製が減少している可能性がある。ロシア同様に、中国もロシアのウクライナ侵攻に反対すると、ワクチンの供給を停止したり減らされた可能性がある。

中国製ワクチン接種国の今週のワクチン接種回数

スロバキアとハンガリーでは22年になってから、ロシア製ワクチンの接種が実施されたという報告はない。したがって、この2国に関しては、ロシアのウクライナ侵攻に反対したから報復を受けたわけではなさそうである。逆に、ロシア製ワクチンを接種していないので、ロシアのウクライナ侵攻に反対できた可能性もある。したがって、グアテマラ、ホンジュラス、ケニア、ガボン、ガーナでもすでにロシア製ワクチンの接種をやめている可能性もある。ネパールも22年はロシア製ワクチン接種0であるが反対ではなく中立である。中国あるいはインドの影響であろうか。

A4. プーチン氏の誤算

ロシア製あるいは中国製ワクチン接種国では、ロシアのウクライナ侵攻に反対すると、ワクチンの供給を減らされた可能性がある。今週は増えたとしても、来週以降減少となる可能性もある。現在ロシアあるいは中国からのワクチンに頼っている国では、反対することは難しい。アフリカや中南米では、そういう国が特に多い。中国はインフラ設備建設などをワクチン提供と抱き合わせにしている可能性がある。ロシアも同じことをしている可能性がある。だからこそ、ロシアはアジアとアフリカで多くの国がウクライナ侵攻に賛成すると考えていたと思う。ところが、蓋を開けてみれば賛成したのはわずか8国で、ケニア、ガーナ、ガボンのように反対する国が出てきて相当慌てているのではないか。

世界はロシア通貨との取引を停止したので、ロシア製ワクチンを購入している国では、代金を支払いができなくなるところも出てくるだろう。その国に対してワクチン提供を停止すれば、その国はケニアなどのように反ロシアに回るのは確実である。また、支払いは戦争終結後でも良い、とすれば、資金繰りの怪しいロシアに打撃となる。もちろん、お金の問題はワクチンだkではない。そのため、早くも協議の席を設けたのではないだろうか。

逆にロシアのウクライナ侵攻に反対しない場合、制裁の意味として、欧米系ワクチンの供給が止まることも考えられる。アフリカでは中国製ワクチンまたはロシア製ワクチンと欧米系ワクチンを同時に接種しているところが多く、賛成しても、反対してもワクチン供給が少なくなる。それゆえ、態度を表明しない国が多いのではないか。

B. ピーク時より半減したが、昨年の4.5倍のペースで増えている

22年8週(2/19-25)の世界の陽性件数は1137万7263件で、先週に比べ14.3%減少した。これで4週連続の減少である。22年全体の陽性件数は1億4387万4471件となった。マカオでは8週間ぶりに感染者が出た。

B1. オーストラリアは昨年の48倍、韓国は23倍のペース

下の表は22年8週の陽性件数が多い20の国地域である。

今週はドイツが1位、ロシアが2位となった。ロシアは前週比20%減となったが、ドイツは減少したものの率が小さくなった。また、先週の予想通り、韓国が1週間の陽性件数で3位になった。韓国が今週の陽性件数が90万件強で、日本の1週間の陽性件数の過去最大は70万件ほどで、今週の韓国はそれ以上となった。伸び率がさらに上がったので、このペースでいけば、来週こそはいよいよ世界1位になると思われる。日本は前週比で11%減少の50万8696件で6位となった。アメリカはも減少率を少し落として前週比37%減の50万3172件の7位になった。日本の1週間の陽性件数がアメリカよりも多くなるのは初めてである。インドネシアは8週続いた陽性件数の増加が止まったが、ベトナム、マレーシア、タイでは増加が続いており、かつ、伸び率も上がっている。

44国地域で22年8週の陽性件数が先週より増加した。先週よりも11国地域増えた。チャドは先週の陽性件数が0なので今週の伸び率は無限大であるが、2週前よりは少なく、減少中であるといえる。マカオの8週間ぶりの陽性患者なので伸び率は無限大である。無限大を除いた伸び率最大は今後で 564%増である。しかし、コンゴは陽性件数が上がったり下がったりを繰り返しており、今週は上がる番であった。来週は減少する可能性が高い。なので、実質伸び率最高はニュージーランドの 301%増である。先週1位の香港はニュージランドのすぐ次で、295%増であった。両国とも22年8週は過去最高を記録した。伸び率は大きくなっているので、まだしばらく陽性件数の増加は煤のものと思われる。チャドも含めて10国で伸び率が100%以上となった。

今週1週間の陽性件数で過去最高を記録したのは、韓国、香港、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ニュージーランド、アイスランドの8国である。6国がアジア東からである。

175の国地域で陽性件数が減少した。37国で先週比で50%以上減少した。エルサルバドル、中央アフリカ、ガンビア、ベナン、リベリアで陽性件数が0になった。モンセラート、サモア、フォークランド諸島、マーシャル諸島、バチカンは陽性件数0を3週間以上続けている。また、ミクロネシア、ウォリスフツナは22年の陽性件数が0、西サハラは21~22年の陽性件数が0、北朝鮮など8国で20年からの陽性件数が0である。

下の表は22年全体の陽性件数が多い20の国地域である。

ドイツとイタリア、ロシアとイギリス、日本とオーストラリアで順位が入れ替わった。韓国が先週の24位一気に16位となった。上位20国ではオーストラリアと韓国でのみ陽性件数が増加している。オーストラリアは先週まで5週連続で陽性件数が減少していたが、今週は前週比で16%増となった。オーストラリア以外のオセアニアでは陽性件数が増加しているので、その影響を受けたと思われる。韓国はこれで6週連続の増加で22年の陽性件数も200万件を超えた。昨年の23倍のペースで陽性件数が増加している。

B2. 今の陽性件数は昨年のピーク時よりも多い

陽性件数が大幅に減少しているので錯覚しがちであるが、今年の陽性件数は昨年同期の陽性件数よりもずっと多い。下のグラフは世界の今年の陽性件数(青)と昨年同期の陽性件数(水色)の比較である。

確かに、22年8週の陽性件数はピークの半分以下になったが、昨年同期と比べるて3倍以上となっている。昨年は8週から増加となり、インドを中心とした感染拡大となった。その時のピークでも1週間に570万件ほどの陽性件数しかなかった。感染の勢いは昨年よりもまだまだ強い。

人口100万人あたりの1日平均の陽性件数は感染の勢いを表す指標としても使われる。まだワクチンの接種が始まる前、ニューヨーク州では、人口100万人あたりの1日平均の陽性件数が100件を超える州からニューヨーク州へ入る者に対して、罰則を伴う規制を行った。20年末のアルファ株による欧米を中心とした感染拡大でなし崩し的に終了したが、それまでは一応の効力を発揮した。

下の表は22年8週の人口100万人あたりの1日平均の陽性件数が多い20の国地域である。

世界の22年8週の人口100万人あたりの1日平均の陽性件数は205件である。21年は平均で72件、21年52週を除いた最高で104件だったことを考えるとまだまだ多い。122国地域で100件以上、42国地域で1000件以上となっている。最大はアイスランドの8817件である。日本に換算すると毎日100万件以上の陽性件数が確認されていることになる。

B3. アジア東とオセアニアで感染拡大が続いている

下のグラフは、大陸別の22年1期の陽性件数の推移である。

今週はアジア東とオセアニアで陽性件数が増えた。アジア東の伸び率が少し高くなった。アジア中、アジア西、ヨーロッパ西、アメリカ北、アメリカ南では伸び率が小さくなった。

アジア東で22年の陽性件数が最も多い日本は今週も減少したが、2位の韓国、3位のベトナムは陽性件数が増えた韓国は5週連続の最高記録を更新し、ベトナムは過去最多となった。両国とも伸び率が大きくなっているので、まだまだ増加は続くと思われる。マレーシア、シンガポール、香港でも過去最高を更新している。こちらの方は伸び率が下がっているので3月半ばまでには減少になっているよ予想される。オリンピックの終わった中国で陽性件数の拡大が著しい。

オーストラリアで前週比16%の増加があったので、オセアニア全体としては増加となっている。ニュージーランド、パプアニューギニアで増加が続いている。ソロモン諸島やキリナスなどではどうやらピークを超えたようである。

アジア中ではミャンマーで増加が続いている。スリランカは今週微増。先週急増したブータンは今週微減となった。アジア西では全面的に減少している。減少率も大きくなってきている。

ヨーロッパ東では、先週の予想通りベラルーシは5週連続で、ロシア6週連続で陽性件数の増加が止まった。これでヨーロッパ東は全面的に減少となった。戦争中のロシアとウクライナでも心配された陽性件数の増加は起きなかった。

ヨーロッパ西ではアイルランド、アイスランド、ルクセンブルグ、マン島で増加した以外は全て減少となった。ルクセンブルグ、マン島は減少中の急増で、ここ最近よく見られる現象である。来週は元の減少ペースとなるだろう。しかし、アイルランドとアイスランドは拡大傾向である。また。現象はしているものの伸び率は小さくなってきている。

アフリカでは、減少中のさなか急増したセーシェル、ギニアビサウ、赤道ギニア、ブルキナファソで予想通り、いつもの減少ペースに戻ったが、ジンバブエは、陽性件数の増加が続いた。今週は、ルワンダ、レソト、コンゴ民主、スーダン、南スーダン、ジブチ、チャド、ガーナ、ギニア、コンゴ、サントメプリンシペで、急増が発生した。全体的には減少している。

アメリカ北ではニカラグアで増加が続いている。また、グリーンランドで陽性件数が増えたが、それ以外は減少となった。減少率は少し小さくなった。アメリカ南は全面的に減少中となった。こちらは減少率が上がっている。カリブ海では、トリニダードトバゴが今週は上げる番であったので、増加となった。またバミューダとセントビンセントグレナディーンでも微増した。

C. 死者数は昨年のペースくらいになりつつある


22年8週は6万4251が亡くなった。前週比で11%の減少である。2週連続の減少となった。22年の死者数は50万358人となった。これは昨年のペースよりも1割ほど低い。オミクロン株により死者は少ないと言われていたが、いつの間にか21年のペースに近くなってきた。

C1. 死者数は減少ペースが小さい

下の表は22年8週の死者数が多い20の国地域である。

先週はロシアが1位になる可能性を予想したが、ロシアの死者数の伸びがそれほど大きくならず、ブラジルは抜いたものの、アメリカには及ばず2位にとどまった。アメリカの死者数はロシアの2倍以上で、文字通り桁違いに多い。実は昨年の1.7倍のペースで死者が出ている。それでも減少しているし、減少率も大きくなっている。

日本は前週比で21.5%増の1557人で9位になった。先週に引き続き死者数の記録を更新した。日本は7週連続の増加である。ロシア、日本の他に、イラン、インドネシア、ドイツ、チリで死者数が増えている。ドイツ以外は伸び率が下がっているのだが、陽性件数ほど下がらない。これらの国では、死者数減少のペースが鈍くなっている。

スペインは13週続いた死者数の増加が止まった。トルコも6週間続いた死者数の増加が止まった。また、南アフリカでは4週間ぶりに死者数の増加が止まった。一方、ベトナムは9週連続して死者数が減少していたが途絶えた。

世界では50国地域で死者数が増加した。先週より26国少なくなった。ニュージーランドなど8国地域は先週の死者数が0だったので伸び率が無限大である。先々週死者数が急増し、先週0になったたコンゴ民主の今週の死者数は19人とまた増えた。2~3週間に一度数十人が亡くなるのか、2~3週間に一度まとめて死者数を発表しているのかは定かではない。

伸び率無限大を除いて最も伸び率が高かったのはアルーバの550%増である。数で言えば13人と少なく感じるが、アルーバで10人以上の死者があったのは昨年カリブ海感染爆発以来、23週間ぶりである。先週は1400%増だった香港は今週は469%増で先週の42人から239人と大幅増であった。今週の死者数は過去最高となった。香港では陽性件数も増えているので。さらに死者数が増える可能性が高い。伸び率100%以上はアルーバと香港を含めて10国地域ある。

死者数が減少した国地域は先週より18国増えて130国となったあった。アンゴラやナイジェリアなど17国で死者数が0になった。パラグアイやエクアドルなど25国地域で死者数が先週の半分以下となった。

ニカラグアなど14国は先週と同じ死者数であった。ニカラグアはこれで10週連続で死者数が1人である。

ブルキナファソやレソトなど17国地域で死者数0が2週間以上続いている。また、ブルンジなど7国地域で22年の死者数0が続いている。西サハラでは21~22年の死者数が0である。また、北朝鮮など16国地域で20年からの死者数が0である。

下の表は22年全体の死者数の多い20国地域である。

こちらもアメリカの死者数が桁違いに多い。22年に新型コロナで亡くなった方々の4人に1人はアメリカで亡くなっている。実は、ヨーロッパ西28国地域を全て合わせてもアメリカの方が死者数が多い。

C2. アジア東で死者数が急増中

下のグラフは、大陸別の22年1期の死者数の変遷である。

アジア東で死者数が増加し、伸び率の大きくなった。アジア西でも死者数は増えたが、伸び率は小さくなった。

アジア東で死者数の最も多いベトナムと2番目に多いフィリピンでは死者数の減少が止まった。日本とインドネシアは死者数が増加中だが伸び率は減っている。日本の死者数は3週連続で過去最高を更新した。日本は今週中に、インドネシアも3月初旬には死者数が減少すると予想される。マレーシア、タイ、韓国、シンガポールでは死者数が増加し伸び率も増えている。香港は死者数がさらに急増した。陽性件数の増えているこれらの国では死者数がさらに増えると思われる。

アジア中ではアフガニスタンでとミャンマーで死者数が増えた。ミャンマーは伸び率も増加傾向。アジア西でイランではまだまだ増加が続いているが、伸び率は小さくなってきている。

ヨーロッパ東ではロシアで死者数の増加が続いている。ポーランド、ウクライナ、ハンガリーなど先週まで~6週間増加が続いていたところで一斉に減少となった。ヨーロッパ西ではドイツとデンマークでで増加が続いている。スイスとノルウェーでも今週は増加になった。

アフリカでは南アフリカで死者数の連続増加が止まった。陽性件数の増減からすると来週以降は死者数も減少が続くと考えられる。アフリカではスーダンやエチオピアなど数カ国で死者数が増えたが、数はあまり多くない。

アメリカ北ではグアテマラ、ホンジュラスのロシア製ワクチン接種国で死者数が急増したが、それ以外では順調に減少を続けている。

ヨーロッパ西ではドイツ、スペイン、ポルトガル、スウェーデン、デンマーク、オーストリア、オランダ、アイルランドで死者数の実質増加が続いている。デンマークとオランダは伸び率が大きくなっているが、そのほかは伸び率も小さくなっている。陽性件数が基本減少しているので、近いうちに死者数も減ると予想される。

C3. 致死率はさらに上昇

22年の致死率は先週から 0.02ポイント上昇して0.35%となった。ということは、死者数が減っていないということを意味している。20年からの累計では1.37%である。下の表は22年の致死率上位20国地域である

22年の致死率が最も高いのはイエメンで9%である。イエメンは累計の致死率も18%で、ダントツの世界1位である。南アフリカは致死率は3.55%とまた上昇した。致死率上位のところはアフリカが多い。以前はヨーロッパ東も多かったが、ここ1ヶ月の間に、アフリカで致死率が増えた。

D. 日本の空港検疫の陽性件数が増加


日本の22年8週の陽性件数は50万8696件で、2週間連続で前週を下回った。22年全体の陽性件数は301万7171件となった。同週の死者数は1557人で先週に引き続き過去最高を更新した。死者数は7週連続で増加となったが、今週の伸び率は22%とまた小さくなった。22年全体の死者数は4362人。致死率は0.14%とさらに大きくなった。次のグラフは日本の感染図である。陽性件数はピーク時から2割以上減少したが、昨年同期の10倍以上の陽性件数がある。なので、まだまだ注意が必要だ。

悪いニュースがひとつあって、空港検疫での陽性件数は394件で先週に比べ11%の増加となった。世界的に感染が縮小しているので、空港検疫でも減るはずなのだが、逆に増えてしまった。おそらく、世界各国の規制緩和を受けて、感染しているPCR検査陰性者でワクチン完了した者が往来を始めたと考えられる。日本では、空港検疫が簡略化されたので、見た目症状もない彼らは、ほぼ素通りで日本に入国できる。もちろん、すり抜けの数も増えるであろう。いくつかの都府県では蔓延防止が実施中ではあるが、陽性件数が増加に転じる可能性も考えられる。

E. 戦争でワクチン接種減少


22年7週は世界全体で 約1億8761万回ワクチンが接種された。前週比で18%減った。22年の接種回数は15億2005万回弱となった。

インドネシアでは、総接種回数の項目が消去された。いくつかの国で接種回数の修正があった。2月18日からイランでで3つの新ししいワクチンの接種が開始された。Fakhravac、Razi Cov Pars、SupicoGenで、全てイラン製である。

次の表は22年8週のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。

上位の顔ぶれはほぼ先週と同じであるが、エチオピアが接種回数を先週の9倍、ベトナムが先週の3.7倍に増やして、上位20国に登場した。ナイジェリア、ベトナム、イラン、タイ、エジプトで接種回数が増えているが、エチオピア以外はロシアのウクライナ侵攻に反対していない国である。

先週接種回数が0だった国地域のうち、ナイジェリアなど25国地域で今週は接種が実施された。一方、アフリカを中心に18国で今週の接種回数が0になった。、31国地域で接種が2週間以上止まっている。トルクメニスタン等11国で22年の接種回数が0、北朝鮮など14国地域で今までに接種を一回も実施していない。

69国地域で接種回数が増えた。25国で伸び率無限大である。無限大を除く伸び率最高はクック諸島の869%増である。先週3万6000%増だった、エチオピアは今週も800%以上接種回数を増やした。接種回数が減少したところは、イギリスやアメリカなど110国地域になった。

次の表は22年のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。

世界の完了率は55.2%となった。次の表は22年の完了率の高い20国の接種状況である。

22年8週は3900万回ほどのブースターが行われた。先週に引き続き、前週の半分以下の回数となった。22年のブースター回数は6億237万回となり、総接種回数のうちのブースターの占める割合は39.6%になった。2月19日からネパールでブースターが始まった。三回以上接種した者の割合である過完了率は16.4%となった。次の表は22年の過完了率の高い20国の接種状況である。

人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の3月1日22時時点で得られた最新の値を利用している。3月1日以降に修正あるいは追加されたデータは含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。3月1日以前に修正あるいは追加されたデータは過去の号の統計にも反映させている。今号の統計とは異なるものもある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。

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