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「花火の凄さについて」

花火がああだこうだ

ゆらゆらと揺れる電球に羽虫が集まっていたのでそれを避ける様に腰をかがめた。電球の赤でも黄色でもない光が僕達の顔をじりじりと照らす。すると空に何かが光ったのでうねるように動いていた人波もふと動きを止めた。さっきまでの僕らを包んでしまいそうだった黒い空間はそこにはなくて、途方もなく大きな花が開いていた。子供の声やシャッターの音が聞こえたがそれをかき消すように、ドンッと重い音が僕の胸に響く。花火は散るから良い。一輪一輪丁寧に打ち上がり大きく花開くのは一瞬、すぐに消えて元の夜空が顔を出す。また火の玉は空を竜のように駆け上がり傘を開いた。余りにも眩しい閃光に目を瞑りそうになったが、この迫力は見えるものの隅まで見逃したくなかった。皆、上を見ている。漂う焦げた火薬の匂い、スピーカーから流れる割れるような音、全てが完璧だった。

ずっと前から花火を題材にした短編小説を書いてみたいと考えている。
あの感じ。みんなが上を見上げる感じ。一瞬だけ世界が光って見えるような感じ。シャッター音、見ている人の声、スピーカーの音、全部の感じが好きだ。


大学祭にて

学祭のフィナーレに校庭であげる花火を見た。
大きさや数は、今年見た花火の中で正直一番しょぼかったと思う。
でも涙が溢れた。
「綺麗」とか「すごい」とか最初に出てこなかった。
湧いてくる感情よりも先によくわからないまま涙が止まらなかった。
学祭実行委員に入って一生懸命動いた。
実行委員のみんなと肩を組んで花火を見た。
隣で見てる友達の泣いている声がした。
なんの涙だったんだろう。
あれが何度も戻りたくなる「心から震えた瞬間」なのだと思う。

実行委員の友人が花火の時流す曲も決めてくれた。
花火!って感じも個人的にはしなくて、あまり聞いたことがなかった曲でどうなるか想像がつかなかったが、彼女は全部見越して曲を選んでいたのかもしれない。とても良かった。歌詞を見て思った。載せておきます。

1秒間も無駄ではない 1回きりの思い出なんだ
ああ 忘れたくないよ ずっと忘れたくないよ

バイマイフレンド bokula. 歌詞より抜粋

当たり前すぎるが、花火は一緒に見る人と自分の置かれた状況によって本当に見え方が変わる。

結局「花火」は、ただの火薬と金属を混ぜた球体が空で破裂するだけのものに過ぎないけれど、その破裂自体だけでは無く、その一瞬の破裂をみんなで見ることまで込みで好きなんだなと思った。みんなで同じ方向を見て、みんなが色々感じて忘れたくなかったり。それが好きだ。

あの瞬間がああだとかこの時の感情がどうだとかもっともっと深く語りたいけれど、とにかく素敵な時間だったのは間違いない。

全国の花火師の皆さんどうもありがとう
「花火」ってすごい!!!!!



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