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刹那、きみは松田迅

1.はじめに

 アクセスしてくださり、ありがとうございます。これは、推しが20歳を迎えるという節目に、今思っていることを書き残しておこうと思い立って書き始めたものです。

 一般人のド偏見と独断による、クッッッソ長い推しの話です。ただ私が記録に残しておきたいと思った感情をバラバラに書いているだけなので、どこかのオタクの独り言だと思って読んでください。


 私の推しは強い。強い、というのはただ「体格が良く力がある」とか「勝負事でめちゃくちゃ勝てる」とか「泣かない」とか、そういう意味ではない。むしろ彼は骨格的にも体型的にも細い方だし(彼自身自分の体型にはかなり気を配っているようだが)、特段ずっと勝ち続けているというイメージもない。ではなぜ強いという言葉を使ったか。それを今の私の感じ方と主観で書いてみようと思う。

2.駆け上がれ、シンデレラボーイ

 第一、彼は47位から這い上がった人だ。「這い上がった」という言い方をするのは失礼かもしれない。「駆け上がった」にしておこうか。高校3年生、大学受験を目前に控えた中のオーディション挑戦は、それだけでも勇気のいることだっただろうと思う。

 彼は学力的に優秀だ。コンテンツを観ていても、その片鱗が見える。沖縄の進学校に通っていた彼は生徒会長を務め、医者や大企業就職を目指し勉強に励んでいたという。だから、アイドルまたはアーティストなんていう不安定な職業につかなくたって、普通に良い大学へ進学し、就職して結婚するという安定な道を選ぶことなんか容易だった。むしろそちらの方が楽だったかもしれない。夜遅くまで飲み歩いて一限に出られず単位を落としたって、黒髪ロングの超可愛い女の子とデートしたって、ギリ法に触れないくらいのちょっと悪いことをしたって、誰にも咎められない。それでも彼は芸能界に飛び込んだ。

 オーディション初回47位というのは、そんなバカデカい勇気をもって挑んだであろう彼を打ちのめしたんじゃないかと、当時を振り返って思うことがある。「自分の能力や容姿に順位がつく」。一般人として生きていれば、絶対にないことだ。私には耐えられない。私はたかが学校で成績評定をつけられることですらストレスだったから。

 彼は47位から駆け上がった。私は、順位発表のあと、クラス分けでステージに立った彼の目の輝きを、1年以上経った今も忘れられない。

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[#1ハイライト]チーム SUPER MENSOREのレベル分けテストの評価は? https://youtu.be/K26tKuZ3if4 @YouTubeより

 当時の彼の心境など知る由もないのだが、私には他の何よりも輝いて見えたのだ。オーディションが進んでいく中、彼はいつも場を盛り上げ、仲間を讃え、笑っていた。そして彼は自分の順位を上げていく一方で、順位が下がっていった人を見切ったり、嫌な目で見たりしなかった。むしろ、自分のことのように悔しがって、泣き崩れた。そんなところが好きだった。

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 ただ一つ、そんな中で印象的だったのはグループバトルでチームが上手くまとまらず話し合いになったときのことだ。

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 彼は話し合いで一言も言葉を発さなかった(もちろん私たちは放送されたところしか分からないから、放送されたそれがそれの全部であるとは思っていないけれど)。ただ俯き、時々髪をかきあげるだけで、普段の騒がしさからは想像もできないくらいに、淡々と一点を見つめていた。その姿が麗しく、儚く、はたまた恐ろしい怪物のようで、誰にも分からない何かを抱えている気がした。それに、黙っているからと言って何も意見がないというわけでも、「どうしたの?」と聞いてほしいわけでもなさそうだった。彼自身が自分で壁を作っていて、そうでもしないと自分が壊れそうだと思ったのかもしれないと勝手に思っている。たぶん、今の彼にヨントンか何かで「あの時は何を考えていたの?」と聞いたところで、「え~?疲れてた!笑」などとあっけらかんな答えが返ってくるような気がするのだが。

3.彼の強さと涙の理由

 私が今まで、彼を応援して気づいたことがある。それは、彼がよく泣くタイプの人間だということだ。よく泣く、というよりかはうるうるする、くらいの感じなのかもしれない。オーディション中もよく泣いていた気がするし、特にデビュー後はより実感するようになった。なんだ強くねぇじゃん、と思うかもしれないが、私は「強い=泣かない」という解釈をしていない。だから、彼に対しては泣くことが弱いことだと思っていないし、悪いとも思わない。むしろ彼の涙は、強さを物語る要素でしかないと思う。彼の持つ強さは、意志の固さと挑戦力かもしれないと、最近思うようになった。

 彼の涙が強さを物語る、ということの理由を、私は上手く言語化できない。それは「彼が泣く」ということに対して、私はその由来を知ることができないからだ。要は、「彼の涙の理由が分からない」ということだ。よく泣くけど、その理由を彼が語ることはあまりないように思う。個人的にデビューシングルでオリコン1位をとったときの彼の涙が印象的なのだが、本当の彼の涙の理由は私には分からなかった。

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INI DEBUT SINGLE「A」リリース記念生配信 https://youtu.be/PwfS5L0o2Zk @YouTubeより

 私がその理由を勝手に推測して決めつけることは簡単だけど、それをやってはいけないような気がするからだ。彼は開放的な性格に見えて、自分のことはあまり教えてくれなかったりもする。意外に秘密主義なのかもしれないと思うことが増えた。

4.「僕のポリシーです!」

 彼はオーディション中から「おれカッコイイから!」のスタンスを変えない。たしかにかっこいいから、ただただ肯定しかできないのだが。でもそれは私が彼のファンだからかもしれない。

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 正直な話、一般人として生きていて、自分のことを自分でかっこいいと言う人に偏見がある。私が小学生の頃はナルシストだと村八分にされていたし、嫌われていた。彼も私と同世代だから、もしかしたら同じかもしれなかった。そんな中で、彼は常々「自分はかっこいいから」と言い続けている。コンテンツでも、雑誌インタビューでも、バラエティー番組でもだ。一貫してそのスタンスを曲げない。「ナルシストじゃない!僕のポリシーです!」と雑誌では言っていたが、たぶんアイドルとして生きていくためにそう思い、口にすることで強くあろうとするのだろうと思う。これはあくまで私の主観でしかないが。ステージで挨拶を求められた時も、涙が落ちきる前に自分で自分を鼓舞して、「よっしゃ!頑張るぞ!」と、アイドルとしての彼を取り戻そうと強がる。私はそうやって、ちょっとだけ強がる彼が好きだ。この「強がる」というのには少しだけ弱さが見え隠れしていて、強い彼の片側を見れるから、ちょっと嬉しかったりもする。

5.「否定」の壁は分厚い

 私はオタクをすることに限らず、自分の知る世界を否定されるのがこの世で一番嫌いだ。無知が人を傷つける、その無知からくる否定が無自覚だとしても許せない。自分の知る世界を知らない人に否定されるのは許せないし、私もしてはいけないことだと思っている。だから、そういうことをされると腹が立つ。それに、無知からくる否定で大好きな人が罵られるのは絶対に許せない。だけど、オタクをする上で、私は必ずこの「否定」というものの壁にいつもぶち当たってしまう。

 ファンがいればアンチがいるように、この世の中は芸能とか一般とかに限らず、「否定」というものを避けては通れない。だから、私も彼のファンになってまだ1年半くらいなのにそういう経験をしたし、その時は苦しくて仕方がなかった。というか、なにより悔しかった。彼が今までどんな思いで、どんな辛さを抱えて生きていてくれるか、私はその全部を知れずとも、知ったつもりになって辛くなったり、暖かい気持ちになったりした。人類全員が彼のファンではないから(もちろん全人類が彼のファンならそれ以上に嬉しいことはないのだが)、彼の生きてきた道を知らないなんて当たり前だ。だからこそ、知らないし分からないからこそ、想像するべきだと思う。想像できないなら、否定するべきではないと思う。でもそれができない人がいる。自分の勝手なオタク観を押し付けて、人を嫌な気持ちにさせる人がいる。

 一言というのは軽いようでそうでもない。たまたま発せられた一言がその人の一生に残り続けるかもしれないからだ。私は、今すぐにでも、彼を傷つけた一言より大きく、強く、彼に「あなたが自分で思うより、私はあなたのことが好きだから、安心して生きてください」と訴えかけたかった。普段、アイドルとして懸命に生きる彼に「大丈夫だよ」と一方的立場から軽い一言をかけてしまうことはなるべくしたくなくて、あまり言わないのだが、この時ばかりは「大丈夫だよ」を直接言ってやりたかった。そして、そんな言葉さえかけられない自分の立場を恨んだ。いつも助けてもらっているのに、そんなときに支えになれなくて、むしろ不安にさせてしまって申し訳なかった。

 ただ、彼は私が思うより多分強い。改めてそう思ったきっかけは私にとって嫌な思い出だから、ここに残すことはしないが、その出来事も私が彼の強さを知るために必要だったのかもしれないと考えたりする。

6.生きる理由

 よくオタクというのは推しを中心に生きていると言うが、全くもって大袈裟ではないと思う。もちろん私もその例外ではない。

 事実、私はこの世の中でこれから腰の曲がったヨボヨボの老人になるまで生きていくことに抵抗がある。外側だけ大人、中身はまだまだ子供の逆コナンみたいな大人がいっぱいで、そんな人たちに近づいていくと思うと吐き気がする。成長したら理不尽に強くなって、諦めがつくようになって、それで一生を終える。だから、オタクになる前はオーバーに言うと、この世からさっさと消えたかった。そんな大人の仲間入りをするくらいなら、と思っていた。

 だけど、オタクになってからは消えたいと思わなくなった。彼よりひと足早く20歳を迎えた私だが、今日、今ここで生きている。彼らがこの世界にいるだけでほかの嫌なことのなによりもプラス要素になっていて、明日も生きようという気になった。彼らに見合うくらいかっこいい人になってやる、と思った。そして、彼らを通して、世の中は逆コナンみたいな大人ばかりではないことを知った。私はジャニーズや坂道系を通ったオタクだから、もちろん好きだった人たちにはとても感謝している。ただ、それ以上にここ1年くらいで好きになった彼らの存在がデカい。

 結局、私が言いたいのは、ただのこんなごくごく普通の一般人を支えるのは紛れもなく彼らだということだ。そしてこの世の中でまだ生きていたいと思うのも、彼らが生きていてくれるからだと思う。

7.サブボーカル5

 ファイナルまで1度もデビュー圏内に入ることのなかった彼はファイナルを目前に控え、パート割りで希望のパートから移動を余儀なくされた。希望パートは「ONE」のサブボーカル3だったが、一度「RUNWAY」のサブボーカル3へ移動、その後再び「ONE」のラッパー1へ移動することになる。何度も移動を繰り返したが、彼はどこに移動してもプラスなことを口にしていた。

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 最終的な移動先は「RUNWAY」のサブボーカル5。いっそのこと、「不安です、パート割りが少ないし、最後のステージなのに」と不安を洩らしてほしかった。けれど、彼はそんな不安要素など一つも見せなかった。

 ファイナル当日も、彼のパートはほんの少しだった。しかも英語。言ってしまえば、本編ではなく合いの手、みたいなパート。私が怖かった。「今まで見てきたファンは彼の良さを知っているけど、このファイナルが初見の人にこのパートの少なさで彼の良さが伝わるわけがない」そう思った。なにせギリギリのライン、もし落ちてしまったら、と考えた。でもそんな不安をよそに、彼は一つ一つ最高を更新し続けた。首に巻かれた白い布と色落ちのシルバーヘアーは彼の艶めきをより一層引き立たせ、煌々と眩しさを増す。自分のパートではない時も、端っこで踊っていても、決して手を抜かなかった。そして最後に、エンディング妖精で「ありがとう」と言った。

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最終回ハイライト|デビュー評価 2組目 ♫ RUNWAY https://youtu.be/IE2AkK9aaCQ @YouTubeより

 高校の卒業式を欠席してまで出たオーディションの、人生をかけた最後のステージで感謝を伝えてくれた彼のことを一生応援したいと、よりによってその時に、もう一生会えなくなるかもしれないという時に、強く思ってしまって、もうどうにもならなかった。

 事前収録の番組テーマ曲が放送され、舞台裏では21人の練習生が円陣をつくり、互いに激励し合って多くの人が泣いていたとき、彼は強い眼差しで静かに隣の練習生を見つめていた。

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[未公開シーン]ファイナル 練習生たちの舞台裏 https://youtu.be/eZ4yoOM3v6o @YouTubeより

 これはファイナル後に公開されたものだから、生放送のときには分からなかったのだが、のちのち見て私が泣いてしまいそうだった。先にも言ったとおり、私は泣くことが弱いことだとは思っていない。だから、泣いていた他の練習生が弱いんだとか、彼が強いんだとか、そういうことを言いたいのではない。抱えたものの大きさは人によって違うのだから、誰がいちばん不安だったかなんて推し量れたものではないけれど、そんな彼の姿は泣きたくなるほど圧巻だった。仲間をまっすぐ見つめ、彼らにしか分からない何かを目で訴えるその姿は綺麗で、消えそうで、私にとって刹那だった。

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 だから7位で彼が呼ばれた時、涙が止まらなかった。普段は明るくよく笑うのに、時に怪物のような真っ黒い目を覗かせながら必死で目標に近づこうとする彼は少し怖かった。でも、それですら愛おしいと思ってしまった。太陽みたいな彼も大好きだったのだけれど、その反対の月みたいなところも大好きだった。その明るさの裏にある弱さや辛さまで、全て知りたいと願ってしまった。自分でも「これは変なところまでいってしまったな」と時々我に帰って思うけれど。

8.残酷も、彼が歌えば

 デビューしてからパート割りをもらえるようになって、私の大好きな推しの声が、宝物が増えた。「All right 怖くないよ ずっと待ってた瞬間だからさ」「You're shining Brighter」「If you're by my side.」これは私が大好きな推しのパートの一部だ。彼が歌うだけで、パフォーマンスするだけで一つ一つ全部、愛おしくなる。

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[Stage Clip🎙] INI (아이엔아이) - Let Me Fly~その未来へ~ | KCON:TACT HI 5 https://youtu.be/xsPt1Q4w8rw @YouTubeより

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INI|'Brighter' Official MV https://youtu.be/99j1FLRE2HQ @YouTubeより

 歌詞というのは誰かによって作られたものだ。実際、言ってしまえば彼らはそれを「歌わせられている」だけ。ただ、彼はそんな残酷な言葉の集まりを、さも自分が創造したものかのように、愛おしくてたまらないというふうに歌う。彼が歌うことで意味を持つかのように、そして彼にしか歌えないもののように。でもこれはたぶん、彼に限った話ではなくて、私はこの気持ちを11人全員に思う。ただ、私が彼に対して特別、飛び抜けてそう思うというだけなのだが。ごく普通の日本語の羅列の、美しくて残酷なところを可憐に歌い上げる彼が好きだ。

9.まるで永遠のように

 推しは誰のものにもならない代わりに、私のものにもなってくれない。彼がいつか、一生を添い遂げたいと思う人に出会い、その恋が実るまで。関わることはあろうとも、絶対に交わることのない、私と彼らの人生。結局、いくら想ったって、どれだけ長く好きでいたって、最後には報われないのだから、推しという存在は残酷だ。

 残酷、ということで言えば、アイドルに永遠は存在しない。いつかは、アイドルとしての人生を終える時がくる。あるいはオタク側がオタクをやめるときがくる。だから、推しが推しであることの確証はどこにもない。限りのない、絶対に形の変わらないアイドルなんかどこにもいないから、私はつい、アイドルに対して一方的に永遠を求めてしまうし、その押しつけをしてしまう。ただ、彼らはそんな現実に、その言葉に立ち向かうかのように「これからもずっと一緒にいて」と言葉にしてくれる。あたかもアイドルに永遠が存在するかのように。私はそんな彼らが好きだ。

10.知りたくなる人、20歳へ

 私の推しは強い。彼の底抜けの明るさの裏には、いつだって苦悩や悶えがあるのかもしれない。そして、苦悩や悶えを乗り越えた先にあるその強さも、喜びも、辛さも、切なさも、全部知りたくなる。人に「この人をもっと知りたい」と思わせるのは才能であり、努力であり、魅力だと思う。だから、彼は魅力的だ。そして私はまだまだ彼という人間の真髄を知らないし、分からない。そして、アイドルである彼の全てを知ることは不可能だということも、もう十分すぎるくらい分かっている。それでもなお、彼こそが私の生きる意味だから、彼にはずっと幸せでいてほしいと願ってしまう。

 松田迅くん、20歳のお誕生日おめでとうございます。20歳という一つの区切りをお祝いできたこと、とても嬉しく思います。どうかずっとずっと、応援させてください。あなたの幸せを願い続けています。いつかあなたに、あなたにしかないあなたの強さを伝えることができますように。

11.おわりに

 読んでくださり、ありがとうございました。果てしない長文で、つたない文章力のこんなメモ書きを読んでくださったこと、感謝申し上げます。

 今これを読んでくれているあなたに推しがいるかどうかはわかりませんが、「世の中にはこんなヤバい感情を抱えまくるオタクもいるんだな~!」というくらいの感覚で、明日にはこのメモ書きも、全部サッパリ忘れてくださると幸いです。笑