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ふゆやからね。ゆやへゆく。


寒さが部屋に吹きすさめば自然と体が丸くなる。この季節はどうにも体が冷える。
鍋を食べて温まるのもいいのだが、如何せん材料調達が煩わしい。外には冬が横たわっていて大変歩くのが難儀だ。
これなかなか難しい問題に当たってしまい、口をへの字に曲げてうんうん1人部屋で煩悶していた。
あたりは暗くなり山は夜の帳に沈み、家々は火を灯している。遠く向こうでプラモデルのような電車が建物を間をすり抜ける。
外の風景を眺めながらあることが浮かぶ。


久しぶりに湯屋にいこうかしらん。


こりゃ、名案。
そうと決まれば冷蔵庫の中にある適当なものを口に放り込んで、今日はゆだることと決めた。そして近くに住んでいる友達も呼ぶことにした。
携帯電話がそばにあると気が向いた時に友達を呼ぶことができる。


僕の住んでいるところは湯屋がなぜだかやたら多い。
ほんの徒歩5分のところに二軒。
もう少し足を伸ばせばさらに3軒ある。(何故多いのか謎です。友達は寺が多くあるところには湯屋があるのだということを言っていましたがどうなのでしょう、、)
あれだけ外に出ることを渋って居た不精な足も湯を浴びにいくとなれば軽い軽い。
今日は冒険して初めてのところへ行くことにした。ほいさほいさと歩くこと10分ちょっと。

そうすると看板が見えた。
そこには冷凍サウナの文字が。
これなんぞやと期待を胸に暖簾をくぐる。
脱衣所はかなり広々としている。えらく年季の入った木製の身長測定器がトイレの横に置いてある。(身長を測り忘れていたということを、これを書いている途中に思い出した。)
中央に円形の大きい泡風呂、ワイン風呂、電気風呂、水風呂、中もかなり広い。

サウナは2階にあるらしく階段を登る。
さらに階段は上へと続いていて、例の冷凍サウナが3階、露天風呂が4階にあるということがわかった。
そうと分かれば全部楽しまねばならぬ。
喜び勇んでそのまま4階まで上がり、露天風呂に浸かることにした。上はひやひや下ぬくぬくの極楽である。
ひとしきりあたたまったあと、階下へ。
冷凍サウナは大人が3人は入れば満員になるくらいの広さで、まるで冷凍庫だ。読んで字の如くとてもとても寒いところであった。水風呂のように使うのが良しなのか露天風呂上がりの体には、こりゃいかんと思い、さっさと出ようとしたところにあるものが目に入った。

「この扉の向こうは女風呂です」

入り口と反対側に位置する扉にこんな貼り紙が貼られていた。
なんとまあ。
サウナが女風呂に通じてるなんてことがあったりするのかしら。そんなことがあっていいのか。
気になるが僕たち2人はもちろん開けることはしなかったし、できなかった。
入ってはいけないという注意書きのつもりなのだろうか。それとも罠だったりするのか。何故わざわざ書くのか。立ち入り禁止と貼り出せばいいでははないか。開けてみるだけでもいけないのだろうか。そもそも本当に繋がっているのか、、、、。様々な思いが錯綜する。

ひえひえもやもやしたまま、さらに階下の乾式サウナへ。
しっかり汗を流してさっぱりとする。




しかしあの貼り紙のことをは2人とも洗い流せずにいて、寒空の下の帰り道であれは一体なんだったんだろうねと語らうのであった。




















追記
人前で歌うことなく、今年はじめのひと月を終えてしまいました。来月こそは。







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