コンピュータ・ネットワーク #1


ネットワークの利点

ネットワークの利点は、*リソース(資源)の無駄を解決するところ。
資料をデータで共有すれば紙の無駄もプリントの手間もなくなるし、他にもデータが複数存在して正しいデータの判別がしづらくなることも防ぐ。

*リソース[resource]:この場合、ネットワークで使用される大体のものを示す。プリンタやパソコンなどの物理的なもの、データやCPU使用時間などの理論的なもの、どちらも含む概念。

LANとWAN

LAN(Local Area Network)

部屋や、フロア、ビルなど狭い範囲のネットワークのことを指す。狭い範囲内のパソコンやプリンタなどの*デバイスを相互に接続する。LAN内のデバイスはいつでも他のLAN内のデバイスと接続できる。更に、*高速かつ*高品質の接続を提供する。自前で用意したLANケーブルでデバイス同士を接続する。

*デバイス[device]:パソコンや周辺機器などの機器を指す言葉。ルータやスイッチなど特にネットワークの制御機器はネットワーキングデバイスと呼ばれる。
*ネットワークにおける速度とは、一度にデータを送信できる量のこと。コンピュータではビットという単位でデータの大きさを数えるが、LANだと1秒間に10メガビット、速度で言うと10Mbps(bit per second)が一般的。
*ネットワークにおける品質とは、データの正確性のこと。LANは近距離である分電気信号としてケーブルを流れるデータの中にエラーの原因となるノイズが乗りづらい。

WAN(Wide Area Network)

LANとLANを結んでの広い範囲でのネットワーク。インターネットもWANに含まれる。遠い場所同士のデバイスを繋ぐために、ケーブルは電話会社が引いた電話回線を借りる。そのため、使用には電話代がかかる。*ISDNのフレッツや*ADSL、CATVなどの常時接続も普及してきたが、WAN自体は常時接続とは限らない。どの契約でも基本的にはWANはLANよりも低速(光ファイバを使うBフレッツは例外的に高速)。そして、昔よりは良くなったものの、WANの電話回線はLANケーブルに比べるとエラーが発生しやすい。

*ISDN[Integrated Services Digital Network]:総合サービス・デジタル通信網。電話・FAX・データなどをデジタル回線で扱うサービス。家庭で扱うものだと64Kbpsが2回線分使えるINSネット64が普通。つまり通常最大128Kbps。
*ADSL[Asymmetric Digital Subscriber Line]:非対称デジタル加入者線。通常の電話線を使用した高速サービス。送信と受信のスピードの違いから「非対称」と呼ばれる。1.5Mbpsと8Mbps、12Mbpsのサービスがある。

まとめると

      LAN      WAN
範囲    狭い      広い
スピード  早い      遅い
品質    高い      低い
接続    常時      常時・間欠
ケーブル  自分で設置   電話会社のを借用
使用料金  タダ      電話代が必要
対象    PCとPCを接続   LANとLANを接続

プロトコル

LANを自分で構築するとする。PCなどのデバイス、ケーブル、ネットワーク機器を買い揃えた。しかし、これらを繋いだだけではネットワークは利用できない(Macならこれだけですむのに)。
何が足りないのか、電話に置き換えて考えてみる。電話で会話するとして、電話機も電話回線も用意できて、NTTとも契約済み。さて、相手に繋がった。この状態で相手と会話できるか。一見問題ないように思える。ではどのように相手と会話するだろう?何語で話す?当然日本語で会話すると考えるが、それは相手が日本人で、日本語で話すと言う暗黙の了解があったからだ。通話を行うには、暗示的にせよ、明示的にせよ、「日本語で話す」という約束事が必要ということになる。
このように、通信を行う際には、こちらと相手側との間にある種のルールを決定しておかなければならない。でなければ、どのように通信していいかわからない。この通信で利用するルールのことを*プロトコルという。プロトコルには何種類かあり、時と場合や必要性によって使うプロトコルが違う。一番有名なのが*TCP/IPである。これはインターネットで利用されているプロトコルで、*デファクトスタンダードになっている。他には*IPX/SPXというものや、NetBEUIなど、それぞれの役割に応じてたくさんのプロトコルがある。

*プロトコル[protocol]:日本語では通信規約と訳される。
*TCP/IP:実際は1つのプロトコルではなく複数のプロトコルの集まりである。TCPとIPという主要な2つのプロトコルの名前から、こう呼ばれている。
*Novell社のNetwereというOSで使われていたプロトコル。TCP/IPに押されて今はあまり使われなくなっている。

帯域幅

ケーブルの性能・規格を説明するときに使う言葉で、本来の意味は使用できる周波数の幅という意味。転じて最近ではデータ転送速度を指す。帯域幅を道路の幅だと考えるとわかりやすい。帯域幅は、広い・狭いとか、使う・使わないという表現をする。道路を走る自動車がデータ量だと考えると、幅が広い道路は一定時間あたりで多くの車が通る。一定時間での交通量が多いということは、それだけ車を運ぶスピードが速い道路ということ。ある量のデータを送る時間が短い=データを送るスピードが速い。つまり、幅が広い=データ転送速度が速い、という意味になる。最近では、*ブロードバンド、   *ナローバンドという表現もよく使う。
帯域幅を使う・使わないというのは、例えば大きいデータがあった場合、道路の例に合わせるとこれは2車線分ぐらい必要な大きな車だと考える。本来ならもう1台通れるのに、通れなくなるということは、そのデータは余計に幅を使っているということ。そういう意味で、使う・使わないという表現をする。「このデータは大きいから、帯域幅を使う。」など。

*ブロードバンド[broad-band]:ブロードは広い。バンドは幅。CATVやADSLのような高速回線を指す。
*ナローバンド[narrow-band]:ナローは狭い。通常の電話回線や、ISDNのINSネット64のような低速回線を指す。

ネットワークモデル

通信には、プロトコルの他にも使用する機器やケーブルを流れる信号について、データの表現方法についてなど様々な規格が存在する。昔はメーカー独自の規格が混在し、異なるメーカーの製品間では通信できないことが多かった。しかし、企業の業務が拡大するにつれこの制約が大きくなってきたため、統一した規格の必要性が出てきた。そこで考えだされたのが、ネットワーク・モデルである。各*ベンダは、他ベンダと相互通信可能にするためにこのモデルに従う。あくまでモデルであるため、完全な統一ではなく相互通信を行うための最低限の部分は同じにするというのがネットワーク・モデルの考え方。作ったのは*ISOで、ここが作ったモデルをOSI参照モデルという。

*ISO[International Organization for Standardization]:国際標準化機関。工学分野での標準化と規格統一を目指す国際機関。ネットワークやコンピュータだけの標準化機関ではなく、品質管理規格のISO9000シリーズや、環境保全管理のISO14000シリーズが有名。なぜ「IOS」ではないかというと、「ISO」が英語の略称ではないため(らしい)。

OSI参照モデル

OSI参照モデル[Open Systems Interconnection Reference Model](開放型システム間相互接続参照モデル)は、ISOが1984年にリリース。他にもモデルはいくつか存在するが、このOSI参照モデルが現在の主流で、ほとんどのベンダがこのモデルを使用している。

OSI参照モデル・7つの層

OSI参照モデルは、以下のような7層(レイヤ)から成り立っている。それぞれの層でルールがあり、上から順番に下っていって、通信の手順を整えていく形になる。

第7層 アプリケーション層  Application Layer
第6層 プレゼンテーション層 Presentation Layer
第5層 セション層      Session Layer
第4層 トランスポート層   Transport Layer
第3層 ネットワーク層    Network Layer
第2層 データリンク層    Data-Link Layer
第1層 物理層        Physical Layer

段階分けする理由
各レイヤはそれぞれ、機能が違い、独立している。なので特定の機能を理解するためには、そのレイヤだけ考えればいい。モデルに沿って考えるので、上下のレイヤとのつながりは無くならない。理解しやすい他にも、機能に変更があっても、そのレイヤ以外に影響が及ばない。

・レイヤ7 アプリケーション層
レイヤ7は最上位に位置し、ネットワークというサービスを提供する。わかりやすく言うとネットワークの入り口に位置する層で、インターネットが可能かどうか判断する層。

・レイヤ6 プレゼンテーション層
レイヤ6はデータの形式を決定する。大雑把に言うと、使う言語を決定するとでも思えばいい。送信元と受信先が違う言語を使っていた場合、2人が共通してわかる言語を使う。

・レイヤ5 セション層 
レイヤ5はセッションを管理する。セッションは意味的には話し合いのことだが、こっちが話して、相手が返してくるこの繰り返しの会話のまとまりを指す。この会話に行き違いが起こらないよう、会話の流れを管理するのがセション層の役目。

・レイヤ4 トランスポート層
レイヤ4は信頼性の高い通信サービスを保証する。信頼性が高いと言うのは、エラーが少ないことや、相手に確実に届けるといったことを指す。

・レイヤ3 ネットワーク層
レイヤ3は離れた場所に存在する相手との間でデータの伝送・運ぶルートの決定・宛先の決定などを行う。この層を知ることは、今のインターネットの仕組みを理解することに直結するとも言えるかもしれない。

・レイヤ2 データリンク層
レイヤ2は近くの機器とのデータ伝送制御を行う。レイヤ3よりレイヤ2の方がより直接的な接続を制御する。ケーブルで直に接続されている機器とのデータのやり取りの制御を担当していると考えておけば良い。

・レイヤ1 物理層
レイヤ1は電気・機械的なルールを決めた層。最後は電気信号のやり取りになる。

OSI参照モデルでのデータの流れ

宅配便を使うとき、運びたいものは段ボールや緩衝材で梱包して、配送表を貼って出荷する。通信においても、運びたいもの(データ)はそれだけでは送れない。宛先、送信元の*アドレス、通信制御用のデータもまとめて一緒に、一つの*データユニットとして送る。また、宅配を受け取った側は逆の手順で、配送表を剥がす、段ボールから出す、緩衝材をとる、で中身が手に入るが、これも通信では送る時と逆の手順で制御用データを外すことで中身が手に入る、と同じ流れになっている。

*アドレス:ネットワーク上でのホストの住所。ホストとはコンピュータやルータなど、自分で通信機能を持つデバイスのこと。TCP/IP、つまりインターネットではIPアドレスが使われる。

カプセル化

この、データを運ぶ過程でデータに制御データをつけてデータグラムに仕上げることをカプセル化[encapsulation]という。
OSI参照モデルでは、上の層から順番に制御データをつけていく。そして最下層のレイヤ1までいくと電気信号化されて、相手に送られる。
レイヤ4(トランスポート層)の制御情報が付属したデータをセグメント、さらにそれにレイヤ3(ネットワーク層)の制御情報が付くとパケットになり、それにレイヤ2(データリンク層)の制御情報が付くとフレームと呼ばれる。データユニットとは通信に使うデータ、セグメント、パケット、フレームの総称で、パケットと言った場合はレイヤ3での名前、というように使われる。そして、受け取った側は逆の順番でカプセルを剥がしていく。
この一連の流れがOSI参照モデルにおいて根本にある。よく覚えておく。

LANの機器

LANで使われるもの

LANに必要なのは、まずパソコンやプリントなどのホスト。そしてそれを繋ぐケーブル、*ネットワーキングメディア。これだけでは繋がらず、ケーブルとパソコンを繋ぐ機械が必要になる。これを*NICという。パソコンのマザーボードの*PCIスロットに差し込むLANボードのことで、ノートパソコンだと*PCMCIAカードになる。最近ではネットワークに接続するのが当たり前なので、組み込まれているものもある。忘れがちだが、割と重要なポジションにあるので忘れないよう。
1対1の通信なら、パソコン、ケーブル、NICの3つを繋げばこれでもうLANの完成。

*ネットワーキングメディア[networking media]:伝送媒体。主にLANケーブルを指す。単にメディアとも呼ぶ。
*NIC[Network Interface Card]:ニックと読む。LANカード、LANボードの名前で販売されている。
*PCIスロット[Peripheral Component Interconnect slot]:コンピュータの標準拡張スロット。簡単に言うと拡張機能のボードを差し込む差込口。
*PCMCIA[Personal Computer Memory Card International Association]:カード型拡張装置の標準化団体のこと。この規格で作られたカードを、PCMCIAカード、もしくはPCカードと呼ぶ。

ネットワーキング・デバイス

1対1の通信ではない場合、複数のパソコンからのデータがLANに流れることになる。そうすると、通信を制御する機器が必要になる。これをネットワーキング・デバイスといい、ケーブルが道路、データが自動車だとすれば、信号やインターチェンジ(ジャンクション)、案内看板などの役割、つまりデータの流れの制御をするという役割をになう機器たちである。
ネットワーキング・デバイスは役割ごとに大きく分けて3種類ある。それぞれ、レイヤ1・2・3の各レイヤに従った役割を持つ。


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