沖縄島野菜★ゴーヤー
夏の定番料理ゴーヤーちゃんぷるー。今年の夏に食べた方も多いのではないでしようか。ゴーヤーの苦味、豚とかつお節のうま味がマッチして、味わい深い1品ですね。私自身も大好きな家庭料理。管理栄養士国家試験の前日、母に何が食べたい?と聞かれ、迷わず「ゴーヤーちゃんぷるー!!」と即答。当時、国家試験は五月だったので関東のスーパーにはゴーヤーが出回っていなく、スーパーを何軒も探し回って作ってくれた・・・そんな思い出の料理です。今回は、沖縄代表野菜ゴーヤーの栄養素や歴史など詳しく解説します。
ゴーヤーが全国的に人気になったきっかけは?
ゴーヤーが全国的に人気野菜になったきっかけは、2001年のNHK連続小説ドラマ「ちゅらさん」の放送後、沖縄料理ブームが到来。その後、全国にゴーヤーの名も知れ渡りました。現在では夏の定番野菜ですね。沖縄県外でもゴーヤー栽培する家庭が増え、ゴーヤーカーテンは夏の風物詩となっています。
ゴーヤーの名前や由来
植物名は弦茘枝(ツルレイシ)、和名は苦瓜(にがうり)で、沖縄方言ではゴーヤーと呼ばれています。ゴーヤーの由来は、合屋(ゴウヤ)さんが初めて栽培したとの説がありますが、文献は見当たらず。中国語で苦瓜をクーグアといい、琉球王国時代にはガフヤア呼ばれていたのがゴーヤーになったといわれています。沖縄県外では、ニガウリがなまり鹿児島でにがごい、熊本ではにがごりとも呼ばれます。
ゴーヤーの原産国や産地
ゴーヤーの原産国は熱帯アジア。高温多湿の環境で育つため、バンクラデッシュ、マレーシア、スリランカなど暑い国では定番野菜です。
旬は、7月から9月。最近ではハウス栽培もされているので、1年中出回っています。主な生産地は、生産量がダントツトップの沖縄県、その他では宮崎県、鹿児島県、群馬県など全国的に栽培されています。沖縄県内では、名護市、南城市(知念)、 糸満市、久米島町、 宮古島など。近年では宮古島でゴーヤーの栽培が盛んで生産量が増えています。
ゴーヤーの種類
◆純白苦瓜
ふっくらとした白いゴーヤー。苦味が少なくサラダや生食用におすすめ。
◆なめらかゴーヤー
イボがなくなめらかな表面が特徴。純白苦瓜より苦味がありますが、あばしゴーヤーより苦味が少なく、薄切りにして生食でも食べやすい味わい。
◆あばしゴーヤー
ゴーヤーの代表格。肉厚で水分が多く、比較的苦味が少ないのが特徴。あばしゴーヤーのあばしとは、ハリセンボン(ふぐ)に似ていることからハリセンボンの沖縄方言アバタが由来といわれています。
◆群星(ムルブシ)
太く、ずんぐりとした形が特徴。1992年に高品質・高収穫・耐病性に改良された品種で、6~8月に市場に多く出回っている。
◆汐風(シオカゼ)
濃い緑色で、イボが鋭いのが特徴。1995年、冬期にハウス栽培ができるようにと改良されたもの。1年中出回っている。
◆長れいし
細長く苦味が強いのが特徴で、九州地方でよく栽培されている。
その他、島風(シマカゼ)、夏盛(ナツサカリ)、太れいし、ベトナム産ゴーヤー、ウッチャボルダエ、タイゴーヤーなどさまざまな種類があります。
ゴーヤーの効能・効果
■高血圧の予防効果
ゴーヤーのカリウムは、100g 中260㎎含まれ、高血圧予防に期待できます。血圧とは、血管壁の内側にかかる圧力のことです。血圧が高い状態を放置すると動脈硬化を引き起こす原因にも。高血圧は、自覚症状がない状態で進行するので「サイレントキラー」とも言われています。この高血圧を予防するには、体内のナトリウムを体外に排出するカリウムを含む野菜や果物が必要です。
■病気予防や老化防止効果
ゴーヤーのビタミンCは、100g中76㎎含まれています。ビタミンCの働きは、強い抗酸化作用があり、身体に有害な活性酸素を除去して老化防止や病気予防の作用が期待できます。コラーゲンの合成に関与し美肌に嬉しいビタミン。さらにストレスに対抗するホルモンを作り、鉄の吸収を助ける作用があります。健康と美容に不可欠なビタミンC。残念ながらたくさん摂取しても必要な分だけ吸収され、不要な分は尿で排出してしまいす。ビタミンCを含むゴーヤーや野菜・果物などは毎日の摂取がおススです。
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、ビタミンCの成人男女の1日摂取推奨量は100㎎。ゴーヤーちゃんぷるー約1皿分で1日のビタミンCが摂取できます。ゴーヤーに含まれる還元性ビタミンC(アスコルビン酸)は、熱に強いですが、水に溶けやすい水溶性ビタミンなので、茹でるや煮るなどの調理法で流失します。サラダでは茹でるより、軽く塩もみして苦味を緩和するのがおススメです。ゴーヤーちゃんぷるーはさっと炒めるので、ビタミンCの流失も少なく理想の調理法ですね。
その他の栄養素は、血液凝固にかかわるビタミンK、赤血球をつくり悪性貧血予防の葉酸、ストレスを和らげるホルモンを作るパントテン酸などが含まれています。苦味成分モモルデシンは、胃腸を促し食欲増進効果があると期待されています。一部で「糖尿病に良いのでは?」との情報がありましたが、血糖値に影響することがありますが、効果は有効ではないといわれています。また、種子に含まれているモモルカリンは動物実験において、妊娠阻害作用があるとの研究結果もあり、摂取は避けましょう。
*ゴーヤーの栄養素 文部科学省「日本食品標準成分表七訂(2020)」参照
琉球王国時代のゴーヤー
琉球王国時代の古書「御膳本草(ごぜんほんぞう)」によると、当時、ゴーヤーについて以下のように記載しています。
※御膳本草についてはぬちぐすいコラムを参照↓ https://note.com/1026okinawa/n/n394872f06212
【苦瓜】ガフヤア 気味苦甘平毒なし: 邪熱と除き、疲れを解き、心を清め、目を明からにする。夏の月は毎日食ついてよい
琉球王国時代から苦味はあるが毒はなく、疲労回復や夏におすすめの野菜だったことがわかります。
ゴーヤー料理は、定番のゴーヤーちゃんぷるー、ゴーヤー天ぷら、ゴーヤードーナツ、ゴーヤー味噌焼き、ゴーヤーサラダ、ゴーヤー白和えなど苦味を活かした料理がたくさんあります。今回は、免疫力を高め、1日分のビタミンCが摂取できるゴーヤーとパプリカの肉巻きレシピをご紹介します。
ゴーヤーレシピ★ゴーヤーとパプリカの肉巻きガーリック焼き
材料(3人分)
豚ロース薄切り300g、ゴーヤー1本、赤パプリカ1個、黄パプリカ1個、塩麹大さじ2、小麦粉適量、オリーブオイル大さじ1、にんにく1カケ(すりおろし)【お好みで・・・シークワーサー果汁・柚子胡椒・コチュジャンなど】
作り方
①豚肉は塩麹で下味を付ける
②パプリカは種を取り除き薄切りにする(薄切りにすると巻きやすい)、
ゴーヤーは種とワタを取り除き、1㎝幅でパプリカの長さに合わせて切る
③豚肉を1枚広げ、②を置き隙間がないように巻き、全体に薄く小麦粉を軽くまぶす。
④フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れ弱火で熱し、香りが立ったら強火にして③を焼く。(巻き終わりを下にして焼き始めると崩れにくい)
⑤両面に焼き色が付いたら、蓋をして弱火にし約10分焼く
⑥お皿に盛り付けたら出来上がり
レシピは薄味に仕上げています。塩分に気を付けている方はシークヮーサー果汁やレモン汁などがおススメ!お子様には中濃ソース、お酒に合わせたい方は柚子胡椒やコチュジャンなどお好みでプラスしてみてくださいね。
豚肉の良質たんぱく質は免疫細胞の材料・ビタミンB₁は疲労回復、にんにくのアリシンはビタミンB₁の吸収を助ける働きがあります。ゴーヤーのビタミンCは病気予防、パプリカのビタミンAは皮膚や粘膜を守り感染予防、塩麹は発酵食品なので腸内環境を整えるなど、免疫力を高めるレシピです。
ゴーヤーとパプリカの肉巻きガーリック焼き
1人分の栄養価:エネルギー384kcal、たんぱく質20.1g、脂質27g、炭水化物12.8g、ビタミンA47μg、ビタミンC135mg、塩分1.1g
*文部科学省「日本食品成分表七訂2020」参照