はじまらなかった終わりに(未来結社誌2023.11月号)
濡れたふうけいがいろを増すようもりの石をしずめては クロウリ
道のない水息に馬を追う「つる巻き」という論文のはじめに
を四等分八等分と切り分ける 方法の笑み くちびるが音読をする
情念につかえる手段、として回転する記号の図式(シェマ)をえがく
三日月は狭められた窓から わずかな直線の正しさよりもおわりに
眠りにつくもりを犯しながら穴をうめる馬 の、デッサンの続きに
あらぬ方へと曲がりたがる 脇から背中へ ひらがなの耳ざわりを
あたしの耳を噛んでって 汚れるわ熱があったの尊厳を帯びるのよ
かなさし きが すんざ さくめ おな あいだをつなぐはじめて
のひとをなのり/しらべは頬骨のまじかおぼれるくちにかたむく
(未来結社誌2023.11月号)
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