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雪組バウホール公演「Sweet Little Rock 'n' Roll」感想① 全体像、縣千さん

細いチャンスの糸をつないでいただき、1/22 11:30回を観劇することができました…!!

※写真はさすがにやっぱり駄目かなと思い、ポスター画像に差し替えました
公演写真が本当にどれも素敵でかわいくてキラキラ!

もう、もう、もう。

楽 し か っ た ! ! !

そして

直接拍手が送れてよかった、見られて良かった、見に来てよかった。

という、充実感と感謝の気持ちのキラキラでいっぱいです。

本編の感想、のまえに

まず心から、お礼を言いたいです。
雪組のみんなが、ほんとうに、ぜーんぶぜんぶ全力全開全力投球であり続けてくれることに。
この公演は、こんなご時世のこんな状況の中で、確かに必要とされるお芝居であり、ショーアップだ。

いや、もう雪組下級生、強い。
本当にみんな、すごく良くやっている。生き生きと舞台上に躍動して、弾ける生命力のパッションがそのままぎゅっ!と詰まっているような感じがします、この公演。もうとにかくかわいい。
めっっっっっちゃくちゃに、すっごい、かわいい。

本作、本当に内容としてはたいへん些細で。
どこの著名人の話でもなければ、誰が生きたり死んだりする訳でもありません。どんでん返しどころか、伏線がそもそもない。(笑)
彼らが全力をかけていることは、どれもみーんな他愛なくて、どうでもいいだろうって、怒鳴りだす輩すら現れかねないポップ&キャッチーな軽さです。
でもさ、ハイスクール・ボーイズ&ガールズって、そうですよね。
箸が転んでもおかしくて、誰が誰を好きになることにも全力で、仲の良い友人たちとの学校生活が自分のすべてで。
もうずいぶん私自身からは遠くなってしまったそれがなんだかもうものすごく眩しくって、そして、いま、欲しかった光であるなあ、と、しみじみ思う。
「これが欲しかった」
「きみたちに会いたかった」
素直にそう思わせてくれる雪組バウチームの皆さんに、まずは手が痛くなるくらいの大喝采を送りたいです。
たくさんたくさん、抱えきれないくらいの元気をもらいました!幸せだった!!

常に洪水する「かわいい」

さてここから本編の話に入っていこうと思いますが、はて私は、感想を書き終わるまでに果たして何度「かわいい」という言葉を口にするのでしょうか(笑)
いやだってもう、どこもかしこも、常に本当にかわいいんだもの。
みんなチマチマ、あちこちで繰り広げるハイスクールライフがおもしろくって。本作がめでたいバウ初主演な縣千くん(以下、愛をこめて「あがた」)も言っていたように、あちこちでかわいいちいさいラブがパチパチ常に弾けていてね。
それがまたみーんな一生懸命で、その一生懸命を見てると、なんかもう大体のことが「かわいい」で許されてしまうというか。

実際このSLRR、先にも述べたように、別に誰も何も、大したことはしてないし。
幕前芝居の多さと、それゆえの若干の間延び感とか。
プロムの場面を最後にバーン!って持って…こない!?っていうか最後ペアダンスじゃないの???プロムなのに????キングとクイーンはどうなった????っていうなんともスットコドッコイな外し方とか。
ロックンロールどこいったなラップでフィナーレが始まる違和感とか。

とかとかとか。
正直、ツッコもうと思えば無限にツッコミ所はあるんですよ。
2幕ロッキーのピックアップだいぶ唐突だったし、これに従ってロバートメアリー組は、ほぼ後ろのモブに下がっちゃうし。
(なるほど出番調整)
(はいちゃん:眞ノ宮るいさんは、振り切ってやろうと意気込んでる感じがいい感じにイキっぷりに繋がっててたいへん面白かったです)

でもね、なんかそういうものが、ぜーんぶ若手の勢いとかわいさで、ブワーって押し流されて笑えちゃう感じ。
そしてもう本当に出演者全員が涙が出るほど全力なので、その勢いに流されるのも、まあいっか、悪くない、みたいな。だって楽しいし、かわいいし、という。
まあもうこれは、今の、この雪組の若手がやる公演だからこその特権みたいなもんですよね。
さすがに大劇場でこれやられたらキレますよ。やっちゃ駄目だと思うし。…やらないよね?

縣千さんについて

バウホール初主演、ほんとうにおめでとうございます!
再演なはずなのに、もはや宛て書きかしら?と思わせる、舞台上での生き生きとした躍動感。跳躍。
さすがの縣千!という感じでした。「縣千全部盛り定食」と表現されている方がいて笑った。
最初から最後まで本当に飛び回っていて、その底なしのエネルギーに笑顔になる。

縣千の「強さ」

この公演が発表になったとき。
抜擢のことであったり、彼女の力の「未完成なデコボコ感」であったり。
色々と言われるかもしれないけれど、めいっぱい、これ以上ないくらい、みんなで楽しんでほしいな、と、ただそれだけを思っていました。
それが、誰もの予想外で、
今このときもバウホール公演が続いていること、それが、雪担の「希望」みたいに、そんな存在に、彼女たちがなってしまっている。

下級生時代を一緒に過ごしてきた、ともに雪組下級生を盛り立ててきただろうあみちゃん(彩海せらさん)が、この公演を最後に雪組からいなくなってしまうこと。
東で行われるはずだった別チーム公演の幕が、本当に無念なことに、上がらなくなってしまったこと。
さらには日々、いまだ指数関数的に増加を続け、おさまらない、あの災厄の感染者の数。すぐそばまで近づいていると、思わずにいられない、見えない脅威。

ただでさえ「初めての主演」なのに、調子を崩しうる原因が、追加で挙げられるだけでもこんなにある。
そしてあまりにも、どれもが、人ひとりではどうにもできないレベルでドス重い。あがた一人が頑張ったところで、どれの、何の根本が変えられるわけもない。
けれど彼女は座長として、この公演を牽引しなければならない。
常に「あかるく、たのしい」ことに、みんなで一緒に、全力疾走していかなければならない。

奏乃組長は初日のあいさつで
「私たちの公演が、みなさまがこの困難な日々を前向きに歩む活力の一助としていただけますよう、出演者一同、ベストを尽くしてまいります」
と言った。
改めて思い返すと、やっぱり、とんでもない責務で、重圧だ。
初めての「自分だけの主役」「自分のための舞台」。そんなことなんて考えずに、ただ楽しんでほしかった、楽しめる日々でありたかったと、今だって思っている。
でも、あがたは、本当にとにかく常に全力全開だった。
この公演を楽しむ、それ以外の何も考えられなくなるくらい、常に高速高温で回転して、躍動を続けていた。
重いものは、片っ端から跳ね返したり、手を差し伸べる、他の組子にお任せしたり、していた。
そこに、そんな強さのありかたに、私は勝手に、望海風斗さんのおもかげを見たりした。
あがたから望海さんを感じたのは初めてだったけれど、でも、全然意外じゃなかった。むしろ、そうだよな、見ていたよな、と思った。
あなたたちを遠い場所へ連れていくための背中、ずっと見て、追いかけていたんだもんね。

この子は強い。本当に強い。
この公演を乗り越えて、もっと、もっと、強く、逞しく太くなるのだろう。
雪組の未来を引く者として。


振り分けられるもの

続いてごく個人的な話をしますと、私は歌が、音楽が好きなオタクです。
だからこそ望海風斗さん・真彩希帆さんの雪組にすっ転び、今はそこからの系譜で、彩海せらさんに注目して見ています。

んでもって、そんな中で、あがたは自他ともに認める、お歌が苦手なジェンヌさん。
せめてあともうちょっと、胸が開くといいんだけどな…難しいかね…と思いながら、見ています、が。
多分すぐ横にあみちゃんがいることを盛大に加点した上でですが、
私、上記のような「強さ」をあがたにすごく感じていることもあり、舞台人としてのあがた、嫌いじゃないんです。常に全力爆速発光、超回転してる印象があって、眩しっ目痛っ!!って感じで。

縣千さんというひとは、常にまっすぐで、熱量が高くて。
男役が大好きで「躍る」ことが大好きで、変わりたい!もっともっといろいろできるようになりたい!!と、そういう、純粋な欲望が、常に前のめりで全面に押し出されていて。
さらにはその欲望には他意がない、というか、誰かに好かれたいとかなんとか、そういう、観客側には雑念として見えてしまうようなものがなくて、クリア。
いや勿論ないわけがないし、競争の社会である以上、あってしかるべきでもあるんだけれども。あがたはそれより前に、「舞台!!たのしー!!男役大好き!!」がバーン!!!!と押し出されてる人だなあと、いつも思う。
なので見ていて面白くて、ここ最近は本当に毎回あがたを面白がっている自覚があります。
なんとなく舞台全体を見ていても、ぱっと目に飛び込んでくるのは、もう、本当にあがたの持って生まれた才能みたいなものだと思う。

んでもって、あがたのえらいところは、ちゃんと「苦手です」「だから頑張ります」って、表立って、自分から口にするところだなあと。
それでもどうしても日進月歩…とまでいかないところが、たぶん、あがた自身一番腹立たしいところなのでしょう。
今回に関しては

・無理に低い声を出さなくて良い「高校生」のお役
・音楽が全部刷新されて歌も宛て書きになっており、比較的あがたが無理なく出せる「中音域」が多く使われている
・歌のウェイトをかなり二番手・あみちゃんに寄せている
・夢白ちゃん(夢白あやさん)のお歌に破綻がない

こともあって、そこまでしんどくなかったな、というのが、あがたの、特に歌に対する正直なところです。
歌を聴かせるのはあみちゃん、躍動感で魅せるのがあがた、という割り振り。
いやー潔くていいな。そうできるあがたは、勿論悔しくないと言えば嘘になるだろうに、えらいなと。
だって曲数、歌う場面数だけで言えばほぼ同数くらいでしたよね、あがたとあみちゃん。びっくりしたわ。私個人としてはうれしかったけれども。
なるほどナウオンで、あがたがあみちゃんの場面について嬉しそうに語るわけだ…。
本当にあがたとあみちゃんの並びが好きでした。ふたりの相乗効果が大好きだった。
それぞれの個性の違いがきれいで。違うからこそのコントラストに、見ごたえがあって。

あみちゃん組替えに伴って、今回限りでこの手は使えなくなるので、
あがたの真価が問われるのは「この次」以降からかもしれませんね。
そしてこれは、目の前で爆速回転する高温軸がいなくなるあみちゃんにも、同じことが言える。

次はあみちゃんのお話。
長くなりそうなので、ここで一度切ります。

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