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宇宙初オンエア/ プライベート・スーパースター

ゆっきゅんと君島大空の「プライベート・スーパースター」 を聴くために8月5日放送のRADIO ENSEMBLE(J-wave)をradikoで再生すると、
懐かしい言葉が耳に飛び込んで一時停止した。
脳内でもう一度、やましげ校長の声で再生される。
宇宙初オンエア。
中学から高校にかけて、School of Lockを聞いていた頃はしょっちゅう耳にしていた。その頃のBUMP OF CHICKENの新曲解禁は大体SOLだった。曲を手に入れる手段としてはCDがまだ主流で、物理的に手にする喜びと、その前に電波を通して触れられる喜びとがあって、後者は中々特別感があった。

「宇宙初オンエア」の時の脳内イメージ。RADIO ENSEMBLEでは実際には「銀河初オンエア」と言っていました。


ラジオをあまり聴かなくなって、音楽は配信サービスで聴くようになってから十何年か経つが、当時の胸の高鳴りが蘇った。一度だけで、まだ自分の手元に置けない曲の音を、歌詞を、自分の耳で掴まえるしかない緊張感と高揚感。今はradikoで後からアーカイブを聞けるし繰り返し再生できるのだけど、それでも、オンエアと配信の間にタイムラグがあるだけでこんなにワクワクするとは。

しかも今回は、好きな人ふたりが一緒に作った曲の解禁である。「宇宙初オンエア」に引っ張られて、私が中学生でこの曲に出会ったらと想像したらすごく羨ましかった!超絶内気な私と一緒にいてくれたかっこよくてかわいくて眩しい友達と別学になり、何も始まっていないのに卑屈になりかけていたところをコミュニティの切り替わりに乗じて奮起して空回りしながらもなんとか友達はできてでもやっぱり時々コケて相変わらず内気で、歌詞というものを好きになり始め… というタイミングだったから(目が眩むくらい眩しくて、でも友達で、祀りあげたくないし毎日健康でいてほしいし、という歌だと思っている)。
でも、私が中学生の頃はゆっきゅんも君島大空も中学生だったし、この曲は生まれていなかった。それに、多少なりとも「やりたいこと」ができる今の仕事に就いて、仕事を取り巻くシステムや自分にモヤモヤする体験をしたからこそ、ゆっきゅんの音楽が刺さるのだと思う。君島大空があんなに多様で多層なルーツの、聴いて弾いての積み重ねの豊かさを感じさせるサウンドで、自分の奥にも実はあった、見ようとしてこなかったような感情に出会わせてくれる歌詞を歌っていることの素晴らしさに気づけたのは、多少なりとも人との別れを経験したからだと思う。だから今この曲に出会えるのは最高のタイミングなんだぜ、と中学生の私に自慢できる(しかも同世代がリアルタイムで作ってるんだぜ…)。

宇宙初オンエア-一回性の煌めき!みたいなことを散々書いたが、もちろんradikoで10回くらいは聴いた。ありがとうradiko。
「プライベート・スーパースター」の好きな歌詞は、
なんといってもまず、
「ありえない孤独を宝物って教えてくれた君が好き」。
誰から見ても無様だし誰のためにもならない自分のコンプレックスを、それでも抱えているしかなかったんだよなぁと受けとめて前向きに付き合っていけそうだと思えたのは、クソでか片想いや「好きなこと好き」でいることをゆっきゅんが歌っていたから。私が奥にしまっていた感情に出会い直せたのは、幾重にも重なった歪んだサウンドや声の震えとともに君島大空の歌の中にあるのを見たから。宝物とは今は思えないけど、拾えたのはあなた達のおかげですよ、と思う。
挙げ続けると全部になってしまうけど、
「神様みたいにさせないよ」
「機嫌悪いのに踊ろうよ!」
「顔色良く生きてくれ」
も好き。
それから、「笑ってよ僕が壊れるくらい」(ここは正確に聞き取れてるか自信がない)からギターが暴れる間奏(冒頭にも同じメロディが入っている)に入る流れも良い。
ほかに好きな音は
冒頭の摩擦音(なんとなく傷を連想させる)、
冒頭のベースの鼓動っぽさ。
言わずもがな、ふたりの声も。どこを取っても、感情に質量がある!と感じさせる。

ゆっきゅんと君島大空を好きでよかった…そして、ラジオ音源で初めて曲に触れるのやっぱり好きだなあと思う。

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