19-20シーズン 通信簿(SH編)

はじめに

前回の更新から時間が経ってしまい申し訳ありません。
今回はSH編ということで、主戦場がサイドハーフの選手4人の今シーズンを振り返ってみました。
ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです!

10.Angel Correa 🇦🇷

33試合出場(2067分) 5G 7A(6Aとも)

去年の夏の今頃、アンヘルコレアはミランへの移籍を目前としていました。
ハメス・ロドリゲスやロドリゴらの、獲得資金を入手するために放出候補となっていたのです。
しかし、ミランはコレア獲得の資金を用意できず結果としてコレアはアトレティコに残留することとなりました。

18-19シーズンの最終戦で退場したこと、さらにこの移籍騒動もあって大きく出遅れたコレアは、昨季同様ジョーカーとしてシーズンを開始したのです。
転機が訪れたのは10月中旬、それまで攻撃の中心を担っていたジョアンフェリックスが負傷し、1ヶ月離脱をすると代役としてSTや右のSHとして起用され、ゴールやアシストなどの結果を残します。

その結果フェリックス復帰後も右SHの1番手としてシーズンを送ることに成功するのです。
ここまでは昨季と余り変わらないような気もしますが、今までのコレアとは違う点がいくつかありました。
1つ目は守備能力の向上です。グリーズマンが退団し、フェリックスとモラタのツートップになった今期、前線からの守備が全く機能しない状態になっていましたが、コレアは90分間スプリントできる体力を武器に守備でも走り回る姿が目立ちました。
2つ目はオフ・ザ・ボールの向上です。
今までもボールを持った際の仕掛けの質はありましたが、左サイドからのクロスに斜めに走りこんだり、DFの裏を取るような動きが今季から急激に増加しています。
結果、中断前の時点でチームで最もゴールに絡んだ選手となっていました。

しかし再開後、ジョレンテの台頭やカラスコの復調などにより、出場機会はやや減少。尻すぼみのシーズンとなってはしまいましたが、今季の出場試合数(全コンペティション)はチーム全体で4位の45試合。
4シーズン連続で公式戦40試合以上出場を果たし、怪我の少なさとチョロからの信頼が読み取れます。

以前よりもプレーの幅が広がり、ゴールにも絡めるようになったコレアの来季の活躍にも期待です。

11.Thomas Lemar 🇫🇷

22試合出場(920分)

グリーズマンが退団した今期、覚醒が期待されていた。プレシーズンには左サイドハーフとしてプレーし新加入のフェリックスやロディと好連携を披露し、新たに軸に据えられた4-3-1-2のトップ下のレギュラーとしてシーズンを開幕した。
しかし蓋を開けてみれば4-3-1-2は守備面の不安から早々に断念、レマル自身も期待されたチャンスメイクなども拙くわずか数試合でレギュラーから降格。

その後、コレアやビトロが出場機会を減らし、冬の移籍市場の終了間際にはカラスコが加入したことで序列を大きく落としてしまいます。

冬には放出候補となり、ノースロンドンの2チームから興味が示されたものの、成立はせず。
本人もアトレティコで結果を残す覚悟を決めた、との報道もあり復活に期待が寄せられたり寄せられなかったりしました。

だがしかし、結局は、その後小規模な怪我も繰り返し、出場機会すら伸びずにリーグ戦も終了しました。
結果的に、22試合の出場で0ゴール0アシストに終わり、シーズン前の期待を大きく裏切る形となってしまいました。

ここまで不調に陥り続けている理由を考えたいと思います。
昨季はグリーズマンとプレーエリアが被ることが原因だと考えられていました。今期はそのグリーズマンは退団しましたがそのプレーは大きく変化することはありませんでした。
今のレマルの問題点は技術面よりも、何よりもメンタル面に問題があると指摘されています。
ボールを受けても多少プレッシャーを受けると仕掛けようとせずにゴールに背を向ける形でボールを持ちたがるようになってしまっているからです。
好パフォーマンスを披露していたPSMの時は前を向いて仕掛けたり、チャンスメイクできていました。

今レマルに必要なのは、プレーする上で自信を取り戻し攻撃的な姿勢を取り戻すことです。持っている技術自体はアトレティコの中でも最高峰で、Instagramに上がる練習動画を見る限り、その事実は疑いようもありません。
環境を変えることもその手段のひとつかもしれません。具体的な話はまだあまりありませんが...

レマルに過度な期待をするアトレティコファンはもはや居ないかもしれませんが、少なくともレマルが復活したとして、喜ばないアトレティコファンは居ない、というのは間違いないでしょう。

20.Vitolo 🇪🇸

28試合出場(1218分) 3G 2A

ビトロも加入後3期目を迎えました。
今季も相変わらず小規模な負傷離脱はありますが、加入後最多の28試合に出場しています。

ボールを収めて、確実に前線までボールを運んだり、ファールを貰ったりといったらしいプレーは相変わらずチームにとって大きな存在となっています。フェリックスやコスタらの離脱期間が長かった今季は最前線での起用も増えていますが、流石のビトロ。最前線での起用にも適応しました。
守備面での貢献度も非常に高く、チームにとってのオプションのひとつとして特に後半戦で頻繁に見られるようになりました。
リード時に時間を作ったり、攻撃が停滞している時にチームの攻撃を円滑化させたり、という役割は今のアトレティコではビトロが最も長けているのではないでしょうか。

とはいえ、決定的な役割を担うことは少なく、あくまで「便利屋」としてチームの穴を補うような役割をアトレティコでは担っていると言えるでしょう。

しかし冬にカラスコが加入し、カラスコがレギュラーとしてプレーすることが増えたので来季以降もビトロはジョーカーとして、便利屋として起用が続くのではないでしょうか。
レギュラー奪取にはもう少し目に見える結果が必要でしょう。

アトレティコの2列目の選手の中では最年長で、31歳になるビトロ、残り少ないであろう(あと1年?2年?)、アトレティコでの時間、プレーを存分に楽しんで欲しいですね。

クールそうな見た目に反しておちゃめな姿も見せるビトロの素顔にもぜひ注目してみてください!

23.Yannick Ferreira Carrasco🇧🇪(26)

15試合出場(628分) 1G 4A   (冬加入)

冬市場終幕間際に衝撃の復帰劇を見せ2年ぶりに復帰したベルギー人ウインガー。
完全ではなく、レンタルでの加入で給料の一部は大連一方が負担しているとの報道も。
30mの買取オプション付き。

ストライカーの獲得が噂されていた中での急転直下で驚きの声も多かった。
一方で、チームに欠けていたロングカウンターの迫力や押し込んだ後の曲面打開の切り札として復帰当初から期待する声も大きかった。
復帰初戦のマドリードダービーでいきなり途中から起用されると相変わらずのドリブルを見せつけるなど、まずまずの好プレーを見せた。

しかしその後はインパクトのあるプレーは見せられず、中断中には買取は無しで、との声も増加していました。実際にコロナ禍の中では高額の30mの価値のあるプレーは見せられていなかったのは間違いないでしょう。

しかし再開後、ジョレンテの陰に隠れてこそいますが、大きなサプライズとなりました。前回在籍時には問題視されていた主に守備面でのプレーのムラもなく、さらに、プレースキッカーとしての役割も担うなど存在感を増し、武器のドリブルも随所で輝きを放ち、バルセロナ戦はPKを2つ獲得するなど素晴らしい活躍を見せました。

かつてのカラスコはドリブル一辺倒で玉離れが悪く、プレーの波(特に守備面において)が激しかったためにレギュラーを確保しきれなかったために移籍してしまいましたが、当時の問題点は2年間の中国生活ですっかり改善されていました。(何があったのか...?)

結果として激戦区の左サイドハーフのポジションを確保しました。
クラブは買取オプションの金額は払えないものの、チームに不可欠な選手と考えレンタルの延長を大連一方と交渉しているようです。

奥様が中国の生活に適応できなかったこともあり、本人も欧州復帰を熱望していたとの事ですし、このまま実現してくれれば、と思っています。

アタッカータイプの適応が難しいアトレティコのサイドハーフ。それでも、攻守に安定して貢献ができる、自分の良さが出せる数少ない選手に成長したカラスコはチームにとっても不可欠ですし、CLでもキーマンとなるでしょう。

CLでのカラスコの活躍、そして残留を心から願っています。

終わりに

最後までお読みいただきありがとうございました🙇‍♂️
ここで紹介した4人以外にも、ジョレンテやフェリックス、そしてもちろんコケやサウールもプレーする最激戦区のサイドハーフはアトレティコにとっても、最も重要なポジションのひとつです。
サイドハーフの人選は試合によって大きく変わりますし、その人選からチームの狙いを推測することも出来ますから、ぜひ、アトレティコの試合を見る際にはサイドハーフに注目してみてください!

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