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私は蜂アレルギー②

刺されていないところが腫れる


私は蜂アレルギー。それも意識が朦朧として歩けなくなるほどのひどいアレルギーです。それがわかったのは2006年の秋田での出来事でした。それ以来、私は養蜂家さんにご迷惑を掛けないように採蜜現場に行く時はいつも抗ヒスタミン剤とアナフィラキシーショックを抑えるエピペンを携行しています。作業服も人より厳重な服装で防御しているので、採蜜中にはほとんど刺されません。でも、作業が終わり、現場から養蜂家さんの家に戻って道具を掃除したり、採れたはちみつをトラックから降ろしたりしてる時、うっかり刺されることがあります。その時はミツバチがブンブン飛んでるわけではなく、作業道具と一緒にくっついて来た数十匹がうろちょろしてる状態なので、油断して手袋も面布も付けていないため刺されてしまうのです。

ある日のこと、作業終わりに左の中指に激痛が走りました。
「やられたぁぁ!」
すぐ針を抜いてアレルギーの薬を飲みます。養蜂家さんも心配そうに見ています。私は慣れてるんですが、『やっぱり心配・・・』と思うのもつかの間、今度は、「かゆいぃぃ!」。
ものの1分でアレルギー発症です。全身がかゆくなりますが、一番かゆいのが内腿と大切な所の「毛」。これは掻くのがはずかしい。さらに脇の下、頭と、とにかく掻きむしります。
私の場合、そこからが問題です。刺されてアレルギーでかゆくなる人はたくさんいますが、私は訳のわからないところが腫れてきます。
指を刺された時は目の下が腫れ、顔を刺された時は耳の後ろにゴルフボールくらいのコブができたりします。毎回腫れる所が違います。すぐに症状が出ますが、とりあえず全身かゆくなります。頭とか毛のある所が特にかゆく、ジミー大西みたいになります。かと言って、全く何ともない時もあって、その日の体調にもよるようです。

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刺された中指はなんともないのに、関係のない親指や顔などがみるみる腫れていく様子に、いつも養蜂家さんにビックリされます。(写真は手の指を刺されて腫れあがる頬)
ある養蜂家さんのお母さんは、最初に私が「蜂アレルギーなので」と話していた時には「大げさな事言う子やなぁ。刺されるくらいで」と思っておられたそうですが、考えを改められたそうです。私のようなひどいアレルギーは「養蜂を50年やっていて初めて見た」とのことでした。
かゆみはだいたい1時間でおさまり、顔の腫れは5時間くらいで元に戻りますが、養蜂家さんにはいつも心配とご迷惑をかけてしまい、本当に申し訳なく思うのでした。


エピペンは旅の命綱

毎年、仕入れの時期が近づくと、私はミツバチアレルギーの薬をもらわなくてはいけません。近所の病院ではアレルギーの薬はもらえます。でも2006年のようなショック症状が出ると今度こそ死んでしまうので、市立堺病院に行き、エピペンの処方をお願いしています。
エピペンは処方する側もされる側も大変です。結構以前からある薬で、携帯している養蜂家さんもいます。でも、病院での認知度は低く、色々なアレルギーの病院に行っても先生の方が、「エピペンって何?」と言います。また、処方箋薬局も説明が十分にできないとのことで、直接病院から出してもらいます。当時は保険がきかず価格は18,000円くらいしましたが、死ぬよりましでした。

エピペンは太いペンのような形状の注射器で、針の出ていない注射器をズボンの上から直接太ももの外側に押し当てるとバネで針が出るようになっています。
あくまでもショック状態から救急車が来るまでの応急処置的なもので、これを打ったからと言って、安心してまた作業が続けられるわけではありません。すぐに救急車を呼び、病院で「エピペンを打ちました」と言って入院する・・・らしい。要するに、ショック状態で血管が開き血圧が低下して行くのを防ぐため血管を収縮させる薬で(血圧を上げる)反対に副作用として、脳出血等を起こす場合があるそうです。何か怖い・・・。
医師からは「自分が意識をなくした時のためにまわりの人にも打ち方を教えておくように」とも言われました。ちょっと刺されたぐらいなら、しんどくて変な所が腫れたりするだけなのでその時用の抗ヒスタミン剤とステロイドの飲み薬ももらいます。

ところで、アレルギーの状態って、年によって変化があるみたいです。血液検査をしてみると、2006年には基準値0.34以下のところ3.52。 2008年は8.03。2010年は何と1.51に減少しました。年齢とともに最前線で働くことが少なくなったので、最近は蜂アレルギーもかなり治ってきたようです。

現在ではエピペンも保険適用になったので3000円くらいで処方されます。



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