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水滸噺 21年1月【千本書いた】

あらすじ
湖畔に集まる星々は  一百零八ともう一つ
開封守る面々も    この世界では皆馬鹿 
馬鹿で結構生きてれば 最後に還る星を待ち
皆で行こう      水のほとりへ

すいこばなし 注意書き
北方謙三先生水滸伝何でもありな二次創作です。
・水滸伝の原典ネタは日常茶飯事、スマホにPCなど電子機器も飛び交うし、あの人が梁山泊で元気に生きていたりする、異世界からお届けします。
・原作未読の方でも楽しめるように、ネタバレを極力避けていますが、薄々感づいてしまう個所が垣間見えますので、その点はご注意ください。
楊令伝編で出てくる好漢は、すなわち水滸伝を生き残った者ということですので、未読の方はその点ご留意いただいた上でお読みください。
・作者のtwitterにて連載しています。
・今月号、バックナンバーのご意見ご感想、リクエスト等々、こちらまで
 お寄せいただけると、とても嬉しいです!いつも助かっています!
・原作に興味を持たれるきっかけになったらこれ以上の喜びはありません。

それでは行ってみましょう!

梁山泊

梁山泊…千本桜を通り過ぎると湖畔が見えた。

本隊

本隊…安定感があるが癖の強いセクションだったな。

1.
宣賛「本日は皆の集中力を整える調練です」
関勝「大刀に小刀を使わせるとは」
呼延灼「彫刻か?」
宣「はい」
穆「何を彫るのだ?」
宣「自分のあだ名に擬えた作品を」
李応「撲天鵰か」
関「小刀で大刀を彫るのか」
呼「俺は双鞭」
穆「没遮攔?」
宣「集中力に加えて想像力を養いましょう、穆弘殿」

関「器用だな、李応」
李「伊達に重装備部隊で工作してない」
呼「大枠は作れたが、細かい意匠が難しいな」
穆「…」
関「没遮攔のあだ名はイカしているが」
呼「一体何を彫るのだろう」
李「遮る者無しがお題か…」
穆「…」
宣「あと二刻で仕上げてください」
関「急がなければ」
呼「大丈夫か穆弘」

宣「見事な撲天鵰ですな」
李「今にも空を飛びそうだ」
関「大刀の形は彫れたが…」
呼「俺たちは細かい所まで手が回らなかった」
宣「二人らしい」
穆「…」
宣「穆弘殿は?」
穆「没遮攔だ」
呼「なるほど、大男か」
穆「遮らせてみろ」
呼「俺の鞭で遮ってやる」
穆「行け没遮攔!」
呼「木屑が!」

関勝…結局作った作品で子どものような遊びを始めた。
呼延灼…おのれ没遮攔!
穆弘…木屑を撒き散らすドリルが付いていた。
宣賛…私の醜郡馬に乗って速さを足しましょう。
李応…随分と子どもだな、本隊の隊長は。

遊撃隊

遊撃隊…新旧問わず、どうしようもないセクションだった…

2.
杜興「なぜ史進の奴ばかり出番が多いのだと思う?」
鄒淵「随分と含みのある話題じゃねえか、爺」
陳達「なんだかんだで、史進が一番初めだからじゃねえか?」
杜「一番初めに出ておきながら、その後はパッとしないではないか」
陳「それは知らねえ」
鄒「そんな漫画キャラクターを見たことがあるな」

杜「わしらだってもっと出番があって良いではないか」
陳「地煞星の真ん中から下の俺たちが?」
鄒「どんな出番が欲しいんだよ、爺?」
杜「李応殿の傍で補佐に尽力するわし」
陳「行間でやれ」
杜「李応殿のお嬢様の執事として甲斐甲斐しく尽すわし」
鄒「崖から突き落とされろ」
杜「何を無礼な!」

陳「李応殿には娘と息子がいるのか?」
杜「李媛お嬢様と李英お坊ちゃんだ」
鄒「そういえば俺は、解珍殿たちと一緒に遠目で見た記憶があるな」
陳「どんな面してた?」
鄒「…苦労しそうな面してたな」
陳「あばた面の爺のせいじゃねえか?」
杜「なんじゃと!」
鄒「面倒見てやれよ」
杜「無論だ!」

杜興…しょっちゅう二人の飛刀の稽古台になってあげてた。
陳達…俺が史進に勝つ世界軸があってもいいよな。
鄒淵…俺と潤はどうやったら目立てるんだろう…

二竜山

二竜山…楊志と秦明という二匹の竜が統べた拠点だったな。

3.
楊志「一粒残らず食べるのだぞ、令」
楊令「…」
志「どうした?」
令「お米を一粒残らず食べるのは分かったのですが」
志「おう」
令「胡麻さんや青のりさんは一粒残らず食べなくて良いのですか、父上?」
志「それは」
令「なぜですか?」
志「…仁美?」
済仁美「私も旦那様の答えが知りたいです」

志「…器を舐めるのは獣のようで行儀が悪いからではないかな」
令「父上は青面獣ではありませんか!」
志「!」
済「夜だって…」
志「やめろ仁美」
令「それに今日のおかずは曹正殿のソーセージのなめろうです」
志「一体何を作っているのだ、曹正」
済「曹正殿ですから」
志「なめろうがどうした?」

令「器を舐めたくなるほど美味いから、なめろうなのだと曹正殿が言っていました」
志「また余計なことを」
令「器を舐めるべきではありませんか、父上?」
志「確かにそうかもしれんが、食事の時は人であろう、令」
令「…」
志「遊びや戦の時には獣になるかもしれんがな」
済「夜も」
志「ええい!」

楊志…青面獣になって、楊令の稽古を指導していた。
済仁美…夜の獣はむしろ彼女…などと言ったらどうなることやら。
楊令…夜中の母の気の強さに気を絶ったことがある。

4.
蔣敬「ついに解珍殿のタレが一般家庭に売られる時がきたな」
曹正「俺のソーセージのタレも作ってくれ」
解珍「…」
蔣「解珍殿?」
解「…まるで、愛情込めて育てた娘がろくでなしの男の嫁に行った気分じゃよ」
曹「随分だな」
解「わしの蘭は、世間体など気にしない娘じゃからな」
蔣「タレだろう」

解「わしの蘭の良さが分かるいい男が何人いることやら」
曹「肉の脂の旨味をよく引き立てる健気な娘だぜ?」
解「無粋な…」
蔣「タレだろう、解珍」
解「お前も無粋だな、蔣敬」
蔣「二竜山の財政を潤すためだ」
解「やはりやめだ!わしの娘は売らん!」
曹「何を今更!」
蔣「娘じゃない!タレだ!」

魏定国「おう解珍。流花寨に十樽頼んだからな」
解「そんなに買うのか、魏定国」
魏「爆発力が違うからな」
解「味のな」
魏「混ぜると一味も二味も火力が変わってくる」
解「お前は分かってるな」
魏「勿論だ」

蔣「どうやって十樽も使い切るんだ?」
魏「火薬に混ぜて使うんだが?」
曹「食用だぞ」

解珍…保管スペースの匂いがキツいというクレームをガン無視している。
蔣敬…食わないでも使えるとは…
曹正…絶対に解珍に言うなよ。
魏定国…食用と知ってびっくり。肉と一緒に食べてさらにびっくり。

双頭山

双頭山…朱仝雷横体制はBクラスだったが、董平体制になってからは何とか脱却した感が。

5.
朱仝「災難だったな、雷横」
雷横「全くだ朱仝」
朱「小さい失策が積み重なると、こうもめんどくさいことになるのだな」
雷「飲まねえとやってられんぞ」
朱「事の発端は何だったのだ?」
雷「俺が無一文だったのがいかんのだが」
朱「それで?」
雷「久しぶりに知り合いの鍛冶屋に劇に誘われたんだ」

朱「珍しいな」
雷「気晴らしにいいかと思ってな」
朱「どうだった?」
雷「なんだか主役の女が気に食わなかったのだ」
朱「なぜだ?」
雷「…ガキの頃、いじめられた女に似てたんだ」
朱「意外な過去だな」
雷「それがどうやらその女だったのだ」
朱「フラグが立ちそうなものだが」
雷「願い下げだ」

朱「それでどうなったのだ?」
雷「壇上に上げられて、余興のダシにされた」
朱「乗り気ではないか?」
雷「散々いじられた挙句に」
朱「おう」
雷「お袋の事までいじられた」
朱「なんと」
雷「逃げようとしたら銭も無く、これまでかと思った時に、お前が来てくれたのだ」
朱「…助けなきゃよかった」

朱仝…そのお袋の話というのは?
雷横…誰が言うものか!

白秀英…雷横の幼馴染の芸妓さん。美人だけど意地悪。雷横を手玉にとる話術と芸はさすが。好意はあるのだろうか?

流花寨

流花寨…弓と矢しか出てこなかったなぁ…

6.
花栄「どうして流花寨の矢をこれ以上作らないのだ!」
朱武「作りすぎだと言っているだろう」
孔明「兵糧庫を逼迫するほど作ってます」
花「私の意見が的を射ていないというのか!」
朱「お前の意見は矢じゃないからな」
孔「矢のように鋭い指摘だ」
花「ならばたくさんの矢を使えば作っていいのだな」

朱「その手甲は?」
花「これを付けると同時に矢を五本射ることができる」
孔「狙いは?」
花「私の射る矢だぞ、孔明」
朱「しょうがないから見てやろう」
花「見て驚け!」
孔「…」
花「くそっ!掴みにくい」
朱「そこでつまずくからな花栄は…」
花「まずは三本!」
孔「妥協したな」
花「!!!」

朱「当たったといえば当たったな」
孔「まあいつものですよ」
花「もっと感動しないのか」
朱「言ってもな」
孔「どうせ当てるんだろ、っていう…」
朱「むしろ外した方が感動するかもしれん」
花「外すなど小李広の誇りが許さん」
朱「手甲から取り出すところもいまいち冴えん」
孔「言いたい放題だ」

花栄…私に足りないところがあればはっきり言ってくれ!
朱武…それは前々から言ってるだろう!
孔明…弓矢以外もっと手練れになってください。

聚義庁

聚義庁…ろくな首脳陣じゃなかったよな。

7.
公孫勝「林冲を罰してくれ呉用殿」
呉用「どういう罪で?」
公「私を罵った罪で」
呉「お前も罵ったのではないか?」
公「私は罵ったのではない。事実を指摘したまでだ」
呉「何を言われたのだ?」
公「出べそと言われた」
呉「私の塾の子供たちでも言わんセリフだ」
公「厳しく罰してくれ」
呉「…」

呉「林冲」
林冲「何だ呉用殿」
呉「公孫勝を罵ったな」
林「呉用殿まで出べそのウスノロに加担するつもりか!」
呉「公孫勝は出べそなのか?」
林「知らん。知りたくもない」
呉「私も心底どうでもいいのだが」
林「その割に執心してないか、呉用殿」
呉「そういうわけではないぞ」
林「…」
呉「…」

林「もしや呉用殿が出べそなのではあるまいな」
呉「!」
林「俺は公孫勝ではないからねちっこくしたりする気はないが」
呉「…」
林「出べそなのか、呉用殿?」
呉「ねちっこいな林冲」
林「気のせいだ」
公「呉用殿がどうした、バカ?」
林「出べその恐れがある」
公「ほう」
呉「…」
公「呉用殿」

呉用…おへそを見せた。
公孫勝…これは。
林冲…どういうことだ。

三兄弟

三兄弟…結局李逵ちゃんが一番できる子だった。

8.
李逵「柴進はよ」
柴進「なんだ、李逵?」
李「もうちょっと自分で色々できた方がいいんじゃねえか?」
柴「それは?」
李「兵站の書類はどうやって確かめてるんだ?」
柴「部下に持ってきてもらっているが?」
李「飯はどうしてるんだ?」
柴「部下に持ってきてもらっているな」
李「自分でやれよ」

柴「…幼い頃からことごとく人にやってもらうのが当たり前だったからな」
李「梁山泊じゃそうはいかねえはずだぜ」
柴「心しよう、李逵」
李「おう、柴進」
柴「じゃあ今日の夕飯を作ってくれ」
李「早速言ったことを忘れてやがるぜ」
柴「!」
李「自分で作ってみろよ」
柴「では教えてくれないか?」

柴「火をつけるのがこんなに大変だったとは」
李「何事も自分でできるに越したこっちゃねえ」
柴「違いない」
李「雑炊が煮えたぜ」
柴「私が取り分けよう」
李「分かってきたじゃねえか」
柴「李逵の分」
李「おう」
柴「私の分」
李「食おうぜ」
武松「俺の分は?」
柴「武松はする事がないのか?」

柴進…不味かった雑炊も、自分で作ったと思えば我慢できるな。
李逵…香料の入れすぎだ、柴進。
武松…薪を用意しただろう。

養生所&薬方所

養生所&薬方所…コミュ障セクションにおける白勝の重要性。

9.
安道全「…いかん」
薛永「どうした?」
安「小刀で指を切ってしまった…」
薛「珍しいな」
安「…少し深いな」
薛「あいにく白勝も文祥も毛定もいないぞ」
安「誰もいないのか?」
林冲「俺が」
安「…なぜ名乗りを上げた?」
林「誰もいないというのは聞き捨てならんぞ」
安「お前の名など忘れたよ」

林「指を切ったんだろう?任せろ」
安「お前など生涯修行しても医者の助手にもなれんのだ」
薛「神医の指の治療だぞ、林冲」
林「傷を縫ったことなら何度もある」
安「そうかもしれんが…」
林「友を信じろ、安道全」
安「…糸はあの棚だ」
林「いかん!中身をぶちまけてしまった!」
安「やはりいい」

林「棚は後で片付けておく」
安「絶対やめてくれ、私がやる」
薛「そんなことより指の傷が」
林「…針に糸を通すのだけは苦手なのだ」
安「だろうな」
林「…いかん」
安「…」
林「くそっ!」
安「…」
林「なぜ入らんのだ…」
安「…」
林「いい加減にしろ!」
安「私たちの台詞だ」
林「入らん!」

安道全…棚の配置は絶対にいじらないでほしい。
薛永…縫い方は丁寧じゃないか。
林冲…糸通しを初めて使ったカルチャーショックを受けた。

兵站

兵站…縁の下の力持ちはこだわりが強いそうで。

10.
柴進「私たちの同志でキャラグッズを作れないだろうか?」
蔣敬「それを考えたのは一再ではありません」
曹正「間違いなく売れるぜ」
李立「違いない」
柴「私の庭にいた動物たちのぬいぐるみは売れに売れたからな」
孟康「ならば次は」
柴「フィギュアはどうだ?」
宋清「意義なし」
柴「しかしな…」

蔣「どうした柴進殿?」
柴「ズバリ聞くぞ」
曹「おう…」
柴「リアルとデフォルメどちらがいい?」
李「そりゃ…」
曹・孟「デフォルメだろう」
蔣・李・宋「リアルだろう」
柴「やはりか…」
曹「待てお前たち!」
蔣「それは私たちの台詞だ、曹正!」
柴「落ち着け。両方とも需要があるのは自明だ」

宋「デフォルメなど本人に失礼ではないか」
曹「リアルで作る方が工数と再現度に問題がでるだろう!」
柴「どちらにしろ作れるのは金大堅他数名しかいない」
蔣「では金大堅殿の意見を聞こう」
金大堅「わしは…」
柴「…」
金「美女フィギュアしか作りたくない」
李「スケベ爺め!」
曹「つまみだせ!」

柴進…やはり拘りの強い連中をまとめるのは一筋縄ではいかぬか。
蔣敬…リアル五虎将を飾りたい。
曹正…デフォルメ好漢で名場面を撮りたい。
李立…リアル水軍を湯船に浮かべたい。
孟康…デフォルメ好漢でコマ撮りアニメを作りたい。
宋清…リアル好漢で写真集を作りたい。
金大堅…本日のスケベ爺。

塩の道

塩の道…蔡福のデブはなんか好きだった。

11.
盧俊義「梁山パークがまたしても経営難になりつつある」
蔡福「ありましたな、そんな道楽場」
蔡慶「徽宗からこれでもかって金が入ったのでは?」
盧「いつの間にか消えていた」
福「不正の匂いがしますな」
慶「あれだけの金が本当に消えたのか?」
福「我らの賃金もあるからな」
盧「それは知らん」

福「徽宗からの運営資金をどうやったら使い込めるのだ?」
慶「梁山泊に運んだらすぐに使われちまうよ」
福「何か知らないか燕青?」
燕青「…なにも」
慶「燕青?」
福「ちょっとジャンプしてみろ」
燕「こうか?」
福「銭の音が」
慶「いくらもってやがる!」
燕「しまった!」
福「マジなのか燕青」

盧「まるまる梁山湖の底に沈めたのを忘れていた」
阮小二「よくこれだけの銭を」
盧「あれは?」
慶「盧俊義様!」
福「我らの賃金と運営資金を引き上げてくだされ」
盧「ならばお前らがサルベージして引き上げてこい」
福「なにを!」
盧「張順ができるのだから」
福「魚と一緒にしないでくだされ!」

蔡福…脂肪がつきすぎて沈めなかった。
蔡慶…梁山湖に沈むのは別の奴じゃなかったか?
盧俊義…おう、おう。
燕青…蔡兄弟にカツアゲされて困った。

阮小二…こんな過酷な所にいたのか、小五は…

郵便屋さん

郵便屋さん…神行法を解禁してから色々こばなしが飛んだ気がする。

12.
戴宗「酒が飲みてえ…」
張横「駄目だ」
王定六「神行法に愛想尽かされるぞ」
戴「酒を飲んだ加速度を考えて予定を組めばいいじゃねえか」
張「足が止まらなくなる以外の天罰になる恐れだってあるじゃないか」
王「予期せぬ天罰を喰らってどうしようもなくなったらどうする」
戴「その時はその時だ!」

王「飲みやがった…」
張「今日の罰は?」
戴「…なんともない!」
王「本当か?」
張「走ってみろ戴宗殿」
戴「…足があがらん」
王「そういうパターンか」
張「歩けないのか?」
戴「一歩も…」
張「せいぜい歩けるようになったら教えてくれ」
戴「待ってくれ!」
王「自業自得だ」
張「ざまあない」

戴「俺を運んでくれ!」
王「俺たちは腕力に自信がないぞ」
張「試しに二人で担いでみるか」
戴「…」
王「…駄目だ、重い」
張「地面に生えているみたいだ」
王「酒が抜けるまで動けんなこれは」
張「呉用殿に報告せんと」
戴「勘弁しろ張横」
張「うどんかわんたんか?」
戴「…うどん」
張「残念」

戴宗…張横のわんたんの刑を受けた上に、呉用に叱られに叱られた。
張横…うどんかわんたんか聞かれた時はどちらがいいか正直に答えよう。外したら大変だけど。
王定六…張横殿はキレさせたら戴宗殿なんぞよりはるかに怖いからな。

断金亭

断金亭…出オチにもならなかった遊撃隊のかくし芸が感動を呼ぶようになるなんて…

13.
宋江「新年紅白歌合戦とは」
盧俊義「白組はさすがの風流喪叫仙だったな」
呉用「次は紅組です」
宋「一体だれだ?」
盧「宋江殿」
呉「赤ですよ、赤」
宋「赤髪鬼の劉唐か?」
盧「まきで行こう、呉用」
呉「紅組!遊撃隊による」
宋「…」
呉「済州の夜に駆ける!」
盧「失格の鐘を用意しろ、燕青」

史進「沈むように 溶けていくように」

宋「したたかの話か?」
盧「宋江殿」

史「初めて会った日から 俺の心の全てを奪った どこかはかない空気を纏うお前は 寂しい目をしてたんだ」

宋「履かないのは史進ではないのか、盧俊義?」
盧「宋江殿!」

史「触れる心ない言葉 うるさい声に涙が 溢れそうでも」

宋「溢れるのは史進の…」
盧「失格だ、宋江殿」

史「忘れてしまいたくて 閉じ込めた日々に 差し伸べてくれた君の手をとる」
鄒淵「…」
史「涼しい風が 空を泳ぐように今 吹き抜けていく」

盧「…」

史「繋いだ手を 離すんじゃねえぞ」

呉「…」

史「二人今 夜に駆け出してく」
鄒「♪〜」
乱雲「!」

宋江…悪意ない突っ込みでよもやの退場。
盧俊義…最後のシンクロはなんだったのだ。
呉用…すげえものを見ました。

史進…李瑞蘭のことを少し思い出した。全裸で。
鄒淵…ボーカル兼ギター。猟師だから声はいい。
陳達…ドラム。意外と性に合った。
杜興…キーボード。タキシード着て駆り出された。

東渓村

東渓村…晁蓋が塔を担ぐときのお話とか書いてみたいね。

14.
呉用「しまった!」
晁蓋「出オチか呉用?」
呉「失礼な」
晁「しまったの単位は一呉用だな」
呉「単位にしないでいただきたい」
阮小五「しかし呉用殿のしまったは我らのしまったより遥かに大きいですよ?」
晁「なるほど。しまったの単位を統一する必要があるという事だな」
呉「やめてください!」

晁「私のしまったはおよそ呉用の百分の一くらいではないか」
阮「どんなしまったですか?」
晁「私がうっかり毒矢に当たるしまったは?」
呉「それは私のしまったでは換算できません!」
晁「私のしまったの方が重いというのか!」
呉「当然です!」
晁「ならば一億呉用だ」
阮「一晁蓋が一億呉用か」

呉「早速レートが狂っていますね」
阮「銭だったら大変な事ですよ」
晁「では我らで使う銭に私と呉用の顔を刻むのはどうだ?」
阮「なるほど。呉用殿の塾の子供たちが銭を学ぶのに良い教材になりそうですな」
呉「国が滅びる間際みたいな施策は教えん!」
晁「我らは国を滅ぼそうとしているのだが?」

晁蓋…いつか銭を作るときはそうしような。
呉用…余計な手間をかけられません!
阮小五…紙幣の判別のために顔を印刷するのはありだと思った。

チーム張清

チーム張清…結局張清はどんな試練を突破して結婚したのだろうか。

15.
張清「礫が投げにくい」
龔旺「そりゃ一個一個形が違うからな」
丁得孫「対応するしかねえだろ」
張「あらぬ回転がかかってしまうのだ」
龔「形が歪だったらそうだよな」
丁「フォームの問題もあるんじゃねえか?」
張「ちょっと受けてくれ、二人とも」
龔「断る」
丁「グローブがあっても怖えからな」

張「いくぞ!」
龔「結局やることになるのか」
丁「へそ曲げられるとめんどくせえ」
張「!」
龔「俺だ…」
丁「!?」
龔「丁得孫!」
丁「矢傷の跡に…」
龔「シュートをかけすぎだ!」
張「普通に投げたんだが」
龔「真っ直ぐ投げられねえなら没羽箭を返上しろ!」
張「失礼な」
瓊英「あら、お三方」

張「瓊英殿!」
瓊「今日も精が出ますね」
張「瓊英殿もやってみないか」
瓊「良いのですか?」
張「受けろ龔旺」
龔「任せろ」
瓊「…」
龔(顔つきが変わった?)
瓊「!」
龔「!?」
瓊「龔旺殿!」
龔「素晴らしいアンダースローだ瓊英殿…」
張「今浮いたか?」
龔「浮いたぞ張清殿」
瓊「治療に!」

張清…瓊英のお家にお呼ばれしてウキウキ。
龔旺…瓊英の軌道は見たことがなかった。
丁得孫…矢傷のついでに顔のあばたも治療してもらえた。
瓊英…お転婆はほどほどにしろと鄔梨に怒られた。

子午山

子午山…梁山泊の漢たちの心の故郷。いつの間にか農耕や焼き物以外のサイドビジネスが盛んになっていた。

16.
鮑旭「いつの間に子午山の畑がいちご一色になったのかな、馬麟?」
馬麟「…」
鮑「馬麟?」
馬「…蜂が来ないな」
鮑「蜂?」
馬「いちごを育てるためには欠かせない虫なんだ」
鮑「詳しいな、馬麟」
馬「蜂が花粉を運ぶことで花が咲くからな」
鮑「知らなかった」
王母「二人とも、進が」
鮑「!!」

馬「王進先生が蜂に襲われながら死域に!」
鮑「王進先生が刺されるわけはないが…」
母「何とか蜂と仲直りはできないでしょうか」
鮑「母上なら女王蜂と交渉できるのでは?」
母「なるほど」
馬(確かに子午山の女王だな)
母「僭越です、馬麟」
馬「!」
鮑「王進先生!もう少し耐えていてください!」

馬「蜂の巣はどこだ?」
鮑「この花の香りを辿れば」
母「野生の才ですね、鮑旭」
鮑「あちらから香ります!」
馬「行こう」

母「!」
鮑「蜂の巣が熊に襲われているぞ!」
馬「助けなければ」
鮑「棒ならあるが…」
馬「二人で熊と戦うか?」
母「進!」
馬(怖っ)
鮑「王進先生!」
母「退治なさい」

鮑旭…いちごを作っていたら熊掌が食べれるとは思わなかった。
馬麟…久しぶりにお腹いっぱい熊料理を食べた。
王母…女王蜂から蜂蜜のお礼が届いた。
王進…死域で蜂と共闘した。

17.
楊令「またやったな!張平!」
張平「なぜいつも同じ手にかかるのですか?」
楊「覚えてろよ!」
張「どの事か多すぎて覚えてられません!」
楊「…私を本気で怒らせたな、張平」
張「あ!先日お世話になった…」
楊「なに!」
張「バカが見ましたな!楊令殿!」
楊「許さん!」
王母「元気なこと!」

楊「張平の大事な物を盗んでやろう」

楊「何を盗んでやろうか…」

楊「…卑怯な男のする事のような気がしてきたな」

楊「いや、しかし張平を懲らしめるためにも必要なことではないか?」

楊「…だがそれは正しい事なのだろうか」

楊「王進先生ならどうやって諭されるだろうか…」

張(丸聞こえだ)

楊「稽古でお前に厳しくすることにした」
張「一番してほしくないことを」
楊「真剣勝負ならば盗みは使えまい!」
張「…いいえ。私は楊令殿のものを盗みました」
楊「なに」
張「これは決して返せるものではありません」
楊「許さんぞ張平!」
張「楊令殿も王進先生から盗みました」
楊「なんだと!」

楊令…結局何を盗んだのか分からず王進に打ちのめされた。
張平…技を盗んだと言いたくて仕方がない。
王進…楊令に何を盗まれたか考えながら死域。
王母…私は子供たちの胃袋を盗みました。

禁軍

禁軍…フレッシュ趙安は、こばなし一番の奇跡。

18.
趙安「フレッシュ!」
公順「めっきり笑いが取れなくなってしまいましたな、趙安殿」
何信「公順!フレッシュマンはコメディアンではない!」
公「しかし何かしらの新規軸を打たなければ鮮度劣化は免れませんよ?」
何「新鮮組も解散したからな…」
公「何か新規軸はないのですか、趙安殿?」
趙「…」

趙「もう今のままでいいのではないか?」
公「趙安殿!?」
何「守りに入られましたな」
趙「私は野戦より陣を組んで腰を据えた戦の方が得意だ」
公「それとこれとは!」
何「新鮮組の面々も落胆しますぞ!」
趙「…もうやめないか、フレッシュマン?」
公「正気ですか!」
何「聞き捨てなりませんぞ!」

趙「正気という点ならば、北宋の世にフレッシュマンという意味をなさない外来語が蔓延っている世界を疑うべきではないか?」
公「…何を言っておられるのですか、趙安殿?」
何「メタネタも程々にしてくだされ」
趙「やるしかないのか…」
公「フレッシュマンですから」
趙「フレッシュ!」
何「寒っ」

趙安…何信と口を聞くな、公順。
公順…鼻つまみ者ですな。二重の意味で。
何信…風が!風が寒かったのです!趙安殿!

楊令伝

黒騎兵

黒騎兵…楊令殿の空白の3年間のお話書かないと…

19.
楊令「郝瑾は真面目だな」
郝瑾「それは?」
楊「そのままの意味だが…」
郝「その自覚はありますが、だからといってユーモアを理解しない訳ではありません」
蘇端「なら俺の今朝のアレもユーモアですな、郝瑾殿」
郝「まだ罰は終わっていないが?」
蘇「…すぐに片付けます」
楊「何をされたんだ?」

郝「ユーモアと嫌がらせの区別がつかない輩が多くて」
楊「一体何をされたんだ、郝瑾」
郝「張平も知恵が回る分小賢しいんですよ、楊令殿」
楊「それは子午山の頃から変わりない」
張平「やい、郝瑾殿!」
郝「…」
張「蘇端がまた郝瑾殿の卓の引き出しに…」
郝「もうその手は食わん、張平」
張「!」

郝「貴様らの私に対する嫌がらせは概ね読めた」
張「なに!」
楊「そんなに今まで嫌がらせをされていたのか、郝瑾?」
張「いたずらです楊令殿!」
郝「被害を受けた者が嫌がらせだと思ったら嫌がらせなのだ、張平!」
張「そんなハラスメントを受けた女子のような言い草を!」
楊「…何があったのだ」

楊令…黒騎兵内の嫌がらせ事例に心を痛めている。
郝瑾…ほら見ろ!貴様らのせいで楊令殿が!
張平…卓に叩頭蟲の折り紙をしこたま仕込んだだけじゃないですか!
蘇端…額に蟲のステッカーを貼っただけじゃないですか!

20.
楊令「蕭珪材は」
蕭珪材「はい」
楊「苦手なことはないのか?」
蕭「と、言いますと?」
楊「…例えば俺は料理が苦手だ」
蕭「はい」
楊「あと早起き」
蕭「…」
楊「とんちを使ったなぞなぞも苦手だ」
蕭「そうなのですか」
楊「お前にそういう苦手なものはないのか?」
蕭「そうですな…」
楊「…」

蕭「戦で部下が死ぬのが苦手です」
楊「…言いたいことは分かるが、そういう苦手ではない」
蕭「斡離不殿が歯を磨いた枝を代わりに片付けるのも苦手です」
楊「そんな事までしているのか」
蕭「ゴミが散らばっている部屋も苦手ですね…」
楊「…なんと言ったらいいかな」
蕭「違うのですか、楊令殿?」

麻哩泚「どうされたのですか、楊令殿」
楊「苦手なものの話をしていた」
麻「苦手なものですか」
楊「俺は料理や早起きが苦手だ」
麻「ほう」
蕭「私は戦で部下が死ぬのが苦手だろう?」
麻「…なるほど」
楊「分かってくれたか、麻哩泚」
麻「そういうのが苦手ですな蕭珪材殿」
蕭「どういう事だ?」

楊令…子午山でも早起きと料理だけは克服できなかったのが悔しい。
蕭珪材…雑談が苦手。
麻哩泚…蕭珪材の副官。バランスの良い男。

本隊

本隊…意外と出番が少なかった。ごめんね!

21.
呼延凌「七星鞭を振ると音がするんだが」
李英「そうだな」
呼「最近妙な音がするようになったのだ」
李「妙な音?」
呼「戦で敵を打ち倒すと何かが聞こえるんだ」
李「断末魔ではないのか?」
呼「よく分からない…」
李「聞かせてくれよ」
呼「それが、戦の時じゃないと聞こえないんだ」
李「ほう」

李「暴れているな、呼延凌」
呼「!」
李「…確かに音がするな」
呼「!」
鞭「優」
李「優と聞こえたぞ?」
呼「!」
鞭「優」
呼「!」
鞭「可!」
李「可?」
鍾玄「よそ見をするな!李英!」
鞭「不可!」
李「不可だと!」
鍾「何だ!」
李「呼延凌の鞭が喋ってるんだ!」
鍾「何を言っている!」

李「呼延凌の鞭がうるさくて戦に集中できなかったぞ!」
鍾「鞭のせいにするな!」
呼「いや、李英が正しい」
鍾「呼延凌殿?」
呼「明らかに私の鞭から声がしていた」
李「優だの可だの言ってたぞ」
鍾「どういう意味だよ?」
呼「…恐らく私の打ったところを採点していたのだろう」
李「そういう?」

呼延凌…最近鞭を高平に研いでもらったんだが。
李英…いらん機能を追加されたんだな。
鍾玄…呼延凌隊将校。平凡だが堅実な男。

岳家軍

岳家軍…ファミリーといっても過言ではない仲の良さ。

22.
岳飛「徐史!飯はまだか!」
徐史「今作ってるところです!」
岳「遅い…」
徐「煮込み料理は時間が命です!」
岳「早くできないのか!」
徐「料理の戦は岳飛殿では耐え切れないでしょう?」
岳「なんだと!」
徐「腹ペコになるとすぐ俺に当たるじゃないですか」
岳「やかましい!」
徐「孫範殿!」

孫範「…」
徐「料理中の俺に岳飛殿が暴言を吐きました!」
岳「しまった」
孫「調理中の徐史には絶対服従の掟があったな」
岳「なぜそんな掟が…」
徐「岳飛殿の横暴を抑止するために決まってるでしょ?」
岳「…口の利き方が気に食わん」
徐「あ!また料理中の俺に逆らうのですか?」
孫「しかし…」

孫「憎まれ口を叩いている時は料理中とは言い難いぞ」
徐「孫範殿!」
岳「勝機!」
徐「ちょっと!?」
岳「いかん!」
徐「岳飛殿!」
孫「鍋が…」
徐「…」
孫(本気で怒ってるな)
岳「…すまん、徐史」
徐「…食べさせたかったのに」
岳「徐史?」
徐「皆に食べさせたかったのに!」
孫(デレた…)

岳飛…勝機を見誤って鍋をぶちまけてしまったのを猛省。
徐史…自信作を台無しにされめっちゃ泣いてしまった。
孫範…ちょっとだけ徐史にキュンとしてしまった。

23.
岳飛「…どうしたものか」
牛坤「おや、岳飛殿」
姚平「また徐史殿と夫婦喧嘩ですか?」
岳「黙れ!」
姚「!?」
牛「…マジなんですかい、大将」
岳「今どうやって詫びたらいいか考えているのだ」
牛「…」
姚「素直になりゃ一発で」
岳「!」
姚「!?」
岳「失せろ、雑魚」
牛(本当に素直じゃねえなあ)

岳「…」
崔如「あなた」
岳「…なんだ」
崔「また徐史殿と夫婦喧嘩をされたのですか?」
岳「…まさか妻にまで言われるとは」
崔蘭「痴情のもつれね、母上!」
如「おませさんはもう寝なさい」
蘭「したたかするの?」
如「父上次第ね」
岳「!?」
蘭「徐史殿と仲良くね、父上!」
岳「崔蘭、お前…」

蘭「なあに?」
岳「…どこで、その言葉を覚えたのだ?」
蘭「言葉?」
岳「それは」
蘭「言わなきゃ分かんない!」
岳「…し」
蘭「し?」
岳「した…」
蘭「父上軍人でしょ!」
岳「したたかなど!」
蘭「嫌だ、父上!どこでそんな言葉を覚えたの?」
岳「この!」
蘭「♪〜」
如「何でしたっけ?」

岳飛…家庭内でも翻弄されている。
牛坤…将校。武芸は岳飛の次に強い。
姚平…将校。口の軽さが災いした。
崔如…棚ぼたでゲットした岳飛の嫁。座右の銘は不動心。
崔蘭…岳飛の養子。おませさんな女の子。岳飛ほど手玉に取るのが容易い男はいなかった。

林冲さん家

林冲さん家…こんな未来があってもいいのだ。

24.
楊志「いつ食っても仁美の作る飯が美味いんだ」
林冲「それはいいな」
楊「張藍殿の飯もさぞ美味いのだろうな?」
林「無論だ」
楊「…伝えているか?」
林「なにを?」
楊「私たちは、こんな世で叛徒として生きている」
林「…そうだな」
楊「伝えられることは、伝えられる内にきちんと伝えておけよ」

林「きちんと伝えておく、か」

林「張藍?」
張藍「…」
男「…」
林「張藍!?」
張「林冲様?」
林「貴様何者だ!」
男「待て!林冲!」
林「!」
安道全「私だ林冲」
林「…いかん」
安「たしかにいつもと違う着物を着ているが、そこまで血相を変えることか?」
林「すまぬ。取り乱した…」
張「…」

林「…」
安「まさかこの私が間男にでも見えたのか?」
林「…」
張「安先生。今日は二人にしてもらえますか?」
安「…仲良くな」
林「…」
張「林冲様?」
林「…」
張「怖い夢を見たのですか?」
林「夢では無かったはずだ…」
張「こんな幸せがあってもいいじゃないですか!」
林「…」
張「ね!」

林冲…結局伝えそびれたが、いつか必ず伝えることだろう。
張藍…林冲様の怖い夢は私が覚ましてあげます!
楊志…済仁美と楊令との幸せがいつまでも続きますように。
安道全…やれやれ。迂闊にちょっかいもかけられん…

25.
張藍「…」
公孫勝「…」
張「羅真人様は、なんと?」
公「…天雄星の嫁など心底どうでもいいとさ」
張「…」
公「私も心底どうでもいいがな」
張「…それでもわざわざ、二仙山まで行ってくださったのでしょう?」
公「ついでにな」
張「ありがとうございます」
公「余計だ」
張「…もしも」
公「…」

張「…もしも、林冲様が戦で」
公「そうなる前に私が殺す。安心しろ」
張「あなた如きに林冲様が殺されるものですか!」
公「梁山泊一のバカだから分からんぞ」
張「まあ!」
公「そのバカの嫁になった女の顔を見てみたいものだ」
張「この美しい顔に見覚えがなくて?」
公「二人して本物のバカだな」

林冲「今張藍がバカにされた気を感じた!」
張「林冲様!」
公「…バカが揃ったか」
林「ウスノロ!張藍に何をした!」
公「お似合いだと言ってやったのだ」
林「何が!」
公「旦那にするにはお前ほどのバカがお似合いだとな」
林「…今日という今日こそ、貴様の首をねじ切ってやる」
公「やってみろ」

公孫勝…梁山泊を高笑いしながら逃げ回った。
林冲…張藍と百里風に乗り回し、公孫勝を懲らしめようとした。
張藍…許しません!公孫勝!

羅真人…天雄星の嫁なんざ心底どうでもいい!と言いつつ、マメに二人の様子を見守っている、らしい。

やつらの所

やつらの所…還ろう。水のほとりへ。

26.
史進「また貴様か、侯真」
侯真「酒飲みに来ましたよ」
呼延凌「…ご無沙汰しています、史進殿」
秦容「遠路はるばる来たんですから、振る舞ってくださいよ!」
史「頼んでない」
宣凱「梁山泊も大きくなりましたよ」
王貴「こんな面子が揃うのもそうそうないですね」
張朔「全くだ」
史「小僧ども…」

史「…よくここまで来たもんだ」
宣「何がですか?」
史「俺も、お前らも」
呼「そうですね」
史「やつらは何をしているかな…」
王「やつら?」
秦「きっとみんな手ぐすねひいて待ってますよ!」
侯「縁起でもねえからやめろ秦容!」
史「俺を打ちのめしてからほざけ」
秦「…今日は勝てそうにない」

史「…?」
呼「どうされました、史進殿?」

史「…お前は?」

戴宗「よう、史進」
王定六「…そろそろ時間だとさ」

史「やっとか…」
侯「史進殿!」
史「泣くなよ、小僧ども」
秦「…」
史「ちょっと、今から、行ってくる」
宣「…はい」
史「またな」
張「…」
史「…」
呼「また会いましょう」

27.
史進「…」
陳達「やっと来やがったか」
楊春「久しいな、史進」
朱武「みんな待っているぞ」
史「…」
杜興「またその汚い面を見せつけに来おったか!小僧!」
鄒淵「鬼瞼児ほど汚くねえよ」
穆春「この面子が揃っちまったか」
施恩「また何をさせられることやら…」
史「…」

呼延灼「来たな」
張清「お前だけ、だったからな」
郭盛「ど真ん中をあけといたぜ」
史「…」
班光「史進殿だ!」
花飛麟「隠れろ班光!」
史「…」
晁蓋「…これで百八人と私が揃ったのか?」
宋江「壮観だな」
盧俊義「全くだ」
呉用「そうですな」
公孫勝「…」
林冲「…よくやったな」
史「…」

王母「史進!」
王進「…」
楊令「よう、史進」
張平「♪〜鉄笛〜♪」
馬麟「♪〜鉄笛〜♪」
鮑旭「久しぶりに揃ったな」
武松「ああ」
李逵「いいもんだな!」
魯達「全くだ」
史「…」
李俊「長生きしたもんだ」
燕青「私たちはな…」
史「…」
宋「それでは史進」
晁「いこうか、皆」

「梁山泊へ」


twitterにて千本達成!

ご意見ご感想やリクエストは、こちらまでよろしくお願いいたします!

今号も、お読みいただき、誠にありがとうございました! 

北方謙三先生。こんな素敵で壮大な物語を書き上げていただき、心より御礼申し上げます。

読者の皆様も、ここまで一緒に読んでいただきましたことに、心より御礼申し上げます。

すいこばなしは、しばらくお休みします!

またこばなしの中で会いましょう!




中学生の頃から大好きだった、北方謙三先生大水滸シリーズのなんでもあり二次創作です!