銀天幕の空鍵盤 世界観情報


銀天幕の空鍵盤[ギンテンマクノソラケンバン]


・銀


大和言葉では「しろがね/しろかね(白銀:白い金属)」という。元素記号のAgは、銀を意味するラテン語 argentum に由来する。

室温における電気伝導率と熱伝導率、可視光線の反射率は、いずれも金属中で最大である。光の反射率が可視領域にわたって 98%程度と高いことから美しい金属光沢を有す。

延性および展性に富み、その性質は金に次ぎ、1gの銀は約 2200mの線に伸ばすことが可能である。

溶融銀は 973℃において1気圧の酸素と接触すると、その体積の20.28倍の酸素を吸収し、凝固の際に吸収した酸素を放出し表面がアバタとなる spitting と呼ばれる現象を起こす。純銀の鋳造は、これを防止するために酸素を遮断した状態で行う。

貴金属の中では比較的化学変化しやすく、空気中に硫黄化合物(自動車の排ガスや温泉地の硫化水素など)が含まれていると、表面に硫化物 Ag2S が生成し黒ずんでくる。銀が古くから支配階級や富裕階級に食器材料として用いられてきた理由の一つは、硫黄化合物やヒ素化合物などの毒を混入された場合に、化学変化による変色でいち早く異変を察知できる性質からという説がある。

銀イオンはバクテリアなどに対して強い殺菌力を示すため、現在では広く抗菌剤として使用されている。
例えば抗菌加工と表示されている製品の一部に、銀化合物を使用した加工を施しているものがある。
(Wikipedia 2024.04.30 参照)

・世界と住民


世界は多くの場所が灼熱と寒気を繰り返す不安定な場所となり、水が貴重な存在となった。
水の少なさ、環境の不安定さ、化学物質汚染から植物はほとんど生えない不毛の地となっている。
世界各地には旧世界の遺物が点在しておりそれら残渣や、知識からの鉱山採掘による資源から、巨大なドーム状の居住区を”比較的”気候が緩和な地に設けている。
内部では気温、水分量が極力住みよい状態をキープするようにできており、特殊塗膜により強烈すぎる紫外線から身体を守るようにできている。
過酷ではありながらも、安定した居住と職業を持って一定以上の暮らしをしている者たちは「平民」と呼ばれ、巨大ドーム型の住居は「シェルター」と呼ばれる。
シェルターを管理するための整備士や、コック、鍛冶屋、花屋などみな職業を持っている。これはシェルターができる前の時代に協力し合うことで団結力により繋いできた名残だと思われている。
シェルター内はひとつの町として機能している。ほかの住民と問題のない関係を築けているのであれば、他のシェルターに移り住むことも問題なく可能である。

外の世界は過酷で通常であれば死をもたらすものだが、そこで多くを過ごす者もおり、「メッセンジャー」「運び屋」とも呼ばれている。
運び屋は一般的な平民よりも強靭な肉体をしており、戦闘力という意味だけではなく、生物としての耐久性が非常に高く、高温低温、超紫外線にも耐えうることができる。
これは彼らの細胞には光回復という超機能が備わっており、紫外線による光のダメージをその場で回復力として利用することができる。
ほかの住民もこの能力があるが、運び屋のそれは他とずば抜けているため、外の環境で労働を行っても死なずに済む。
運び屋は人とは違う異形をしている。このことから平民には疎まれている。
平民から運び屋の特性を持つ赤子が生まれることがあり、その際は隠して育てるか、外の世界に出して運び屋とするかを選択する。
忌避の感情から赤子のままシェルター外に出した場合、そのまま死んでしまうことも多い。
追い出された赤子は運よく運び屋に見つかるか、そうではない場合は世界政府によって近くの運び屋のグループに委託されることにより生き延びる。
その逆もあり、その際は世界政府により赤子が委託され、シェルター内に移される。
運び屋の主な仕事は「運ぶこと」である。それはシェルター間での荷物移動や、別シェルターに移動する平民の護衛も含まれる。
それより最も重要で、運び屋にしかできない仕事が、「旧世界の遺物を利用可能な位置まで運ぶこと」になる。
多くの遺物により多くのシェルター、生活用品、潜水艇などが作られたため、現在残すのは赤道近くの灼熱や、化学物質汚染が著しく平民であればひとたまりもないような地域にある。
彼らは高い報酬からその危険に挑み、時に失敗し、もしくは首尾よく成功し快楽を得ることに成功する。

このような危険な地域から避けて暮らすのが「世界政府」と「貴族」たちになる。
貴族は北極及び南極の極地、わずかに残る海で暮らしている。
非常に温暖ですみやすく、陸地は常春とわずかな冬が繰り返され、緑と花にあふれる美しい地域になる。
貴族たちは、いわゆるシェルターの小型版かつ海用である「潜水艇」を作り、海の中で大半を過ごす。
緑のある地は非常に限られており、貴族という少数の人民においてもそれを手にしているのは少数の上級貴族だけになる。
貴族たちの仕事は、彼らが「世界政府」となり、平民たちを管理することにある。
シェルターの点検状況の確認、食料の配布、運び屋たちの仕事や人数管理など、平民たちが生活を維持できるようにするための土台の管理であり、意外と多にわたる。
平民たちが貴族に反旗を翻すといった事例がごく少数であるのも、実質的にこの貢献が大きく認められているためである。
貴族たちがこのような管理をする以上、平民たちは基本的にほとんどが技術職となる。
その技術が認められたものは世界政府の誘いのよって北極や南極に居住地を移し、そこでの仕事とより豊かな物質に恵まれつ生活にありつける。
貴族たちが暮らす極部地域はほとんどが化学物質汚染の少ない豊かな場所だが、アラスカー帯と付近海洋のみが激しい汚染により封鎖されている。

・水


地球から大部分の水が失われており、非常に貴重なものとなっている。
前述のとおり大半は砂漠で、夜と朝にごくまれに霧が立ち込め朝露で湿ることはあっても、雨が降ることはない。
生活用水は配給制、もしくはそれ以上に要求すれば金銭とで交換できるが非常に高価である。
わずかに残った海は高温によって超高濃度の塩分濃度になっており、それを淡水化施設で淡水にして利用している。
生活によって出る廃液も、同様に処理施設により真水に変えられ再利用される。
淡水化施設では廃棄物として多くの塩が出る。微量の環境汚染物質が含まれているため食用にもできない(もとよりこの大量の塩を食用のみで消費しきれないが・・)。
塩の廃棄は危険を伴う。多量の塩分で構成されていることもそうだが、汚染物質が含まれるため、下手に登記をすると大地を汚染する。
過去には大気圏に投下していたという時代もあったそうだが…
この塩の結晶を芸術品として加工する塩細工職人という職業もあるようだ。
できるだけ大きな結晶を回収し、柔らかい結晶を芸術品に変える。
すべての水を搾り取られ鈍く輝くその作品たちは、まさにこの世界をあらわすものなのかもしれない。
貴族の住む極北部、極南部では晴れ、曇り、雨の大気と水の流れと環境汚染度の低さから人が飲めるほどの水源も存在するが、基本的に上級貴族の所有地であることと、彼ら含め多くが潜水艇で生活することもあり、こちらも水の供給システムはほぼ同様のようだ。

・食料


食料生産用シェルターからの配給と、わずかに畑で自家生産を行っている人民の自らの支給になる。
後者はほぼ趣味のようなもので大量生産はできない。大きな理由は個人で植物や動物を肥育するための十分量の水を賄うことが非常に難しいためだ。
唯ートマトは非常に少ない水で栽培することができ、庶民の憩いともなっている。
さすがに生食用のみずみずしいものをうまく作ることは難しいが、加工用の身の詰まったものであればそれなりの量を生産できる。
非常に過酷な環境かつ先に述べた通り、環境と水資源が限られるため、食料の生産はまとめて大量に行う方が望ましい。
食料生産用シェルターは文字通りその為の専門的なシェルターで、各地域に必要数だけ存在する。
野菜は劣化がしにくいよう品種改良されており、肉はカンヅメやパッキングされた状態まで加工される。
平民だけではなく運び屋、種類に応じて貴族にまで配給され、空輸もしくは陸路で運ばれる。

貴族社会においてここと大きく違うのは、水産物についてだろう。
魚、貝、蟹など、環境汚染の低い地域では天然物の資源を食べることができる。
もっともそれも品質基準を満たしたうえで、生涯で食べられる回数は決められている。
やはり基本的に養殖生産されたものが好まれるし、水産物の養殖は極地でのシェルターに限られている。
やはり蟹は人気の水産資源になっている。

同様に外で暮らす動植物はあまり食べない方がいい。生物濃縮および環境適応により肉にとてつもない汚染物質を含んでいる場合がある。

この世界において限られた食料を料理として楽しむことも重要とされており、それ以上に貴重な食料のロスを極力なくすという重要な役割も含んでいる。
コック、料理人は重要な専門職であり、シェルター内の人々から大事にされるほか、腕が認められれば貴族の潜水艦への専属としての招待、書物や別シェルターへの研修など学習の保証も設けられる。

・シェルター内の暮らしおよび整備


シェルターは半球状で、ポリゴンを敷き詰めたように透明な板で仕切られた物体に見える。
強化プラスチックによる透明な板と枠でできており、外部には特殊塗装により紫外線及び砂塵のキズを防いでいる。
ポリゴン状なのは交換や整備を行いやすくするためである。
生活、農業、工業のすべてを守る大事な役割を担っており、これによって人々が比較的安全に生活できるようになった。

かつてまだシェルターがなく、外に出れば人々が砂塵にまみれとなり次々と斃れるため洞窟で暮らしていた頃、ある人がやってきて、旅をするための衣裳を遺物から作る方法を教えた。その手法の中に強化プラスチックの製造法があり、やがてそれを夜に眠る洞窟の代わりとすることができた。それにより人々の行動範囲が広がり、はぐれていた人々の集団が交流できるようになり大きなつながりとなって、今のシェルター社会の基礎が生まれたとされている。
初期のシェルターに使われていた強化プラスチックには砂が多く混じってしまい非常にもろく、今は残存していない。

エネルギー源は石油および天然ガスが主流。


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