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透明な灯火

許してあげて


あなたの心が

苦しくなるのなら

許してあげて


不透明な濁った水槽では


生きていけないんだ


淀んだ思考に身を置き

かつての綺麗な海を思い出す



始まりは島だった


まどろみの中で混ぜすぎて


見えなくなってしまったよ


国生み神話に 隠された 

鍵を海に沈め

賽は投げられた


嘘半分まじりの真実を

話すものだから

皆で惑わされてしまったね


海原に漂う無数の御霊

拾い上げて瓶に入れていたね

集めて集めて守ってみたけれど

アビーが灯した命の光には及ばず


それが目印だと思ったから


悲しみも想いも集めて

瘢痕になったよ


心のかさぶたが何度剥がされようとも

強さが増していく痛みに

救いだそうとしながらも


壁があるからこそ


耽美的に

あなたは支配の欲望を通し

見ていたね


交差する瞳の奥底に

甘美な忘我 揺らめき合い


淀んだ暗さ 青い炎


それが愛だと思うから

いつの間にか 溶かされて

失った 現実 ひび割れた

器から 光が 溢れていく

岬の灯台 赤白 炎


偽りの光に導かれ

捕らえられた時には引き戻せない 

快楽を超えた 一つの真実


鎖に繋がれた 飛べない蝶


溶け合いながらも

形を変えていき 

変化の時に


羽を乾かしきらず 


求め合うものだから


あの時に既にわかっていた

直接の痛みを引き受ける側の刹那


排他的な愛を求める逸話



閉ざされた岸壁の岩肌に

打ち寄せる波が

削られていき 

原型をとどめなくなっていく


いつになったら受け入れる?

いつになったら戻らせてくれるの?


やめさせてあげようよ


いつまでも同じ場所にいることになる


概念の波に流される前に
想念の渦に溺れる前に


自ら救いだして


飛び立とう




天高く舞い上がった翼は


海の中で眠る鍵を開け


さすらう魂を解き放ち

地上を埋め尽くした

暗躍の時を消し去る


内面の揺らぎに任せたら


それでもやっぱり外側の

行動に勝る光には勝てないと


想ってばかりいないで

考えてばかりいないで


本当の道しるべに沿って


歩むしかない


手に入れようとするばかり


それで運命が答えてくれる?



思い煩わないで


前進あるのみ


たかがでも

たかがだけど

それでも生きていくしかないんだ



生きていく それだけでいい

愛に飲み込まれる前に

飛び立とう



形ある物に 悦楽が

退廃した 廃墟の要塞に

まだ見ぬ小さな花が

春とともに 芽吹く

生命の息吹きが

見えている物ばかりが

幸いではないが

ただそこにある 真我

浮かび上がる 本当の私が


繋がり合った形で交差する


向かい合った二人

重なり合った

一つとひとつ


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