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リトルトゥース、今日も25時に集合!

「何曜日の何時が好き?」
かなり特殊な質問だが、もしそう聞かれることがあれば、私は迷わず土曜の25時から27時と答える。
だいぶ夜も深いこの時間、元気で起きている時もあればウトウトしていることも。
でも、できる限り一人で、起きていたい。
オードリーのオールナイトニッポンをリアルタイムで聴きたいから。

「ラジオって何で聴けるの?」「面白いの?」
ラジオ好きを公言するとよく言われるこんな言葉にももう慣れている。
かれこれ、20年近くラジオリスナーである私。
きっかけは母。
母はよくラジオを聴く人で、家事をしながら、キッチンで料理しながら、寝る前にはお気に入りの番組を聴いてから就寝していた。

そんな母の影響からか、私も中学生になると自分の部屋で塾の宿題をしながら毎日欠かさず聴く番組が出来た。
当時ハマっていたのはTOKYO FMの「SCHOOL OF LOCK!」
「ラジオの中の学校」をコンセプトに、メインパーソナリティーは校長、教頭、リスナーは生徒と呼ばれる中高生向けの番組である。
そこでは同世代のリスナーが色んな悩みや個人的ニュースを校長や教頭に相談、報告する。
人間関係の悩み、部活、恋愛、進路など。
全国各地の会ったこともない同世代がこうして同じ時間にラジオの前に集合し、時には似たような悩みで悩んでいる人が私以外にもいるんだな、なんて思いながら、平日の夜は毎日のようにこの番組を聴いていた。

その後も徐々に好きなラジオ番組は増えていく。
今年はコロナの影響で配信ライブとなってしまったが、ファンクラブに入っておりそれまで毎年欠かさずカウントダウンライブに参戦していた福山雅治の「福山雅治のオールナイトニッポン」も長きに渡って聴いていたし、いつの間にか私は母よりラジオ好きな人間になっていた。

こよなくラジオを愛する私は、高校生の頃にラジオパーソナリティーになりたいという夢を持った。
当時から好きには異常な情熱を燃やすタイプの私は、地元仙台のラジオ局、Date FMの看板パーソナリティーに手紙を送った。
パーソナリティーになるには専門学校がいいのか、それとも大学で幅広く教養を身につけるべきなのか、どんなスクールがおすすめか、などなど、今思えばよくも図々しくあれだけの長文を身勝手に送りつけたなと思うが、なんとご丁寧にお返事をいただいたのだ。
その後もラジオ愛は止まることなく、ラジオパーソナリティーへの夢を持ったまま就職活動を迎えた。
パーソナリティーは新卒募集が少ない職種だが、奇跡的に私が就活を始めたタイミングで地元Date FMで募集が出たのだ。
憧れのパーソナリティーの方からお返事をいただき、勝手に縁があると思い込んでいたラジオ局での募集、これは運命だと思い込み口紅も新調し気合いを入れて臨んだ面接はあっけなくNGだった。(面接の控え室が一緒で励まし合った方がその年唯一の新卒採用で入社し、現在パーソナリティーとして活躍されています。お見事!)

よく、宝塚音楽学校の入学試験に落ちると、その反動から一切宝塚を観劇しなくなる、といった話も聞くが、根っからのラジオ好きな私はそうなることもなく、むしろ就職と同時に上京し一人暮らしを始めると、ラジオはますます生活に欠かせないものとなる。
同時刻に聞きたい番組が被っていることもしばしば。
そんな時には、リアルタイムで聴く番組を隔週で交代し、ラジオアプリradikoのタイムフリー機能を利用し、もうひと番組は翌日のお楽しみに回す。

こんなにラジオが好きになったのは何故だろう。
朝起きたらカーテンと窓を開けてラジオをつける。
呼吸と同じくらい自然過ぎる習慣で、これまであまり考えたこともなかった。
ラジオの楽しみ方は人それぞれあるだろう。
作業中のBGMとして聴き流す人、お気に入りの番組を毎週欠かさず聴く人、気が向いたらメッセージを送りドキドキしながら読まれることを楽しみにしている人、ハガキ職人として名を馳せている人などなど。

私はどちらかというと聴く専門だが、2011年4月にとある番組にメッセージを送り、そのメッセージが採用されたことがある。
メッセージを読み上げてくれたのはなんと、あの、福山雅治さんである。
いつも聴いていた福山雅治のオールナイトニッポンが、震災復興支援として24時間生放送の特別番組を放送したのだ。
東日本大震災から1ヶ月経たない頃で、水道も復活せずまだ余震が多いので、その日はリビングに布団を敷き家族並んで番組を聴いていた。
番組のテーマがテーマなだけに、宮城の現状を書いたメッセージを送ったらましゃ(ファンクラブが呼ぶ福山さんの愛称)に読んでもらえるかも、そんな下心もあって番組中にメッセージを送ったのだ。
私の名前を呼びながら励ましの言葉をくれたましゃに、家族一同布団から起き上がって興奮し、その後radikoの再放送を録音して、何度も何度も聞き返しては喜んだこと、今でも忘れられない思い出だ。

言葉の力はすごい。何十年とラジオリスナーをしていると、よく言われるこんな台詞を本気でそう思っている。
励まされたり、共感したり、ベッドで寝落ちしかけながら聴いていても笑いが止まらなくなって目が冴えてきたり。
今年は自粛でよりお家時間が増えたので、これまで以上に聴き始めた番組も増えた。
どの番組にもヘビーリスナーや名物ハガキ職人がいて、そのやり取りを楽しみにしているリスナーが大勢いる。
特に深夜ラジオはその傾向が強く、初めて聴く人にとっては意味不明かもしれないが、徐々に単語の意味やお決まりの流れが理解出来るようになり、慣れて楽しくなってくるものなのだ。
自粛期間中もいつもの番組にはいつものハガキ職人が投稿していて、あ、あの人も元気にやっているんだ、なんて見ず知らずの人の健康にホッとしたりした。
会ったこともないけれど、同じ時間に同じ番組を楽しみに聴くリスナー仲間がいるのもラジオの魅力なのかもしれない。

さ、私は優秀なリトルトゥース(オードリーのオールナイトニッポンのリスナーの通称)として今夜のラジオに備えてお風呂に入ろう。
お風呂では昨日聴き逃したバナナマンのバナナムーンGOLDを聴こうっと。




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