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"小さな巨人"「ブラザー・クラウス野外礼拝堂(ピーター・ズントー,2007」[建築探訪記]

ドイツ・ケルン郊外にある野外礼拝堂。

設計者は「聖ベネディクト教会(ピーター・ズントー ,1989)」と同じピーター・ズントー です。聖ベネディクト教会同様、とてつもない建築となっています。

この野外礼拝堂へはケルン中央駅から最寄り駅まで電車(40分ほど)+バスor徒歩(5kmくらい?)という行き方があるようですが、私はケルンからレンタカー(50分くらい)で行きました。周りにはとにかく何もありません。


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外観はとてつもなくシンプルです(至る所に違和感はあります)が、内部に入るとそのヤバさがわかります。

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コンクリートの塊を掘ってできた、まるで洞窟のような空間になっています。

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この礼拝堂は、教会のような場所とは異なり、個人的な瞑想のための空間として作られています。そのため、内部には祭壇はもちろんのこと電気や水道などはなく、暗い部屋に光を取り込む天井トップライトのみ。もちろんガラスがあるわけもなく雨も入り込みます。

そしてこの独特の陰影を作り出すガタガタとした表面。これはなんと丸太の跡なんです。

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普通のRC造の建物は板材の型枠を組んでそこにコンクリートを流し込みますが、この建物に関しては内部の型枠として112本の丸太をテント状に組みあげ、外側の型枠とのスキマにコンクリートを流し込んでいきます。そして最後に内部の木材を燻すことで収縮させ、コンクリートから外しているのです。

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しかもコンクリートは合計12mを50cm毎に版築(締固めて積み上げる工法)のようにして打ち上げているため、外観に現れる地層のような模様は普通の打ち放し建築では現れない素材感です。コンクリートの骨材となっている砂利もこの地域で取れたもののようです。

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中は五人くらいの人しか入れないほど小さな建物です。

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日本では建築行為自体がネガティブに捉えられたりしていますが(ハコモノと呼ばれたり、豊洲市場や新国立競技場等の一連の流れ)、、ズントー の建築を訪れるといつも、やっぱり建築って素晴らしいなと気づかされます。

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