高齢者の住まい、これだけは知っておいてーーライフネット東京終活セミナー

 葬儀社・ライフネット東京(東京・東五反田、小平知賀子代表)が「もしもの時にあなたはどうしますか?」の共通テーマで実施している終活セミナーとデスカフェ。5月10日は、人生の最終章をどこで迎えるかを考える終活セミナーが開かれた。

20年、老人ホームを紹介してきた平さん



 講師は、有料老人ホームなどの高齢者住宅を無料で紹介しているキットカンパニー代表取締役の平家宏さん。「これだけは知っておきたい高齢者の住まいについて」をテーマに①終の棲家の考え方②住まいの種類③費用ーーの3つについて、解説してくれた。
 高齢者住宅については、「入らないで済むなら入らない方がいい」といつも高齢者に話していると言う平さん。自宅に一人で住んでいる。あるいは、自宅に二人で住んでいるが、身体が弱ってきたなと、そのまま住み続けるには不安があるような場合は、高齢者住宅入居を考えてもいいと言う。
 あるいは、親の面倒を見るために会社を辞めざるを得ないような状況になった時、会社を辞めずに、親を老人ホームに入れることが選択肢になる。
 どこが終の棲家になるだろうか。自宅?あるいは、サ高住宅?それど有料老人ホーム?
 サ高住は、安否確認と生活相談の二つのサービスさえ提供していれば、「サービス付き」となる。基本、介護サービスは付いていない。食事のサービスはあるところが多い。
 まだ体は動くけれど、何かあったら、自宅では少し不安、という人。あるいは、食事を毎回作るのは面倒、と言う人は、サ高住は選択肢になるが、要介護度が高くなってくると、サ高住では対応できなくなるケースも多い。
 大手住宅メーカーが都心で展開するサ高住は、自宅とほとんど変わらないものが多い。介護サービスは住宅にいる時と同じで、外部に依頼する。これに対し、関連会社などで介護サービスも提供するサ高住と郊外には多いと言う。
 有料老人ホームのうち、住宅型と介護付きは、介護サービスが受けられる。介護付きは、ホームで介護サービスに対応、住宅型は、外部の介護サービスを利用する。食事、掃除、洗濯も、すべて希望すればやってくれる住宅だ。
 平さんは、「健康寿命を伸ばして、できるだけ長く自宅にいて、要介護状態になったら最後、少しだけ有料老人ホームにお世話になると言うのがいいのではないか」と言う。
 高齢者の住まいの種類は「複雑でわかりにくい」と平さん。
 まず、介護保険法に基づき、介護保険サービスを利用できる公的な「介護保険施設」がある。「特別養護老人ホーム(特養)」、リハビリを中心とした「介護老人保健施設(老健)」、長期入院して療養する「介護医療院・介護療養型医療施設」の3類型。
 老人ホームには、まず、軽費老人ホームがある。老人福祉法により定められている施設で、60歳以上で身寄りがない、あるいは家族からの援助が困難で、自立した生活が不安な人が入居できる。食事提供サービスがあるA型、自炊が必要なB型、食事と生活支援サービスがあるC型、の3つのタイプがある。
 ただ、A型とB型は今後建設予定がない。今後はC型が中心になっていく。C型の軽費老人ホームは、一般にケアハウスと呼ばれている。ケアハウスは、食事・掃除・洗濯などの生活支援が受けられる自立型ケアハウスと、入浴や排泄、機能訓練などの介助も受けられる介護型ケアハウスがある。
 有料老人ホームは、健康型、住宅型、介護付き、の3種類がある。健康型有料老人ホームは家事サポートや食事などのサービスが付いた高齢者住宅。要介護になった場合は退去することになる。
 住宅型有料老人ホームは、食事、洗濯、清掃などの生活支援サービスが付いた高齢者住宅で、
入居者が要介護となった場合は訪問介護などの在宅サービス事業所と契約する。
 介護付き有料老人ホームは主に介護を必要とする高齢者が、生活支援を受けながら居住する高齢者住宅。介護は内部で対応する。
 グループホームは、認知症高齢者が、スタッフの介助を受けながら共同生活を送る施設。ユニットという、最大9人の少人数グループで暮らす。
 さらに、国土交通省が管轄するサービス付き高齢者向け住宅がある。安否確認や生活相談など高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリーの住宅だ。
 サ高住と住宅型有料老人ホームは、制度は別だが基本的には同じ機能の住宅だ。
 平さんは費用についても解説してくれた。
 有料老人ホームは、入居時に一時金が必要で、その金額は0〜5000万円。
 月額費用としては、家賃、管理費、食費等があり、これが15万円〜25万円くらい。
 介護保険自己負担(1割不安の場合)が、1万5000〜2万5000円。
 医療費、紙おむつ代が2万円から3万円。
 入居一時金が100万円で、償却期間が7年、初期償却30%ーーだとすると、2年で解約すると50万円は戻ってくる。最低限、入居一時金の償却期間、初期償却について理解しておく必要がありそうだ。
 老人ホームは、入居前にしっかり必要なお金などについて勉強しておかないと、入居していいものか、悪いものか迷いそうだ。
 平さんによると、老人福祉法施行規則で、入居日から3か月以内に、契約が終了した場合は「短期解約特例」が適用され、その場合は、初期償却のお金はとられない。こうしたことも知っておきたい。
 高齢者住宅選びは難しい。それだけに、信頼できる紹介センターを見つけられるかどうかもポイントになりそうだ。
 紹介センターへの相談は無料でできるが、それは、入居が決まった場合に老人ホームが、紹介センターに紹介料を支払う仕組みになっているからだ。それだけにどれだけ入居希望者のニーズを把握し、客観的に高齢者住宅の情報を提供してくれるかが、気になるところ。
 例えば、キットカンパニーは、老人ホーム選びのために現地に見学に行く際に同行してくれるという。そうした親身になって相談を受けてくれる紹介センターを見つけると同時に、しっかり終の棲家に関する知識、情報を学んでおくことが大切だ。

議論も盛り上がった






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