見出し画像

『戦場のメリークリスマス』を観てきました

こんにちは1110です。
ひさびさ投稿は映画の記録を書きます。

先日、劇場で目を惹かれるチラシに出会いました…それがこの映画『戦場のメリークリスマス』。
上映権の終了に伴って劇場上映はこれが最後ということで、これはいくしかないと意気込んでの鑑賞でした。

結果、劇場で見られてすごく良かったです!
映像とキャストの持つ説得力、美しさと残酷さにガッツリと爪痕を残されました。
(1週間ほど経っての投稿ですが、未だに何度も脳内再生してしまうので
かなり影響を受けていることが計り知れますね…)

映画について

映画『戦場のメリークリスマス』(1983)は、大島渚監督による作品で、
『影の獄にて』(著:ローレンス・ヴァン・デル・ポスト)という、
南の島の日本軍俘虜収容所での体験を描いた話が原作です。
出演者が全員男性、俳優が本業でない人々を多くキャストに登用した上、
戦闘シーンを一切描かない…などかなり"異色の"戦争映画と言われています。

舞台は、ジャワ島にある日本軍の俘虜収容所。
ハラ軍曹(ビートたけし)と英国陸軍中佐のロレンス(トム・コンティ)が問題処理に奔走する様や、
そこに新たに連れられてきた英国軍の少佐・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)に
日本軍のヨノイ大尉(坂本龍一)が惹かれつつ葛藤する…といった様を描いています。
(参考:映画公式パンフレット)

映像と坂本教授の音楽のマッチが素晴らしく、これを大音量で浴びられる喜びたるや。
(メインテーマ、ワイングラスの音をサンプリングして作られていると先日の関ジャムで知りました!)

役者さんは、ボウイや坂本龍一、内田裕也などの音楽家たちや、芸人だったビートたけしなど先述のとおり本職が俳優ではない方々が多く、そこにまた本業が役者の方にはない魅力がありました。
写し方の妙も相まってそれぞれのキャラクターが立っています。良い…。

なんといっても、セリアズ少佐を演じるデヴィッド・ボウイがひたすら美しすぎるんですね〜。惚れてまうやろ
顔立ちだけでなく表情や姿勢、話し方まで、、360度どこから見ても格好良いしカリスマ性がある。ヨノイ大尉が彼に惹かれるのも納得です。
(映画好きの父曰く「戦メリはね…とにかくデヴィッド・ボウイがエロいのよ…」)

個vs個で戦争はできるのか?

『この世界の片隅に』も日常を描くことで戦争の惨さを巧みに表す
大好きな作品ですが、それともまた異なるインパクトがありました。
戦争の無意味さを、人対人のドラマだけでここまで突きつける。

戦時中において、問題があれば、気に食わなければすぐ処刑は当たり前。
映像が美しいので
空と海が静かであればあるほど、
緑や花が鮮やかに輝くほど、
人間だけがなぜこんなことをしているんだろう?と何度も思わされました。

そんな理不尽な世界の中で唯一まともなのは、
個に芽生えた感情や、相手個人を思いやる気持ちだけだな…と。
「一人一人が別々の人間で、考えることも違いますよね〜」って大前提を、
すべて吹き飛ばしてしまうのが戦争の怖いところなのかもしれないですね。

今日見た昨今の軍事侵攻についての特集番組で、リポーターの方が
「国家の思いが優先されると個人の思いはないがしろにされる」と言っていました。

今の技術を持ってすれば、自分から何m、何100m、何キロも離れた相手を殺すなどということは容易に出来てしまいますが、
もし敵とみなした相手がほんの目の前にいたとして、その人に触れる形で殺すということが果たして出来るのだろうか…みたいなことを考えてました。

セリフがめちゃくちゃ多いわけではなく情景で描くシーンも結構あるので、
あとから「これってこういうことでもあるよね?」と色々考える余白があるのがまた面白いですね…。

ふと手に取ったチラシでなんとなく観てみたいなと思った映画でしたが、本当に今回見ることができて良かったです。
圧倒されて、好きなというか大事な映画の一つになりました。いややっぱ好き。

4K修復版で劇場公開中&全国にも順次巡回するので、ご興味あればぜひ!
どのくらいで終わっちゃうか分からないので…
あらすじ&キャスト詳細などは以下をみてくだされ〜
(推しすぎてめちゃくちゃ宣伝してますがステマじゃないです笑)


もうちょい掘り下げた感想(ネタバレ含)

⚠️以下ネタバレが入ってしまうので、結末は知りたくない〜!という方は読まれないことをおすすめします。あしからず…🙏




印象的だったシーン

1、雪の日にローレンスとセリアズが脱走を企てヨノイに見つかってしまいます。そこで二人が剣を片手に対峙しあうシーン。
曲が流れてくるタイミング含めかなり好きです…。
どこかで見てなるほどと思ったけど、ほんとここの曲は心臓の鼓動っぽい。
そのあと駆けつけたハラに撃ち殺されそうになるセリアズを、先刻刀を抜いたはずがなぜか庇ってしまうヨノイ。
ローレンスからセリアズに一言「彼(ヨノイ)に好かれているようだね」。ン〜(⁉︎)

2、俘虜長へ斬りかかろうとするヨノイを見かねたセリアズが、つかつかと歩み寄ってヨノイにいきなり接吻を見舞い、ヨノイが腰抜けになるシーン。
有名なシーンなんですね。
雑な言い方で恐縮ですが「暴力を愛情で包んで捨てる」みたいな印象を受けたというか…。
人間性が危機に直面している殺伐とした戦場において、
セリアズの接吻は、もはや最強の闘い方であり最大限の抵抗だったのでは…

普段 恋愛話を読まない自分ですら(ワッ、美しい…)と感じるシーンが多くて、なんとか仲良くなってくれないかな〜と気を揉みつづける…。

結末を受けて考えたこと

戦争をきっかけに出会うことになったヨノイとセリアズの二人ですが、
結末としては二人とも処刑という形で悲しい死を遂げてしまいます。

映画を見進めていくと、二人の関係がだんだん愛しくなってくるので
「アァ〜これなんとか生き延びて終戦迎えて、最後ほんのすこしでもポジティブな心の通い合いがあったらいいな…」と切望する自分がいましたが、、
なので、実際の結末にかなりショックを受けつつ「いや、これが戦争なんだよな…」と思わされました。

個としてはセリアズに惹かれているのに、大義(もはや誰の為でもない目的になりつつある)のために個を捨て、日本軍の1人として俘虜に向かわなければいけないというヨノイの葛藤。
彼の中に湧いた感情は美しくも、それが叶わない上に捻じ曲がった形にことが進んでいく状況がかなり辛かったです。

敵国同士という関係性を内包しながらも、ハラとローレンスの間には不思議な一体感やゆるさがありますよね。
しかしながら、セリアズとヨノイの間にはずっと緊張感が漂っていて
それがもちろん映画的なメリハリを生んでいるのですが途中から辛くなってくる…

戦場ではない場所で2人が出会っていたら、もっと素直にコミュニケーションできて、友情を築くということもあり得たのかもしれない…と思うと悔しいです。

男性性と女性性?

セリアズとヨノイ、生物学的には二人とも男性ですが、
互いの中にある男性性と女性性が交錯しあっているような印象を受けました。

というか、1人の男性の中にも男性性/女性性が混在しているというような…
(今回は全員男性ですが、それは性別という区分けを問わずどの人にも言えることな気がします)

ヨノイは軍人という立場上、セリアズや俘虜たちを弾圧しながらも、
心惹かれるが故なんとか助けたいと彼なりに優しさを差し伸べたり。
また、セリアズの美貌には両性具有的なものを感じますし、
最後のローレンスの「彼は彼の死をもって、ヨノイの中に実のなる種を残した」という表現にも、セクシャルな雰囲気がありますよね。

すみませんこれはなんとなく考えたことをメモした感じなので、ジェンダー論とかを網羅的に勉強した上での言葉ではないです…m(__)m
あとなんか気持ち悪かったらすみません…
(追記:「彼は彼の死をもって…」というセリフ、ハラではなくローレンスの言ったものでした。思い込み&誤表記失礼しました!)

最後に

ボウイと教授の二人にかなり釘付けになってしまい感想もそんな感じですが、他の俳優さんの演技や存在感もかなり素晴らしいです。
人物の描き方や演出の雰囲気が結構好きだったので、大島監督の他作品もぜひ観てみたいな…。
長文にて失礼しました。読んでくださりありがとうございます!

1110

パンフレットも買えました〜



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?