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大内義隆は最期の時を迎えようとしていた。 もはや、迷いはなかった。 ここで死ぬ。 それが…
號! 隆豊の両刀が音を立てて唸りを上げる。 眼前の槍を叩き斬ると、目も止まらぬ速さで、そ…
開け放たれた門から現れたのは、冷泉隆豊であった。 大刀を二刀、両手に握りしめ、鎧兜はつけ…
隆房は馬上で待っていた。 自分自身と父、興房がつくりあげた大内家が自らの意志で滅びゆく刻…
「そうではない?」 冷泉隆豊は眉を顰めた。 この後に及んで死ぬのが怖くなったのか。 もは…
外の喚声が静まった。 炎で寺の柱の爆ぜる音だけが義隆の耳朶を打った。 「自害せよというわ…
激闘であった。 瀬戸の海は一面血で染まっていた。 「ひくなぁあああ!!攻めよ!!!」 長身で鍛え抜かれた上半身、浅黒い肌に彫りの深い顔立ち、すっきり通った鼻梁に褐色の瞳。 美丈夫とはこの若者のことを言うのであろう。 若者は小舟の切っ先に立ち、弓をつがえた。 その逞しい二の腕がみるみる隆起する。 「はっ!!」 鋭い気合いが唇から漏れる。 矢が風を切り凄まじい勢いで唸る。 狙い違わずその矢は敵将の喉を貫いた。 「そのままつっこめぇええええ!!!」