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【OAK】2024戦力分析【月刊ポジアス3月号】

お久しぶりです。今年は企画全体の流行りに乗り、自分で撮った写真を素材にサムネイルを自作するという試みをしてみました。なんかしっくりこないので、今度は違うサムネを持ってきたいと思います。

そして、定期的な記事は題して「月刊ポジアス」という形で、題名通り月1以上のペースでの記事更新を目指します。名前の由来はもちろん、「ポジティブ・アスレチックス(・ファン)」。

予想外に良い勝敗予測

今回は企画のお題記事でもあります2024シーズンに向けた戦力分析を行おうと思います。

まずチェックしていくのが、お馴染みのデータサイト『FanGraphs』が行っている勝敗・順位の予測です。

FanGraphsが予測する2024アスレチックス

73勝89敗 勝利.449 

なんと前年から23勝も増やす超好意的な予測値が出ています。

実は昨年の戦力分析では、再建脱出への期待を込めて73勝を目指してほしいと言っていた(そして結果が50勝だった)ので、もしこの予測通り行けば御の字を通り越して満点です。

ただ、プロジェクションは上にも下にも大胆な数字が出るものではありません。プロジェクション内で、最低勝率のロッキーズですら勝率.391であり、最高勝率のブレーブスですら予測は6割に満たない.599となっています。

しかし、いずれにせよ「昨年から持ち直す」という予測が出ているということは確か。

とはいえども、オフに23勝の上積みを期待できる補強ができたか?といえばそのようには思えません。ワイアット・ラングフォード(レンジャーズ)やジャクソン・ホリデイ(オリオールズ)といったゲームチェンジャーになり得る有望株が控えているわけでもありません。

では、なぜここまでの持ち直しを予測されているのでしょうか?ここからは各ポジションごとに見ていくことにします。


最大の鍵は先発ローテーションか

プロジェクションを見て分かる最大の変化が、ディフェンスの改善です。平均失点は昨年からほぼ1失点減の4.73点に落ち着くと予測されています。

昨年最大の失敗は先発ローテーションの崩壊でした。

ドリュー・ルチンスキ、藤浪晋太郎というアジアからのベテランを2人迎えたものの、ルチンスキは怪我、藤浪は先発としては実力不足という結果に。ベテランとしての役割を果たせませんでした。頼みの綱のポール・ブラックバーンも出遅れ、期待されたカイル・マラーらの若手も総倒れに終わりました。

今年はといえば、昨年規定クリアと踏ん張ったシアーズ、そしてブラックバーンという頼れる2枚が開幕から揃う見込み。

そして、新規補強組はアレックス・ウッド、ロス・ストリップリングという、経験という意味では昨年のルチンスキ&藤浪とは比べるべくもない、百戦錬磨のベテラン2人です。

デプスムーブを舐めてはいけないということ

アスレチックスにはもともと、昨年も登板した若手投手が多く在籍していました。そして、さらにそこから若手投手のストックをオフに増やしました。40人という多くはない保有枠の多くを、アンバランスなほどに先発投手に割く姿勢は相変わらずだったわけです。

オフにセレクトしたロイバー・サリナスとブレイディ・バッソにしても、AAで十分なサンプルサイズと結果が伴っていたわけではありません。ただ、ルール5からのプロテクトで枠に入れることを決断。さらにルール5ドラフトでも、先発投手のミッチ・スペンスを確保しました。


しかし、いざシーズンが始動してみれば、昨年それなりの先発数をこなしたケン・ウォルディチャックとルイス・メディーナは故障。目覚ましいポテンシャルを持つメイソン・ミラーは故障防止のためにブルペン転向に。信頼できる先発投手の頭数はみるみる減っていきました。

ウッドとストリップリングは、共に2020年のドジャース世界一メンバーであり、数々のコンテンダーを渡り歩いてきたベテラン。ST当初はそれぞれ乱調、出遅れがありましたが、見事にコンディションを整えてきました。

蓋を開けてみれば、ウッド/ストリップリング/シアーズ/ブラックバーンのベテラン勢は全員が堅調なSTを終えることに。さらに、ジョーイ・エステスら、比較的経験の浅い若手は結果が出ていても早々にマイナースタートが決定しました。唯一のオープンスポットとなった先発5番手は、競争の末ジョー・ボイルが選ばれるという結果に。

故障者が続出し、結果の出ていない若手がローテに名を連ねた昨春と比べると、はるかに理想的な結末となりました。面子の地味さという点ではそこまで代わり映えがないものの、そこに至るまでの内容やプロセスを見れば、今年のローテーションには期待していいと思います。

ブルペンは特大の不安を抱える

一方のブルペンは、いささか不安が残ります。

オフにはトレバー・ゴットとスコット・アレクサンダーという両ベテランを確保しました。ところが、アレクサンダーは出遅れ。ゴットに至ってはUCLを完全断裂してトミージョン手術という、トレバー・ローゼンタール氏以来の大暴れを見せ、先にアガリとばかりにシーズン全休が決まりました。

想定すべき最悪の事態は、ミラーに負担がのしかかることです。そもそも負担軽減のために救援転向を決断したミラーの負担が嵩むようでは、元も子もありません。当然、AJ パクの時のように連投は厳禁という制限下で運用されるはずですが、頭数が減ってしまうと負担増は気がかりになります。

さらにセットアップ役のザック・ジャクソンとダニー・ヒメネスは怪我がちであることも、その懸念を加速させます。ジャクソンに至っては、コンディション不良のため開幕マイナーが決まりました。(さらにDFA)

アスレチックスはベテラン2名の故障にたまらず、さらなるベテランの補充に動きました。メッツからオースティン・アダムスを、ドジャースからTJ マクファーランドをそれぞれ40人枠外から獲得し、セレクトしています。

もともとゴットもアレクサンダーも格は高が知れているので、この2人の穴埋めは比較的容易だったでしょう。ともかく補充したという事実が、ここでは重要です。

そして、ブルペンの残り2枠には、5番手争いから漏れたスペンスとマラーが入る見込み。ハイフロアーなイニングイーター型でありながら、レパートリーの変化量は豊富で、”Nasty”な側面も兼ね備えるスペンスは、厳しいブルペン事情を救える可能性があります。さらにアームアングルを高く設定しなおしたマラーも、昨年までとは別人のようです。

しかし、思えば昨年も途中加入のアーセグを筆頭に、シーズン途中にブルペンデプスを整備していきました。今年も貪欲にウェーバーワイヤーに潜ってくれることを期待するほかないでしょう。


打線の生産力やいかに?

イニングを制限していかに守るかが重要な投手育成に対して、打者育成はいかに打席を与えられるかが鍵を握ります。

そのため、打線はほとんどベテランの補強なしで、ふさわしい若手がいるならばその若手に賭ける陣容となっています。

平均以上の打者が打線を支えられるか

撮影:もーさん

開幕時点で平均以上の攻撃力を持つといえる打者は、ブレント・ルーカー、ザック・ゲロフ、ライアン・ノダの3人のみ。

昨年好成績を残した3人が本領発揮できなければ、打線は容易に30球団ワーストのクオリティとなることでしょう。

抜群の選球眼と当たったときのパワーという土台があるノダは、今年も大崩しないのではないかと思います。反面、フリースインガーの傾向あるルーカーとゲロフは、今年不振に陥るシナリオもあり得るかもしれません。

鍵を握るセンターラインの若手たち

撮影:Mo10_11

今年の最大のテーマといっていいのが、「センターラインをいかに固めるか」という点です。

二塁のゲロフを除き、センターラインに入ることが予想されるのは、捕手ランガリアーズ、遊撃手アレン、中堅手ブレデイ/バトラー/ルイーズという面々。

いずれも昨年は攻守両面で苦戦を強いられ、正念場を迎える選手ばかりです。

捕手シェイ・ランガリアーズの課題は、守備力。守備力だけならラッチマンを凌ぐとも言われたドラフトイヤーも今は昔、盗塁阻止以外のあらゆる局面で守備に苦しみました。特にリーグ最低クラスのフレーミング、さらにブロッキングは、ディフェンス第一で起用されていくはずのランガリアーズにとっては改善必須の課題です。

幸い、今年はフレーミングの改善にも取り組んできたそう。さらに打力の改善でチームメイトの目を見張らせており、多くの選手がランガリアーズをブレイク候補に挙げています。

特に、世界一の味を知る百戦錬磨のスーパーユーティリティ、我々の最高給選手であり、偉大なチームリーダー、アレドミス・ディアスに至っては「リーグトップ3の捕手になれる要素を全て持っている。マーリンズ時代の若いリアルミュートのようだ」と大絶賛。若いときのリアルミュートもフレーミングが下手だったことを踏まえているならば、流石はアレ様といったところです。

ついで遊撃に入るアレンは、リーグ最悪クラスの打力がネック。詳しくは以下にまとめました。

センターを争うであろうJJ ブレデイ、ローレンス・バトラー、エステウリー・ルイーズのいずれにも当てはまるのが、守備でプラスを出せないという点。

その中でいかに守備を破綻させず、攻撃力で上積みできるかが鍵を握ります。

センター候補の中でもリードしているのがブレデイ。ブレデイは昨年打率1割台ながらも、選球眼と四球率ではリーグトップクラスの数字を残しました。

ただ、あくまで守備の上手いコーナーの選手止まりであり、プラスのセンターではないことから、打撃でのアピールが今後のキャリアを決めるでしょう。ヴァンダービルト大ではスラッガーとして鳴らしましたが、プロの世界ではパワー不足に喘いでいます。平均打球速度などはリーグ下位に沈んでおり、打者のタイプ的には致命的な弱点のようにも思えます。
とはいえ、非力をプルバッティングで補うタイプへの進化を遂げるなど、今ある素材で平均以上のバリューを出すようになる方法はあるはず。攻守の精度は現状の候補で確かにナンバーワンということもあり、出場機会を得ている内にアピールしておきたいところです。


2番目の候補にあたるローレンス・バトラーは、その高いアップサイドからファンの期待も大きい選手です。

ドラフト当初はマイナー最下級でも苦しんでいた選手が、年々課題をクリアして一端のプロスペクトに成長。その驚異的な成長率と5ツールを鑑みれば、期待したくなるのも分かります。

空振りの多さこそ問題ですが、ローパワーは傑出しており、選球眼も上々。守備もジャンプ等の高数値のおかげで、ライトではプラスを残しています。プラスでセンターを守れる可能性も残し、さらにスケールも大きいという点で、ポテンシャルの器的にはバトラー1点頼みであるのも事実。絶望的なチーム状況の中で新時代到来を訴えるポジティブな語り手であり、チームリーダー候補である点も、バトラーを応援したくなる点です。


3人目のルイーズは、昨年センターの定位置を掴みそこねました。ア・リーグ盗塁王に輝いたルイーズでしたが、足以外のツールはからっきし。

撮影:ぼく

今季はミゲル・アンドゥハーの故障により開幕ロスター入りを果たし、少ないサンプルで活躍を見せていました。しかしその活躍にも関わらず、フロントはルイーズの長期的な成長を望み、マイナーへと送り返すことに。

理由はもっともといったところで、ルイーズがもし出塁スキルやセンター守備を向上させられれば。そのときは理想的なリードオフのセンターが誕生します。


これらの3人が良い結果を残せなかった場合、どうなるか。そのときはAAで開幕したデンゼル・クラークを待つしかないと思います。クラークは三振の多さがネックですが、傑出したアスリートです。ダブルプラスといわれる守備力には期待が置けます。


コーナーにはベテラン

コーナーにはベテランの配置が基本となります。

期待したいのは、エイブラハム・トロとミゲル・アンドゥハーという2人のベテラン。メジャー経験あり、ブレイクの可能性もまだまだ残す中堅組です。

前述の通りアンドゥハーはよもやの開幕IL。スプリングトレーニングの活躍っぷりとフロントからの多大な期待感もあり、アンドゥハーは打線のキーマンとも目されていました。しかし、右膝の怪我で5月頃までの出遅れが見込まれています。

撮影:逆張りクソ野郎

さらに、正念場となりそうなのが古参のベテランであるセス・ブラウン。

活躍すればトレードで栄転、活躍できなければ若手の枠確保のためにDFA(昨年のローレアーノ)のような両極端な、しかし近いうちの退団が約束付けられた結末を迎える可能性が高いでしょう。



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