料理はパズルだ!並行して作るエクスタシー
人生で楽しいことは何か?
わたしはこう答える。「およそ生きていくのに必須ではないことで、試行錯誤すること」
仕事で試行錯誤するのは当たり前だ。生きていくのに必須だから。
料理もおんなじだ。生きるため"だけ"の自炊はわたしにとってはつまらない。
楽しいのは、経済的、健康的、だけではない自炊だ!!!!!!!
料理の楽しいところ。
買ってきて並べた"食材"が、手をかけると”料理”にかわるところ。
そのビフォーアフターがたまらなく楽しい。
自分がしたあれこれで、同じものが全く姿を変えて美味しくなる。
それともうひとつ。
複数同時並行で調理して、出来上がりの時間帯をコントロールするパズルがたまらなく楽しい。
先に冷蔵庫から出して常温に戻しておくもの、あらかじめ切っておくもの、火をつけてから切ればいいもの、先にレンジに放り込んでおくもの・・・・
パズルがピタッとはまって、手際よく下準備ができたとき、
仕上がりの時間が狙い通りになったときの快感はひとしおである。
大学生の時、イタリアンレストランのホールスタッフのアルバイトに応募したことがある。
店長は面接を終えてこう言った。「・・・・。うちはホールだけじゃなくてキッチンも募集しているんだ。賢そうだからキッチンはどうかな?」
ちなみにわたしは自他ともに認めるほど死ぬほど愛想が悪い。
店長がその指摘を呑み込んだことは後に知った。
で、このキッチンのバイトがむちゃくちゃ楽しかったのである。
始めにそれぞれの料理の行程と出来上がり時間を学び、頭に叩き込む。
私は超のつくガリ勉でこの手の暗記は死ぬほど得意だったのでめちゃくちゃ勉強してすぐに覚えた。
あとは実戦で
メニュー ― 手順 ― 時間
の対応を常に組み合わせ続けるだけである。
サラダはドリンクが出たら少し後に出るように。
揚げ物が入ったら時間がかかるから先に入れておく。
仕込みのポーションの解答に時間がかかるものはオーダーが入ったら真っ先に。
新しく来たお客さんのオーダーによって自分の頭の中のタイムラインを都度修正。
あの時はすごく楽しかった。
「愛想はないけど頭の回転が早そうだからキッチンにしてよかったよ」と褒められた(?)のはいうまでもない。
翻って今である。
家につくとまず生卵を冷蔵庫から出して常温に戻す。
他の家事をこなしつつ卵の温度をみて、お湯を沸かす。
お湯を沸かしてる間に晩御飯の野菜を切る。
ついでに5日間かけて仕込むロースハムの味付け用の野菜を切っておく。
卵を茹でる。
その間にキーマカレーのルーを作ろう。冷凍しておいて今週の非常食にするのだ!
卵を茹でてる間にタッパーに具材を入れて混ぜ、レンジへ。
卵がゆだったら今度は同じ鍋で晩御飯を作る。
鍋ふつふつの間にカレールーができたので粗熱をとって冷凍。
野菜に火が通ったら火を止めて、肉を放り込んで風呂へ入る。
こうするといい感じに火が入る。
風呂から出たらロースハムの味付けをしつつ、お鍋に最後の火入れ。
ホカホカの自分と、あったかいお鍋と、来週食べるロースハムと、明日の昼食べるゆで卵と、いつでも食べられる冷凍キーマカレーのできあがりである。
今日もいいパズルでした。
一日の中のパズル―どれをどういう順番で作るか
と
一週間の中のパズル―どの食材をどのように消費し、いつ食べるかいつまでに食べるか
両方、一人暮らしではタイムラインが生まれて楽しい。
楽しい自炊が好きなので、調理用牡蠣を買ってきてアヒージョにしたり、
刺身高いなぁと思いつつ買ってきて火を入れ自家製ツナを作ってしまったりするのであまり経済的ではない。
長期スパンの料理ではこちらが楽しい。
仕込みに2週間かかったりする、だがそれがいい。
ゲームしてる間や寝てる間に何かが美味しくなっていると思うのは非常にわくわくする行為である。
今日も明日もぴったりのパズルをしたいのだ、そんな自炊は楽しいい。
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