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芸術的修行者にはホットサンドをもたせて


「バウル」ってご存知です?あれです、あれ。ほら、ぬくいサンドイッチ。
ホットサンドの事を言うんですね、熱い鉄板で挟んでぺしゃんこにするあれ。
僕はついぞ今の今まで知りませんでした。何度か食ったことはあったのだろうけれど、バウルだということを知らずにいて、へえそんな名前なのね貴方、ふんふんとインターネットをぽちぽちして「バウル」を調べた。

そうするとベンガル地方の歌うたいとある。
あれま。
適切な訳語が無く「吟遊詩人」、「神秘的詩人」、「芸術的修行者」とされているみたいで、興味をそそられる言葉たちが連なる。
バウルとは一体なんだろう。
インドやバングラデシュ辺りのベンガル地方にいる、歌う修行放浪者で本質的には行者のようだ。
ベックとよばれる儀式を経て世俗を捨てて、放浪し旅先で歌い、托鉢、門付けをして(門付けとは玄関先で歌ったたり芸能を演じることらしい、獅子舞もそのうちの一つだそうだ)生活している人たちの事を言うらしい。
仏教の出家とは違うのは、禁欲ではなく節約だということ。これにより厳格な戒律があるわけでなく(といってもちゃんとあるみたいだけれど)ある程度、温和、柔軟に歌いながら旅をするのだそうだ。それによりどういった者がバウルなのかそうでないかの境界があやふやらしく、儀式を通らずともバウルとして受け入れられて、放浪し、歌っている者もいるようだ。
僕はバウルが好きな気がする、好ましい匂いがはっきりとした。外観に魅せられて料理屋にふらっと入る塩梅。
動画を見てみるとカラフルな衣装を見に纏い、なんだかわからない楽器、歌。
バングラディシュの国家はバウルの歌が元にされており、さらにはユネスコ無形文化遺産にも認定されている。凄い。
確かに日本人である僕にも歌心を十分に感じることができ、とても心地よい。
そして、最も僕が驚いたのは、あの詩聖タゴールもバウルに影響をされて、「ギタンシャリ」を書いたということだった。それでアジア人で初のノーベル文学賞をとったはず。
バウルは「狂う」の意。
「歌うのではなく語る、歌ってはただの歌手」
ますます興味が湧いてくる。


ホットサンドに引っ張られて思わぬところに
連れてこられてしまったわん。と思っていたらホットサンドの方はバウルでは無く、バウルーなのだそうだ。あらま。
バウルとバウルー、芸術的修行者とホットサンド。



勘違いしたって偶にはいい事もあるもんだ。

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