日常生活の小さな悪魔

やるせない日々を送っている。
といっても別に特別なことがあるわけじゃない。ただ変わらないように見える日々のほんの少しの隙間、3秒くらいに得体のしれない何かに襲われるというだけである。
朝目を覚まして30分が過ぎるころ布団から無理矢理に出て、まだ起きていない頭でお湯を沸かす。まだ寝ていたいと駄々をこねる自分に一杯のコーヒーを流し込む。そうして体が目覚めてきたのをやっと感じられるころには仕事へ出掛けていって、なんだかぼんやりした頭で言われたことをなんとかかんとかこなす。そんなだからいくつか失態を起こして迷惑をかけてしまっているかもしれない。昼休憩は休むというよりもスイッチが切れた機械のように過ごし、気がつけば時計の針は17時30分を指す。
結局朝とたいして変わっていないぼんやりしたままで帰途に着く。途中でふと夕飯を食べなければと思い出す。冷蔵庫の中を思い浮かべる。たいてい何もないのだ。ではまっすぐ帰らずにスーパーに寄らなければと思う。スーパーに着いた頃にはもう18時もとっくに過ぎているのに、いったい自分が何を買えばよいのかも分かっていないから結局19時になってレジに到達する。買ったものをバッグに詰め、よし帰るかと思ったとき。
ああこんなときによくやってくる。
体から力が抜ける。足もふわふわとして立っているんだか立っていないんだか。
きっと誰にだってこんな瞬間がある。それをどう解釈するかの違いがあるだけだ。ある人はつまらないと言い、ある人は暇だと言い、またある人は寂しいと言い、ある人は疲れているのだと言う。貧血かもしれないし、老化かもしれない。それを気にしても仕方ないのだ。そういうとこでつまずいてちゃこれから先歩いていけない。今をやめないやめない、やめない。それだけ。

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