COVID-19 QR 3/11  新型コロナの感染状況とワクチン供給から見るロシアウクライナ戦争

ロシアウクライナ戦争がまだ続いている。すっかり忘れ去られた新型コロナであるが、戦争の裏で密かにアジアやオセアニでは感染拡大が続き、ヨーロッパで感染再拡大の傾向が見られる。また、ロシアのウクライナ侵攻に反対しない国の多くは、ロシア製、中国製、キューバ製ワクチンを接種しており、貧困国、そして、欧米型の民主主義国家ではないという傾向がある。


A. 陽性件数の減少が止まった。

下の地図は22年10週の陽性件数のトレンドである。

129国地域で陽性件数の減少が続いている(緑、青、薄青)。アメリカ北南、アフリカ西東、アジア西中、ロシアなど広範囲に広がっている。しかし、ペースが鈍くなっている(青)ところも、日本、アメリカ、サウジアラビア、インドなど69国地域ある。これらの国の多くで来週減少が止まると思われる。方や、29国地域で増加中(茶、赤、橙)である。アジアとオセアニアに集中しているが、イギリスやスイスなどヨーロッパでも見られる。来週以降も陽性件数の増加が続くと見込まれる。それに加え、ドイツやフランスなど54国地域で減少が止まった(黄色)。これらの国も来週から陽性件数がさらに増加すると推測される。

A1. ヨーロッパで感染拡大が再開する可能性

ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどヨーロッパ西の9国で今週の陽性件数の減少が止まった(黄色)。スペインは10週間ぶり、イタリアは7週間ぶりの増加となった。先週減少が止まった、イギリスやオーストリアなど8国は今週も増加が続き、伸び率も上がっている(赤)。それゆえ、来週も陽性件数が増加すると思われる。従って、今週減少が止まったところも、一時的な増加ではなく、来週も増加が続くと考えられる。スウェーデンなど減少が続いているところも、ひきづられて、減少が止まる可能性がある。

ヨーロッパ東でも、ポーランドなど西寄りの7国で陽性件数の減少が止まった。ロシアとロシのウクライナ侵攻に反対しない国と、セルビアやルーマニアなど南部で減少が続いている。しかし、南部では伸び率が下がっており、減少が止まる可能性がある。

ヨーロッパでの陽性件数の急増は、ロシアウクライナ戦争に対する抗議のための活動が増えたことが原因であると考えられる。しかし、同時に、死者数も増え始めたので、新たな株が発生した可能性も考えられる。

A2. アジア東、オセアニアで拡大が続く

アジア東では韓国、ベトナムでの大幅拡大が続いている。韓国では先週の伸び率は下がったものの、今週はまた大きくなった。ベトナムでは今週伸び率が下がったが一時的なものと考えられる。従って、韓国とベトナムでの大幅増加はまだまだ続くと思われる。タイ、マレーシア、シンガポールも実質増加が続いているが、伸び率は下がってきているので、近いうちに減少傾向になると思われる。中国は5週連続で増加となったが、伸び率は上昇傾向なので、更なる増加があると思われる。香港とブルネイは今週は数週間ぶりに減少となったが、一時的な減少と考えられ、来週はまた伸び率100%以上の増加に戻ると思われる。


オセアニアではニュージーランドの陽性件数が11週連続で増加中である。で今週は伸び率が下がったものの、ここ数週間は毎週300%以上の伸び率で増加していたことから、来週は伸び率が再び大きくなると考えられる。このペースでいけば、来週はオセアニアで最大のオーストラリアの陽性件数を超える可能性もある。そのオーストラリアもまた増加が本格的となった模様である。ソロモン諸島、トンガ、クック諸島でも増加が続いている。トンガでは初の死者も出た。バヌアツは今週いきなり189件の大量の陽性患者が出た。今まで多くても10件に満たなかったので、感染爆発が始まったと考えられる。また、ニウエで初めての陽性患者が出た。

アメリカ北南ではカナダ、ブラジル、ボリビアで陽性件数の減少が止まったほか、アメリカやチリなどで、減少はしているもののそのペースが鈍くなっている。

下のグラフは22年の大陸別の陽性件数の推移である。

アジア東、ヨーロッパ西、オセアニアで陽性件数が増えている。アメリカ南でも陽性件数が増え、アメリカ北、ヨーロッパ東では減少の勾配が緩くなっている。これは、世界的に陽性件数が上昇する可能性があることを示している。

B. 戦争が感染拡大を引き起こす


22年10週(3/5-3/11)の世界の陽性件数は1256万593件で、先週に比べ20.8%増加し、減少は5週連続で止まった。下げ止まりではなく感染再拡大となる可能性もある。22年全体の陽性件数は1億6683万2018件となった。今週の人口100万人あたりの陽性件数は1日平均226件とまた200件を超えてしまった。

下のグラフは22年(濃青)と昨年同期(青)の世界の陽性件数の推移である。

昨年は10週目から感染拡大が始まった。デルタ株によるもので、インドを中心に広まった。今年があまりに大きいので、グラフでは傾きが小さく見えるが、当時の伸び率は毎週10%で7週間ほど続いた。また、致死率も高かった。

B1. 韓国で感染拡大が続く

下の表は22年10週の陽性件数が多い20の国地域である。

韓国が世界1位をキープした。22年10週の陽性件数は224万7951件となった。前週比で74%増加し、8週連続の増加である。ここ3週間ほど小さくなっていた伸び率が再び大きくなった。人口100万人あたりの陽性件数は1日平均6254件で、ブルネイ、アイスランドに次いで世界3位である。韓国は22年全体でも557万5439件で、先週の予想どおり、日本などを抜いて、世界9位になった。このペースなら、来週の陽性件数は300万件を超えると思われる。そうなれば22年4週のアメリカ以来世界で2国目になる。

2位のドイツは今週の陽性件数は144万7735件で前週比で35%の大幅増加となり、過去最高を更新した。来週も増加の可能性が高い。

3位のベトナムは今週134万8232件の陽性件数の確認があり、先週比40.5%増となり、過去最高を更新した。これで5週連続の増加となった。今週は伸び率が小さくなったが、基本的には伸び率が大きくなっているので、来週は伸び率が大きく上がると考えられ、ドイツを抜いて世界2位に上がると思われる。

4位以下では、ロシア、日本、アメリカ、香港、トルコ、インドネシア以外で陽性件数が先週よりも増加した。アジアでは増加が長く続いているが、ヨーロッパでは始まったばかりである。13位の香港は今週は減少したが、昨年比で約900倍の陽性件数が出ている。これは、とんが、ソロモン諸島、パラオに次いで、世界で4番目に高い。20位のニュージーランドも昨年比で145倍の陽性件数が出ている。こちらは世界で6番目である。

アメリカの陽性件数前週比で25%し、27万3128件だった。12位まで下がった。しかし減少のペースは下がっている。データは4月に陽性件数が増加となるという兆候を示している。

B2. 陽性件数の増えた国が倍増

83国地域で22年10週の陽性件数が先週より増加した。先週よりも43国地域増えた。ウクライナなど7国で伸び率が無限大となった。この中では、バヌアツが過去最高を記録した。無限大を除いて、伸び率最大はギニアの650%増である。ギニアを含めて7国で伸び率が100%以上になった。ニウエで初めての陽性患者が確認された。また、中国では2年ぶりに陽性件数三千件以上となった。

ニュージーランド、クック諸島、トンガ、韓国、ベトナム、リヒテンシュタイン、タイ、ブータンの8国で先週から引き続き陽性件数の過去最高を更新したほか、バヌアツ、オーストリア、ドイツ、マレーシア、シンガポール、アイスランドでも過去最高となった。アジア東(5国)、オセアニア(4国)、ヨーロッパ西(4国)で多い。

135の国地域で陽性件数が減少した。32国で先週比で50%以上減少した。エルサルバドルなど10国で陽性件数が0になった。マーシャル諸島、バチカンは陽性件数0を3週間以上続けている。また、ミクロネシア、ウォリスフツナ、セントヘレナは22年の陽性件数が0、西サハラは21~22年の陽性件数が0、北朝鮮など6国で20年からの陽性件数が0である

B3. 世界の過半数の国で感染リスクが高い

下の表は22年10週の人口100万人あたりの1日平均の陽性件数が多い20の国地域である。

人口100万人あたりの1日平均の陽性件数が100件以上のところは感染リスクが高いと考えられているところである。その国に滞在したことがある者は、たとえワクチンを接種していてもPCR検査陰性でも、他人にウイルスを感染させる確率が高い。その国に滞在したことがなくても、その国に滞在した者と濃厚接触したことがあれば、他人にウイルスを感染させることがある。98国地域で100件以上(先週より5減)、27国地域で1000件以上(同7国減)となっている。数が多ければ多いほど、そこかしこに感染者がいるので、より感染しやすい。

最大はブルネイの9251件である。先週より少し小さくなった。2位はアイスランドの7289件、3位が韓国で6254件となっている。

B4. 22年の統計

下の表は22年の陽性件数、死者数、ワクチン接種回数、検査数の入り色な指標である。22年の陽性件数の順にランキングしてある。

マレーシアで22年の陽性件数が100万件を超えた。これで33国地域で22年の陽性件数が100万件以上となった。韓国が13位から9位にあがった、このペースで行けば、韓国は4月には22年の陽性件数が1000万件を超えるであろう。ドイツも来週中には22年の陽性件数が1000万件を超えると予想される。ベトナム、デンマーク、オーストリアで順位が上がっている。

B5. ロシアのウクライナ侵攻に反対する国は陽性件数が多い

次のグラフは、ロシアのウクライナ侵攻への態度で、陽性件数が減った国増えた国の割合を表している。

ロシアのウクライナ侵攻に賛成である国地域の約80%で陽性件数が減少し、中立でも60%で減少した。しかし、反対では34%、不明では32%での減小にとどまる。逆に賛成である国地域では10%の国で陽性件っ数が増えたが、中立では36%で増え、反対と不明では60%で増えた。

ヨーロッパではほとんどがロシアのウクライナ侵攻に反対である。それらの国で陽性件数が大きく増えた。一方、ロシアのウクライナ侵攻に賛成または中立のところでは、キューバとボリビアを除いて、陽性件数の減少が続いている。従って、この仮説は健在である。反対する国は民主主義が多く、各地で反対運動を続けているので、集近閉が守られていないことが原因であると考えられる。

次のグラフはロシア製あるいは中国製ワクチンを接種しているところでの、死者数が減った国増えた国の割合を表している

ロシア製ワクチンを接種したことのある国地域の約15%で陽性件数が増え、中国製ワクチンを接種したことのある国地域の約24%で陽性件数が増えた。しかし、ロシア製中国製ワクチンを接種したことのない国地域では、52%で陽性件数が増えた。

ロシア製中国製ワクチンを接種している国、特に貧困国は、ロシアとの利害関係があるところが多いので、ロシアのウクライナ侵攻に反対しない国たちの統計と似てくる。

C. 死者数の減少も止まった

カナダとスーダンで死者数の大幅な修正があった。これによって22年1週から9週までの死者数が90人増えた。22年10週の世界の死者数は5万2608人で、前週比で0.6%増加した。先週まで3週連続で減少中で、減少率も大きくなっていたところで、突然の増加である。人口100万人あたりの死者数は1日平均1人である。22年の死者数は60万5333人となった。また今期の致死率は0.36%である。

下のグラフは22年の世界の感染図である。青の折れ線グラフが陽性件数を緑の棒グラフが死者数を表している。

また、今年の1月のがぶり返されるのではないかという懸念がある。オミクロン株は致死率が低いが、新しいナブはそうではないと考えられる。

下のグラフは22年の大陸別の死者数の推移である。

アジア東で死者数が増えている他、ヨーロッパ東でも増えた、それ以外の地域では、減少しているがペースが鈍くなっている。

C1. 香港と韓国で死者数ば倍増


下の表は22年8週の死者数が多い20の国地域である。

アメリカが今週も1万人以上の死者を出してダントツの1位をキープしている。人口100万人あたりの1日平均死者数は4.4人で、世界平均の4倍強と少し下がった。5週連続で死者数が減少しているが、陽性件数同様、減少のペースは下がっている。

2位のロシアはアメリカの約半分の5428人の死者を出した。前週比で0.1%である。新型コロナに感染しているものの戦死者を新型コロナの死者と数えているのだろうか。3位ブラジルは3650人の死者があった。前週比18.7%増で、3週続いた減少が止まった。

4位インドネシア、5位香港、6位韓国はいずれも死者数が増加している。インドネシアは伸び率が下がっているが、香港は下がっているものの100%以上を維持してお理、韓国は伸び率が大きくなった。来週も香港と韓国が順位を上げそうである。

C2. 死者数の増加した国が多くなった

世界では51国地域で死者数が増加した。先週より5国増えた。ウクライナやガーナなど13国地域で伸び率が無限大である。モーリシャスでは過去最高の死者数を出し、トンガでは初の新型コロナによる死者が出た。

伸び率無限大を除いて最も伸び率が高かったのはフィンランドの1056%(243人)増だった。香港は今週も105%増で1週間の死者数が2000人を超えた。伸び率100%以上はフィンランドと香港を含めて8国地域ある。


106国地域で死者数が減少した。ウズベキスタンやフィジーなど16国で死者数が0になった。チュニジアやアルジェリアなど22国地域で死者数が先週の半分以下となった。

ニカラグアなど16国は先週と同じ死者数であった。ニカラグアはこれで12週連続で死者数が1人である。

ブルキナファソなど36国地域で死者数0が2週間以上続いている。また、ブルンジなど7国地域で22年の死者数0が続いている。西サハラでは21~22年の死者数が0である。また、北朝鮮など16国地域で20年からの死者数が0である。

下の表は22年全体の死者数の多い20国地域である。

C3. ロシアのウクライナ侵攻に賛成する国は死者数が多い

次のグラフは、ロシアのウクライナ侵攻への態度で、死者数が減った国増えた国の割合を表している。


ロシアのウクライナ侵攻に賛成である国地域の約44%で死者数が増加した。一方、中立では4%しか増加しなかった。反対では28%、不明では13%で増加した。ロシアに反対をすれば、陽性件数が増加するが、死者数では減る、ということになる。これは、反対したものに対して、例えば診療拒否などをおこなって、死者数が増えたのだろうか。

次のグラフはロシア製あるいは中国製ワクチンを接種しているところで、死者数が減った国増えた国の割合を表している


ロシア製ワクチンを接種したことのある国地域の約15%で死者数が増え、中国製ワクチンを接種したことのある国地域の約19%死者数が増えた。しかし、ロシア製中国製ワクチンを接種したことのない国地域では、25%で死者数が増えた。どこも大差はない。一方、ロシア製中国製ワクチン接種国では死者数が減少した国が多い。

C4. 致死率はアフリカが高い

22年の致死率は先週から微増して 0.36%となった。20年からの累計では1.33%である。22年の致死率が最も高いのがイエメンの9.35%で先週より0.19ポイント大きくなった。致死率の高い国はアフリカが多い。

下のグラフは大陸別の致死率である。

アフリカ東と南が世界平均の約4倍と極端に高い。アフリカ西、ヨーロッパ東、アメリカ北が世界平均の約2倍ほどである。アジアとヨーロッパ西、オセアニアは致死率が世界平均よりも小さい。

アフリカの致死率は検査を限定しているから、陽性件数が少ないという指摘があり、ヨーロッパ西なみの検査数をこなせば、陽性件数は現在の7〜8倍に増えると考えられている。検査を増やしても死者数は変わらないので、アフリカの致死率はヨーロッパ西くらいに小さくなる。

D. PCR検査陰性の感染者の入国が増えるので、日本の陽性患者が増える


日本の22年10週の陽性件数は45万5373件で、前週から1.0%の減少となった。これで、4週間連続で前週を下回ったが、減少率はさらに小さくなった。来週は一転して、増加の可能性があある。人口100万人あたりの1日平均は517件と高い。22年全体の陽性件数は393万2311件となり、先週の11位から13位に下がった。陽性件数の増加ペースは昨年の約14倍である。

下のグラフは、日本の22年と、昨年同期の陽性件数との比較である。

現在の陽性件数はピーク時の約3分の2となったが、まだ、昨年同期の50倍以上の陽性件数がある。

日本の22年10週の陽死者数は1511人で、前週より5%減少した。9週ぶりに前週を下回った、22年全体の死者数は7467人となった。死者数の増加ペースは昨年の2.6とかなり大きくなっている。致死率は0.19%とまた少し大きくなった。次のグラフは日本の感染図である。

空港検疫での陽性件数は449件で先週に比べ12%の増加となった。3週連続の増加となり、伸び率間また大きくなった。下のグラフは、日本の陽性件数(青)と空港検疫での陽性件数(グレー)の時系列グラフである。

空港検疫での陽性件数の増減は、世界および日本の陽性件数の増減を少しばかり先んじる。3週間間目から空港検疫での陽性件数が増え始めた。世界は今週から増え始めると予想される。日本は早ければ来週から増加し始める。

残念ながら、日本政府は続々と日本入国のための規制緩和を発表している。今は韓国やベトナムなどアジア東とオセアニアが感染の中心だが、今後は、ヨーロッパが新たな中心となる可能性が高い。これらの国からの渡航者を規制しても無駄である。例えば、アメリカからの渡航者がワクチンをブースターまで接種し、空港に入る前の検査で陰性であっても、空港内に多くの感染者がいる(空港検査で陽性患者が出る)ので、彼らから感染する可能性が高い。しかし、感染直後は検査に反応しないし、見た目が健康そうなので、そのまま、空港外に出てしまう。となれば、感染がそこから拡大するのは当然である。これら、PCR検査陰性の感染者は、少なくとも空港感染者と同程度いることがわかっている。計算方法によっては2倍以上になることもある。

韓国やベトナムで流行している株は致死力は少なくともオミクロン株よりも強い。これからヨーロッパで流行する株の致死力はまだ不確定であるが、陽性件数増加とほぼ同時に死者数も増え出したので、致死力は強い可能性がある。

E. ワクチンは戦争の道具


22年10週は世界全体で 約1億2281万1335回ワクチンが接種された。前週比で17.7%減少した。人口100万人あたりでは、1日平均2218回接種していることになる。22年の総接種回数は18億回弱となった。先週より少し落ちたが、昨年の2倍のペースで接種されている。最近はアフリカなどで、ブースター回数のみを発表して、総接種回数などを発表しない国がある。そういうところの数字は先週以前のものをs使っているので、実際の接種回数はこの数字よりももっと多いと思われる。

E1. ノババックスがウイルスを運んでくる?

今週はイタリア、リトアニア、スロバキア、スロベニアでもノババックスの接種が始まった。これでノババックスの接種国はEUを中心に9国となった。しかし、そのうち、オーストリアで2週間前から、チェコ、ドイツ、イタリア、リトアニア、スロバキア、スロベニアは今週から、陽性件数が増加となった。それも、伸び率は30%以上とかなり高めである。ラトビアは減少中であるが、減少のペースが落ちており、来週にも、増加となる可能性がある。唯一EU以外でノババックスを接種している韓国では、感染増加が全く衰えを見せない。従って、現段階では、ノババックスが新たなウイルスをもたらしたといえる。今週は他のヨーロッパの多くの国々でも陽性件数の増加が見られたので、すでにノババックスの接種を開始しているかもしれない。

また、3月6日からエチオピアでコバクシン、8日からバングラデシュでジョンソンの接種が始まった。

E2. バングラデシュでの接種大幅減は反ロシアの前触れ?

次の表は22年10週のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。

中国はまた接種回数を減らした。すでに完了率で85%に達しており、過完了率は38%と少ないが、中国はブースターの接種回数を2、3週間に1度しか発表しないので、これは先週の数字のままである。接種回数のペースからすれば、本来なら、40%以上になっていると推測される。従って、ワクチンをもっと接種したくても、接種する相手がいない状態である。なので、来週以降も大きく接種回数を減らすと思われるが、二回目のブースター(四回以上接種)を開始するかもしれない。

先週3位に落ちたインドは、インドも同様に接種回数を減らした。しかし、2位位を奪われたバングラデシュが大幅に接種回数を減少させたので、再び2位に上がった。インドは過完了率が1.4%と低いので、ブースターを増やすために、大きく減らすことはないと思われる。

バングラデシュは、前週比で64%の大幅減となり、2位から3位に落ちた。バングラデシュは中国製ワクチンを接種しているが、今週からジョンソンのワクチンを接種し始めた。もしかしたら、何らかの理由により中国製ワクチンの提供が止まったかもしれない。そうだとすると、現在はロシアのウクライナ侵攻に中立であるが、反対に趣旨変えする子農政も考えられる。

E3. 増版のペナルティーがワクチン供給停止?

67の国地域で先週より接種回数が増えた。18国地域で伸び率無限大であった。そのうち11国地域がロシア製中国製ワクチン接種国である。態度不明のタンザニアとモザンビークではここ2ヶ月ほど接種回数の更新はなかったが、10週だけで100万回以上接種された。ワクチンを使ったロシアや中国の懐柔策とも考えられなくはない。また67国地域中38国地域が中国製ロシア製ワクチン接種国である。

128の国地域で先週より接種回数が減少した。このうち、フィリピンなど29国地位で接種回数が0になった。このうち約半数の14国地域でロシア製中国製ワクチンを接種している。ロシアのウクライナ侵攻に賛成しているベラルーシでも接種が止まった。ベラルーシはロアシアの政策に一部班倒していたので報復か、とも考えてしまう。ナミビアやアルジェリアなど中立の国でも止まった。また、接種回数が先週の50%以上減少となったところは28国ある。

29国地域で接種が2週間以上止まっている。トルクメニスタンなど11国で22年の接種回数が0、北朝鮮など14国地域で今までに接種を一回も実施していない。

ギニアは従来よりロシア製ワクチンを接種していた、先々週は接種回数が0であったが、先週は20万回以上の接種があり、今週は50万回以上となった。先週からロシアのウクライナ侵攻に対しては不明から中立となった。ロシア製中国製ワクチンを接種している国は、ワクチンと一緒の経済援助をしていると考えられるので、ロシアのウクライナ侵攻に反対しないことの見返りがワクチン提供拡大をふくむ経済援助再開である可能性はある。

E4. ワクチン接種の五人に二人はブースター接種

次の表は22年のワクチン接種回数の多い20国の接種状況である。


世界の接種率は63.3%、完了率は56.4%となった。次の表は22年の完了率の高い20国である。

22年10週は3000万回強のブースターが行われた。中国がブースター回数を発表していないので、先週の4分の1以下であるが、中国の分を除くと、先週の世界にブースター回数は2800万回強で、約7%の増加である。ブースターを新規に始めたところはないが、アルジェリア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタンなど、ロシアに近い国ではブースターが止まっている。

ブースターの接種回数に対する割合は、統計が正しければ、42.1%である。世界で接種を受けた人の五人に二人がブースターである。統計が正しければというのは、ブースター割合が100%以上の国が結構あるからである。フィジーなど495%になっている。ワクチン接種をした人の5倍以上がブースター接種をしていると考えれば、これらの国では総接種回数にブースター回数は含まれていないのかもしれない。

ブースターをした者の割合である過完了率は17.9%となった。次の表は22年の過完了率の高い20である。

完了率の高い20国は、賛成国、反対国、中立国がその割合に応じて入っているのだが、過完了率の高い20国では、反対国、中立国が入ってこない。一番高いキューバで23位にとどまる。反対国、中立国はブースターが遅れているといえる。


人口、陽性件数、死者数はWorldometer のものを、ワクチン接種回数などは Github のデータを利用している。Worldometer や Github で扱っていない国地域の統計は Google のデータを用いる。北キプロスの陽性件数と死者数は、政府の発表するデータを用いる(https://saglik.gov.ct.tr/COVID-19-GENEL-DURUM)。面積、GDP、地図、その他の情報はウィキペディアと外務省(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)を利用している。それ以外のもの、例えばニュースや論文に関しては出典を本文に記す。数値はアメリカ中部時間の3月9日22時時点で得られた最新の値を利用している。3月9日以降に修正あるいは追加されたデータは含めない。従って、他の新型コロナ統計サイトの数値とは異なることもある。3月9日以前に修正あるいは追加されたデータは過去の号の統計にも反映させている。今号の統計とは異なるものもある。データの違いが大きくなる修正は本文で言及している。テーマ地図は mapchart.net のサービスを利用して作成している。

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