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親戚の子供へのプレゼントとして自作ボドゲを作ってみた話

 こんにちは!ボードゲーム製作サークル 23時10分マエ です。

 この投稿では23時10分マエの中の人の一人、くれみあが親戚の子供の誕生日プレゼントとして、自作ボードゲームを製作した体験談を載せています。

 短い期間で、なおかつ安価に本格的な自作ボードゲームを作る方法をまとめておりますので、ボドゲ製作にご興味がある方は是非ご一読いただければと思います!

私たちの紹介

 最初に私たちのことを軽く紹介させてください。私たちは社会人2人で構成されるボードゲーム製作サークルで、趣味でボドゲを製作しています。これまでに、『校歌創作カードゲーム ああ我らが○○学校』『GRAVITY』『Who Is AI?』『SEESAW』などを製作、頒布しています。
※ 下記の記事は、ゲムマに初出展した時の体験談です。

ボードゲーム製作の経緯

 まずは簡単に経緯を紹介します!

親戚家族の甥っ子の3歳の誕生日が近づいてくる。

これまでに自作Tシャツや、3Dプリンターで自作したおもちゃなどをプレゼントしてきており、今回も何か自作したものをプレゼントしたい。

そろそろ幼稚園が始まる年齢なので、ひらがなを覚えることが出来るなど知育要素があるものだと親にも喜ばれるかも。

水族館やお魚が大好きな子なので、それらをテーマにした簡単なボードゲームにしよう!

というような経緯で、『水族館をテーマにした3歳児でも遊べるボードゲーム』を作ることにしました!

予算とスケジュール

 まず予算ですが、青天井とするわけにはいきません。親戚家族とは「毎回子供の誕生日に送り合うプレゼントはこれぐらいの額にしようね」という決め事があります。そこでひとまず、いつも通りの額である3,000円ぐらいを予算としました。

 続いてスケジュールですが、ざっとこんな感じです。

製作スケジュール

 なんとびっくり、思い立ったのは誕生日当日の1週間前です。理由を説明すると、本命としていたプレゼントが急遽NGになり、代用品を考える必要がありました。そこで浮かんだ案が自作ボードゲームです。1週間で自作ボドゲを?!出来らあっ!幸い必要な物のほとんどは手元にあり、不足する物も100均で手に入るものばかりだったので、スケジュール通りに製作が進みました。

アイデア出し

 まず、今回製作する『水族館をテーマにした3歳児でも遊べるボードゲーム』に必要な要素について書き出してみました。内容は以下の通り。

  • 親の補助があれば、3歳児でも理解でき楽しむことが出来るシンプルなルールであること。

  • 親しみやすいデザインで、ひらがなや数字を学ぶきっかけになるゲームであること。

  • (せっかくなら)大きくなっても楽しめるゲームであること。

これらの要素について考え、思いついたボードゲームが下記の通りです。

  • 自分だけの水族館を作るゲーム。プレイヤーは水族館長になって、好きないきものカード(お魚やイルカなど)を集め、自分だけの水族館を作っていく。

  • いきものカードには、可愛い生き物のイラストとひらがな、そして数字が書かれている。

  • やることは毎ターン、場からいきものカードを1枚取るだけ。そして5枚カードを取ったら終わり。

  • 勝ち負けなど複雑なルールは、遊ぶ子の成長段階によって適用するかどうか決められるようにする。

  • 最後に、自宅のプリンターで作れるようにコンポーネントは紙製のカードとボードのみ。

好きな生き物を集めて水族館を作るゲームです。いきものカードには、甥っ子が大好きなお魚の名前がひらがなで書かれていて、カードを選ぶ過程でひらがなを覚えることが出来るという仕組みです。またルールは極力シンプルに。複雑な箇所は成長段階によって導入する/しないの調整が出来るようにすることで、幅広い年齢層で楽しめるようにしてみます。

 早速ですが、完成したボードゲームはこちら。

外観。甥っ子の名前や写真を一部のカードに使っているため、そこは隠しておく。
場に並べた沢山のいきものカードから1枚を選んで、自分だけの水族館を作る。

以降では、細かい製作過程について紹介していきます。

ルール決め

 では具体的なルールを決めていきましょう!まず、アイデア出しの段階で作成したルールは下記の通りです。

  1. すいそうシートを全員に配る。

  2. いきものカードをシャッフルして山札を作る。

  3. 山札からカードを何枚かめくって表にし、場に並べる。

  4. スタートプレイヤーから順にカードを1枚ずつ取っていく。

  5. 全員がカードを取ったら、スタートプレイヤーを変えて5回繰り返す。

終わると5枚のお魚がすいそうシートに並んで自分だけの水族館が完成します。

完成した水族館。

3歳児向けのルールとしてはこれで良さそうです。自分だけの水族館を作る過程と、出来上がった水族館に満足してくれる気がします(多分)。というわけで、次はここに細かいルールを足して、大きくなっても楽しめるゲームにしていきましょう。

 最初に勝敗の決め方を考えてみます。これはシンプルに、集めたカードの点数の合計点とするのが分かり易くて良いと思います。それぞれのいきものカードに1~10の数字を設定し、得点が高いカードを集めたプレイヤーが勝つというルールにしてみます。

いきものカードの右下に1~10の数字を設定。

 次に、ここからさらに細かいルールを追加して、より一層面白くしてみましょう。いきものカードの周囲に5種類の色を塗り、それぞれの色に対応したすいぞくかんちょうカードを追加します。そして、ゲーム開始前にそれぞれのプレイヤーは好きなすいぞくかんちょうカードを選び、そのカードと同じ色のいきものカードにはボーナス点が付与されるようにしました。これにより、ただ数字が大きいカードを選ぶだけでなく、自分の色と同じ色のカードを選ぶという選択肢が増えました。

すいぞくかんちょうカード。
水族館長となるキャラには、甥っ子など子供たちや、甥っ子が好きなキャラをチョイス。

 またポーカーのように、集めたカードの組み合わせ次第でボーナス点が付与されるようにもしてみましょう。例えば、同じ数字のカードを3枚揃えたら「スリーカード」という役が成立し、大きなボーナス点をゲットできます。これにより、数字が小さいカードにも利用価値が生まれ、役を揃えるためにあえて数字が小さいカードを選ぶという選択肢も増えることとなりました。

役はほとんどポーカーと同じ。
3歳には難しいと思うけれど、いつかその時が来たら。

 ボードゲームを作っているとついつい色々なルールを追加したくなりますが、そろそろ本来の目的を忘れそうなので、このあたりでストップしましょう。これまでの変更を追加したルールが下記となります。

  1. すいそうシートを全員に配る。

  2. すいぞくかんちょうカードを全員に配る。

  3. いきものカードをシャッフルして山札を作る。

  4. 山札からカードを7枚めくって表にし、場に並べる。

  5. スタートプレイヤーから順にカードを1枚ずつ取っていく。

  6. 1巡したらスタートプレイヤーを変えて、5回繰り返す。

  7. ポイント計算を行い、ポイントが一番高い人が勝ち。
    ※ 自分のすいぞくかんちょうカードと同じ色のいきものカードは加点
    ※ 役が成立していたら加点

太字のルールは、遊ぶ子の成長段階によって適用するか決めます。というわけで、大体のルールが決まりました。あとは少しテストプレイを行って、さらに細かい要素を調整したら完成です。

デザイン製作・ロゴ依頼

 続いてデザインを製作していきましょう。製作するデザインは下記の通りです。

  • カード2種(いきものカード、すいぞくかんちょうカード)

  • すいそうシート

  • 化粧箱(身、蓋)

  • 説明書

カードやシートの他に、今回は少し頑張って貼り箱タイプの箱を製作してみることにしました。作り方は後述しますが、意外と仕組みさえ理解していれば簡単に作ることが出来ます。

 今回は製作費用を抑えるために、デザインに用いるほとんどのイラストをフリー素材を用いて製作することとしました。見た目を良くするために、唯一タイトルロゴは外注しましたが、もう少し時間があればこちらも自力で作っても良いかもしれません。

 まずフリーのイラスト素材は、イラストセンター(https://illustcenter.com/)や、イラストAC(https://www.ac-illust.com/)、そしていらすとや(https://www.irasutoya.com/)を利用させていただきました。どのサイトも高クオリティなイラスト素材が多数アップロードされていて、非常に便利です。ほんとありがたいです。
※ イラストセンターは、20点以上のイラストを商用利用する場合料金がかかりますが、個人利用の場合は無償で使わせていただけるとのことです。

 次にタイトルロゴは、スキマ(https://skima.jp/)を通じて見つけた方に依頼を致しました。最近知ったのですがスキマには、数千円程度、なおかつ短期間で高クオリティなロゴを製作して下さる方が多くいらっしゃいます。今回依頼したロゴは納期約2日、金額2000円で制作いただいたのですが、それでこのクオリティは凄いですよね…

 それぞれの素材が手に入ったら、後はPhotoshopを使ってデザインを仕上げていきます。

 カードは塗りしろを考慮して少し大きめのサイズでキャンパスを作成し、デザインを製作していきます。

 一通りカードが完成したら、A4サイズのキャンバスにカードを並べていきます。この時、裁断用のトンボを設けるのも忘れずに。

 すいそうシートはこんな感じ。シンプルなデザインです。

 続いて化粧箱のデザインを製作していきます。今回製作する化粧箱は貼り箱と呼ばれるもので、ボール紙で作られた芯に、デザインが印刷された紙を貼り付けて作ります。詳しい内容は下記のリンクをご覧ください。

 まず身(下側の箱)や蓋(上側の箱)の内寸、そして貼り付ける際に必要なのりしろの大きさを考えます。ちなみに今回は厚み1mmのボール紙を芯材として使用しましたが、この場合蓋の縦横サイズはそれぞれ、身のサイズに対して4mm程度大きい値を採用すると、子供でも開けやすくて良い感じでした。ただ若干スカスカにも感じるので、もう少し小さい値でも良いかもしれません。

続いて計算したサイズに合わせてキャンパスを作成し、それぞれのデザインを作っていきます。完成したのがこちら。

蓋デザイン
身デザイン

印刷・加工

 最後に、作成したデザインを自宅のプリンターで印刷していきます。それぞれの印刷用紙は下記の通り。いずれも家にあるインクジェットプリンターで印刷しました。

  • カード2種(いきものカード、すいぞくかんちょうカード)
    両面光沢用紙、厚さ0.3mm

  • すいそうシート
    普通紙、厚さ0.1mm

  • 化粧箱(身、蓋)
    ラベルシール光沢紙、ラベル部厚さ0.11mm

  • 説明書
    普通紙、厚さ0.1mm

カードは表裏両方に印刷したかったので両面光沢で、またある程度厚みがあった方が使いやすいので厚さ0.3mmのものを選択しました。化粧箱に貼る紙はラベルシール光沢紙をチョイス。最後に、すいそうシートや説明書は普通紙を選択しました。

 ここからは、それぞれの加工や組み立ての風景をお見せします。まずは化粧箱から。

用意したボール紙。
ボール紙の裏側に、ペンで裁断箇所を書いていく。
書き終わり。この線に沿って裁断する。
裁断終わり。
折り目の箇所に優しく切れ込みを入れていく。決して力を入れ過ぎないように。
切れ込みを入れ終わったら、折っていく。
それぞれの辺をマスキングテープで留めたら芯が完成。
ラベルシールも印刷。
さくっと裁断して…
芯に貼り付けていく。位置合わせは慎重に。
短辺から貼り合わせる。
隅に切り込みを入れるのを忘れていたので、急いでハサミで切り込みを入れて…
両辺とも折り込んだら、身が完成。
裏返すとこんな感じ。良い感じ。
同じようにして蓋も完成。

これで化粧箱が完成です。

 続いてカードも作っていきましょう。

一通り印刷が完了。
トンボに合わせて裁断していく。
裁断終わり。このままだと角が尖って危ないので…
角丸PROを使って角を丸くしていく。
良い感じ。ただ光沢紙なのでちょっと表面がベタつく。こんな時は…
スリーブに入れてみよう。100均で手に入れたソフトスリーブにイン。
スリーブも角を丸くしたら、出来上がり。

無事カードも完成しました。

 残りのすいそうシートと説明書も裁断したら、ボードゲームの完成です。いや~良い感じ。主に化粧箱のおかげですが、自力でもこのような少し本格的なボードゲームを作ることが出来るんですね。甥っ子にプレゼントするのが待ち遠しいです。

完成品【再掲】

実際に遊んでもらった

 というわけで、プレゼントして実際に遊んでもらいました。甥っ子やその兄弟、そして我が子もゲームに参加。結果としては、甥っ子含め全員とても楽しそうに遊んでくれました。特に甥っ子は出来上がった水族館にご満悦なようで、嬉しそうに眺めていました。やったね!

遊んでいる様子。
甥っ子が作り上げた水族館。黄色い魚のモーリーがお気に入りの様子。

 ゲームの難易度としては、追加したポイントや役といったルールは説明せず、なおかつ大人がゲームの準備や進行を担えば、3歳児でもゲームの内容を理解した上で楽しく遊べるといった具合です。ちなみに一緒に遊んでいた5歳児は、勝ち負けの概念や、ポイントの多寡を理解して高いポイントのカードを選択していました。

かかったお金

 最後に、今回のボードゲーム製作にかかった費用をお見せします。


ロゴ発注費用 2,000円
カード用の両面光沢用紙 125円
カード用のスリーブ 110円
化粧箱用のボール紙 99円
化粧箱用のラベルシール光沢紙 44円
すいそうシートや説明書用の普通紙 7円
印刷費 211円(プリンターのカタログ値から推測)
合計 2,595円


合計約2,600円で作ることが出来ました。カード用のA4用紙や化粧箱用のボール紙などは大量に入ったものを購入しているので、実際はもう少し費用がかかっていますが、1個あたりの価格は予算(3,000円)以内におさめることが出来ました。

所感

 今回、3歳の誕生日を迎える甥っ子のために自作ボードゲームを作ってみました。一通りの製作活動を通じて得た感想は下記の通りです。

■ 製作期間1週間でもなんとか作り上げることが出来た。
 割とタイトなスケジュールでしたが、シンプルなルールのゲームだったので、なんとか期間内に形にすることが出来ました。テストプレイは必要最低限しか出来ていないのでルールやバランスに粗があるかもしれませんが、その辺りは今後アップデートをしていきたいと思います。

■ 印刷・加工が想像よりも大変だった。
 今回コンポーネントは全て自宅で印刷、加工したのですが、この作業が想像よりも大変でした。かかった時間はそれほどでもないのですが、印刷の設定や、印刷用紙の裁断にかなりの慎重さが要求されました。そして製作費用はロゴを除くと約600円。印刷業者によってはさほど変わらない単価で作ってくれることを考えると、改めてその凄さを実感できますね…

■ 作ったものを楽しんで遊んでもらえるのは最高に嬉しい。
 今回一番嬉しかったのはもちろん、作ったボードゲームを甥っ子たちが楽しんで遊んでくれたことです。もうほんと製作者冥利に尽きます。頑張って作って良かった!

さいごに

 ここまで読んでいただきありがとうございました。思いのほか長文になってしまいましたが、お読みいただいた方に何かしら得るものがあれば幸いです。

 そして最後に宣伝となりますが、私たち23時10分マエは来月催されるゲームマーケット2023春に出展いたします。

頒布するのは今回の記事で紹介したボードゲーム!!!
…ではなく、AIチャットボットと組み合わせて遊ぶ正体隠匿系カードゲーム『Who Is AI?』と、昼と夜、2つの数字を持つカードを使って遊ぶゴーアウト系カードゲーム『SEESAW』の2点です。詳細は下記リンクをご覧ください。

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