自動記述の修辞学

自動記述の修辞学

殻のなか
巻貝の奥へと日差しが届く星で作品上の意識からわたしの骨はやわらかくそっと触れた壁は収縮をする植物学的に腕の届かない場所までウイルスのように脳髄が拡大してゆく去っていった人のやわらかい三角形を超えて飛沫感染を称える無防備で不眠の女を紋殺する味蕾へと温暖化は成立し疎遠だった人を促す「魂の喜び」は数値化され感情の齟齬毒物のその微量な致死量に満たないまま桜の(梅は嫌いだ)開花宣言へとなだれ込む肥沃なもの冷蔵庫の油揚げや乳房や畑へ降り注ぐ火山灰を拭えば胸のさきから岬の裏側へとカーブしながら船はフクシマへと鳴るリズムを拒むのは美であり美はリズムである「助けて」と瓶につめて海へ流した少年の日々がトーストの焦げた匂い耳朶の匂いミラボー橋からここに残るいぬさふらんの毒を小鳥と鍵穴を埋めるようにもうひとりのわたしが立っている麦の線が脊髄に沿ってやさしいあるいは環状動脈を食う鹿の足跡の思い出山羊の解剖学昨日手紙を投函した鳥はまだ飛ばない昨日も今日も明日もカレンダーをめくりレモンを腐らせて手紙はまだ届かないあの曲がりは少女から老女への換喩なのかも厨ではストレプトマイシンとペニシリンの抗菌スペクトルを千切りにして湯せんすれば大涌谷へと至るキュゲスの指輪をロープウエイから落としてボードレールのポエジイに至らず槇の生垣の中で地図にないわたしの足首よ柔らかくなれ鶏頭のように糜爛潰瘍腫瘍ポルティコを蛇のようにくねらせて背中の傷が飛行機雲になる形代は揺れていた寒さは炎ヒトを燃やすとき屈葬を揺曳する牛の子宮の曲線までもう捨てる

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