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蟹の行方はいかにやいかに



蟹を無くした。


そんな事あるやろかい。
コウバコガニ。小さくて身は小ぶりだけれどカニミソは濃厚で、ウチコ、ソトコが大変美味な日本酒の相棒。ズワイのメスを国ではそう呼んでいた。
其れを此のあなぐらを訪れた兄から貰った、、筈。ブクブク。無い。
僕は本当に色々な物を失くする。財布は何度落としたか分からないし、携帯、あらゆる鍵、イヤホン、ギター、音楽機材、本、今回は蟹。
遺失物といえば交番、、交番に電話しようかしらん。

すみません、、落とし物をしてしまったんです。いや逃げてしまったかもしれません。
ええ、、ええ。蟹です。そうですあの蟹、、メスです。コウバコガニ2匹です。石川県産の。色?、、色は薄い紅いろで、、足の数?は、、左右合わせて8本、、?いや10ですかね、、。名前は無いです蟹ですから、、貰ったばかりの蟹に名前をつけませんよ、、。あ、僕のですか?僕はいちやなぎと申します。住所は、、、、。

意味のない事をへらへら頭の中を考えてしまう。
いやはや蟹は何処へ?

生きている蟹が部屋から逃げ出したというのはどうも考えづらく、魂此処にあらずの食材としての蟹を無くしたのだ。
いや、、、、死んでいたかはちゃんと確認していない。袋の中に入っていた二杯(或いは2匹)の蟹を貰ったのだ。その後冷蔵庫に入れたものと思っていたが冷蔵庫にも冷凍庫にも無い。
蟹は横歩き。部屋を左右見渡す。
やはりいない。鞄、布団の中、風呂釜、ズボンのポッケ、寝ぐらの下、無い無い。
まさかと思って糠をほじくり返し見てけれどやはり居ない。
魔法で蟹が生き返って帰っちゃったのかしら。(昨日偶々読んだ絵本で魔法使いがにぼしを生き返らせていた)
帰っちゃったのならそれで諦めれば良い話なのが、もしこの部屋の何処かにいたとしたら色々と厄介だ。

生きているのならば餌で誘き寄せると言う方法もある。
昔、捕まえたサワガニをバケツで飼ったことがあったがその時は餌として米粒をいれていた気がする。記憶が正しければ蟹は米を食う。その為にはご飯炊かなくちゃなあと思案していたところ兄が帰ってきた。

何の間違いなのか、譲り受けたと思っていた蟹二杯を兄が持っていた。
少し話している間に蟹を見せるだけみせて、帰っちゃっていたみたいなのだった。

なんだ一件落着。
無事今夜は蟹で一献やれることとなった。


ほらさ、今夜は蟹で一杯
ほらさ、お月でもう一杯











追記

先日、京都河原町の古本屋「三密堂書店」で歌わせてもらいました。きてくだすった方(遠方からのお客さんもちらほら、本当に感謝です)
店主の森下さん、スタッフやってくれた方々、トランペット吹いてくれたきょろちゃんありがとうございました。

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