心象実験

心象実験

中洲に鳥は群れ
水面のひかりが茫洋と遠ざかる
蝶から蛹へ
向こうの橋をトラックが渡ってゆく
終えることができずに
知らない場所から
知らない場所へと
飛び立つ発見を
無数のはじまりを
犬歯のような白さで
つづける
そらと水と足元の
占有権を主張しない
余分なものの
とどまる成立の
一切交わらない
真珠貝が真珠を異物として抱えているように
発酵した記憶が
鞄の底の見えない螺旋が
悩ましい
胸を圧した
発狂している
痙攣している
少年の行為のまま

*詩は行為である。 行為は行為を拒絶する(瀧口修造「詩と実存」より)

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