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2020/07/29

ずっと描いていた物がようやく出来た。

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本邦初公開。ムニミ=ムネモシュネだ。

まずは彼女の「鏡外」作中での動きについて語っておこう。本来は記憶を司る神で、[傷]の物語の直前までは普通に記憶の神らしい事を色々としている。鴨草京に知恵を与えたりもしていたようである。彼女は森羅万象を知っているとも言える知識量を誇っていた。

ムネモシュネの知らない事とは、それすなわち今までに記憶されていない事柄である。鏡外で誰かが記憶する出来事は、全てムニミを一度経由する。つまり、彼女は今現在で世界に存在している全ての記憶を保持している存在だった。なおかつ、それを管理しているという性質上、自由に個人の記憶を取り出して覗き見る事も出来た。かつては裁判に用いられたりもしたムネモシュネの神通力は本当に強力で、故に神としての正統派な信仰を集めていた。人は彼女に頼り、知恵を得た。そうして発展した文明から、彼女はまた多くの知識を回収する。そういう神だった。

だが[傷]の事件の際、深韴傷瑕によって鏡外は傷付けられてしまう。なんとその時、傷瑕の一突きによって、丁度彼女が居た辺りの鏡外世界が崩壊した。それに伴い彼女はとても大きな被害を受けることとなる。

具体的には、彼女の記憶機能は著しく衰えてしまった。記憶は喪失した訳ではなく保持されているが、それを引き出す事が難しくなってしまったのだ。よって、今の彼女は一つの事を思い出せば一つの事を忘れてしまうような、人間よりも貧弱な存在になった。

それでも辛うじて自分の元に出入りする記憶の中から、自分に理解できる物をなんとか拾い集めている。これは彼女が元の彼女へと戻るためだ。様々な人間が「ムニミ=ムネモシュネ」について語ったり、思い返したりする記憶を集め、自分自身を再構築しようとしているのである。但しあまりに小さすぎる記憶容量のせいで、この取り組みは上手く行っていない。記憶が引き出せなくなった2014年の秋頃から2020年夏に至るまで、彼女が取り戻した記憶は名前や能力などの「誰でも知っている程度の彼女の概要」だけである。

また、記憶機能の低下に伴って思考能力もかなりを失っている。これは日による変動、及び特殊な体験による一時的な機能の改善などの影響を受けるが、大元の知能としては人間の5歳児程度であると推測されている。各種変動は基本的にこれよりも思考能力を向上させるが、忘れてしまう知識によっては激しく低下するケースもある。

例として、言語の喪失が挙げられる。一般的な人間や神の記憶喪失とは異なり、全てを記憶という一くくりに収めている彼女の場合、引き出せない記憶の中に思考言語などが含まれる。その為、何らかの刺激によって記憶を一つ思い出した際、入れ替わるように思考言語を忘れてしまう可能性がある。この場合、思考言語を取り戻すまでは知能が著しく低下する。具体的には、一切の言葉を理解できなくなるだけでなく、思考という行動そのものが出来なくなり、本能など生命の根幹のみで生きる獣のようになってしまう。こうなるともう赤ん坊と変わりがない。

なお、絶えず彼女の中に入ってくる膨大な記憶に思考言語が含まれる可能性は極めて高く、大体のケースでは思考言語の喪失から30秒~1分程度のうちにこの状態は終了する。

中々な枷を背負わされてしまっている彼女、ムニミ。深韴傷瑕はこの事態の責任を問われ、傷以後では彼女の本来の力を取り戻す手伝いをすることになるが、これはまた別の話である。今回はもう少し、メタ的な視点からムニミ=ムネモシュネを掘り下げたい。

そもそもこのキャラクターは、最初の鏡外の計画には存在しなかった。鴨草京や神湖水道局などには「将来的にこのようなキャラを作りたいな」という構想があったりした(そのほとんどが現在では名前と設定が作られている)が、ムニミはそれすらも全く無かった。

ムニミが生み出された理由は、鏡外を見ている人との双方向通信を可能にする為である。このキャラクターの登場によって、現実世界の人々は彼女に対する知識を得た上で、各々が彼女の設定を咀嚼し、解釈するだろう。そうすることで記憶を植え付け、それを作中でムニミに回収させる事によって、ファン/プレイヤーの発想を少しずつ鏡外に取り入れられる。こういう目的があったのだ。

極端な話、例えば現実世界の鏡外ファン/プレイヤーの全てが「ムニミ=ムネモシュネは死すべきである」と思ったとしよう。すると当然彼女はその思考をいつか拾う。そうして、「自分は死すべきなのだ」と思う可能性がある。こうなると、今後の作中で彼女は死ぬかもしれない。現実世界での認識が、創作世界に大きな影響を及ぼしうるという事だ。

この双方向性の実現は、僕にとって一つの目標でもあった。創作世界は、創作者の思考にのみ存在するケースが多い。鑑賞者は創作者の思考に基づくストーリーを覗き見るだけである。僕はここに存在する壁を破りたい。万人に存在する鏡外世界への認識を重ねていくことで、創作者に依存しない独立した世界のストーリーを紡ぎたいのだ。

既に、僕のTwitterアカウントにて「記憶から連想される言葉」という質問を行い、集まった単語を彼女に作中で使用させるという試みに取り組んでいる。また、彼女のテーマ曲は僕のフォロワー4人の作曲して下さったものを、僕が全て合わせてアレンジしたものにしようと思っている。いずれも、現実世界からムニミに寄せられている感情や、ムニミに対する認知・理解を本人にフィードバックする物だ。こうして皆で作り上げていくキャラクターにしていきたいと考えている。

まとまりのない話になってきてしまったので、そろそろ寝ることにする。それでは。

以上。2020年7月29日、25時45分。

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