見出し画像

COVID-19 Quarterly Report 2022 Week 50 & 51(12/10−23) 日本のコロナは世界と違う

W杯が終わった途端に、コロナの勢いが衰え出したようである。ノックアウトステージ真っ只中の50週(12/10-16)は新規陽性数が増加したが、決勝も終わった51週(12/17-23)は減少となった。しかし、日本をはじめとして、新規陽性数が増加を続けているところがいくつかある。特に日本は他の国とは違う感染の仕方をしている。今回は、その違いについて考察する。

A. 新規陽性者数の半分は日本に集中

下の表は Worldometer の12月25日の世界の CornavirusUpdate の表の一部である。トップ絵にも使わせてもらった。

この日は新たに世界で29万人余りの新規陽性者が確認された。同日の日本の新規陽性者数は14万9665人で、世界の新規陽性者数の半分以上の51.4%を占めた。12月25日といえば欧米ではクリスマス休暇の最中で、検査やワクチン接種の回数が極端に減り、その結果、新規陽性数が通常よりも少なくなるので、日本の新規陽性数が相対的に多くなったのである。

A1, 中国、インド、北朝鮮も半分以上を占めたことがある

1国で世界の半分以上の新規陽性数を占めたことがあるのは日本だけではない。21年以降、以下の通り2国7ケースあった。( )内は新規陽性数と世界の新規陽性数に対する割合

22年5月16日 北朝鮮(39万2930人、53.6%)
21年5月2日 インド(37万0059人、54.4%)
21年5月3日 インド(35万5828人、53.0%)
21年5月8日 インド(40万9300人、51.2%)
21年5月9日 インド(36万6499人、56.4%)
21年5月10日 インド(32万9517人、54.1%)
21年5月16日 インド(28万1860人、52.4%)

5月は今回のような欧米が休暇中ということはなかったので、北朝鮮とインドはホンモノである。特にインドは21年19週(5月8日~14日)は1週間の数字でも52.4%と世界の半分以上の新規陽性者数を占めていた。新規陽性数世界一を何度も記録したことのあるアメリカでも、21年1月に35%以上を何回か記録したことはあるが50%超えは一度もなかった。

A2. 一国の大感染が世界的大感染を呼ぶ

2020年3月12日までは毎日中国が世界の90%以上の新規陽性数を占めていた。ちょうど、WHOのテドロス議長が緊急事態宣言を発した翌週から欧米を中心とした流行が本格化し、中国の新規陽性者数の割合が50%未満に急減した。また、21年はインドでの感染が一段落すると、今度はアジア東、ヨーロッパ西、カリブ海で増加が始まった。デルタ株がインドから移動したと考えられている。日本の第5波の時期である。

次のグラフは22年の世界(青)と日本(ピンク)と北朝鮮(緑)の新規陽性数の推移である。

この推移は1週間の数値なので日本も北朝鮮も世界の30%ほどを占める(半分以上は1日での数)。オミクロン株によって増加した世界の新規陽性数は4月に急減するが、5月に再び押し上げられる。ひた挑戦での増分をそのまま反映している。
6月末には北朝鮮の感染は終息したが、世界の新規陽性数は三度増加となった。これは主に欧米とそれに続くアジア東でのBA.5型の流行によるものである。

このように、1国の大感染は新しい株による世界的な大感染を引き起こすパターンが過去に三回あった。いずれの場合も、アジアから始まって、アメリカとヨーロッパ西に移り、その他の地域に広がるというパターンをとる。今回も、同じパターンを踏む可能性がある。オミクロン株は1国で世界の半分を占めたことはないし、アジア由来でもないが、発生地からアメリカとヨーロッパ西に移り、その他の地域に広がる、という点は同じである。

A3. 日本の防疫の失敗の原因

次のグラフは、22年の世界の新規陽性数上位6国の新規陽性数の推移である。

51週の日本の新規陽性数は圧倒的で、世界の約30%弱を占めるだけでなく、2位の韓国に3倍近い差をつけている。また、韓国(水色)、ブラジル(黄色)、ドイツ(灰色)で増加が続いている。アメリカとフランスはここ2周減少が続いているが、それまでは、おそらくW杯が原因と思われる増加が続いていいた。A1節で指摘したようにクリスマス休暇で減少しているだけかもしれない。

ところで、日本の推移とその他5国の推移に大きな違いが一つあるのがわかるだろうか。

6国とも、1~5月に少なくとも1回、6~9月に少なくとも1回、9月以降に少なくとも1回ピークがある。たとえば日本は2月、8月、12月(継続中)と3回ピークがある。

日本の8月のピークは2月のピークよりも高い。一方、その他の国では、8月前後のピークは2月前後のピークよりも低い。さらに、日本の12月のピークは2月のピークより高く、今後8月のピークを超える可能性も高い。しかし、その他の国では12月頃のピークは、8月頃のピークよりも低い。つまり、日本を除く5国では新規陽性数のピークが何回か訪れるが、その高さは、だんだん低くなっている。一方、日本は逆にピークがだんだん高くなっている。これは、日本のコロナ対策が失敗していることに他ならない。

次のグラフは新規陽性数上位6国のブースター回数の推移である。

前回前々回と指摘したように、日本のブースター回数は新規陽性数とシンクロしており、3月、7月、12月と3回のピークがある。2回目のピークは1回目よりも低いが、3回目は2回目よりも大きく、1回目とほぼ同じである。他の5国でも同様概ね3回のピークが見られるが、日本のように3回目のピークが1回目と同じになるところはない。概ね減少傾向である。そして、日本の4期のブースターは4280万回以上になるのに対し、フランス、ドイツ、ブラジルは10分の1以下、韓国はわずか28万回で1%未満に過ぎない。アメリカだけは3分の1以下の1220万回と多いが、アメリカは12月6日にブースター回数を9月9日発表分まで全て削除した。このグラフは削除以前に発表されていた数字をもとに作成した。アメリカでは、ブースターを停止したわけではないので、数を修正していると思われ、アメリカの4期のブースター回数はこのグラフで示しているよりもっと少ないと考えられる。

したがって、日本の新規陽性数が相変わらず増加を続けているのは、ブースターの大量接種を未だに続けていることが原因である可能性が考えられる。ブラジルでは9月以降ほぼ0だったブースター回数が11月末から急増している。フランスも11月初旬からブースターを増加させた。その結果がW杯期間中の新規陽性数増加の原因の一つとなっている可能性も考えられる。

A4. ワクチン接種を中止することが感染予防につながる。

現在日本では、接種回数を増やしている。特にオミクロン株対応ワクチンの接種が増えている。しかし、今流行しているウイルスがオミクロン株とは限らないので、原理的にワクチンを接種したからといって感染しないとは限らない。感染すれば、たとえ症状は軽くとも、マスクをしなかったり、集近閉を守らなかったりすれば、他人にうつすことになる。

欧米にはマスクをしない人が多いという者がいるが、それは、その発信者の周りにマスクをしない人が多いだけで、全ての人がマスクをしないわけではない。アメリカでは、病院などいまだにマスク着用義務のあるところも多く、自分の経験では、ちっと高級なスーパーマーケットではマスク率が高くなる(WholeFoodsでは30%ほど、Walmartでは10%くらい)。

自分さえ感染しなければ、感染しても自分さえ症状が軽ければ、と思っている人が多いと、他人にうつすかもしれないという可能性が見過ごされがちである。ワクチンの接種を止めれば、自分もうつされるるのではないかと警戒する人も増えるので、予防活動が広まると考えられる。他人にうつさないという面からは、ワクチン接種を中止することが良いと思われる。

B. 新規は減ったが、死者、治療者、重傷者は増えている

22年50週(12月3日ー9日)の世界の新規陽性数は、394万5765人(前週比+9%)だったが、51週は383万1072人(前週比−3%)だった。4週間ぶりに世界の新規陽性数が減少した。ただし、トルコやブルネイなど新規陽性数などの更新をしていないところもある。これらの国では来週、あるいは年明けに更新するので、51週の新規陽性数は今の数値よりも増加している可能性がある。死者数は50週が1万2191人(前週比+6%)、51週が1万2480人(前週比+2%)だった。これで4週連続の増加であるが、伸び率は下がっている。次のグラフは世界の感染図である。

治療者数は50週が1803万8899人(前週比+10%)、51週が1905万6284人(前週比+6%)だった。6週連続の増加であるが、伸び率は下がっている。回復者数は50週が231万3466人(前週比+11%)、51週は279万4638人(前週比+21%)だった。これで、3週連続の増加となった。次のグラフは世界の治療者数と回復者数の推移である。

回復者数は増加傾向となったが、新規陽性数の増加の方が大きいので、治療者数が減るどころか、逆に、増えている。また、死者数や重症者数も増加が続いている。

B1. 南米で拡大が続く

51週はブルキナファソで約3ヶ月ぶりに新規陽性が確認された。ナミビア、バヌアツでは7週間ぶり、セントクリストファーネイビスでは6週間ぶり、サモアでも4週間ぶりの新規陽性が確認された。50週はナイジェリアとギニアで4週間ぶりの新規陽性が確認されたが。両国とも51週の新規陽性数は0に戻った。トルコとブルネイは49週から新規陽性数0が続いている。トルコでは10月以降、ブスネイではそれ以前から新規陽性数などを、数週間に一回、過去の分も含め更新しているので、年末から年初にかけて更新があると思われる。

世界の22年4期の新規陽性数は3741万8505人になった。3期に比べで増加のペースは41%減少している。累計では6億5299万4082人で、感染率は8.2%だった。このペースなら、最終的な新規陽性数は22年4期で4100万人、累計で6億6500万人あたりにあると推測される。

次の表は51週の新規陽性数のランキングである。

49週で21位だったアルゼンチンが、今週は11位に上昇した。ワールドカップで優勝した勢いがコロナに反映している。

次の表は51週の人口100万人あたりの1日平均の新規陽性数のランキングである。

次の地図は51週の新規陽性数のトレンドレベルである。

B2. 致死率は上昇傾向

50週はギアナで3ヶ月ぶり、マリ、パプアニューギニアでは11週間ぶり、セーシェルで7週間ぶり。サンマリノで6週間ぶり、カザフスタンで5週間ぶり、ギニアで4週間ぶりの死者があった。いずれも、51週は死者数は0に戻った。51週はオランダ領カリブ海で約半年ぶり、ブルキナファソで約5ヶ月ぶり、ケニアで約3ヶ月ぶり、アルバニア。ケイマン諸島で6週間ぶり、ミャンマーで4週間ぶりの死者が出た。

世界の22年4期の死者数は13万0842人で、3期に比べで増加のペースは24%減少している。致死率は0.35%で3期に比べ0.08ポイント上昇した。4期に流行しているウイルスは3期のBA.5型に比べ致死率が高いと思われる。累計の死者数は668万4456人で致死率は1.01%である。このペースでいけば、最終的な4期の死者数は15万人弱、累計死者数は670万人弱になると推測される。

次の表は51週の死者数のランキングである。

次の表は51週の人口100万人あたりの1日平均の死者数のランキングである。

次の表は22年4期の致死率(51週時点)のランキングである。

致死率のトップはエルサルバドルの無限大だった。これは、エルサルバドルの4期の新規陽性数は0だが死者数が1のためである。この死者は10月7日になくなった。この患者の感染時期は不明だが、エルサルバドルでの最終の新規陽性は9月1日なので、少なくとも1ヶ月闘病を続けたことになる。

無限大を除いて4期の致死率が最も高いところはイエメンの20%であるが、40週(10月1日~7日)に4人感染して、同週に一人、44週(10月29日~11月4日)に亡くなっている。次に致死率が高いジャマイカは10月11月は新規陽性すうも死者数も0だったが、12月に入って新規陽性者数とし死者数が発生した。ソマリア、セントルシアも同様である。これら5国は4期の新規陽性数が低いので致死率が高くなっている。他に、コソボ、シントマルテン、ギニアビサウが新規陽性数の少なさ故に致死率が高い。

毎週新規陽性が確認されているところで、致死率が最も高いのはスーダンの8.23%である。

20國領土中、6国がヨーロッパ東である。

下のグラフは大陸別の3期と4期の致死率の比較である。

アメリカ南とオセアニアを除く全ての地域で4期の致死率が3期よりも高くなっている。特に、アジア中、ヨーロッパ東、カリブ海、アメリカ北で特に致死率の増加が著しい。また、上位20国領土の致死率はノルウェー以外全て3期よりも高くなっている。

B3. 新規陽性が0でも、治療中の者が多数いる。

50週はサントメプリンシペとシリアで治療者数が0になり、51週も0を継続している。これで世界では10国領土で治療者数が0となった。しかし、まだ223国領土に治療者がいる。また、トルコやパラグアイなど19国で治療者数を公表していない。下の地図は51週時点での治療者数を表している。

51週の新規陽性数が0だったところは85国領土あり、そのうち50国領土が3週間以上尾を続けてるのだが、その中で治療者数も0というのは、トルクメニスタン、トケラウ、ピトケアン、バチカン、西サハラ、フォークランド、北朝鮮、エリトリア、サントメプリンシペ、シリアの10国領土しかない。たとえば、エジプトでは4期の新規陽性数は0であるが、今なお4万8850人が治療中である。ところが、この数字はかれこれ9ヶ月ほど変わっていない。ひょっとしたら、コロナのことなど忘れ、検査もしなければ、治療もしていないということになっているのではないかと疑ってしまう。実際、エジプトでは2022年の検査数は0である。検査をしなければ、陽性患者は0である。

次のグラフは4期の大陸別治療者数の推移である。

アジア東は4期の初めから一貫して増加中である。グラフが上に凸の形をしているので、伸び率も増加中である。10月は台湾が、11月以降は日本が牽引役となっている。ヨーロッパ東西、アフリカ南、アメリカ北南、オセアニアでは4期の初めに大きく減少したが、W杯の頃から再び増加を始めた。ヨーロッパ西とオセアニアは今週は減少した。

次の表は51週の治療者数のランキングである.

次の表は51週の治療者数の人口に対する割合ランキングである。

B4. 感染して半年経っても治らない人が175万人いる

51週時点で世界35国領土で少なくとも175万6330人が感染してからほぼ半年経つのに回復していない。新規陽性数や治療者数の修正が多くの国であったので、49週時点に比べ約9万人増えた。感染してから半年経っても治らない人の割合、長期化率、は49週の11%から9%に下がったが、これは、分母である治療者数が増加したためである。感染してからほぼ1年経っても回復しない患者は10国に少なくとも13万2653人いる。

次の表は22年7月1日以前に感染していまだに治療中の者がいる国領土のランキングである。

ここにランクされていないからといって、長期治療者数が0であるとは限らない。

B5. 中国で重症者数も増加が著しい

重症者数は50週が3万7991人(前週比+2%)、51週が3万8422人(前週比+1%)だった。51週時点での重症化率は0.20%と49週に比べ0.03ポイント下がったが、これも、分母となる治療者数が増えたからである。次のグラフは重症者数と死者数の推移である。

ほぼ同じように減ったり増えたりする点が興味深い。

次の表は51週の重症者数ランキングである。

治療者数は長期間その数字が変わらないところが多いで、重症者数のしうう時が長期間変わらないところはもっと多い。上の表でもきちんと重症者数を数えているのは、アメリカ、日本、韓国、中国、イタリアぐらいである。そんな中、中国での重症者数の伸びが著しい。

B6. 回復者数は増えたが

久しぶりに新規陽性者の確認があったセントクリストファーネイビスで3ヶ月ぶり、ブルキナファソで12週間ぶり、ナミビアで7週間ぶりの回復者があった。感染してもその週のうちに回復したと考えられる。オーストラリアでも1ヶ月ぶりの回復者があった。

51週までの4期の回復者数は3055万4702人で、4期の新規陽性数の3741万8505人よりも少ない。つまり、治療者数が増えている。累計の回復者数は6億3377万0205人で、回復率は96%である。

次の表は51週の回復者数のランキングである。

次の表は51週の人口100万人あたりの1日平均の回復者数のランキングである。

95%回復週数は、治療者数が現在の5%未満になるまで何週間かかるのかを表している。計算式は QR w49にあるので参照されたい。回復者数は0だが治療者数も0なので、95%回復週数の計算の必要ばないところは n.a で表す。治療者数は0ではないが、回復者数は0のところは、いつ回復するのかわからないので、∞ で表している。治療者数を公表していないので95%回復週数を計算できないところは s.c で表している。

51週時点での95%回復週数は世界全体では22週である。49週の26週より1ヶ月ほど短くなった。今感染すると、回復するまでに平均で5週間半かかる。シリア、サントメプリンシペ、フォークランド、エリトリア。北朝鮮、バチカン、西サハラで n.a、エジプトなど91国領土で ∞ 、トルコなど19国領土で s.c となっている。次のグラフは4期の95%回復週数の推移である。

次の表は95%回復週数のランキングである。

先進国などでは一般に医療体制が整っているので、致死率が低いのだが、回復週数は先進国でも結構長いところが多い。

B7. 22年4期の感染状況がひどかったのは台湾

22年4期ももうすぐ終わりなので、暫定ではあるが4期のQRランキングを載せる。

正確なQRランクは、年明けに報告したいと思う。

C. 累計接種人数が減る謎

22年50週は世界で2369万1872回(前週比+28%)、51週は2212万2620回(前週比−9%)¥の接種が行われた。ブースターは50週が1626万6779回(前週比+70%)、51週は730万6121回(前週比−55%)実施された。50週にブースター回数が増えたのは、中国でブースター回数の発表があったのと日本でブースターか増加したからであり、51週でブースター回数が減ったのは、中国でブースター回数の発表がなかったのと日本でのブースター回数が減少したからである。ブースターの全接種回数に対する割合は54%である。次のグラフは、接種回数とブースター回数の推移である。

22年4期の総接種回数は3億4010万0272回だった、3期比べるとそのペースが45%減少している。また、累計接種回数は130国9378万8522回で、完了率は63.4%になった。しかし、世界には24億7533万9616人の未接種者がいる。ブースター回数は1億6275万1710回で、ペースは56%減少している。累計のブースター回数は26億7807万5010回で、過完了率は33.7%になった。

C1. 中国で接種回数が急拡大

前回、「49週にワクチンを接種したのは67国領土だけだった」と書いたが、その後の修正で、特にアフリカで12月4日に接種を実施したとの報告があり、49週の接種国領土数は90国に増えた。12月17日の時点で、50週は59国領土で、51週は54国領土で接種が行われた。この後の修正で、回数国数ともに増えるであろうが、減少傾向が続いている。次のグラフは、接種を実施した国の数の推移である。

この中には、今週は接種しなかったが。1~2週間前は接種したところや、逆に、今週は接種したが。1~2週間前は接種しなかったところもある。4期は173国領土で少なくとも一回接種が行われた。しかし、定期的に接種を実施している国は105国領土である。

今回、49週に北キプロスで実に1年ぶりに接種が行われていたとの報告があった。しかし、49週だけで50週、51週は再び0に戻った。51週はジブラルタルで35週間ぶり、キプロスでも12週間ぶり、ザンビアで7週間ぶりの接種が行われた。

また、フランスやドイツのように接種は続けているが接種回数が著しく減少した国領土も多くなり、世界全体でも45%減少した。4期の接種回数のペースが3期よりも高くなったところは66国領土に過ぎない。また、4期の接種回数が増えたと言っても、イエメン、エルサルバドル、パレスチナ、ナウル、コロンビア、ボツワナ、オマーン、ニジェール、ソロモン諸島、タヒチ、ニウエ、カンボジア、ウオリスフツナの13国領土は4週間以上接種が止まっている。ガーンジー、オーストラリア、スイス、ギリシャ、チェコ、オーストリア、デンマークでもここ1ヶ月は接種回数が減少している。

次の表は51週の接種回数のランキングである。

久しぶりに接種回数トップの座を中国に明け渡した。中国の今週のトレンドレベルは緑、増加ストップ、であるが、これから、増加に戻ると推測される。

次の表は51週の人口100万人あたりの1日平均の接種回数のランキングである。

次の表は51週時点での完了率のランキングである。

トケラウ、ジブラルタル、サモア、マルタ、ブルネイでは完了率が100%を超えている。割合が100%を超えることはないので、どこかで数え間違えをしている。

C2. ブースターも減少している

51週にブースターを実施したのは46国領土で、接種を実施した国領土のうち85%でブースターも実施した。22年4期にブースターを少なくとも一回実施したところは147国領土ある。次のグラフはブースターを実施した国の数の推移である。

接種実施国数同様、ブースター実施国数も減少傾向である。46国領土で4期のブースター回数が3期よりも増加した。スウェーデンが最も増加率が高く5000%以上であるが、ブースターの割合が300%以上なので、ほぼ間違いなく3期以前に接種した分も含んでいる。ベルギー、カナダ、ドイツ、スイス、ギリシャもブースター回数は4期の方が3期よりも多いが、ここ1ヶ月はブースター回数を減らしている。

次の表は51週のブースター回数のランキングである。

中国は50週に450万回以上のブースターを実施したが、今週はブースター回数の更新がなかった。おそらく、今週も日本より多くのブースターを実施していると思われる。

C3. デンマークの総接種回数、総接種人数が減少する

デンマークの50週の総接種回数は1317万8049回だったが51週は1317万6447回と減少した。接種人数も479万9382人から479万8668人に減った。これらの数字は累計なので減ることはあり得ない。おそらく、数え間違いがあったからであろう。50週の総接種回数を1317万5835人(-2214)、総接種人数を479万8611人(-57)と修正した。しかし今度は、50週の数字が49週の数字よりも低くなってしまったので、49週の分も下方修正した。さらに今度は48週もという具合に次々と修正し、まるで無限降下法のように、一番最初の週まで修正してようやくとまった。下のグラフは、デンマークの22年の累計接種人数の修正前(実線)と修正後(破線)の推移である。

デンマークの累計接種人数の減少が始まったのが、22年8週(2月19日~25日)からである。グラフからもわかるように8週に接種人数が急増している。この時は単なる集計ミスで、翌8週に修正をした推測される。このようなミスはよく見られる。ところが、9週以降も接種人数だけでなく接種回数、完了者数、ブースター回数全てで前週の数字を下回り、それ以前の週の数値を全て修正することが続いた。この当時は、まさかこのような修正が延々と10ヶ月も続くとは思わず当時の修正前の記録を残していなかったことが悔やまれる。流石におかしいと思った22年7月以降は修正前と修正後の両方を記録している。上のグラフはこのデータをもとにして作成した。

さて、デンマークでの接種人数は7週に最高を記録する(484万5703人)以降は減少が続き、51週現在は479万8668人が接種したことになっている。差引4万7035人の接種者がいなくなってしまった。どこへ消えたのだろう?

最も考えられるのは接種者の定義変更である。デンマークでは21年以降アストラゼネカのワクチン接種を公的に実施していない(実際は2日に1人くらいの割合で細々と続いている)ので、アストラゼネカ接種者の一部あるいは全部を接種者として数えなくなったということが考えられる。

D. ワクチンが全く効いていない証拠があった

日本の51週の感染状況( )内は前週比

新規陽性数:111万7265人(+11%)、10週連続増加中、8週連続世界1位
死者数:1857人(+11%増)、7週連続増加中、致死率:0.15%
治療者数:690万1758人(+17%)、13週連続増加中、9週連続世界1位
重症者数:530人(+9%)、9週連続増加中
回復者数:9万4630人(+17%)、回復率:1.4%、回復週数:220(4年)
接種回数:367万4148回(ー49%)、完了率82%
 3回目接種:23万2937回(+5%)、
 4回目接種:154万5366回(ー3%)、
 5回目接種:354万7515回(ー3%)、真の過完了率:67.7%

下のグラフは感染図である。

51週の死者数は22年のピークに非常に近いところまで行った。52週は、肥えていると思われる。新規陽性数と死者数のグラフが離れ出したので、4期の致死率は減少中である。しかし、4期の致死率は0.15%で、3期よりも0.04ポイント上昇した。

次のグラフは治療者数と回復者数の推移である。

4期に入って、治療者数は増加の一途で、伸び率も上がっているが、回復者数はほとんど増えていない。

下のグラフは日本の接種回数の推移である

下のグラフは日本の回数別ブースター回数の推移である。

日本の接種回数(赤)と回復者数(緑)のグラフを重ね合わせると、次のようなグラフになる。

初期型オミクロン株流行時はワクチン接種回数の増加とともに、回復者数が増えている。BA.5型の流行時は接種回数は少ないものの回復者数は初期型の倍以上になった。しかし。今回は接種回数は初期型オミクロン株と同じくらい増えているにもかかわらず、回復者数はほとんど増えていない。このことからも、現在推進されているワクチンが感染予防の役に立っていないことがわかる。

人口、陽性数、死者数、治療者数、重症者数、回復者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数は Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。ランキングは特に表記のない限りアメリカ中部時間の12月27日22時時点で得られた最新の値を利用して作成し、上位20位までをリストした。それ以降に修正あるいは追加されたデータは含めないので、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。修正あるいは追加されたデータはも反映させているので、今号の統計とは異なる場合もある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?