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【2022上半期 短歌採用作品まとめ】

NHK短歌
佳作秀歌

「ねぎ」と「ま」がばらされていて盛り上がる人を尻目に「ま」だけを食べる
(3月号 田村元選「肴」)
佳作
ぼやぼやと世界は白く染まりゆき右こめかみを刺す雀蜂
(1月号 佐佐木頼綱選「痛い」)
新刊は光って見える竹取の翁もこんな感じでしたか
(1月号 大森静佳選自由詠)
「その稟議しばし待たれよ」侍は見えないロイター板を踏み抜く
(3月号 佐々木頼綱選「踏む」)
玄関のそばの一口コンロからぼくらの第二章が始まる
(3月号 佐伯裕子選「キッチン」)

NHKラジオ 文芸選評
つんのめる愛を並べたハングルよ羽ばたいて行け「チャンミン様へ」
(2/26 北山あさひ選「手紙」)
クリスマスもういらんよね?潔くツリーを捨てた母のひと声
(4/23 山田航選「昔、家にあったけど今はないもの」)
家までの最短ルートを臆せずに伝えた妹のポテンシャル
(5/7 斉藤斎藤選「タクシー」)
昼過ぎのぬるい空気を震わせて臍まで届く和太鼓の音
(5/21 佐々木頼綱選「リズム」)

中日新聞 中日歌壇(島田修三選)
悲しみの這いつくばった跡のある頬に寄り添うハンカチの白(1/10)
足首にしがみついてる歴代の女性の霊を蹴散らしていく(2/6 一席)
おたがいに聞き役の夜じりじりと加速していく紅茶の渋み(3/5)
色のない窓口に咲く花になる老眼鏡の赤青黄色(3/12 三席)
性別と年齢だけで花束を渡す役へと抜擢される(3/27)
踊り場でふと立ち止まる人だけがいつか発見できる富士山(4/10)
助手席のきみが寝息を立てたときハンドルはふと柔らかくなる(4/17)
スクワット〜人混みでぶつかられてもぶれない下半身を目指して〜(4/24)
引き出しが溢れるお裾分けされたチョコやらクーポン、悪態やらで(5/15 三席)
置かれた場所で満足ですかそうですか 笑うなもっと怒れライパチ(6/5)
ピーカブースタイルできみへと迫るいなされたって反撃できる(6/26)

短歌研究詠草
しんどくて泣きたい夜は電話して肩を作って待っているから
(4月号 小池光選)

角川短歌 角川歌壇
もうすぐに受注したスカジャンが来る着てみせるから生きて待ってて
(2月号 黒木三千代選佳作)
透明のペダルを漕いで漕ぎまくるまだ届かない採用通知
(2月号 水原紫苑選秀逸、谷岡亜紀選佳作)

歌壇 読者歌壇
ニュートラルギアになりたい職場でも家庭でもいつだって芸人
(5月号 久我田鶴子選特選)

Meets  Regional  岡野大嗣と詠むレッツ短歌!
ビヨンセになって光を浴びながら今のわたしを抱いてあげたい
(2月号 「願い」)

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