見せかけ(シミュラークル)のエクリチュール
毛糸を編む針で子を刺した。この手が未来形を、過去形を、演ずる。
鏡を破ることはなく、時間の合わさる場所に(合わさる代わりに)テクストを書く。
「夜 毛糸と森が入れかわるー現在と半過去のねじれーを縫いつける。
この黙劇ー循環するエクリチュールーは邪なイデア(観念)がいそがしい。
付け加えられた蝶番、はむなしく揺れうごき、抱えては乳房がもうない。動かない(動けない)母の順番を数えては、部屋、反復する別のエクリチュールを開く。朝なのか夜なのか、危険に晒されてはかなしさを緩めつつ「僕は母に住んでいる」、反復のテクストを書くため、いつかの分節の「ようやく」、が汚物を変えてと願う母の、なるほど、あなたが願う蝶番はもう動かない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?