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瀬戸内観光闊歩記


8月27日

倉敷駅を降りて美観地区へ向かう途中に、お世辞にも盛況してるとは言い難い幾つかの商店街を通り過ぎた。昼前についてしまったからか閉まっている店が多い。だがそんなことは良い良い。雰囲気がとても好みだ。
何やら倉敷はぶっかけうどん発祥の地ということだけがわかり、ふろふろ商店街をすり抜ける。

ふろふろすり抜けるよ
この先には魔神がいたよ



美観地区は思い切り観光地なのだが平日なので人の往来はまばらだった。
なんのゆかりがあるのか分からぬまま目についたゲゲゲの鬼太郎お化け屋敷に入る。
屋敷といっても売店の二階を使って催されている祭りの出し物めいたもので、子供におあつらいむきな設計された物だった。(大供の僕は十分に楽しめた)
ゲゲゲの鬼太郎のゲゲゲは、水木しげるが小さい時分に、自らをゲゲルとと言っていたことこらしているらしいということを知るが、倉敷とゲゲゲに一体何の縁があるかはわからないままだった。
下の売店で、鳥獣戯画風のポーチと、お化け屋敷の参加賞のデニム地の鬼太郎コースタアを頂戴する。
その近所にある飯何処で、ままかりの寿司と麦酒をいただく。
ままかりは標準語ではさっぱと呼ばれるニシン科の魚らしくコハダあたりに味が似ている。程よくしめてあってこれが大変美味い。
ままかり、麦酒とかわりばんこに放り込む。
その後に牡蠣をぺしゃんこにしたせんべえを食ってから民芸館へ行って太平洋戦争の展示展へ行き(ここで先程の酔いは冷める)
土産物屋で倉敷サイダー飲んだ。
今日はとてつもなく暑い。暑い。暑い。
電車で、とこどどこと尾道へ。

尾道は猫が多い街だ。港が近いだからだろうか。それに人懐っこい。
僕がもし猫を迎え入れることがあるとするならば、名前を落語家みたくしたい。
わさび亭文太、なすび亭ふむり、毛玉亭どんぐり、、、。
宿の近くにたむろする野良猫いて、こいつがまた人懐っこい。猫撫で声で此方にやってくる。人が来る度にそやって可愛がられてるものだから、ここら一帯をしめる看板猫なのかもしれないなと思った。
その可愛らしい猫が鳩を狩っていたのには驚いた。ジタバタする鳩の首根っこをくわえて、猫パンチでしばいていた。一応鳩は生きていて逃げおおせてはいたが、、。

老舗スナックや呑み屋に混じって、最近できたであろう洒落っ気のある店もあるから他からの移住組が多いのではないだろうか。面白いことしてやろうという気概を感じるお店が沢山あった。
夜は鉄板焼き屋で尾道焼きを食べた。
京都でいうところのベタ焼きのようなもの。
麦焼酎のもぐらと一緒に堪能した。満足。

夜は宿の近くにある古本屋弐拾DBへ行った。
その日は古本屋としては大変珍しい深夜23時からの営業で(宿周りの店はこの時間大体閉まっている)
bar営業か何かやってるのかしらんと入ってみたが、古本屋の通常営業で何より驚いたのが深夜帯にも関わらず盛況していて、
みんな熱心に本棚と睨めっこしていることだった。
野坂昭如の蛍の墓を買い求めると、(広島でこれを百圓で見つけるというのは何か縁を感じた)
店特性のブックカバーをつけてもらった。古本屋でカバーをつけてもらったことなんて初めてで、しかもこのデザインがしごく洒落ているのだ。もっと長いこと居たかったが明日も早いので後ろ髪引かれる思いで宿に踵を返す。とても素敵な古本屋だった。

気絶するかの如く眠る。

呑み屋の如く夜の町で
お客を誘なう古本屋の看板




8月28日


朝、港に沿ってランニングした。
(最近走ることを習慣ずけようと無様にも試みているところ)釣り人や、釣った魚を捌いている漁師がいた。
汗を流すため、宿の近くにあるホテルの大浴場へ。サウナ付きであったのでそこでも汗を流してから、ざるそばみたいに冷たい水に潜る。
湯船の前にでかでかと、「めしは旨い、施設は二流、値段は三流、お客様は一流」と標語が。
ううむ。そうは問屋がおろさぬにゃんと思いつつお湯に浮かぶ。
その後はモーニングとして、線路の目の前に店を構える珈琲屋で、アイスコーヒイとプリンを食べる。プリンは硬めでとても美味い。
上にはさくらんぼがちんとしている。なんと見目麗しきことだろうか。名コンビだ。
昼には、8月に商いを始めた真新しい尾道ラーメンの店へ。ラーメン大盛りに煮卵をサービスでつけてもらった。美味しかった。


腹を満たしてから海を渡り直島へ。
マリンライナー(ここまで来る途中に乗った列車の名前)の歌を自作して、拍子をとり口づさみながら進む。
今日泊まる宿には十兵衛という、むすっとした毛の長い老猫が住んでいた。(いい名前だ)七三分けに立派なちょび髭、そんななりをしている。仏頂面な彼は、撫でても嫌がりはしないが喜びもしない。夜には寝床で水溜りになったように眠っていた。
借し自転車屋なるものに、自転車を借りて島を走る。(コンビニに行くのにもそれなりに時間がかかる)
この日は宿の系列店である店で瀬戸内海で獲れたタコ、ふぐ、カンパチ等を食う。そりゃあ美味い。
日に浴びた体に麦酒がしゅんでいく。
夜には近くの港の埠頭で波と風に当たりながら酒を飲む。深夜のように静かだけれど、まだ20時すぎ。
遠く向こうには夜釣りの船の灯りが白くぼうっと揺らめき目の前では何匹もの魚が跳ねた。

住人であろう釣り人のおっちゃんが話しかけてくれて、あそこに居るガー子は呼んだら来るんだと言っていた。
ガー子はサギだ。そばにいる子供もそう言っていた。
ガー子は顔馴染みでない僕たちが近づくとすぐさま夜の闇に溶けていってしまった。
近くに酒を買える商店なぞなく、無闇矢鱈に酒を呑まずに済む。丁度良い酔いが体にまわる。

その後、僕も溶けるようにして眠った。

十兵衛


29日 
朝散歩がてらに昨夜の港へ
朝の海は潮風が心地よく肌をなぞり、曇りがちな空から漏れ出した朝の陽で波はおしとやかに輝く。コンクリイトの隙間から蟹が顔を出し、海を覗くと小さなフグが泳いでいた。昨日食ったやつなのかどうかはわからない。
サギ(ガー子かな?)が気持ちよさそうに、お空の向こうへ飛んでいく。朝陽が軽くって飛びやすそうだ。

宿の向かいには安藤忠雄の建築作品があったので見物した。どんな内容かは割愛。

猫の十兵衛が洗面所にちょいと飛び乗り、何やら目配せをする。はて、、、と思い蛇口を捻ってやると、水をチロペロとよく飲む。
喉が渇いていたらしい。
最後宿を出る時、そのムスっとしたお顔で玄関先まで見送ってくれた。宿のスタッフがいないものだから代わりにお仕事をこなしているのかもしれない。

昼飯にぶっかけうどんとかき揚げを食ってから、自転車で浜辺へ向かう。
昨日のようなぎらつくような日差ではないだけに助かった。
だいぶご無沙汰の海水浴。波がゆたゆた、きもちい。泳ぐというより浸かるに近い。
シャワールームで塩を落とし、着替えていると小さな子供に、「あ、ちんちん丸出しだ!」と指さされ叫ばれたが、せこせこはせずに僕は威風堂々と黙して語らずお着替えを済ませた。大人の風格である。お上品である。瀟酒ですたいりっしゅである。

その後島に点在している表現作品を見てまわる。
観光地ばかりを闊歩した。
普段な観光地なんて、、と避けてしまうきらいがあるけれどやはり観光はいいものダ。







追記 来月はじめ、神戸東京とライブがございます


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