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第14回 経営コンサルタントの濱田孝一さんに聞く「高齢者住宅バブルは崩壊する?」

第14回は高齢者介護に詳しい経営コンサルタントの濱田孝一さんがゲスト。昨年末に、『高齢者住宅バブルは崩壊する』という本を出した。 とてもセンセーショナルなタイトル。高齢者住宅バブルが崩壊し、高齢者住宅を提供する企業が破綻すれば多くの高齢者は路頭に迷う。高齢者だけではなくてその家族も巻き込まれることになるが、一体どういうことなのか、話を聞く。
 濱田さんは銀行マンから介護現場に身を投じた異色の経歴を持つ。 直接、人をサポートする仕事がしたいと思ったのがきっかけで、おじいちゃん、おばあちゃんと話をするのは楽しかったと言う。でも、当時は素手でオムツ替えをしたりいなければならず、抵抗感やカルチャーショックはあったという。 ただ介護保険制度を本当に地の通ったものにするにはこうした「現場」の体験は重要。常に介護の本質を考えるコンサルタントとして活躍している。
 85歳以上になると、要介護になる人は全体の6割になる。そして重度要介護になる人は4人に1人の割合になる。85歳以上の高齢者が増えると介護や医療問題に直結する。
 84歳までの人口はピークを過ぎており、今後は85歳以上の高齢者が増え続ける。 2035年から2070年まで35年間、後期高齢者1000万人時代が続くことが予想される。
 労働人口も減少していくため、より厳しい時代になっていく可能性がある。
 高齢者住宅は自立とか要支援の高齢者向けと、要介護高齢者向けで違う。
 特別養護老人ホームやケアハウスは社会福祉法人がやっている老人福祉施設。 民間の高齢者住宅には有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)がある。
 どんな介護サービスが受けられるかで、有料老人ホームは介護付きと住宅型に分かれ、このほかサ高住もある。 特別養護老人ホームやケアハウスはケアが必要な状態で入居するものだが、民間の住宅型では介護必要前でも入居可能。 高齢者住宅には、賃貸のマンションやアパートがあるが、「高齢者お断り」というところが多いため、元気なうちに入居したいというニーズもある。
 ただ、介護が必要になった時に、介護を受けながら安心して暮らせるかといえば、注意が必要だ。 有料老人ホームは契約一時金を払う形態であり、運営会社の倒産等で退去を迫られることもある。 サービス付き高齢者向け住宅は高齢者が賃貸で暮らす住宅だが、サービス内容や価格設定がバラバラであるため注意が必要。
 また、同じ介護付き有料老人ホームでもサービス内容や価格設定が異なり、老人福祉施設との最大の違いはこれらの点である。
 民間の高齢者住宅はわかりづらく、それらを見極める目を養うことが重要だ。
 サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者向けとは言っても、85歳を超えて介護が必要になった場合を想定していない住宅が多く存在する。現在作られている高齢者住宅の8割ほどは自立/要支援向けであり、本当に介護サービスを受けられるものは全体の2割程度しかない。
 現在、老人福祉施設では元気な人対象のケアハウス、中度認知症対象の養護老人ホーム、重度認知症対象の特養ホームに分かれている。
 老人福祉施設を三つに分ける必要があるのは、建物の設計や介護システムの考え方が根本的に違うからだ。 自立向け住宅として入居した人たちが、介護が必要になると、生活できなくなる問題が起きている。
 特養ホームを作り続けられるようなシステムが構築できれば良いのだが、それには莫大な費用がかかり、福祉対策・低所得者対策も必要になる。
 財源と人材が減少しており、特養ホームを作り続けることはできない。お金と人材がどれくらい必要なのか、マネジメントをする必要があるのだが、国も自治体もそれができていない。

<プロフィール>濱田孝一(はまだ・こういち)1967年生まれ。経営コンサルタント。1990年立命館大学経済学部卒業。旧第一勧業銀行入行。その後、介護職員、社会福祉法人マネジャーを経て、2002年にコンサルティング会社を設立。現在は「高住経ネット」の主幹として、高齢者住宅、介護ビジネス、介護人材育成などのコンサルティング・講演・執筆を行っている。社会福祉士、介護支援専門員、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー。

  キャスターは町亞聖&相川浩之。
 「翔べ!ほっとエイジ」は、YouTube(動画)と主要Podcast、stand.fm(音声)で配信。

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