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くどくど毒吐くまいと



「飛行機好きの方はぜひハワイをおすすめします」

浜辺に立つ黄色い水着姿のべっぴんさんは浮き輪を持ち微笑を浮かべ、方やぽつねんと俯き加減に物憂い視線をなげるべっぴんさん、極端な写真が二葉。
僕が生まれるより前に発刊されたカルチャア雑誌にあった広告。
最初は何の事だかよく分からず、更によくよく見てみると「飛行機グアム3.5時間、ハワイ8時間」
ほうほう。
左下には小さくグアム政府観光局。
なるほど。   
とどめには「かしこい選択GUAM」
喧嘩をふっかけたのか、返す刀の事だったのか分からないけれど思い切ったことをやるなあと思わず笑ってしまった。
広告合戦は一消費者としては案外楽しめるもので、ここまで潔くはっきりされると、どうも憎めないところがある。やられた方の胸中は穏やかではないだろうが、蚊帳の外にいる僕なんかはプロレス観戦してるかのようにお気楽に見ていられる。ハワイ、なんか言い返してやれと言う気にさえなる。
自分がハワイ側陣営だったとしたらなんと返すかしら。
「本当のセレブが集まる島、ハワイ」みたいなところだろうか。
「せっかくの旅行、近くて、安くて、どうする。」うーむ。難しい。
これを見て、かの有名なペプシのコマーシャルを思い出す。
小さな男の子が自販機でペプシを買おうとするもボタンに手が届かない。男の子は手の届く位置にあるコーラをニ本買い、それで我慢するのかと思いきや、コーラの缶を地面に置いて、其れを踏み台にしてペプシを買う。二本のコーラはその場に置き去り、、。と、大体こんな風な内容だったと記憶しているが、これだってなかなかに激しい。
今では放送できないんでないかしら。
音楽だってひと昔前は、ロックミュージシャンが、どこそこのつくる音楽はクソだとかこき下ろして、言われた方もすぐさま言い返す、そんな対立構造ができちゃうことが少なからずあったのだろうが、今では殆ど見かけることがなくなった。
それは大いに助かる、、というのも僕はほんのちょっこしではあるが人前で歌ったり作品を発表する機会があって、いちいち比較、なじり合いしてたんじゃあ、ちっとも面白くないからだ。
比較広告を面白がっているくせに、本当に勝手な事ではあるが、相手を足を引っ張って自分が這いあがろうとする姿はやっぱり綺麗では無い、粋じゃないなという思いがある。

比較すること自体を是としない時世。
とはいえ絶対的な尺度を我が身に持つということは大変難しく、ともすれば相対的に物事を判断することが大体な筈で、まったく何とも比較しないのは不可能なわけであり、故にこれ中々難しく煩雑極める世の中。
学校教育は比較のはじまりで誰もが避けては通れない。
それに現代のインターネットは、なんとも比較しやすい世界に作られていて、広範囲にわたるあらゆる事象がいとも簡単に見比べることが可能なのである。
音楽一つとっても、動画サイト、サブスプリクションで飾り窓に並べられた商品のように綺麗に見渡せて、それは洋服屋、飯屋、宿屋、あらゆるサービスがインターネット上でそうなっている。
サービスどころか、考え方や生活様式に至るまでもあらゆるものを見通すことができてしまう。
前に述べた二つの広告のようなことを僕たちは心の中では大なり小なりやっている筈。
毒を吐いて比較するのは良くないのは重々承知なのだが、比較は元々毒を孕んでいるから難しい。差別は比較の毒部分にあたるだろう。

うーーむ。なんやらほい。











追記

吉岡里帆さん主演、DICのCMの楽曲制作をさせていただきました。TVコマーシャルだとは聞いているのでいつか流れるかも、、?
バンドは浪漫革命のギターリスト大池奏太、special favorite musicからベース土井徳人、ドラム、新庄克也による豪華メンバーです。

これはごく平和的で素敵なコマーシャルです。

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