見出し画像

ライ麦畑でつかまえて

「ライ麦畑でつかまえて」

この言葉が好きなので何故好きか解説したいと思います。ちなみに本のタイトルだっけ?
なんだろう、すごく有名だと思うんですけど、僕はそれを知らないのであくまでこの1文のみに注目してお話を進めていきます。

リズム
ライ麦畑で(8音)
つかまえて(5音)

と言った感じです、短歌の定型は57577で、
後ろから2番目の7が8になる事は多いです。

この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日
俵万智

スーパー有名サラダ記念日もこの例に当てはまります。なので8音でもリズム感は損なわれず、心地よいリズムで読めます。

というより8音でないとダメだと思います。
ライ麦畑(7音)つかまえて(5音)
だとリズム感が悪くなります。短歌俳句の中において5と7の相性はいいのですが、ここまでコンパクトな世界にすると、7では少し物足りないと感じます。8音にすることで、
ライ麦(4音)
畑で(4音)
つかまえて(5音)

4.4.5のテンポで加速していくとも見なせます。

つまり、言葉が加速し、「つかまえて」というサビでこの一文は終わります。

登場人物相関
僕は作中主体を女性、呼びかけ相手を男性と取りました。
「つかまえて」の腕力にかかる力強さと、それを求める主体との関係を考えると、こうなるのは自然かなと思います。

場面
ライ麦畑は普段聞き馴染みの無い言葉ではありますが、何となく程よいサイズ感の黄色い草々が茂った映像が僕には流れました。
実際はどうなのか知りませんが。
ナウシカの金色の草原に似ている映像が流れました。はい。

上述したように、ライ麦畑は聞き馴染みの無い言葉です。僕に対して「ライ麦畑でつかまえて」と言われても困ります。どこにあるかもわかんないからです。
つまり、話し相手に特定のライ麦畑伝えてるのですから、相手もそのライ麦の場所を知ってるはずです。
ライ麦畑という言葉1つで、
2人における「共通の思い出の地」という所まで想像ができます。

そんな思い出の地で仲のいい男女が爽やかにじゃれあうのです。

「ライ麦畑でつかまえて」のたった一文でここまでの情報量を保ちつつ、映像としてのリアリティがあるのがこのフレーズの素晴らしいところだと思います。

内容は全く知りませんが、知らないからこそ想像に幅ができて楽しめました。
終わります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?