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松本零士の四畳半~サラリーマンもの分類

松本零士先生のいわゆる四畳半ものと言われる作品群がありますが、代表的なものだけではなく一冊で終わるようなマイナー作も近年kindleやebookjapanで読めるようになったので、初めて読んだり昔読んだものを読み返したりしてざっくりまとめました。一話で終わる読み切り版や、SF方面に展開するものは除きます。掲載誌や連載時期はwikipediaによるものです。

  • 元祖大四畳半大物語 (1970/6~1974/2 別冊漫画アクション)

    • 主人公は足立太(あだちふとし)19歳、勤める予定だった会社が潰れて失職。安アパートで家主夫婦や住人たちとのんべんだらりと過ごすさまを描いた一話完結形式のマンガ。青年誌なので松本エロ描写(真っ黒ベタ背景に白い男女の身体の一部とあは ひ・・・みたいな松本書き文字が浮かぶ)が多い。毎回最後のページで主人公が寝ていて、「明日はわからんがなんとかなる そのために男は生きているのだ」みたいなポエムで終わるというパターンは他作品でも共通している。

  • 男おいどん (1971/5~1973/8 週刊少年マガジン)

    • 主人公は大山昇太(おおやまのぼつた)。見た目は元祖と同じ。浪人生(高校中退)。家主のバーサンは元祖と共通しているがジーサンはこちらでは亡くなっている。主なレギュラーキャラはバーサンとラーメン屋のオヤジと謎の鳥ぐらいで、下宿の同世代はすぐ入れ替わってしまい、取り残された持たざる青年のみじめさが度々描かれる。他作品と比べるとドタバタギャグ要素は少なく、ただ金がない、ルックスもいけてない、他人へのとっかかりがない、という境遇でがんばるど!(なにも好転しない)なのだが四畳半ものでは一番のヒット作と思われる。いちおう中盤で高校に復学したりと成長している部分はある。少年誌なのでエロは無し。


  • 聖凡人伝 (1971/8~1973/11 漫画ゴラク)

    • 主人公は出戻始(でもどりはじめ)。おいどんの弟の大山太と同じ顔。一話目で自殺に失敗し会社辞めて無職になる。家主のおばさん(これまでとは見た目の違うおばさん)や隣のマンションの資産家早名さん、セックスコンサルタントのおじさんなどの脇役とともに酒、エロ、大量の自殺者で織りなす日常ドタバタコメディ。


  • 恐竜荘物語 (1976/9~1977/5 漫画ゴラク)

    • 主人公は元祖大四畳半の住人だったヤクザの前川ジュリー。一人前の男になるため情婦の元を離れて独り立ちした。SF作家志望。家主は聖凡人伝系のおばさん。隣のマンションの早名さんも同じ。元祖アパートから聖凡人伝アパートへ移った唯一のキャラである。内容は聖凡人伝とだいたい同じだが、癖のある女性キャラクターと関わることが幾度かあり、ジゴロものへの展開を考えていたのかもしれない。とくに第4話のクソ性格お嬢がよく喋るし表情もコロコロ変わって、いわゆる松本ヒロインではない魅力があって好き。

  • 出戻社員伝 (1974/1~3 週刊大衆)

    • 主人公は出戻俊郎(始の兄)。始が去ったあとのアパートに住む。サブキャラは聖凡人伝と同じ。総合週刊誌連載だからか広告会社でデザイナーとして働くサラリーマン部分が多く、四畳半ものとサラリーマンものの間をつなぐ作品といえる。


  • ひるあんどん (1973/4~? 別冊マンガストーリー)

    • 主人公は敷井高志(しきいたかし)。おいどんで一時レギュラーだったテキ屋と同じ顔。補欠入社したボンクラ新人がサラリーマンとしてがんばる話。レギュラー脇役はほぼ同僚で、嫌なやつもいるけど同じ会社の仲間感があるのが他作品と異なっている気がする。アパートではなくバーの2階に住む。


  • ザ・ステテコンドル (1979/11~1980/12 サンデー毎日)

    • 主人公は佐渡酒造(さどさけぞう)宇宙戦艦ヤマトの佐渡と同じ名前と見た目。この流れだとラーメン屋とかセックスコンサルタントのオヤジという方が正しいか。相棒の若手社員草場茂(くさばしげる)の住むアパートの家主が早名さん。おいどんの林さんっぽい見た目の社員もいるのでファンは要チェック。サラリーマンものに中年の悲哀もプラスした感じのコメディ。

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