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2024-05-11

・トラペジウムを観た。以下感想。

どうもネットでは賛否が別れるような感じだが、個人的にはそんなに酷評するほどでは無いと思うし、むしろよかったと思う。ストーリーに色々言いたくなるのはそもそも原作からそうだろうし。作画を含めた演出はかなり丁寧に作り込まれている印象を受けたのでくろーばーわーくすさんいつもありがとうの気持ち。

数年前に原作を読んだから大まかな流れは覚えていたのだけど、アニメーションでなぞったほうが数倍話が分かりやすかった。話の流れは、自分の記憶が正しければ基本的に原作通りだったと思う。場面の転換とか、気まずい雰囲気の間とか、文脈から読み取りにくそうな細かさは映像と音できっちり補完されていたように感じた。

「主人公が、人間を自分を成長させるための飾りとしか思ってないからヤバい」と主人公をサイコ呼ばわりしたツイートがバズっていたが、これは誤解を生む表現だと思う。むしろアイドルを目指すくらいなのだから、他人を利用してでものし上がろうとするくらいのメンタルがなければやっていけないのではないだろうか。事実、作中屈指の萌えピュアキャラである大河くるみは、友達がやりたがっているからなんとなく一緒にやるというブレブレのマインドでアイドル活動を続けた結果、自分を見失って壊れてしまう。対して主人公である東ゆうは、自分の夢を叶えるためには手段も厭わない。他人を巻き込んで、ボランティア活動を踏み台にして、一度は掴んだ輝きが瞬く間に消えて無くなったとしても、(ご都合主義なところはあるが)10年後に唯一アイドルとして活動を続けている。確かに周りの人間を道具のように思っているかもしれないけれど、そこまでしてアイドルになりたいという芯の強さがある。一方で最後には”私は周りが見えてなかった”と自覚し、自分の非を認めて謝罪する。そういう成長譚である。ここまで人間の黒い部分を描いてることがこの作品の肝の部分であって、それを現役のアイドルが描いたことに価値がある作品だと思う。

アイドルはデバッグできないからね←人生の大半のことはデバッグできないと思いまつが……………………………………。

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