新型コロナクォータリーリポート 10/22 版
初めに
第4四半期に入って3週間が経った。3期の後半からあらっと思われていたデータがあららっとなった。
A. 陽性件数も死者数も増加
A1. ヨーロッパ東とオセアニアで陽性件数増加
世界全体では21年42週(10/16-22)の間に、新たに80,887件の陽性患者が出た。これで、21年7月3日以降の陽性件数は5979万9619件、21年全体では1億5916万6191件、20年からの累計では2億4371万5376件となった。42週の陽性件数は、41週(10/9-15)よりも2.8%増加した。32週目(8/7-13)から9週連続で続いてきた陽性件数減少が途切れてしまった。下の地図は陽性件数が増えている国地域と減っている国地域を表している。
10週以上連続で減少あるいは途中1、2週程度の微量な増加はあるが基本的に減少しているところが水色、3週以上なら青、減少していたが底に達したところは緑、逆に、10週以上連続で増加あるいは途中1、2週程度の微量な減少はあるが基本的に増加しているところが茶色、3週以上なら赤、増加していたがピークに達したところは橙色、減ったり増えたりしているところは黄色、陽性件数が10件未満で推移しているところを白で表している。
マダガスカルはここ4週間陽性確認の報告がない。ここを含めて27の国と地域で陽性件数がこの3週間ほぼ0であるが、多くは人口の少ない島国である。また、南北アメリカ、アフリカ南、アジアを中心に108の国と地域が長期減少中あるいは減少中である。一方、ヨーロッパのやや北側、アイルランドからロシアにかけての全域と地中海の東側を中心に22の国地域が長期増加中、37の国地域で増加中である。後述するヨーロッパ東では最新の下半期陽性件数トップ50にランクインするくらい増加率が高い。アフリカ中央部、アメリカ南、アジア、オセアニア、この地図ではわかりづらいがカリブ海でも増加中の国地域が見られる。
増加のピークに達した国地域も13あるが、フランス、ポルトガル、アフガニスタンなど18の国地域では長く続いていた減少傾向が底を打ったと考えられる。また、減少中の108の国地域のうち、30で今週は増加に転じた。長く続く減少の最中に多少増加することはよく見られることなので、今回は減少に分類しているが、アルバニア、アイルランド、イタリア、ノルウェー、アルゼンチン、ドミニカ共和国、ペルーなど、ヨーロッパと南米では増加率が高く、結果的に世界全体では陽性件数が若干増加した。9月に入ってから減少率が小さくなっているので。来週も陽性件数は増加する可能性が高い。
A2. 死者数はヨーロッパ東とアメリカ南が際立ってた多い
42週は4万8955人の死者があった。これで、21年7月3日以降の死者数は95万6734人、21年全体では300万7691人と300万人を超えた。20年からの累計では495万3067人となった。このペースでいけば、10月中にも累計死者数が500万人を超えるであろう。
42週の死者数は41週から3.4%の増加である。ヨーロッパ東では早いところで8月から死者数が増加し始め、今なお増加が続いているところが多い。また、死者数減少が続いていたヨーロッパ西でも10月に入って減少が底となったケースが増えている。南米でも死者数が増加傾向にある。
42週までの致死率は21年7月3日以降だけで見れば1.6%である。21年7月2日以前の致死率からは0.3ポイント下がった。しかし、41週までの致死率からは0.004ポイント上昇した。また。9月以降致死率は僅かではあるが上昇を続けている。
A3. ワクチンは接種回数が増えたら、陽性件数も増えた
42週は1億7712万1308回のワクチン接種が行われた。これで、21年7月3日以降のワクチン接種回数は36億5334万9001回となった。累計では68億1691万2310回となった。41週の接種回数は40週よりも1.2%増加した。接種率は先週より1.3ポイント上昇し48.30%に、完了率は1.0ポイント上昇して36.9%となった。ブースター実施国も32国に増えた。下のグラフは世界の7月2日以降のワクチン接種回数(赤)と陽性件数(青)の週ごとのグラフである。
ワクチンの接種回数減ると陽性件数が減るという傾向が出ている。ここ2週間接種回数が増えているが、後追いするかのように陽性件数も増えた。
A4. ブルンジで接種開始
10月19日からブルンジでワクチン接種が始まった。使用ワクチンはシノファームである。ブルンジはアフリカの東側に位置する内陸国で北を上とした地図では逆三角形の形をしている。北をルワンダ、西南をコンゴ民主、東南をタンザニアと接する。通常は東アフリカに分類されるが、赤道に南にあるのでここではアフリカ南に分類する。子供の頃ブルンジの首都はブジュンブラと習ったが、2019年に東隣のギデガに遷都した。面積は2万7800㎢で、三重県を含まない近畿地方とほぼ同じくらいである。人口は1235万人余りで、おなじく、三重県を含まない近畿地方から大阪府を除いたくらいである。
ブルンジの21年7月3日以降の陽性件数は14,373件で、世界133位である。21年は20,145件、20年は僅かに157件なので、21年、特に3期に大幅な陽性数増加があった。しかし現在は4週連続で陽性件数減少中である。最新の人口100万人あたりの1日平均の陽性件数は4.1件とかなり低い。21年7月3日以降の死者数は30人で、世界172位である。21年は36人、20年は僅かに2人なので、陽性件数同様、21年3期に大幅な陽性数増加があった。しかし、ここ11週間死者数0である。ワクチンは接ししていなかったが、最も新型コロナ対策に成功した国の一つである。従って、中国が常々狙っている、陽性件数が少ない国でワクチン展開を行うには打って付けの状況となっている。
国民一人当たりのGDPは国連調べで260ドルで、日本円に換算すると約3万円で、hanakoママ調べによるお年玉にかける平均金額と大差ない(https://hanakomama.jp/lifestyle/105782/)。つまり、世界最貧国である。主要産業は農業らしい。らしいというのは、輸出できるものが農産物、それもコーヒーと茶しかなく、食料援助を受けているからである。中国の習主席はブルンジの貧困脱却を支援すると述べている(https://www.sankei.com/article/20210330-FIYT3ASCJRIOLG7HYCWG3UYR5I/)ことから、何らかの経済政策と抱き合わせでワクチンを提供していると思われる。
これでワクチンを接種していない国地域は14になった。しかし、2週間以上ワクチンを接種していない国地域が22ある。また、しばしばワクチン接種が止まる国地域も21ある。このうちアフリカが16国と一番多い、ついで、オセアニアが10となっている。
A5. トルクメニスタンで接種再開
長らく接種をしてなかった、トルクメニスタンでは接種が再開された。21年3期までは僅かに0.5%だった接種率が、一気に72.5%になった。Github ではの記録上は8月29日に750万回以上に接種したことになっているが、更新されたのは41週(10/9-15)である。さらに42週に新たな日付でこの週では、インド、インドネシア、イラン、中国、ベトナム、ブラジルについで第7位の接種回数である。同じ週の日本は600万回以上接種したがそれよりも多い。人口100万人あたりの1日平均では17万8340人とダントツの1位(2位はトケラウの10万人、3位はイランの2万人)である。
トルクメニスタンは中央アジアの西に位置する。西はカスピ海に面している。南はイランとアフガニスタン、北東でウズベキスタン、北西でカザフスタンと接している。面積は48万㎢で日本より25%ほど大きく、日本と韓国を合わせたくらいの大きさである。人口は600万人強である。旧ソ連の構成国である。
トルクメニスタンは陽性件数の確認報告は0である。イランは21年7月3日以降の陽性件数が世界第5位、アフガニスタンが同110位、ウズベキスタンが同72位、カザフスタンが同24位とたいそうな国に囲まれているにも関わらずである。日本橋夢屋は、「新型コロナウイルスと見られる感染章の発生や感染拡大を示す複数の情報を確認している」としている(https://www.tokutenryoko.com/news/passage/14608)が、jp.trip.com によれば、全ての陸路国境を封鎖し、国境を封鎖し国際機関のスタッフや、国際貨物ドライバーや鉄道線派の乗組員などはが診断書、陰性証明書、ワクチン接種証明書を持っている場合においてのみ入国が許される、とあるので、感染がないというのは嘘ではないと考えられる。
トルクメニスタンの一人当たりのGDPは約8000ドルで、世界平均からは30%ほど低いが、アジア中ではカザフスタンについで2番目に高い。これは豊富な天然ガスの輸出によるものである。以前は当然ロシアに輸出をしていたが、最近は中国との取引が多い。またインドへの輸出を計画している。
トルクメニスタンでは21年14週(4/3-9)に一度アストラゼネカとロシア製のエピバックを接種したが、以降は10月に入るまで接種状況の更新はなかった。更新後は、最初の接種は2月28日に、ワクチンの種類も、アストラゼネカ、エピバック、シノファーム、スプートニクを最初から接種していたように変更されている。従って、41週に一気に700万人以上に接種をしたのではなく、毎週少しづつ接種を続け今回一気に更新したと考えられる。
トルクメニスタン以外にも、サモア、セーシェル、スーダンで2、3週間接種をしていなかったが再開された。
B. トップ50の現状と傾向
B1. 陽性件数はイギリスが2位に
下の表は21年7月3日から10月22日の陽性件数の上位50カ国である。国名の横の数字は順位である。先週(7月3日から10月15日まで)と比べて順位の上昇したところには↑、下降したところには↓をつけた。
1位はアメリカで、2位イギリスの約2.5倍の1177万9453件の陽性件数がりダントツの1位である。42週の陽性件数は52万6801件でこれまた1位である。しかし、41週より12.6%陽性件数を減らしており、これで5週連続の減少となった。50万人台に下がったのは30週(7/24-30)以来である。
5週連続で陽性件数上昇中のイギリスが、383万5582件となり、7週連続減少中のインドを僅かにかわして2位になった。イギリスの42週の陽性件数は32万8298件と41週よりも17%増え、こちらもアメリカに次いで2位である。30万人台になったのは2週(1/9-15)以来である。実はイギリスでは2020年9月末から陽性件数の急上昇が始まった。11月末に一旦減少するが12月に再度上昇した。いわゆるイギリス由来のアルファ株による第2波である。
3位は順位を一つ落としたインドで367万7583件の陽性が確認された。インドの42週の陽性件数は10万6085件で、10.7%減少した。これは8週(2/20-26)以来の少なさである。
アメリカ、イギリスに次ぐ、42週の陽性件数3位はロシアで24万3129件である。41週より17%増加した。6週連続で増加が続いている。その結果、21年7月3日からの陽性件数は260万6945件となり、第6位となった。5位イランとの差は少なく、イランは10週連続で減少しているので、来週には順位が入れ替わるなる可能性が高い。
順位では下位であるが、ヨーロッパ東の国々のランクアップが激しい。例えば、ウクライナは39週(9/25-10/1)に38位であったが、42週は25位になった。同様に、ルーマニア(41位→28位)、セルビア+コソボ(36位→31位)、ジョージア(34位→33位)、アゼルバイジャン(46位→45位)、ベラルーシ(49位→47位)とトップ50は全て順位が上昇した。今週はトップ50には入らなかったが、ブルガリア、ポーランド、クロアチア、モルドヴァ、アルメニア、リトアニア、ラトビアなどでも大きくランクが上がった。いくつかは来週はトップ50にランクインする可能性がある。また、ドイツ、ギリシャ、オーストリアなどヨーロッパ東と接する国でも順位が上がっている。
21年2期に多くがランクインしたアメリカ南は、今ではブラジル、アルゼンチン、コロンビアのみとなった。しかし、A章で述べたように、再び陽性件数が増加する傾向にあるので、来週はチリ、ペルー、ベネズエラなどがランクインする可能性がある。
アジア中はインドも含めランクインした7国全てで、39週より順位を下げている。アジア東はランクインした7国の中では韓国以外は順位が変わらない。アジアは全体的に陽性件数が減少しているので、アジア順位を下げる可能性がある。アジアの中で唯一順位を上げているのがシンガポールである。42週は61位であるが、39週は91位だった。42週は41週から12%上昇し、9週連続上昇中である。新型コロナは、狭くて人の多いところでは、爆発的に増加するので、来週はランクインする可能性がある。
B2. 増加率の大きなところは21年前半は感染がほとんどなかった
下のグラフは21年7月3日から10月22日の陽性件数の増加率上位50カ国である。国名の横の数字は順位である。先週(7月3日から10月15日まで)と比べて順位の上昇したところには↑、加工したところには↓をつけた。
世界全体では伸び率は39.8%の減少である。しかし、下半期はまだ16週しかたっていないので、もし上半期と同じペースで陽性件数が増加しているならば38.5%減少になるので、減少のペースは高くなっている。
増加率1位のタンザニアは上半期の陽性件数が0なので増加率は無限大である。タンザニアでは20年18週から21年28週まで、累計陽性件数を509件、累計死者数を21人と発表していた。この間の新規陽性件数、死者数共に0であった。21年29週(7/17-23)にほぼ1年ぶりに陽性件数が0でなくなった。ところが、10月1日に大規模な修正を行い、20年18週から21年28週まで累計陽性件数を全て9561件、累計死者数を全て300人と訂正した。従って、この間の新規陽性件数、死者数共に0のままで変わりない。グラフを見ると昨年の4月中頃と今年の7月末に大きなジャンプが見られ、この間のグラフは水平(新規で増えていない)状態である。しかし実際のところは、この間も少しずつ、新規陽性件数、死者数があったが、なんらかの理由で発表しなかったと考えるのが普通である。従って、真の増加率はもっと低い可能性がある。
従って、増加率2位のグレナダが実質増加率1位ということになる。増加率は約1万6470%となる。
グレナダはカリブ海に東、大西洋との境目に位置する島で、イギリス連邦加盟国である。面積は344㎢で、長崎県五島列島の福江島と同じくらいの広さでる。人口は約11万3000人である。国民一人当たりのGDPは10,818ドルで、世界平均(18000ドル)より低い。経済は農業と観光である。スパイスの生産が多く、国旗にナツメグが描かれているくらいである。Wikipediaによれば、消費税率27.5%で世界で一番高いらしい。観光に力を入れているので、コロナ禍での観光業衰退はグレナダ経済に大きな打撃を与え、2021年GDPは15%ほどの減少が見込まれている。
グレナダの42週の陽性件数は91件で41週からは39%の減少である。これで5週連続で減少中である。グレナダの21年7月3日以降の陽性件数は5634人であった。上半期が54人なので増加率が極端に高くなった。累計では5795件となっている。2021年に確認された陽性件数のうち99.4%が7月3日以降のものである。グレナダでは34週(8/21-27)から感染の波が始まった。平均増加率263%の大波が6週間続いた。ピークは37週目であった。波の発生する前の1日平均の陽性件数は0.1件であったが、ピーク時には189.6件となった。
同じく7月3日以降の死者数は193人で、上半期はわずか1人なので、4ヶ月で192人増えたので、1万9200%の急増である。累計では194人である。波の始まる前の致死率は0.5%であったが、現在は3.4%に上昇した。死者数は5週連続減少中で、42週では1日平均0.4人になった。
グレナダは21年の2月11日からワクチン接種を開始した。当初はアストラゼネカを接種していたが、波のピークがおさまった9月3日からファイザーを追加した。グレナダの21年7月3日以降のワクチン接種回数は33,868回である。42週の接種回数は3267件で41週よりも5%増となった。ファイザーを追加する前は1日平均200回接種をしていたが、追加後は450回と倍増している。しかし42週の接種率は32.5%、完了率は25.3%で世界平均より少ない。
グレナダでは7月19日付で入国規制措置を更新した。単純に言えば、7月31日以降は渡航前72時間以内にうけたPCR検査が陰性で、ワクチンを完全接種した者は、到着後のPCR検査で陰性かつ健康そうに見えれば、国内を自由に行動できる。ワクチンを接種していない場合には、到着後の検査が陰性であっても、最大7日間隔離される。ただし、これはグレナダ国民や居住者等に限られる。この更新が実施されてから、感染の波が発生したということは、ワクチンを接種した人が、ウイルスを持ち込んだと言っても良いであろう。もともと感染者がほぼ0だったので、地元民から感染が広まったとは考えにくい。また、ワクチンを接種していなければ、隔離されている1週間の間に、ウイルスの感染力がかなり減少するので、彼らから感染が拡大する可能性も少ない。
増加率トップ50にランクしている国地域はいずれも21年上半期及び21年はほとんど感染が起きていなかったところばかりである。人口100万人あたりの1日平均の陽性件数も20件以下のところばかりである。カリブ海から12の国と地域がリストされている。後述するがカリブ海の国地域の主要産業は観光である。グレナダのようにワクチン接種が進んだところで入国を認めるようになった途端に、最初の感染の波が発生したところが多い。また、他の地域でも観光を産業の柱とする国地域が多くリストされている。
B3. 死者数はヨーロッパ東で大幅に増加中。
下のグラフは21年7月3日から10月22日の死者数の上位50カ国である。国名の横の数字は同時期の統制件数の順位である。先週(7月3日から10月15日まで)と比べて順位の上昇したところには↑、下降したところには↓をつけた。
1位はアメリカで、1ヶ月ほど前にインドネシアからトップを奪ってからは独走中である。42週の死者数は11,841人で唯一1万人台で、やはり1位である。42週は少し増やしたが、39週から3週連続で減少中である。陽性件数も減少中なので、来週はまた減少ペースに戻ると思われる。
5週連続で死者数上昇中のロシアが、9万1888人となり、12週連続減少中のインドネシア、ここ1ヶ月減少ペースが鈍っているが12週連続で減少していたブラジルを僅かにかわして2位になった。ロシアの42週の死者数は7140人と41週よりも4.6%増え、こちらもアメリカに次いで2位である。7000人台になったのは統計を取り始めて以来初めてである。致死率も3.5%隣、前期より0.1ポイント上昇した。
3位は順位を一つ落としたインドネシアで8万3619人の死者があった。インドネシアの42週の死者数は264人で41週からは20%減少した。これは20年23週(6/4-10)以来の少なさである。
アメリカ、イギリスに次ぐ、42週の死者数3位はウクライナで2,866人、4位がルーマニアの2,731人である。アジア東、アジア中、ヨーロッパ東、アメリカ南で死者数が多くなっている。しかし、アジアは死者数が減少中であるのに対し、ヨーロッパ東は増加中、アメリカ南は減少が止まったところが多い。
B4. アジア、オセアニア、カリブ海で死者数の伸びが大きい
下のグラフは21年7月3日から10月22日の死者数の増加率上位50カ国である。
世界全体では伸び率は53.3%の減少である。減少のペースは上半期を上回っている。しかし今週は死者数が増加した。
増加率トップは無限大、つまり、上半期は死者が0であったところで、タンザニア(424、0.1)、ニューカレドニア(252、8.9)、ブルネイ(76、1.8)、英領バージン諸島(36、12.0)、タジキスタン(34、0.0)、ドミニカ(30、4.2)、サンバルテルミー(5、5.1)、アンギラ(1、0.7)の8の国地域がある。( )の数字はそれぞれ死者数と人口100万人あたりの死者数である。
無限大を除いて死者数増加率のトップ3はオーストラリア、ベトナム、グレナダになる。グレナダは陽性件数の増加率でも無限大を除いて1位であった。オーストラリアは上半期の死者数が僅かに1人であったが、7月3日以降は701人になる。死者数はまだまだ増加傾向なので、このままのペースでいけば、21年末には1200人ほどになると予想される。ベトナムは上半期に49人の死者が出したたが、7月3日以降は21,459人と大幅に増加させた。死者数だけなら世界10位になる。死者数は現在減少傾向ではあるが、21年末には25,000人ほどになると予想される。
リストでは、オセアニア、アジア東、カリブ海の国地域が多くリストされている。
B5. アフリカの致死率が高い
下のグラフは21年7月3日から10月22日の致死率の上位50カ国である。
1位のイエメンは少し致死率を伸ばした。台湾は致死率を下げ、3位に下がった。代わりに2位になったのはリベリアである。
リベリアは西アフリカに位置する。西は大西洋、東はコートジボワール、北はギニアとシエラレオネと接する。アフリカではエチオピアに次いで古い国である。アメリカで解放された黒人奴隷たちが建国した。その成果、国旗はアメリカの星条旗と似ている。面積は約11万㎢で、秋田県くらいの大きさでる。人口は500万人強である。
リベリアの一人当たりのGDPは523ドルで最貧国の一つである。主な産業は便宜置籍船である。これは、船主が自国で船を登録するには税金や手数料が高いなどという理由で、税金や手数料の安いリベリアに登録することで、収入を得ている。リベリアの他パナマが有名である。言ってみれば他にめぼしい産業はないといえる。
リベリアの21年7月3日以降の陽性件数は1291人で187位である。21年は4032件、累計でも5811人である。21年26週(6/26-7/2)と37週(9/11-17)をピークとする波が二回発生したが、それ以外ではあまり陽性件数は少ない。現在は陽性件数の減少がちょっと止まったような感じであるが、1日平均で1件である。死者数は154人で138位である。致死率の高さが示すように陽性件数に比べると多い。
リベリアは5月1日からアストラゼネカの接種を始めた。しかし6月28日以降は接種が行われなくなった。再開したのは10月6日である。21年7月3日以降の接種回数は26万7627回で、上半期からは225%の伸びである。接種率は5%、完了率は4.7%である。
致死率は南米が高かったが、ここのところはアフリカ勢が伸びてきている。アフリカは一般にワクチン接種率が低いが、南米は高いところが多いので、致死率が高くなる原因は、ワクチン接種をあまりしていないからではなく、医療事情が悪かったり、特にアフリカでは今年になって感染が急に増えたところも多いので、新型コロナに慣れていないことが原因であると思われる。
C. 日本の陽性件数は入国者の陽性件数とリンクする
日本は、91万4347件で15位である。42週は2800件で、トップ50の中では4番目に少ない。41週に比べ38%減少した。ピークの34週(8/20-27)からは98%の減少である。平均の減少率は40%になる。少し前に私が予想したよりも大きく減少している。
C2. 統計捜査疑惑
韓国の反日たちは、この急速減少について、検査数を減らしたからだとか、統計操作だとか主張している(http://blog.livedoor.jp/kaikaihanno/archives/58620234.html)。しかし、検査数は陽性件数の必要条件であって十分条件ではないので、検査数を減らしたから陽性件数が減ったというのは論理的誤謬である。無差別に検査するのではなく、必要だと思われる人に対してのみ検査を行うのであるから効率的である。医療関係者もどういう症状が新型コロナによるものかわかってきているので、これからは大規模検査は不要である。
統計操作は韓国がそれをしている可能性があるので、日本もしているに違いないと疑っているのであろう。韓国の新型コロナのサイトには、陽性件数、死者数、検査数の他に「検査中」という項目があった。今でもあるかもしれない。英語版では「In Progress」である。この項目は他の国のサイトでは見られない。なぜなら、その日のうちに検査が終わらなければ、翌日分として発表すれば済むからである。例えば、100件の検査をして、90人分の結果が判明し、10人が陽性だったら、韓国以外では「検査数:100、陽性件数:10」で済ます。わざわざ「検査中:10」査中とは書かない。
では「検査中」とは何か。通常、新型コロナの検査は下の模式図のようなプロセスを踏む。
検査の結果陰性ならそこで終わり、陽性なら次のステップが待っている。ということは、この「検査中」の人々は、次のステップを待っている、つまり、一回目の検査で陽性となったために二回目の検査結果を待っている人たちであると考えられる。もしそうなら、韓国での検査は次の模式図のようにように行われ、二回連続して陽性になって初めて陽性とカウントされるということになる。
1回目で陽性だったが2回目は陰性ならば陽性とはカウントされない。もちろん日本を含め他の世界の全ての国地域では、一回でも陽性になれば、陽性としてカウントされる。従って、韓国の真の陽性件数は発表されている数よりも多いということになる。
なぜこのようなことをするのかといえば、K-防疫と称する韓国の新型コロナ対策がうまくいっていることにしたいからであるとしか考えられない。旭日旗問題、慰安婦問題、募集工問題でも明らかなように、韓国政府やメディアが平気で嘘をつくので、ありえない話ではない。
しかし、検査中の者はどこかで隔離されているとしたら、そこからは感染が広まらないので、使いようによっては、良いシステムである。
C2. 入国規制緩和を実施しないことが感染縮小に繋がった
日本の陽性件数がここまで劇的に減った理由は、日経の「外国人、来日足止め37万人 入国制限緩和の遅れ際立つ」という見出しの記事(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE13B250T11C21A0000000/)に書かれている通り、日本への入国条件を厳しくしたからである。日本の感染の波は帰国者を含む日本への入国者が関係している。下のグラフは日本への入国者の中で空港検疫で陽性となった者の数の変遷である。
空港検査での陽性件数が極大となる月が20年3月、7月、12月、21年4月、7月と5回あるが、それぞれ、日本での第1波から第5波が発生した時期と同じである。空港検査での陽性件数が増えると感染の波が発生し、陽性検査が減ると波が収束する。単純に、空港検査で陽性となる者も増える時は、入国者数が増えているので、感染の波が始まる時は、入国者が増える時、と言い換えることもできる。これはグレナダなどと同じ構図である。
ここで勘違いしてはいけないことは、入国者が増えることは、感染の波が始まることの必要条件なので、入国者が増えることは感染の波が始まることにはならない。入国者が増えても、水際対策がしっかりなされていれば、感染は抑えられる。トルクメニスタンの例や、日経の記事はこのことを証明している。グレナダの失敗はワクチン接種者は入国後の検査で陰性なら、隔離することなしに自由に行動しても良いという点にあったことは明白である。しばらく前に取り上げたセーシェルでも同じようなことをやって、感染拡大している。
なぜそうなるのかといえば、PCR検査で陰性と判定する仕組みにある。PCR検査では体内にある新型コロウイルスがある一定の量があれば陽性、そうでなければ陰性と判定される。従って、陰性と診断されたからといって、ウイルスを持っていないというわけではない。実際、新型コロナは、感染してから1、2日の間はウイルス数が少ないので、PCR検査で陽性にはならない。感染後2、3日経ってウイルスが十分に増幅されて初めて陽性になる。通常感染後5日してから発症するるので、感染後3〜5日では症状のあるものはまだ少なく、いわゆる、無症状の感染者の状態である。研究では、感染後3〜5日と発症後7日間が一番ウイルスを人にうつしやすいという。それゆえに陽性になれば10〜14日間隔離する。陰性と診断されても、感染している可能性があるので、陽性患者と同様の隔離が必要である。
しかし、発症したり、発症しなくても陽性であれば、隔離されるので他人に感染しない。従って、人にうつすのは陰性の方である。陰性と診断された場合、ウイルスを持っていないのではなく、ウイルスを持っているがまだ数が少ないというケースがある。通常の感染症では、ワクチンを接種したすれば、体内でウイルスの増幅がほぼ完全に抑えられるので、発症しないし、陽性にならない。新型コロナの場合、増幅の抑え方が弱と考えられている。ウイルスは発症するほどではないが、陽性になる程度には増幅すると考えられる。しかしまだ、無症状である。入国時の検査で陰性で見たところ無症状だからといって、国内を自由に行動させれば、まさにウイルスをばら撒いているのと同じである。 グレナダやセーシェルはまさにここに引っかかって、感染拡大となった。WHOがウイルスは無症状の感染者から広まる、と言っているのはこのことであるが、正確ではない。陰性の感染者から広まると言った方が良いかもしれない
C3. 検査陰性の感染者から広まる
新型コロナでは感染後1、2日では陰性、3〜5日で陽性となる。従って無症状の感染者100人をランダムに選んでにPCR検査をすれば、40人が陰性、60人が陽性となる計算である。この陰性の40人は、今はそうでもないが、1〜2日経てば、他人にうつすのに十分なウイルスを持つようになる。
陰性の感染者数の統計は全く存在しない。しかし、上のモデルを使って、無症状の陽性患者数から推測することは可能である。無症状の陽性者のおよそ3分の2が陰性の感染者である。無症状の陽性患者がどのくらいいるのかという統計も見たことはないが、退院または療養解除となった者は症状があったはずなので、全陽性件数からこれを引くと、無症状者の陽性患者のおおよその数になる。ただしこの数は2020年からの累計しかないので、その割合を求めると、世界全体で約10%になる。例えば、21年7月の空港検査での陽性件数は364人。このうち無症状の陽性患者は10%で36人。陰性の感染者はこの3分の2で24人。彼らをきちんと隔離しておけば、ここからの感染はない。しかしそうでなければ、彼らが1日に一人にうつしたとして、感染者数はフィボナッチ数列になるので、1週間後には約500人になる。もっと多くの人と接触すれば、感染者数はもっと多くなる。陰性でも隔離をしっかりすれば、このようなことにはならない。
日本では、20年8月から「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」としてレジデンストラック、ビジネストラックを実施した。特定の国からの入国者は、陰性証明があって、身元を保証できる団体あるいは個人がいれば、空港検査不要、待機不要、公共交通機関の使用可能ということになった。日本では、入国者も増え、同時に空港検査で陽性になるものも極大となった。彼らは空港で止められたが、それ以上に陰性の感染者が日本に入国した。この陰性の感染者数は上の試算よりもはるかに多いと考えられる。その結果20年11月から第3波が発生した。
慌てて1月にトラックを停止したところ、入国者は減り、空港検査での陽性件数も減り、第3波も収まった。また、これ以降、そこに滞在したことのあるものは入国禁止とする国の数も増えた(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html)。しかし、3期に感染大爆発を起こしたベトナム、中国、韓国はこの中に含まれていない。また、多くの入国者と入国後に連絡がとれない状態でもある。それが、7月の第4波に繋がったと考えられる。
先の日経の記事では、入国規制緩和をしないのはいかにも人道的でないかのように書かれているが、全くの誤解である。ワクチンを接種しようとしまいと空港検査を実施し、空港検査の結果が陰性であろうと陽性であろうと、少なくとも10日間の隔離を徹底すれば、感染は少なくなる。
ただし、今の日本には10月31日投開票の衆議院議員選挙が控えている。昨年の第2波は6月末の東京都知事選で、立憲民主党、共産党、れいわ新撰組の無謀な選挙活動がきっかけとなって、第2はが発生した。今回は全国的に無謀な選挙活動を繰り広げるので、第6波の発生が懸念される。
D. カリブ海の現状
第3期はアジア東、オセアニア、カリブ海の多くで感染の波が発生した。アジア東とオセアニアは現在は減少傾向であるが、カリブ海では陽性件数が増えている国が少なくない。そこで、カリブ海での感染状況を報告する予定であったが、日本の話が長くしまったことと、あららっなデータがみつかったので、次回に報告したいと思う。
基本的に人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google を用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、その他の情報はウィキペディアとと外務省の各国紹介ページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。数値はアメリカ中部時間の10月23日22時時点で得られた最新の値を利用している。10月23日以降に修正あるいは追加する国地域もあるが、その分は含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。
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