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こころの冷たいところと暖かいところ 漫画メダリストScore36感想

メダリストの感想を毎月note綺麗ににまとめたいと思いつつも、本誌のパワーに圧倒されてしまい上手く言葉が纏まらず3話に1度のペースになってしまっている。不甲斐ない。

散文感想はこちら

メダリストついにノービス編完結!
来月からついにジュニア編に突入しますね。

全日本ノービス大会開始からずっとこれまでのメダリストの話との対比やリフレインとなる描写がされていると思っていましたが、ノービス編ラストとなるscore34【4回転サルコウ】からscore36【目指す資格】までのいのりさんの演技はこれまでのいのりさんの選択が良くも悪くもここまで繋がってきており、対比もされていて膝を打ちまくりました。

先月の表彰台に乗っていないいのりさんから始まるscore36。先月様々な読者を混乱の渦に突き落としたいのりさんの順位は4位という結果になりました。
しかもいのりさんが3Aに挑戦しなければ表彰台には乗れたという結果付きで……

これは明らかにいのりさんの最初の大会である名港杯の対比になっていて、あの時は最初のジャンプに失敗し最後まで優勝を諦めないために選んだ1人で練習していたブロークンレッグで優勝することができました。

しかし、あの頃より更に難しい次元で勝負している上に光ちゃんという天才少女を超えるために選んだ構成では完成度が足りずに優勝することができないというところからいのりさんの成長を改めて感じました。

構成を変えなければ表彰台には乗れたかもしれないけれど、いのりさんが狙っているのはあくまでも《金色のメダル》である以上《表彰台に乗ること》ではなく《優勝》するための選択をするいのりに納得できるのがメダリストの好きなところだなぁと思っています。

司がscore3でいのりさんに将来かけがえのない選手の自分をつくるために《選択》することを提示したときからずっと司がいのりさんに自身で《選択》することを提示してきたことがずっと繋がっているのが好きすぎるのでいつもこの話をしている気がします。その《選択》がたとえ優勝に繋がらなかったとしても、失敗したら終わる夜鷹-光ペアと違い、司-いのりにはこれから先に更に路を延ばしていくことができるということ、その《未来》の路を見ることができることがとても幸せなことだなぁと思います。

この《選択》というのは同時に《過去》という側面も持ちあわせていて、この《過去》はずっとつめたい感情として司といのりさんそれぞれに確かに今を輝かせる原動力となっている。

「俺たちは誰かが欲しがるものだけで作られていない」「誰に期待されなくても1番になっていい」「メダリストを本気で目指していいんだよ」

この台詞は過去に期待されなかった司だからこそ言える台詞であるとともに、司がいのりさんに言ってきた「あなたを誰もが期待する選手にする」という台詞ともかかってきていて、誰に期待されなくても誰もが期待する選手になっていいと更に深みを感じます。


それはさておき散文でも書いた通りここまで、のぞみや実叶の笑顔は自然である一方司やいのりさんの笑顔が自然でないことを感じ取ることができるつるま先生の描写力に感嘆します……上手すぎる……


そして1巻から7巻までの内容を総ざらいするようないのりさんの夢。

学校で冴えない冷たい生活を送っていた夢を文字通り捨てようとしていたいのりが、公園で司と話したこと、冷たい気持ちとお別れした合宿の線香花火、4回転のきっかけになった諏訪湖の御神渡り

これまで1位を取るために過ごしてきた時間から現実に戻り、やっと1位になれなかったことが心に追いついて泣きじゃくるいのりさんの悔しさに寄り添ってくれたのが、同じ様に夢を追いかけ自身は怪我で挫折した姉の実叶であることがとても美しく優しい物語だなぁと思いました。

そしていのりさんの夢の先。8巻で司と光ちゃんが邂逅して話した《犠牲》の話へ。

泣きじゃくるいのりさんに呼応するように激しく降る雨の中、あの日中断した《犠牲》談義の先の話をする2人。

成功に必要な払うべき犠牲を払って成功してきたからこそ勝利の女神へ生贄を捧げる夜鷹純と、払うことのできる犠牲を払っても自分の中では1つの成功もおさめられなかったからこそ犠牲を神聖なものとしない自傷行為ととる明浦路司の対比が輝き、その教えの差がこれからの光といのり2人の選手の人生を変えていくことに2人の人生が輝くことを固唾をのんで祈り続けるしかない1読者となってしまいます。

大変な波乱万丈人生小学生女子に馬鹿にされたくないよね

それはそれとして、光ちゃんが歳相応の初めて見る表情をしていることが甘えが出ているようでとても嬉しくなりました。きっとそれは司が理凰を夜から朝へ連れ出したこともきっかけにあって、光ちゃんにとっての理凰の存在の大切さも感じ取れてそれも嬉しかったです。

そして司の意見を一旦受け止める光と同時にあがる雨。顔を上げ決意を新たにするいのり。
夜に光る月を見上げる司と描写される夜鷹純。

描写の暗喩が美しすぎる!!!!!最高!!!!!!!!


そして修行へ行き帰ってきた司と、推しの解釈違いからティンときた強火オタク八木夕凪さんと、再就職してる洸平くんと、散々実叶ちゃんとの関係を匂わせてきた岡崎いるかさんと、強化選手Bに選ばれたいのりさんと、迷い犬再び!!!!!


ジュニア編も既に盛り盛りで目が離せません!!!

↓過去が未来を輝かせていく曲なので泣いた


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