THE MAKAIという可能性。
THE MAKAI Fes.が終了。
出演してくれたKiBON2U、絶対倶楽部、NATSUMETALのみなさんに感謝。
「多幸感」というコンセプトの通りのハツラツしたパフォーマンスを見せてくれたKiBON2U、その名の通り、絶対的な自信に満ち溢れた素晴らしいプレイで観客を魅了してくれた絶対倶楽部、ボーカルのIBUKIが不調ながらもその高い演奏能力と歌謡曲の名曲を意外性抜群のメタルアレンジで衝撃を与えてくれたNATSUMETAL。いずれも最高のパフォーマンスだった。
そしてTHE MAKAI。
現体制になって三回目のライブ。
特にリズム隊を固定して二回目となる今回は、まさにTHE MAKAIという可能性を実感できたライブだった。
THE MAKAIはバンドとしては特殊である。
ボーカルが3人いるのだ。(パーマネントでは今回出演していないシギ、IBUKIもいるので5人)
ボーカルが3人いる以上そこには、必然的にボーカルチェンジという難問がつきまとう。
1時間のショーの中で通常通りMCを挟みながらだと、一人づつ数曲まとめて歌って交代という、ライブそのものの流れを止めかねない状況が生まれることになる。現に1回目のライブではそういう問題点が実際に浮き彫りになっていた。
さらに、曲順もボーカルをまとめなければならないため柔軟性はない。
その問題を解決させるため、前回はMCを廃し、全編、ストーリー仕立てに変更し、ナレーションのBGMで間をつなぎながら、ボーカルチェンジをシームレスに行うという手法をとった。
このやりかたは、非常に効果的で大いに手応えを感じたので、今回はその仕組みそのものには手を加えず、新しくストーリーを書き下ろして挑んだ。
そして、前回はまだ実験的であったので、鶴姫こと志田光くんにセリフや影ナレーションを担当してもらい、どちらかというと「演劇」寄りのアプローチを行ったが、今回はより音楽を引き立てるため(他にも理由はあったのだけれど)、ストーリーの中心人物である高山右近こと土屋大輔くんには、一切セリフを用意せず、表情や立ち姿だけでライブに華を添えてもらった。
この俳優を使うがセリフはなく、全て生のナレーションで処理するという方法は複雑さがなくなりよりシンプルでドラマチックな効果を引き立てることになった。
結果としてTHE MAKAIの音楽の強力さが前面に押し出され、音楽ライブとしての進化系ができはじめたように思う。
ボーカルチェンジの難点は、逆にボーカルの多彩さという武器になり、NOV、榊原ゆい、Nashという強烈な個性が楽曲とともにシーンを彩るという戦いはないけれど、まさに魔界本編と同等のクオリティを描き出すという絶対的な効果を生んだ。
そして、なによりもこのTHE MAKAIはバンドであるという意思表示をはっきりと今回できたのではないかとも思う。
リズム隊の今井義頼くんとKOTAくんのふたりはサポートというより正式メンバーだとワタシは思っている。ふたりの重厚で華やかで、叩きつけるような激しい音圧は、まさにTHE MAKAIのサウンドの中心だ。
バンマスの小林さんと西村くんのギターは、まったく違うアプローチながら、絶妙に絡み合い、凄まじい攻撃力をみせつける。
そこに強力なフロントマンが3人。
スケール感、音楽的能力の高さ、そして一体感。
THE MAKAIは大きな変化をこのライブで果たした。
それは、イベント型の一過性バンドではなく恒常的なバンドへと変貌だ。
さらに、その勢いと変化は、THE MAKAIの存在自体がもうひとつの「魔界」になろうとしているようだ。
この可能性にもっと力を入れていこうと。
次回は8月を視野に。
期待してほしい。
さらに強力で過激で美しいTHE MAKAIをつくりだしてみせる。