『ぼくはマンガ家』感想

たまたま豊島区立図書館に入れたので、手塚治虫の本を読みました。
他所者でも閲覧席が利用できる図書館は本当にありがたいですね…。

ウォルトディズニーに憧れて

鉄腕アトムのアニメーション制作にも携わり、ウォルトディズニーが密接に憧れとして存在していたんだ…というのがまず学びとしてあります。

そして当時のアニメーションは「ウォルトディズニーがえらすぎた」として、人件費とか、制作の期間とか、家族向けに健全なものを作り上げたことがかえって後発に苦労を背負わせたという事実は面白かったです。
これは『君の名は。』ヒット以降の時代…コロナ前ぐらいにも言えるかなと思っていて、制作がこだわった絵の綺麗さに引っ張られすぎた後発の作品って結構多かったりしたので、時代をリードした作品の後って繰り返すものなのだなあとしみじみ思いました。

鉄腕アトムの長期化と

鉄腕アトムの頃から『バンク』システムが登場していたのは興味深いものでした。
よくガンダム、特にSEEDはネタにされていましたが、そこまで遡るんだ…と何も知らずにアニメを観ていたことに気づきます。

4年アニメを続けるにあたって、バンクに加えて台本脚本としても、正義や綺麗なストーリーを振りかざす、本来のユーモアを欠いた作品になってしまったことを手塚治虫自身が後悔していたのは面白いと思ったし、またアニメーション制作の組織が巨大化していった当時の事情を垣間見ることができたのもよかったです。

ユーモアをマンガは持つ

文明が発達した国ほどユーモアを解するとして、そうでない文化圏では(戦前、戦後の田舎では)卑近な笑いを探すのにことかかなかったことを手塚治虫自身が感じていたのも興味深いです。
セックスの話題をはじめ、原始的で、反射的な話題しかない、と嘆いていたのはある意味で現代にも適用されてしまうのかもしれないと、一平さんのことばかり紹介しているテレビやネットのことを見て思いました。

とはいえ、現代のマンガというのは、そのソーシャルメディアに組み込まれてしまっているのかもしれません。
自分がそこまで漫画に熱を込めて見れていないだけとは思いますが、真のユーモアが発揮されるマンガはそんなに多くないのかもしれません。反面、本当に面白いマンガはしっかり面白いので、オススメされたものは頑張って読みたいとは思っていますが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?