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【OAK】ドラフト全体の展望&A'sの指名展開予測


投打の超逸材を含むトップ5

今ドラフトの話題は、投打の超有望株によって独占されてきた。

いずれも10年に1人と叫ばれてきた2人の選手は、同じドラフトクラスに揃ったばかりか、同じ大学でプレーし、先日のカレッジワールドシリーズでは見事に所属するLSUを優勝に導いたばかりだ。

UCLAのゲリット・コール&トレバー・バウアー以来の上位指名デュオになるだろう(LSU Athleticより)

その2人、ディラン・クルーズ中堅手とポール・スキーンズ投手は、当然のことのように全体1位と2位で立て続けに消えることが予想されている。

この2人が抜きん出ているようにも思えるが、ドラフト全体としてはこのLSUコンビを含めた"トップ5”としてクラス随一の逸材をまとめる声が多い。

トップ5の一角、スキーンズとクルーズ以外で唯一の大学生が、ワイアット・ラングフォード外野手(フロリダ大)だ。
ラングフォードもクルーズに勝るとも劣らない打力を誇るカレッジのスターで、ESPNのマクダニエルズなどクルーズより高く評価する識者もいるほど。

カレッジワールドシリーズ決勝では惜しくも準優勝

ラングフォードは全体3位のタイガースに指名を受けると予想する向きがほとんどだ。

そしてトップ5の残りは2人の高校生外野手、マックス・クラークとウォーカー・ジェンキンスだ。
どちらも素晴らしい5ツールスターであるが、小柄でやや身体能力にステータスを振っているクラークと、大柄でやや打力にステータスを振っているジェンキンスと区別される。

クルーズ、スキーンズ、ラングフォード、クラーク、ジェンキンスの5人は全員が「他の年ならば全体1位」と言われる好素材。
トップ5の層の厚さは、ジャスティン・アプトン、アレックス・ゴードン、トロイ・トゥロウィツキらが指名された2005年にも匹敵する水準と言われていることからも、この5人の傑出度がうかがえる。


ただ、トップ5と比べると、それ以降の面々はやや見劣りするかもしれない。


特に大学生投手の層の薄さは深刻で、1巡相当と見られる大学生投手はスキーンズを含めても4人程度。

No.2投手のロウダー。CWSでのスキーンズとの投げ合いは歴史に残る投手戦になったはず(The Recordより)

カレッジワールドシリーズでスキーンズと投手戦を演じたウェイクフォレスト大のレット・ロウダー、フロリダ大のハーストン・ウォルドレップ、そして全体1位候補と言われながら不振に陥ったテネシー大のチェイス・ドーランダーである。
ここにさらにカレッジワールドシリーズで快投を見せたLSUのタイ・フロイドが絡んでくるかもしれないといった程度。


それ以降の大学生野手は、派手さに欠けるが、堅実でフロアーの高い選手が並ぶ。

ジェイコブ・ウィルソンの父ジャックはマリナーズでも活躍した守備職人(BAより)

抜群のアプローチが武器のジェイコブ・ウィルソンとジェイコブ・ゴンザレスの両遊撃手を筆頭に、高いヒットツールを誇る今ドラフトNo.1捕手カイル・ティールと三塁手のブレイデン・テイラー、いずれも6フィート足らずの小柄さながらパワーを発揮するトミー・トロイとマット・ショウ(いずれもSS)らに1巡中位以上での指名があり得る。


高校生投手で1巡上位に食い込む可能性があるのは、スペックと完成度を兼ね備える大型右腕のノーブル・メイヤーか。

6'5と大柄なメイヤーだが、制球もまとまっている(Royals reviewより)

完成度で抜けるメイヤーに、いずれもスペック自慢の大型左腕トーマス・ホワイトとチェンジアップが売りのチャーリー・ソトが続く形が予想される。


クラーク&ジェンキンス以外の高卒野手にはマルチタレントが揃っている。

インド出身の両親を持つ二マラは少ない野球経験の中で才能を発揮(ESPNより)

クリケット出身の変わり種の遊撃手アルフン・ニマラ、いずれも投手としても有望視されるブレイク・ミッチェル捕手とブライス・エルドリッジ一塁手ら(エルドリッジは投手としての指名の可能性が高いか)、興味深い面々が並ぶ。


A'sの指名を左右するのはレンジャーズ?

と、一通り1巡上位候補をおさらいしたところで、アスレチックスの指名予想とそれを左右するドラフトの展開を予想していきたい。

正直、クルーズ/スキーンズ/ラングフォードの動向はどうでもいい。アスレチックスの全体6位までスリップすることはまずありえないためだ。

クルーズとスキーンズのどちらが全体1位になるのかということでいえば、個人的には巷のクルーズ優勢にそこまで傾く必要はないだろうと言いたくなる。

個人的にそう思う最大の要因は、契約金とバリューの兼ね合いにある。

クルーズ×スキーンズ論争では、両者の評価はほとんど拮抗している。
個人的にはスキーンズのクオリティで投げている投手がアマチュアはおろか世界にどれほどいるのかと思い、傑出度の点から見てもスキーンズの肩を持ちたいが、ここの決断は単純に投手と打者のどちらの即戦力を求めるのかに左右されるだろう。

ただ、大方の予想では、バリューは同程度でも、クルーズの方がより多くの契約金を求めるだろうと予想されている。(他愛もない噂だろうが、クルーズがWSHでプレーするためにPITに吹っかけているとの噂もあるくらいだ。)

両者のバリューは客観的に見て同程度であり、さらに今年の大学生投手の不作を鑑みれば、、、
スキーンズを指名してボーナススロットを節約できるならばなおさら、スキーンズ指名の方が合理的なようにスキーンズ派の私としては映る。


だいぶ閑話休題。
だけど、ドラフト◯ッタリーがなければ閑話になることもなかったと思うと切ない。

前述の通り、スキーンズとクルーズ(とそしてラングフォード)のスリップはありえない。よって関係ない。

ラングフォードもほとんどのメディアによって全体3位のタイガースによる指名が予想されており、個人的にもそうだろうなと思う。

だとしたら、トップ5内の残る2人の高校生(クラークとジェンキンス)はその後も順当にレンジャーズとツインズによって指名されるだろうか?

正直なことを言うと、そんなことはないと思っている。
ドラフトでトップ5がそのままトップ5の指名で消えることなどほとんどない。サプライズは起こる。

そして、現時点でできる論理的な予想をしたとしても、トップ5の内の誰かがアスレチックスに落ちてくると言うことはできる。


そのクラークとジェンキンスのどちらかが全体6位まで残るシナリオとして最も有力なのが、レンジャーズが大学生(トップ3以外の)を指名するシナリオになる。

上位ピックを得た際のレンジャーズのドラフト方針は至って単純で、大学生を指名するというものだ。

そして、過去3年の内の2年はアンダースロットで契約できる大学生を選んでいる。

ジョン・ダニエルズが去ったためヤングGMのドラフト方針にも影響があるか(NBCより)

昨年と同様、レンジャーズはQO対象選手とのFA契約によって、2・3巡目の指名権を失っている。
昨年のレンジャーズは全体2位でクマー・ロッカーをサプライズ指名。アンダースロットで契約をまとめ、次の指名権となる4巡目でNo.1高卒投手だったブロック・ポーターを射止めるに至った。

果たして2・3巡目の指名権を持たないレンジャーズが、1巡目で高校生をフルスロットあるいはオーバースロットで指名するかと言われたら、甚だ疑問である。少なくとも過去の傾向から言えば。


巷で囁かれているもうひとつの可能性が、全体1位でパイレーツがマックス・クラークを指名するというウルトラCだ。
クラーク指名となればボーナススロットの75~80%での契約を結ぶことになり、ここでもパイレーツがアンダースロットを狙うことが予想される。また、パイレーツが相当クラークを好んでいるとの噂もある。

こうなってしまえば、全体4位のレンジャーズに大学生のラングフォードが残る可能性が非常に高くなる。
トップ5の一角を指名できるかもしれない、との目論見もその時点でご破産となるだろう。


そもそも、クラークかジェンキンスが残ったとして、アスレチックスが指名するのかという疑問もあるだろう。

まず、アスレチックスの基本軸は野手指名である。そしてかつての大学生偏重の気も近年は薄れ、高校生の指名も厭わなくなっている。

2020年のソダーストロム、21年のマンシー、昨年のスーサックらの指名が示すように、スリップした選手にも素直に反応し、オーバースロットも気にしない傾向は見られている。

クラークかジェンキンスが手元に残るとなれば、流石に見過ごせないのではないか…という予想をしている。


もし、クラークかジェンキンスが6位までに残らない、あるいはスルーするとしたら、選択肢は基本的に大学生野手に絞られてくるはずだ。
候補に上がるのはジェイコブ・ウィルソン、カイル・ティールなど。。。

ここら辺の指名候補の寸評は別の記事にまとめようと思う。


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