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早田ひな選手はなぜ遅咲き?本当は右利き?

早田ひな選手は伊藤美誠選手・平野美宇選手と同じ2000年生まれで、3名合わせて黄金世代と呼ばれている。伊藤選手と平野選手は既にオリンピックを経験しているが、早田選手はパリ五輪が初となる。

遅咲きだと言われてきたが、最近は絶好調だ。2023年5月の世界選手権では、女子シングルス準々決勝で当時世界ランク3位の王芸迪(ワン・イーディ)を撃破。フルセットで最終ゲームのスコアは21-19。歴史に残る大激戦だった。また、世界選手権のシングルスで日本選手が中国選手を破ったのは44年ぶりだ。

2024年2月の世界選手権では団体戦で陳夢(チェン・ムン)に勝利。陳夢は東京五輪シングルス金メダリストの強敵。これまで7戦全敗だった。同大会でインド女子選手が異質ラバーを用いた変化球で中国選手に勝利した事を参考にして、早田選手本人がいう所の『気持ち悪い卓球』を実践した。
「王道の卓球をやっていても勝てない。気持ち悪い卓球、変化のある卓球が通用するなら、自分もやりにくいけど試したかった。得点するまで耐える試合だった」と早田選手は語った

本記事ではそんな早田選手に関する5つの真実を紹介する。

1.元々右利き

早田選手は卓球ではサウスポーだが ご飯を食べたり文字を書く時は右手を使う 2020年のプロ野球始球式でも右腕で投球した。

子供の頃に通っていた卓球クラブで 先生に勧められて左手でラケットを持つようになった。同じく指導者の影響で左利きに変更した卓球選手は他にも水谷隼選手や宇田幸也選手がいる。卓球において サウスポーは右利きより有利であると考えられている。

右手でプレーしていた早田を見た石田卓球クラブの石田千栄子コーチは 左利きへの変更を提案した理由をこう述べている。

「早田選手は『手は右利き』だけど『利き足が左』でした。軸足を左にして卓球をプレーしていたんです」

実は利き手だけでなく利き足もある 器用に扱える方の足が利き足だ。サッカーでボールを蹴る方の足 リレー競争でスタートする時の後ろ足 自転車を走らせる際に地面を蹴る方の足 これが利き足だ 。利き足ではない方が軸足となり 体重を支える つまり利き足はスポーツにおいて重心のかかり方に影響を及ぼす。

「利き手と利き足が反対だと 重心のバランスが良くないんです。聞き手は練習で直せるけど利き足は難しい。」

選手生命に大きな影響を与える判断に迷った石田コーチは サッカーをプレーしていた早田選手の父親へ利き足を尋ねてみた。するとやはり利き足は左だった。これがきっかけで早田選手はサウスポーとなった。

2.遅咲きの理由

早田選手が伊藤選手や平野選手と比べて遅咲きとなった原因は 体格やプレースタイルにあると考えられている。彼女の一番の特徴は167cmの長身と長い手足を活かした中陣からのドライブ強打やラリー戦 全身を大きく使うためボールには威力があり守備範囲も広い。しかし台から少し離れた位置でプレーするため どうしても運動量が増えてしまう。多くのスタミナが必要とされるうえ 体を酷使することとなる。2016年には右ひざ 2017年には腕の怪我に悩まされた。

これを解決するため後述するコーチやトレーナーと共にフィジカルトレーニングや栄養管理、 フォームの改造に取り組んだそうだ。もともと早田選手は食事があまり得意ではなく あるインタビューでは食事中に集中力が切れるとそれ以上食べることが出来なくなる時期もあったと語っていた。

ちなみに伊藤選手は身長153cm 平野選手は158cmで 早田選手とは約10cmの差がある。2名とも早田選手と比べると台に近い前陣に張り付いてプレーすることが多い。

女子卓球で長身を活かして中陣でプレーする選手は他にもいる。ロンドン五輪金メダリストの李 暁霞(Li Xiaoxia)は174cm、リオ五輪金メダリストの丁寧(Ding Ning)は171cm、東京五輪金メダリストの陳 夢(Chen Meng)は166cmだ。

3.指導者の存在

現在早田選手のコーチを務めるのは石田大輔さん。元々、大輔コーチの父母が石田卓球クラブをオープンし、そこに通っていた早田選手を石田夫婦や大輔さんの兄が指導していた。石田卓球クラブは早田選手の他にも岸川聖也選手や田添健汰選手などの実力者を輩出している。早田選手が中学2~3年生の頃から大輔コーチが早田選手を指導するようになった。石田さんは約7年間ミズノに勤務していたサラリーマンだった。早田選手の資質に可能性を見出し、同社を退職してコーチ業に専念した。

石田コーチは早田選手を食事面でもサポートしている。情熱大陸が早田選手を特集した回では 2人とトレーナーの岡雄介さんの3名で焼きそばをおかずにご飯を食べる風景が映し出された 「炭水化物と炭水化物の組み合わせだけどたくさん動くから必要なエネルギー」と語っていた。

ご飯を食べるのが苦手で体重も減りやすい早田選手だったが 身体作りのため 石田コーチを含む周囲のサポートもあって克服した。

4.家族のサポート

早田選手が卓球を始めたきっかけは 4歳の時に姉の練習に付いて石田卓球クラブを訪れたこと 両親は卓球選手ではなかった。

これは近年のスター卓球選手としては珍しい。同じく黄金世代の平野選手と伊藤選手はどちらも卓球歴のある母から指導を受けた経験がある。張本美和選手と智和選手の2人は父から指導を受けているし現在も父がコーチを務めている。日本のエースである水谷隼選手も父が指導する卓球教室で腕を磨いた。

それでも早田選手の家族は早田選手を献身的にサポートしている。母は現在でも遠征などの際に必要があればごはんや選択をこなしてくれる。学生の頃は休みの日も練習したいと伝えると車を出してくれた。姉は自身と体型や体質が似た早田選手のため栄養士の資格を取り栄養面でアドバイスをくれるそうだ。

5.東京五輪では...

上述の通り、東京五輪には伊藤選手と平野選手、そして石川佳純選手が出場した。早田選手は補欠としてチームに同行したが、出場する機会はなかった。

黄金世代で一歩出遅れた形となり悔しい想いをしたが多くの事を学ぶ機会となったそうだ。特に 選手の応援やサポートに回ったことで 日頃自身を支えてくれている家族や指導陣の想いが身に染みたという。東京五輪後にはXで「皆へ恩返しをしたい」という気持ちを長文で綴った。

早田選手の今後

パリ五輪への出場が決まった早田選手は Xにてオリンピック出場ではなく 金メダルを獲れる世界一の選手を目指したことや 指導者や家族など支えてくれた人たちへの感謝を綴った。

中国選手と戦える実力を付けてきている早田選手だが パリ五輪にも出場する中国の孫穎莎とは現在0勝15敗だ 順当に勝ち進めば2人が激突する可能性もある もちろんオリンピック以降も2人が国際大会で相まみえる機会は多いだろう。中国メディアからも危険な選手と認識されている早田選手 最強中国の牙城を崩しに期待がかかる。

参考資料
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/746256?display=1
https://world-tt.com/blog/news/archives/13916
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E7%94%B0%E5%B9%B8%E7%9F%A2
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02420/
https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201612160004-spnavi?p=1
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A9%E7%94%B0%E3%81%B2%E3%81%AA
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?search=+Hina+Hayata&title=Special:MediaSearch&go=Go&type=image



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