サウールの復活へ

前回、フェリックスに関する妄想を垂れ流しましたが、今回はサウールについて考えてみたいと思います。

現状と課題

サウール。
アトレティコの主力でシメオネスタイルの象徴。

というイメージが一般に抱かれているかもしれません。それは、半分は当たりで半分は外れているというのが現状です。(贔屓目に見て)

実際に、昨季までは試合中の戦術変更やフォーメーションの変更に柔軟に対応し、チームのキーマンの1人でした。
しかし、そうした柔軟性から過剰に重宝された結果、「便利な選手」に成り下がってしまった、というのが現実です。

15-16シーズン、一気に名を上げたバイエルン戦のようなドリブル突破も、U21EUROで中盤の選手ながら得点王を記録した時のようなフィニッシャーとしての能力も、シメオネの求める役割に適応していく中で失われてしまったのです。

そして、皮肉なことに、今シメオネが求めているサウール像、インテリオール像こそ、シメオネがサウールから奪ったと言っても過言ではない4,5年前のサウールそのものなのです。

これだけだと、全ての元凶がシメオネのように聞こえてしまうかもしれませんが、もちろん、そうではありません。

今季のサウールは、最大の武器だったトランジションの速さ、インテンシティの高さをほぼ失ってしまっている状態です。
肉体面の蓄積された疲労や、出場機会減少による精神面の不安定さが原因とも推測されますが、もちろんそれは本人にしかわかりません。(本人も分からないから苦しんでいるのかもしれません。)

確かなのは、そうした負の循環の中に囚われ、袋小路に陥ってしまっていること。
そして、今のサウールの居場所(レギュラーポジション)はアトレティコには存在しないこと、のふたつです。

途中出場した前半戦のマドリードダービーや、CLチェルシー戦の1st Leg のパフォーマンスは昨季同様チームの中心を担う選手のそれでしたし、左のウイングバックとしてのプレーは及第点は与えられるものでしょう。
ただ、サウールがサウールである以上、そのレベルで満足できるはずもないのです。

改善策

考えうる改善策は4つ。

1つ、かつての攻撃的なプレーを取り戻すこと。
2つ、アンカーのポジションに適応すること。
3つ、中盤2枚横並びの戦術に回帰すること。
4つ、CBの1番左のポジションでプレーすること。

1つずつ見ていきましょう。

1つ、かつてのサウールのような攻撃的なプレーを取り戻すこと。

この前提条件として、起用されるのが中盤であっても右サイドよりのポジションであることは留意しておくべきでしょう。
バイエルン戦も翌年のレバークーゼン戦も、U21EUROでさえ、右サイドでの起用でした。
エリア内への飛び出しはともかく、右サイドでのプレーの方が、サウールにとってはプレーの選択肢が多く取れるからです。

ただし、守備的なボランチとしてのプレーが続いたサウールが数年前のようなプレーを取り戻せるかが不確かな要素なのは言うまでもないでしょう。
が、サウールがもっとも自然に5-3-2,5-4-1可変にハマるとすればこのポジションがベストなのも
間違いないはずです。

2つ、アンカーのポジションに適応すること。

現在はコケがレギュラーで、エレーラがバックアッパーを務めているアンカー。
トレイラやコンドグビアはこのポジションで十分なプレーを見せているとは言えませんが、サウールもまた、このポジションでのプレーが十分であるとは言えません。

それでも、数年前よりも守備的な立ち位置が多くなったサウールにとって、比較的適応しやすいポジションであると考えることも出来るでしょう。
しかし、動的なスタイルのサウールにとって、中盤の底でどっしりと構えることはあまり向いているとは言えませんし、3バックのアンカーはボールを引き出す動きの上手さも求められますが、その動きも得意であるとは言えません。
このポジションでの適応はあまり期待できないというのが現状です。

3つ、中盤2枚横並びの戦術に回帰すること。

この戦術は定期的に、現時点でも採用されています。
試合中の調整の中での4-4-2、あるいはフェリックスとコレアのツーシャドー起用のための3-4-2-1です。
この戦術の時のサウールは、今季の中でも比較的良いプレーをしています。
先にあげたダービーやファーストレグもこの形でした。
が、あくまで現時点ではあくまで、中心的なフォーメーションではなく、上手くなっているチームで戦術を変えるのは現実的ではありません。

4つ、CBの1番左のポジションでプレーすること。

現在エルモソが務めているこのポジション。エルモソが負傷が少ない選手だから良いものの、チームには左利きのバックアッパーがいません。
そうしたチーム事情も含めて試してみる価値はあるのではないでしょうか。

昨シーズンまで好調だったサウールは4-4-2のフォーメーションながら、両CBの左、今エルモソが務めているこのポジションの位置に下がってきてビルドアップに絡むスタイルが基本でしたし、高さもありCBとしてシーズン通してプレーした経験もあるサウールは適性も十分でしょう。

この位置が最終的な定位置となることは、あまり可能性としては考えられないでしょうが、復活のきっかけとなる可能性はゼロではないと考えています。

終わりに

しかし、これら4つの選択肢いずれかが正解だとしても、他に正解があったとしても、大前提として、サウール自身が自信を取り戻す必要があります。
今の不調は間違いなく精神面の由来の一面もあるでしょう。

今回の代表ウィークや長女の誕生がそのきっかけになることを願ってはやみません。
そして、心の底から「アトレティコで」もう一度輝くサウールが見たいです。
こんなところで終わる選手ではないはずです。
ひとつ壁を乗り越えてアトレティコをCL優勝に導く姿を心から願い、今回の終わりにしたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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