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【OAK】シェルドン・ノイジーが覚醒???

ノイジーの覚醒???

多くの主力を失い、下位に沈むことが確実視されていたA'sですが、予想外の健闘を見せています。
昨年以前に先発を務めた投手も多く残ったローテーションはチームの大きな武器になっていますし、人材不足が懸念されたブルペンも無名のルーキー達が躍動、しかし打線はというとショーン・マーフィー以外に目立った成績を残している打者は不在。そこそこ得点はできているものの、何が良くてここまで頑張ることができているのか、という問に「運が良いから」以上の答えを出すことが難しい状況です。

数字の上ではマーフィーに次ぐ打線の2番手的な役目を全うしているシェルドン・ノイジーも、果たして好調が単なるフロックなのか、覚醒なのかが分からない選手の1人です。今回はそのノイジーのブレイク(?)について書いていきます。


まずはスタッツから見ていきましょう。

2BB/12SOの地雷臭

短い期間とはいえ、そろそろ過去2年の打席数に近づくという中で、軒並みキャリアハイを記録しています。

さらに詳しく見てみましょう。

アプローチ系の指標において、例年と比べてさしたる変化は見られません。

ハードヒットできるのがノイジーの強みでしたが、ブレイクしている今季に限っては例年に比べハードヒットできていないのが現状です。

もともとスプレーヒッターの傾向が強かったノイジーですが、今年は53.8%の割合で流し打ちを記録しています。前年比+30ポイント以上の大きな変化です。

アプローチが改善したわけでもなく、ハードヒットはむしろ減ったノイジーの成績が向上しているのには、どうやら激増した流し打ちの割合が関わっていそうです。


シフトブレイカー、ノイジー

ノイジーの今年のスプレーチャートを見てみましょう。安打を示すカラフルなドットがフィールドの右方向に散らばっているのが分かります。

流し打ったときの打率は驚異の.643。10打席以上流し打ちを記録した打者の中では筒香嘉智に次ぐ2位です。

しかし、中身を見てみると、なんとも面白い内実が分かります。
平均打球初速は83.5mphに過ぎず、ハードコンタクトは14打球中わずか1球のみ。しかもその唯一のハードコンタクトはアウトになっているのですから驚きです。

ショボショボの打球がヒットになっている要因はといえば、もちろんシフトです。

シフトを敷かれているとき
シフトを敷かれていないとき

上2枚の画像はノイジーの打席における相手の守備位置を示したチャートです。
これを見る限りでは、シフト時もそうでない時にもこれといった大きな違いはなく、どちらも一二塁間により大きなスペースが空くように設計されています。
上の打球のスプレーチャートと見比べてみれば、ノイジーの打球が上手く相手の守備位置をかいくぐっていることが分かるのではないでしょうか。


なぜ人間はシフトを破るのか、破らないのか

私はメカニクスだったり野球の詳しい部分はよく分からないので、ノイジーの流し方向の打球が果たして「巧打」なのか「当たり損ねが運良くヒットになっている」のかを判別することはできません(見ている感じだと、変化球を拾ったライナー性以外は全て幸運に見えなくもないですが…)。

しかし、もしこれがノイジーによってある程度意図されたアプローチならば、非常に面白いと感じます。

打率を上げること、塁上のランナーを返すことを目的とするなら、これほど合理的なアプローチはありません。
事実、ノイジーの流し打ち安打8本の内、6本はランナー有りの状況で飛び出し、内3本はタイムリーになっています。

実を言うと私は、とにかく点さえ取れれば良い僅差の終盤やプレーオフでの得点圏において、シフトが敷かれている状況下であっさりとアウトになって無得点みたいな攻撃を見ていてモヤモヤしていた節があります。「別にバレルでもハードヒットじゃなくてもいいんだから得点を見せてくれ」という感じに。

しかし、シフトを破る/破らないの判断には、得点と純粋にチームの勝利を求めているファン目線は含まれていない代わりに、MLBの各球団が駆使する統計学的見地に立ったチーム方針だったり、データ全盛時代の中で自らのパフォーマンスで飯を食わなければならない個人事業主としてのプレイヤーの考えだったりが絡んでいるため、一概には言えない部分があります。

ここで、大谷翔平がシフト禁止の是非についてインタビューで面白いことを言っていたので、引用してみます。

大谷翔平(以下、大谷) たとえば打率を上げたいと思うなら、逆方向へ打てばいいじゃないですか。来年から守備シフトが禁止になるという可能性もありますけど、今のままのシフトを敷かれた中で打率だけを求めるなら、セーフティバントをすればいいし、守っていないところを狙って打てばいい。でも、それじゃ、おもしろくないでしょう。

――いやいや、たとえば去年のバントヒットはかなり盛り上がりましたよ。

大谷 これが優勝争いをしていて残り20試合くらいの状況とか、ポストシーズンのような短期決戦だったら逆方向を狙ってもいいし、バントヒットもいいと思うんです。ただホームランを打てるバッターが毎試合、逆方向のシングルヒットを狙うのを見ていて楽しいかと言われたら、僕は絶対に楽しくないと思うんです。ファンの人が見ていて何が楽しいのかを考えると、バントヒットもたまにするからおもしろいんじゃないかと……ホームランを打つ人がたまーにバントをして一塁へ走るから、その姿が『オモロイな』となるわけで、それが毎試合になってしまったら“オモロク”ない。だから僕は守備シフトはないほうがいいと思っています。そこは制限をかけたほうがおもしろいじゃないですか。

Number『《単独インタビュー》大谷翔平27歳が本音で語った「僕がバントヒットだとオモロクないでしょう」「だから守備シフトはないほうがいい」』

このコメントの是非はさておき、流石はエンターテイナーとして右に出る者はいないオオタニさんだけあって、良い所を突いているなと思わされます(何様?)。

ノイジーも元々マイナーでは27HRを放ったこともある長距離砲ですが、メジャーの舞台にあってはまだまだリプレイスメントレベルの選手以上にはなれていません。自分の持ち味を発揮する出場機会を得るためにも、今は目先の結果にこだわってもいいと思います。

まだまだシフト破りの安打も面白いノイジーですが、いつかシフト破りのシングルヒットがつまらない、いつものようなHRを見せてくれと思えるような打者に成長してほしいものです。ひとまず今季中は、相手がどのようにシフトを組み直してくるのか、そしてノイジーのアプローチは改善するのかを注視していきたいところです。



その他のトピック

マーフィー、ネットミームになる

昨年のALE覇者・TB相手にシリーズを取り気炎を上げたA'sですが、話題になったのは快進撃ではなく一本の動画でした。
4/11の試合で、クリス・マッザの投じたスライダーはすっぽ抜け、マーフィーのお尻に命中。マーフィーのプリケツが見事にスライダーを弾き返す様子はTwitterで拡散され、10万件近くリツイートされました。

マーフィーはこれについて「ソーシャルメディアがどれだけクレイジーかっていうことさ。もし次の試合で4本グランドスラムを打っても、あのデッドボールへの反応には届きもしないだろう。面白いよね。」と冷静なコメント(?)。


ニック・アレンがついにデビュー(泣いちゃう)

アスレチックスの未来であり、希望。ニック・アレンがメジャー初昇格を果たし、デビューを飾りました。

メジャー2試合目のスタメンとなった4/22の試合ではメジャー初安打となる2塁打を記録し、チームの勝利に貢献しました。
現在は2Bを主に守るアレンですが、正SSでベテランのアンドルースの薫陶を受けて、メジャーを代表するSSへと羽ばたき始めています。


ポール・ブラックバーンがブレイク中(泣いた)

ポール・ブラックバーンがブレイクしています。3先発し、既に2勝を挙げ、防御率は1.80と完璧に相手打線を封じ込め、評価はうなぎのぼり。
A'sの選手としては6年目のシーズンを迎える超古株のブラックバーンですが、主力離脱の傷を癒やす活躍を見せてくれています。感動!

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