Duolingoで英語勉強はやめた方がいい
結論:Intermediate English ならいいかも?
※序文が長いので,英語学習をやめたほうがいい理由から読みたい場合はこちらをクリックしてください.
ルイス・フォン・アンを崇め奉りんさい
Do you know Dr. Luis von Ahn?
He is known as one of the pioneers of crowdsourcing, and the developer of reCAPTCHA.
……以降,日本語で.
ルイス・フォン・アンはCAPTCHA・reCAPTCHAの開発者として知られるコンピュータサイエンスの権威だ.
細かい実績や生い立ちはWikipediaに任せるとして,早速reCAPTCHAの話をしよう.
「画像に写っている文字を入力してください」
CAPTCHAやreCAPTCHAを経験したことがない,と言う人はもはやいないのではないだろうか.
名前に聞き覚えがなくとも,この画像には見覚えがあるはずだ.
9枚の画像の中から車が写っている画像だけを選んだり,歪んだ文字列を見て打ち込んだり……インターネット上で何かしらのサービスを受ける時,ユーザーがbotではないことを確かめるために活用されているサービス,それがCAPTCHA(Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart ; コンピュータと人間を区別する完全に自動化された公開チューリングテスト)である.
この技術は2000年にカーネギーメロン大学を中心に開発され,ルイス・フォン・アンもその開発グループの一人だった.
そして彼は,このCAPTCHAを更に進歩的な技術へと応用した.
人間の脳でのマイニングを実現したreCAPTCHA
CAPTCHAの利点は明白で,AIでは判別ができない曖昧な画像や文字も,人間であればなんとなくで読めてしまうという現象を利用したものだ.
事実,手書きのメモを翻訳カメラなどで読み込もうとしたが上手くいかなかったという問題に出会った人も少なくないだろう.
ルイス・フォン・アンはこの点に注目した.
手書きのメモや状態の悪い文章,汚れた紙に印刷された書籍は,人間の目であれば問題なく読めるのにAIだと全く読めないなんてことが頻発する.
電子書籍の機運が急激に高まっていた00年代後半において,この問題は既存の出版物をスキャンして活字化する作業においても顕在化していた.
歴史的に価値のあるとわかっている本であれば人間が確認して打ち込めば何とかなるかもしれないが,例えば毎日大量に出版される新聞や雑誌などは,後世において貴重な情報源としての活用が期待されるもののとてもじゃないがマンパワーで全て電子化などはできない.
対し,先述のCAPTCHAはこの時点で世界中のWebサービスで活用され,日に2億以上という推算すらあった.利用者が文字の認識してから正しい文字を打ち込むという1回の流れに10秒かけているとしたら,1日に63年もの時間が無駄な文字列の解析に消費されていることとなる.
彼はここを繋げたのだ.
細かい内容はまたまたWikipediaやその他解説記事を読んでもらうこととするが,つまり電子書籍化の過程でAIが認識しづらい文章や単語が出ると,それを加工した上でCAPTCHAとしてセキュリティに使い,またその結果をフィードバックして単語の確定に使うという仕組みである.
これがCAPTCHAの改良版,reCAPTCHAだ.
reCAPTCHAは現在,Googleに購入されている.
Googleは様様なWebサービスにセキュリティシステムとしてreCAPTCHAを契約させながら,その画像や文章の解析によってGoogleブックスの充実やGoogleMapの改良に役立てている.
ルイスはこの技術をいくらで売却したのかは明らかにしていないものの,前段階であるCAPTCHAがGoogleによって買い取られた際に「その後,生活の心配をする必要がなくなった」(あくまで研究チームの一人として)と語っていたことからも,その数段上の金額であったことは想像に難くない.
そもそも彼は博士論文において取り上げたESPゲームに関する研究で画像処理技術を大幅に改善しており,この話も是非したいのだが……主題から外れすぎるのでやめておこう.
完全に余談だが,私はこのルイス・フォン・アンとRSA暗号の開発者の一人にしてDNAコンピュータの考案者であるレオナルド・エーデルマンがここ100年の計算機科学分野における天才のトップ3に入ると考えている.あと1人は……ちょっとまだ検討中だ.
Duolingoとはどんなサービスか
タイトルだけみて開いた諸兄には,知らない学者の知らないエピソードを滔滔と語られて混乱に招き入れてしまったことだろう.
件の天才,ルイス・フォン・アンは先述の通り2009年にreCAPTCHAサービスをGoogleに売却した.
その後,彼がスタートアップした事業がまさにDuolingoだったのである.
まずは英語学習者と翻訳希望者を繋げたDuolingo
Duolingoの発端はreCAPTCHA同様の「双方向的なリソースの利用」であった.
彼らは様様な言語における英語学習サービスを開始し,その最中で学習に使われる文章の中に実際に存在するものを含ませた.
この文章の出元は,英語からその他の言語への自然な翻訳を希望する出版社などである.
想定される直訳を起点としつつ,ネイティブスピーカーの自然な翻訳データを蓄積することでよりリアルな訳文が手に入る.
この仲立ちをすることで三者三様にメリットを享受できるサービス,それがDuolingoの始まりだった.
……まあ実際にはこの目的は途中で頓挫したわけだけれど.
インフラとしての外国語学習
頓挫の経緯はまるでこち亀の一幕のようである種滑稽な流れもあるのだが,そろそろ本題に移ろう.
その後,Duolingoは紆余曲折を経て今の形に落ち着いた.
今のDuolingoが掲げる目標が「誰もが平等に教育を受けることができ,誰もが平等に機会を得られること」だと言う.
氏曰く「世界のほとんどの国で,英語の知識があれば高い収入を得ることができるから」.
英語が話せれば英語圏で働くことができる.
逆に,インターネットがあれば今や大抵の情報は学ぶことができるが,その情報源が母語ではあまり充実していないことも多い.英語などユーザーの多い言語を使うことができれば,より多くの情報へアプローチが可能となる.
事実,ヨーロッパ各地へ移住したシリア難民の数多くがDulingoを使用して移住先の言語を学んでいる.
2022年まではスウェーデンにおけるDuolingoユーザーの最も人気のある言語はスウェーデン語であった.これは即ち移住してきた人が生活するためのツールの一つとして活用している状況を指している.
また,Duolingoは英語やドイツ語などの"充実した"言語へのアクセスとは別に,話者の少ない言語などの維持や敷衍という目的も掲げている.
具体的にはラテン語やエスペラントのような母語話者がいないがツールとして有効な言語,バスク語やマヤ語のように国単位では話者が減っているが文化として堅実に存在しているものなどだ.
日本人にとっての英語
では,本題であるDuolingoでの英語学習について.
英語は言わずもがな国際語として使われている言語であり,圧倒的に使い勝手のいい言語だ.
現在の地球上で最も便利なツールとすら言える.
そして同時に,我我日本人は英語が極めて不得意であるというステレオタイプも存在している.
しかし,それは嘘だ.
日本人が一番得意なのは英語
現在,英語学習は小学校3年生から義務化されている.
少なくとも,世間の大半は小学校高学年〜高校のどこかの時期において5年は英語学習をしてきたハズだ.
その上で,口を揃えて言うのは「英語は勉強したけど全然わからない」というある種のレッテル貼りである.
では,試しに次の文章を読んでみてほしい.
Hello! My name is Taro.
I am studying math at school.
I have a father, a mother and a sister.
I like basketball.
My sister likes basketball too.
どうだろうか.
・話している人の名前
・話している人の好きなもの
・話している人の家族のうち,同じものが好きな人
この3つがわかるだろうか.
では,次にこの文章を読んでほしい.
안녕하세요, 저는 타로입니다.
저는 학교에서 영어를 공부하고 있습니다.
저는 아버지와 어머니와 형이 있습니다.
저는 햄버거를 좋아해요.
어머니도 햄버거를 좋아해요.
どうだろうか.
・話している人の名前
・話している人の好きなもの
・話している人の家族のうち,同じものが好きな人
この3つがわかるだろうか.
この時点で概ね言いたいことが伝わったと思う.
上に書いた英語の文章と韓国語の文章はほとんど同じ構成である.
恐らく殆どの人が英語の文章は読み取れるし,なんならこの程度の内容であれば日本語から英語に訳せる人も多いだろう.
しかし,韓国語の文章を読み取れた人は1%すらいまい.
日本人にとって一番得意な外国語は英語であるし,そのレベルも実はちゃんと結構な水準まで達成しているのだ.
Duolingoは初学者のためのツール
Duolingoにおいて,上記の文章が読める・書けるようになったら全体の25%は達成したと言っていいと自分は考える.
英語で考えるとずいぶんレベルが低いと感じるようなあの内容も,韓国語ですらすら読める人に出会ったら結構ちゃんと勉強してるんだなと感じるのではないだろうか.
勿論,英語から離れて随分時間が経って……という人にとってはあのレベルの英文であっても手慣らしには丁度いいかもしれない.
しかし,残念ながら義務教育を終えた日本人にとって,Duolingoは更に英語力を高めるためのツールとするのは難しい.
一応Duolingo English Testなど高度な英語力へと繋げるためのサービスも充実している(大学によってはTOEFLのスコアに代替することも可能だ)が……
しかし,これではただDuolingoのネガティブキャンペーンをしただけだ.
そこでここからは実際にDuolingoの内容を確認しながら,そのメリット・デメリットを解説していく.
それらを見てもらえれば,Duolingoがどのように優れたツールであるのか,そして自分の英語学習について役立てることができるのかどうかを判断してもらえると思う.
Duolingoのメリット・デメリット
まずはDuolingoがどんなサービスであるかを見てもらおう.
尚,どこが楽しいとかどうやってモチベを維持しているとかのアプリケーションとしての側面については言及しない.
あくまでも語学を学習するという前提においての内容の解説である.
全ての言語に通じる根幹は下の3つだろう.
①学習できる言語が豊富
メリット:無料サービスとしては圧倒的に多い
デメリット:日本語版だと4つしかない
②リスニング・発音問題が豊富
メリット:発音を真似することで4技能が着実に付く
デメリット:ほとんどない
③シンプルな単語・フレーズを繰り返し行う
メリット:下地が着実に付く,忘れることが殆どない
デメリット:進みが極めて遅い
学習できる言語が豊富
現在,日本語で学習できる言語は英語・中国語・韓国語・フランス語の4言語だけだ.
この点において少ないと思うか多いと思うかは人によるだろう.
個人的には,一つの無料アプリでできる言語としては多め,外国語学習サービスを謳っているものとしては少なめと言った感じか.
この画面で下にスクロールすれば英語で進められるコースも出てくる.
英語であれば39言語と3コース(中級英語,数学,音楽)を学ぶことができる.
問題や説明は平易な英語で記されているため,例えばイタリア語を学びたい場合はこの英語版でItalianを選んでも大して支障はないハズだ.
因みに,広東語は中国語(普通話)版のDuolingoでしか学べない.
他にもカタルーニャ語はスペイン語版でしか学べないなど,英語版が必ずしも全てをカバーしている訳ではない.
これは需要というよりは講座を開設するにあたってその殆どが両方の言語を流暢に扱えるボランティアの存在を必要としているからである.
日本語も,琉球諸語やアイヌ語をカバーしてくれたらすごく嬉しいのだけれど…….
リスニング・発音問題が豊富
Duolingoのなんといっても有用な点はリスニングの教材が豊富であり,また発音の判定ができる点だ.
画像のような単語を聞いて意味を答える問題のほか,フレーズを聞いてタイピングするなど結構幅広い問題が出題される.
これが却って色んな講座をリリースする際の障壁にもなっているのだが,クオリティが担保されていると考えればいいことだ.
このように,提示された文章をマイクに向かって読み上げる問題も出題される.
上のスピーカーマークを押せばネイティブの発音を聴けるため,基本的にはわからずとも聴いて聴いて真似をすればクリアできる.
判定がどれだけ正確かはわからないが,よほど雑音のある環境でない限りは体感では結構良い.
また,提示された日本語文をタイピングして訳す形式の際には,代わりに音声入力を使うこともできる.これはラテン文字の言語にしか基本的にないのだが,力試しとしては丁度いい.
シンプルな単語・フレーズを繰り返し行う
とにかく繰り返す.
また,韓国語のような文字から学習する必要があるような言語の場合はまず発音から繰り返し繰り返し練習する.
進むにつれて極めて単純な単語やフレーズを学習することになるが,これも何度も繰り返す.
これによって出てきたフレーズなどはしっかり刻み込まれることは間違いないが,代わりに進みはとても遅い.
特に語彙に関してはDuolingoでは全然増やすことができないので,基本的な文を構築できる程度に学習が進んだあたりで自主的に別個で学ぶ必要があるだろう.
そもそもDuolingo自体,高度なレベルを想定していない
CEFRという指標がある.
ヨーロッパ言語共通レファレンス枠組(Common European Framework of Reference for Languages)の略で,「せふぁーる」と読む.
これは言語における習熟度合いをA1からC2までの6段階に分類するもので,現在はヨーロッパ言語に限らない様様な言語間での比較がなされている.
試しに「TOEIC CEFR」と調べてもらえればTOEICの点数がCEFRの評価のどこに相当するかの早見表が出てくるだろう.
そして,Duolingoは基本的に全てのコースにおいて修了した時のレベルをB2相当としている.
A1が最低(自己紹介などの簡単な文を知っている,相手が意図して丁寧に喋ってくれれば理解することができる)であり,C2が最高(母語話者と遜色ない)とするCEFRにおいてはBランクは「旅行先だったり移住先で話の主要な内容を理解でき,会話はあまり緊張しないで行える」レベルに該当する.
「え?それならDuolingoで十分じゃん」と思ったあなた.
それはリスキーだ.
何故なら,Duolingoは「修了できる力がついたならB2レベル」と言っているだけであり,Duolingoだけを進めて最後のステージをクリアしたとしても果たしてそれに満たしているとは言えないからだ.
例え話をしよう.
漢検というものがある.
漢検2級は「高校卒業・大学・一般程度」であり,対象は常用漢字である2136文字が全て読み書きできるレベルとしている.
しかし,一回の受験では2136文字全てが出てくる訳ではない.
読み書きを中心として何十問かを出題し,その内の何割を正しく答えられるのであればその人は常用漢字をほぼ使いこなせると言って良いだろうという判定が下される訳だ.
そのため,とある回の漢検2級の問題を毎日繰り返し解くことでいつしかその回なら全問正解できるようになった!という人は,当然だが上の条件を満たしていない.
Duolingoの判定も概ねそれと同じである.
先述の通り,Duolingoでは語彙や熟語を数多く覚えることは難しい.
ある程度定まったフレーズが何度も何度も出てくるため,文の仕組みを学習することができる.
「母は私の友達と水族館に遊びに行った」という文を完全にモノにしたならば「あなたの妹は私の彼女と遊園地に遊びに行った」という文が作れるだろう……「妹」「彼女」「遊園地」という語彙を知っていれば.
Duolingoは手軽で1個1個のステージを攻略しやすい反面,愚直な暗記と単語テストのようなものは無料版でやっている限り乏しい.
有料版にしても間違いの多い問題をピックしてくれたり,単語と訳の対応テストができる程度だ.
勿論,修了した暁にはある程度の習熟度は担保されているだろうが,先のCEFRにおけるB2レベルに達しているかは……どれだけトライ&エラーによって攻略したかによる.
恐らく,Duolingoだけで本当にBレベルまで行けたという人は,英文法のテキストだけでももっと早く同様のレベルに行けると思われる.
「それでもDuolingoをやる!」という人には以下の方法をお勧めする.
実際,英語から離れて自らの英語力が落ちたと痛感しており,かつすぐに英語をモノにする必要がある訳ではない人にとっては手軽さという点においてとても有用だろう.
1:英単語帳をやる
あまりにつまらない話だが,語彙が不足しているのであれば補えば良い.
リスニングとスピーキングが無料でサクッとできるサービスはあんまり無いので,Duolingoはそこがメインだと割り切ってしまうことだ.
単語やイディオムが学べる別の教材も用意し,可能であれば今やっている単元の提携文の要素をいくつか別のものに組み替えて作文する.
わざわざ書いたりする必要はなく,Duolingoで今は「他人に時間を尋ねる」ユニットをやっているのであれば,教材内で出会った単語を提携文に組み込むならこうかな,と頭の中で考えるだけで十分である.
2:英語で学習する.
個人的にオススメなのが「日本語版で英語を学習する」ではなく「英語版で日本語を学習する」方法だ.
あまりに違和感のある文章だったり,英語話者にとってつまづきやすいポイントを意外性を伴って勉強できるため,英語能力の上昇というよりかはモチベが下がりにくい.
日本語版での英語学習の内容は学校などで繰り返したものとあまり大差がない(即ち効果が一番高いということなんだろうが)ため,あんまり見栄えが良く無いがこの方法は結構面白い.
また,つい最近 Intermediate English というコースが登場した.これは単純な英語でやや高度な英語について学習していくコースだ.
こちらも同時並行で進めると単純な「日本語に1対1で対応する文を丸暗記する」という作業ではなくなる.
3:ガンガンスキップする
Duolingoは一歩ずつステップアップして難易度をあげていく形式だが,先のユニットに相当する語学力をクリアすればショートカットすることもできる.
学び直しのつもりでも実は結構覚えているというのはさっき述べた通りだ.
Duolingoを始めて,地道に簡単な問題を一つ一つクリアしても身につくものが少ないだけで時間の無駄になるだろう.
勿論,いきなりステップアップは思い出せないフレーズや文法で弾かれることもままある.しかし,だからといってこのユニットが丸丸覚えていないということにもならない.
そこで,飛び級できなかったユニットであってもちょっとやったら直ぐにショートカットにチャレンジすることで大幅な短縮が見込める.
最初は忘れてたけどちょっとやったら思い出した!みたいなことはよくあるので,個人的にはひとつのレッスンが終わったらもうそのユニットに挑戦するくらいの気持ちで良い.弾かれてももう1レッスン終わったらまたショートカットに挑む.
こうすることで分かりきった問題を惰性で解く無駄な時間を無くせる.
その他,多言語学習における所感
自分は現在,Duolingoで13言語ほどに手を出している.
といってもどれも中途半端でとてもじゃないが使いこなせるといったレベルではない.
それぞれの言語での,初学者へのオススメ具合を主観たっぷりで書き記してこの記事を締めよう.
大前提だが,全ての言語において単語帳は別に用意して学習することとする.
オススメ度が高い言語
中国語,エスペラント,ナバホ語,クリンゴン語
・中国語
漢字を使うため,ストレスが殆どない.
普通話なので巻き舌を使うが,これをマイクで判定してくれるのはかなり有用だ.
新しい語彙に出会った時に推測が容易なものであれば簡単に進められるし,反対に意味が大きく異なるものはその意外性から楽しめる.
孤立語なので文法学習があまり必要ないのもDuolingoの形式に合っている.
・エスペラント
あまりエスペラントの教材がないというのが大きな理由.
人工言語であるエスペラントは当然だが自然言語に見られる変則的な活用や語彙が無く,機械的に学ぶのに適している.
決められたルールを推測しながらどんどん例題を処理していく楽しさはDuolingoの「説明に乏しい進行」と相性がいい.
・ナバホ語,クリンゴン語
教材に乏しいというのが一番大きな理由.
特に後者は……4技能が伴なったものは殆どないのでは?
Duolingoでオススメ,というよりこれらをやるならDuolingoがオススメと言った方が正しい.
因みに『ゲーム・オブ・スローンズ』内で用いられている高地ヴァリリア語も学べる.
オススメ度が中くらいの言語
韓国語,フランス語,ベトナム語
・韓国語
日本語版でもリリースされており,実際にユーザーが多い.
最初にパッチムの発音から徹底的にやるので,結構文字を見て発音を類推する能力がテキストでやるよりも早く身についた感じがする.
テキストでの学習で早早にやめてしまった過去があるので,結構オススメ.
しかし,日本語と同様膠着語(助詞で格を示したり動詞を活用することで意味を変化させる語)である韓国語において,助詞や活用の法則を学ばずに実践で進めるというのは効率が悪い.
単語帳とは別に文法書を要するが,初学者用の凄く簡単な教材さえあればDuolingoを相当活用できると思われる.
・フランス語
悩んだが,一応日本語版でリリースされているという点で中くらいに分類した.
言語としてはDuolingoオンリーではまず無理である.
日本語に対応するようにイディオムが盛り込まれている雰囲気を感じた.
活用や名詞の性に関してはDuolingoだけではほぼ不可能というか,これに類推の時間を取るならもっと有意義な使い道があると思う.
日本人にとって発音が難しい言語なので,リスニングと発音の確認としては有用か.
・ベトナム語
正直,オススメ度は低いかもしれない.
では何故ここに?と問われれば,ひとえに私の大学時代の第二外国語がベトナム語だったからだ.
中国語と同じ孤立語であり,基本の文字がラテン文字であるベトナム語はタイ語やラオス語と比べればハードルが低めである.
しかし,声調は中国語のそれよりもずっと複雑である.
ずっと複雑であるにも関わらず,なんとDuolingoの音声教材はかなりそれが判別しにくい.
大半をボランティアに頼っている以上,あまり多くは望めないだろうが,それにしても変な癖がついてしまいそうだ.
後述するオススメ度が低い言語よりはまだ簡単な参考書と単語帳を用意すれば学習できるなと思ったのでここに.
オススメ度が低い言語
アラビア語,イタリア語,英語,スペイン語,ラテン語,ロシア語
・アラビア語
ハングルやキリルなど馴染みの薄い文字の学習には結構役に立ったな〜と思っていたので,世界的に需要の高いアラビア文字が読めるようになれたらと開始したが……あまりに不可能過ぎた.
まず,アラビア語は日本語話者から相当習得難易度の高い言語と一般的に言われているが,同様に英語話者からも習得難易度の高い言語に分類されがちだ.
そのため,英語話者向けに構成されたアラビア語講座を日本語話者が学ぶのは変換効率が悪過ぎて混乱する.
Duolingoはわからない問題は何度もぶち当たることでいつか習得するような形式をとっているため,本当に全然理解できないと壁にぶち当たり過ぎたこちらが疲弊して倒れてしまうことを知った.
当然読めないのでリスニングをしても発音が結びつかない.
アラビア文字は文頭・文中・文末で同じ文字であっても形が変わるため,まずはその規則と発音を他でちゃんと学んでからの方が良いだろう.
あくまでも錆びつかせないために毎日触れる程度の使い方しかできなさそうだ.
・イタリア語,スペイン語
こちらはラテン文字な上,英語よりも遥かに発音の規則が単純であることから学習は容易と思われる.
但し,英語には存在しない「名詞の性」や「動詞の活用」,「接続法」が存在する(フランス語にも存在する).
本当に一切の説明なしで進むものだから,間違って覚えてしまう危険性すらある.
発音もそんなに難しくないため,リスニングや発音といった機能もそこまで役に立ったとは思えなかった.
それと,スペイン語に関してはスペイン本土のスペイン語では無くメキシコなど中南米のスペイン語で構成されている点も注意が必要である.分厚いスペイン語の教材を買って初めてその事実に気がついたので,もしDuolingoでスペイン語をやろうと思っているのであれば参考書は中南米スペイン語に特化したものを選ぶべきだ.
・英語
本記事の趣旨であるためほぼ省略する.
毎日触れるにはいいね,というレベルでしかない.
ただ,本当につい先日Intermediate Englishコースがリリースされ,そちらはまだ触っていないので,こちらの内容次第では中くらいに上がる可能性もある.
・ラテン語
Duolingoは文法の学習などを省き,実用的なフレーズを何度も繰り返すことで自然な会話や文章を刷り込むような設計になっている.
ラテン語でそんなことをする必要がマジでない.
御存知の通り(?),ラテン語話者は現在存在しないからだ.
一応バチカンの公用語であり,カトリック教会の司教などはこれで話す……ことにはなっているので,もしバチカンに務めることになったなら選択の一つかもしれない.
恐らく酔った彼らはイタリア語でしか返事をしてくれなくなるだろうが.
・ロシア語
キリル文字を学ぶにはいいと思う.
難し過ぎます.これは単純に難しい上に,イタリア語やスペイン語で書いたようなインド・ヨーロッパ語族特有の文法に関して説明がないことの複合だ.
何度も繰り返しているリスニング・発音は有用……と思うが,それが使えるようになるまで結構な苦行を強いられる.
繰り返すがキリル文字の形と発音を染み込ませるにはいいと思うので,それをクリアしたら次にNHKのラジオ講座を一期分終わらせてからであればまだ立ち向かえるのではないだろうか.
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