千人針で創作ネタを考えてみる


千人針、というのをご存知であろうか。
先日初めて知った単語なのだが、なかなか創作に使いたくなるようなエモいストーリーを含んでいる単語なので、是非共有させて欲しい。


時は、戦時中の日本。
近所の青年が出征する、となった時に彼にかけてやるべき言葉とは一体、何であろう。

国の為に、死地に行くのだ。
当時軍国主義だった大日本帝国の元に住む者ならば、「お国の為に死んでこい」とか「お国の為に死ねるなんて名誉なことだ」とか、大体そういう大義ある言葉をかけることが望まれていただろう。

しかし、実情はきっとそうでは無かったのだ。
何故かと言うと、ここで千人針が登場する。

千人針とは(千人針という単語を教えてくれた知人がしてくれた説明も混じるので、そこは了承して欲しい)。

出征しない女性達が千人集まって、一人ずつ布にひと針ずつ縫い、模様を付ける。
その布を出征する男性の体に巻き付けておくと、難を逃れることが出来たり、なんでも弾を通さないとも言われていたらしい。
その布が、千人針。

そう、つまり千人針には「どうか、死なないで帰ってきて欲しい」という人々の想いが込められていたのだ。

お国の為に、だなんて建前で。
家族に死んで欲しくない。近所の未来ある青年に死んで欲しくない。
人として生きる私達が普遍的に抱く、そんな尊い想いが密かに軍国主義の日ノ本で生きていたのだ。


なるほど、確かにエモい。
しかし、話はこれだけではないのだ。

ところで、私は寅年だ。
年齢がバレてしまうと思うが、この際気にしない。

千人針を繕う際に、千人もの女性を呼ばないといけない訳だがお察しの通り、千人も違う女性を呼ぶなど、なかなか骨が折れる。
そこで彼女達が探し出すのは、寅年の女性。
日本古来から人々に恐れられ、時には崇められてきた黄金の獣……虎。
そんな虎だが、こんな言われがある。

虎は千里を駆けるらしいが、最後は自分が産まれた地に帰っていくそうだ。


そんな虎にあやかって寅年の女性だけは、自分の歳の分だけ縫うことが出来たそうだ。

きっと出征する男性にも生きて自分の故郷に帰ってきて欲しい、と誇り高き虎に重ねて願ったのであろう。


さあ、次からは創作ネタ考察タイム。


私が書きたいジャンルは格闘小説なので、今回はその方向性にしようかな。

虎、と来て連想出来る格闘っぽいものはそりゃもう沢山。

猛獣、牙、爪、逞しい四肢……。
まさに、格闘小説で活躍する主人公や、そんな主人公に対峙する数多くの手強い敵を形容するのに相応しい単語。

そんな最強な虎が、最後には自分の故郷に帰っていくのって、なんかギャップ。


例えば、一見最強で無敵、まさに虎のような主人公が、実は自分の故郷に複雑な思いがあって、そこに凱旋して帰ることが出来ない……。
けど、彼は本当は帰りたいのかもしれない。けど逆にもしかしたら過去をすっぱり捨てたいのかもしれない。


そんなエモいストーリーが、想像出来たりしない?


……前回投稿した自己紹介のブログを除けば、これが初めての投稿であった。
大体こんな感じに投稿していく。


創作は、様々なフラグメント(欠片)の集合体だと私は思っている。


フラグメント。
例えばそれは幼い頃に見た、ささやかな内容の絵本に描いてあったイラストかもしれない。
あるいは、何気なく観ていたテレビ番組で芸人が面白おかしく話していたトークの内容かもしれない。

何が言いたいかと言うと、貴方は創作しよう!と思った時に、書きたい内容を決める。
そしてその次は恐らく、その書きたい内容に関わるような本を漁ったり、ネットで調べたりするのだろう。

それで得られるものは、きっと数多い。
けれど、そんな貴方を助けるものが何も、その書きたい内容に関わるコンテンツとは限らない。

貴方が既に得ている、何かしらの情報。
今まで思い出以外の何の意味もなさなかったそれが、もしかしたらとてつもなく突拍子も無く、そしてとてつもないインスピレーションを秘めたアイデアとしてその姿を変えるかもしれない。


何が言いたいかと言うと、私がここで生み出す文章や吐き散らかす知識が、もしかしたら貴方のインスピレーションのフラグメントとなるかもしれない。


是非、私のことを最大限利用して欲しいのです。
私もまた、貴方のことを利用させてもらう。
創作に日々闘志を燃やす貴方を、いつも応援しています。

今回はここで。
では、また。

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