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今季ここまで好調な6人の投手をピックアップ!

今回はシーズン始まって好調な、私の注目する投手たちを取り上げる。
完全に主観で、これまでの投げっぷりとシーズン終わりまでこの調子を維持できそうかという2点で6人の投手を選出している。


トレバー・バウアー CIN

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2020年成績
3[先発] 2-0[W-L] 0.93[ERA] 19.1[回] 32[三振]

今シーズンが始まり、大きなインパクトを残しているのがCINのトレバー・バウアーである。
未だソロホームラン2本以外では一切の失点を許していないバウアーは、どの数字を取っても圧倒的と言える数字を残している。

研究熱心なことで知られ、数多くの変化球を意のままに操るバウアーが、今季進境を見せている球種は4シームである。

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今年、半分以上の割合で投げ込む4シームは質が格段に向上している。

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球速こそ1.3mph落ちているが、スピンレートは大幅に上昇している。スピンレート2797はメジャーでもダントツトップの数字だ。
また変化量を見ても、よりポップするように&シュートはしないように、質が変わっていることがわかる。

また、カッターも向上しているように見える。

主に左打者用の球種として重用していたチェンジアップをほとんど投げなくなり、その代わりに左打者に投げているのがカッターである。

カッターといえどもいわゆるスラッターに近いバウアーのカッターだが、今年はそれを右にも左にもほぼ半々の割合で投じている。
この球種が未だに被安打0、Whiff%40.0のクオリティを保っており、4シームと同様にこのカッターもバウアーの躍進に一役買っていることは間違いなさそうだ。


カイル・フリーランド COL

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2020年成績
3[先発] 2-0[W-L] 2.41[ERA] 18.2[回] 11[三振]

2018年に17勝、防御率2.85の力投でチームを導いたフリーランドだったが、昨年は一転して大不振に陥り、歯車の噛み合わないチームの象徴のようになってしまった。

復活を期す今季はここまで全登板でQSを記録し、復活の気配を感じさせている。

27歳と復活を果たすには十分若いフリーランドだが、これまでの復活にはオフの間に積まれた弛まぬ努力が反映されている。

一つ目がフォームの修正である。
フリーランドの特徴であった一度動きを止めるレッグキックを今年からやめた。

2019

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2020

この”フラミンゴポーズ”と呼ばれているフリーランド独特の動きをやめたことにより、打者のタイミングを崩せるという利点は失ったものの、2019年には乱れていたコマンドを取り戻すことができた。


2つ目が変化球の修正である。

フリーランドはCOLが導入した”ピッチングラボ”の施設を利用し、オフの間に変化球の握りを研究した。
それによって変化球の縦変化を増やすことに成功。baseball savantによれば、どの変化球の平均変化量は少なくとも1~2インチ以上の増加があり、カーブに至っては前年より7.6インチも大きい変化を生み出している。

そして投球割合にも大胆な変化を加えている。

それまでは第3の球種としての扱いだったチェンジアップを、今季は速球よりも多く投じているのだ。
フリーランドはチェンジアップがより速球の軌道に近く、打者が速球だと思ってくれるという部分にチェンジアップの有効性を見出したようだ。
フリーランドのチェンジアップはここまで被打率.208と効力を発揮している。


ソニー・グレイ CIN

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2020年成績
4[先発] 3-1[W-L] 2.25[ERA] 24.0[回] 35[三振]

同僚のバウアーと同じく、ソニー・グレイもワンランク上の投球を披露している。

環境に合わないこともあってNYYでは苦しんだグレイをCINは好待遇で迎え、昨年の復活劇に繋げた。
昨年ぐらいの活躍でも十分お釣りが来るほどだったが、今年このままサイヤング級の成績を残せばCIN首脳は笑いが止まらないだろう。

空振りを取れる球種を複数操るグレイが今年マネーピッチとしているのは、シンカーである。

シンカーで奪った三振12個はメジャートップ、被打率は驚異の.095を記録している。
スピンレートは4シームと同等で、球質的にはシンカーというよりカミソリシュートとでも言うのが相応しいグレイのシンカーだが、今年はそのカミソリの切れ味が増した。

加えてスライダーとカーブの切れ味も絶大で、この調子で行けばサイヤングの可能性も見えてきた。
 2015年に到達したサイヤング賞投票3位よりもさらに上のステージまで到達できるだろうか。


ザック・プリーサック CLE

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2020年成績
3[先発] 1-1[W-L] 1.29[ERA] 21[回] 24[三振]

チーム防御率1点台という衝撃的なスタッツを残しているCLE投手陣にあって、プリーサックは目覚ましい成長を遂げている。

シェーン・ビーバー、カルロス・カラスコなどを擁する実力者揃いのCLE先発陣の中では5番手に位置するプリーサックは、さほど高くない期待値に反して毎試合でQSを記録している。

元来、三振を奪える支配力に欠ける点がネックと言われていたが、今季はK% 31.2%と三振が大幅に増え(ただしBB%は2.6%!)それがここまでの成績につながっている。

注目すべきポイントは、スライダーとチェンジアップの割合が逆転したことだろうか。
昨年まではチェンジアップに依存気味だったのが、スライダーを磨いて右打者用の決め球として確立できている。
今季のスライダーのWhiff%は42.6%、奪った三振は全球種中最多の10個である。

エースへの飛躍のそのまさに離陸を成功させたプリーサックだが、残念なことにルールを破り、遠征中のホテルから外出したことの罰として自宅への送還を受けたようだ。
離脱の期間がどれほどになるかは不明だが、来週のファンタジーベースボールのオーダーに彼の名前を見ることはないだろう(も軍GM)。


クリス・バシット OAK

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2020年成績
3[先発] 1-0[W-L] 1.08[ERA] 16.2[回] 15[三振]

昨年はローテーションに定着したバシットが今季はさらなる進化を見せ、エース格へと進歩を遂げている。

この中で取り上げる投手の中では最も投球を見ているということもあるが、何か一つの要因が成功の鍵となったというよりも全体的に投球が洗練されているように感じる。

一つ大きな変化はまずカッターの改善だろう。
昨年まで縦変化が乏しく、棒球になりやすいという欠陥を抱えていたものの、今年は見事にそれを改善させ、ここまで被打率は.091の高水準である。

それだけでなく、今年は決め球であるスローカーブの投球割合が全球種の中でも最も低いことが示す通り、全ての球種を効果的に扱えるようになっている。

フランキー・モンタスやヘスス・ルザードばかりに注目が集まるが、このバシットも決して無視できない存在だ。

下は開幕前にバシットを分析したnoteです。気になったら是非ご一読あれ。


ネイサン・イオバルディ BOS

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2020年成績
4[先発] 1-1[W-L] 4.09[ERA] 12.0[回] 24[三振]

開幕投手としてシーズンを迎えた今季、イオバルディが復活を遂げている。

TBに対して5回を投げて4失点だった登板を除けば、どの登板も十分に役割を果たしている。最近のTOR戦では6回で10Kの好投を見せた。

球の速さの割に打球初速などの数字は悪いのは例年通りだが、今年は制球がまとまっていることが大きい。
 BB%はキャリアイヤーとなった2018年と同水準の数値だ。

さらに今年はカーブの切れ味が鋭く、決してカッターとスプリッター頼みになっていないところもプラスポイントだ。
力感の抜けたフォームから、高めの速球と低めのカーブで三振を奪うというパターンが確立できている。

まだ目を見張るほどの数字になっていないが、メインの変化球であるカッターとスプリッターの使い方次第でさらに支配的な投球が可能になるだろう。伸び代と混ぜても注目したい投手である。

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