20231210 日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか? 岩尾俊兵を読んで
希少・貴重な資源
希少・貴重な資源を集める企業が経営戦略上も優位に立つ
→制約を制御・牛耳ることが収益の源泉
高度成長期のインフレ時では、ヒト(希少資源)に好かれれる経営が正解
日本の経営ノウハウを商売上「売れる」材料とみなして、アメリカやヨーロッパに売り込んできた→経営ノウハウが希少資源
経営学とは、「なぜ他社よりも優れているのか?」、「そもそも企業とはなにか?」、「なぜ、一部の会社のみがイノベーションを連続して引き起こせるのか?」科学的にあるいは哲学的に答えるものだ
環境変化に正しく対応する
日本はインフレからデフレに大きく振れる中で、ヒトとカネの相対的な価値が入れ替わり、経営思考から投資思考へと集団パニック的に移行した
日本企業は研究開発の努力の大部分を自社以外に頼ることで、コストを抑え、安価で良質な製品を生産する(ことしかできなかった)・・・オープンイノベーション
戦後直後のトヨタはこのキャッシュが足りなかった。在庫を持ってなかった。すぐに換金する必要があった
ホンダの小型バイクのアメリカ市場席巻
半分をイギリスが占有していた市場を数年間で60%のシェアを獲得
一度小型バイク市場というニッチを発見してからは、ホンダはこのニッチ市場でのシェアの獲得と市場そのものの拡大のために、次々と合理的な施策を打ち出した
トヨタ生産方式の持つ経営効果は、「問題が見えやすくなることによる経営意識の浸透」
ケイレツ
災害時には企業の垣根を超えたチームを即席で構築し、わずか数週間での精算復旧を可能にすることが判明している。
→道路工事の建設業と同じ感じ、
災害に対する復旧力・レジリエンスさえも担保している
調整活動に普段から習熟していることが、同時並行型の製品開発活動の前提条件になっている→談合も普段が大事
フロントローディング型、オーバーラップ型の製品開発をラグびにーに例えて、「スクラム型製品開発」という・・・野中郁次郎
現代ほど、異なる知性が互いに建設的な意見を出し合い、協力し高い目標に向かって進んでいく経営が必要な時代はない
価値創造の余地が無限であるならば、価値を奪い合う必要はなくなる
→MGで全体のマーケットボリュームが大きければ、個々の入札で奪い合う必要はなくなる
→よりよい意味での談合、すり合わせ、調整技術が今後必要なスキル
フィクサー的行動がイノベーションを促進する
コンセプト化
コンセプト化に阻害要因が存在してきた→本来成長できたはず
コンセプトの逆輸入は、却って、現場の強みを捨てる
すでに、自社が保持していた経営技術を自ら捨てることになりかねない
文脈依存度が低くなればなるほど(文脈独立度が高まれば高まるほど)、一般論や分的な理論を目指す学問に近づく
日本企業がグローバル度を高めるならば、コンセプト化の能力を構築するには必須である
グローバル化とは、ヒト・モノ・カネ・情報の移動コストが限りなく0に近づくこと、一方でコミュニティそのものは移動しづらい
組織内で、抽象的なモデルを使った議論を重視する人事評価が行われているか、会議の際に論理モデルに基づいた説明が求められるか、先輩から後輩へ抽象化・論理モデル化のノウハウが口頭または、文書で伝授されているか
日本企業は、論理モデルを使って他者を説得する必要性や機会に乏しかった
カイゼン・イノベーション
カイゼンは、「本来問題解決の連鎖なのだが、それを観察者が無理やり区切ればカイゼン・イベントのように小さく完結したプロジェクトのようになる」と考える
カイゼン・イノベーションには3つの類型
「現場が本社の許可を得ずに使える資源がどれだけあるか」や「どのようなコミュニケーション経路があるのか}などの、会社全体で決めた組織設計と経営戦略が、現場のカイゼンにまで影響していたのだ
カイゼンが、大規模イノベーションになる場合、・・・変化の度合いが不連続(相転移?)
いわゆる「イノベーション」は問題解決の連鎖を伴う
カイゼンすると、別の場所に問題が生じ、(制約が移る)・・・事前の想定が変化し・・・それを良い方向にスパイラルアップすると、相転移が起きてイノベーションとなる
イノベーションとして、カイゼンから十分な利益を得るには、全社マネジメントの視点が必要である
計量への工夫が、カイゼンという現象の見え方さえも変えてしまった可能性がある。→解像度があがるとということ
イノベーションは、あるときにはヒトの頭の中にある。それがさらに市場で自己を評価してくれる顧客を探し回る…
イノベーション連鎖を阻害する要素や、イノベーション・ヒト・カネ・モノ情報・知識などの滞留と渋滞がある。この滞留と渋滞をなくしていくことで、イノベーションは起きやすくなる、
弱みは強み
なぜ、日本は抽象化・論理モデル化に弱かったのだろうか?
その答えの一旦は、日本の強みそのものにあった。
日本企業はなぜ、自らの強みを捨ててしまうのか?
「海外に負けているはず」という、思い込みが勝ってしまう
日本は、日本の経営技術を信じる力で負けている
日本の独自性を追求して、それを元にアメリカ発の経営技術と日本発の経営技術を適宜交換する。まさに貿易では常識だ
日本は、カイゼンに関する経営技術の先進国とはみなされていない
現場カイゼンは必然的に全社マネジメントだ
→以前は全社マネジメントがなくてもうまくいっていた。高度経済成長だったからなのか?
一般化されると、議論や考察の対象になりやすくなり、知識の集積も進みやすい。裏返せば、反論されたり、避難されたりする可能性が増すことになる
誰に犠牲をしいることもなく、日本社会や日本企業という共同体が豊かになり、→こんなアイデアを作っていく
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